新卒採用で学生からの応募を十分に集められないとお悩みではないでしょうか。生産年齢人口の減少や内定辞退の増加などによって、新卒採用で自社に合った人材に出会うことのハードルは年々高くなる一方です。
この記事では、新卒採用での集客がむずかしい原因をくわしく解説し、それに対応した解決策も紹介します。貴社にあてはまる課題を見つけ、参考にしてください。
新卒採用で学生が集まらない原因
売り手市場によって、学生からの応募は年々集まりにくくなっています。それに伴って、採用競争は激しくなっています。計画的に戦略を立てなければ、コンスタントに採用目標数を達成しつづけるのはむずかしいでしょう。
人口減少に伴う「売り手市場」が続いている
バブル崩壊後から2004年ごろまでは就職氷河期と呼ばれ、ひとつの求人に大量の応募がくることが一般的でした。しかし、ここ十数年はコンスタントに大卒求人倍率が1を上回り、求職者の数より求人数のほうが多い「売り手市場」が続いています。リクルートワークス研究所が発表した2024年3月卒業の大卒求人倍率は1.71倍で、新型コロナウイルスが流行する前の基準(19年卒・1.88倍)に戻りつつあることがわかります。
※出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2024年卒)」 (https://www.works-i.com/research/works-report/2023/230426_kyujin.html)
これには、働き手の総数が減っていることが関係しています。日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)になると見込まれています。
※出典:総務省「令和4年版情報通信白書|生産年齢人口の減少」(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd121110.html)
少子化によって働き手が減り、新卒に限らず採用自体がむずかしくなっています。すぐに日本の出生率が上昇するとは考えづらいことから、企業は人員不足に対応した採用スタイルへの切り替えを検討する必要があるでしょう。
大手企業に人気が集まる
これまで企業との接点がなかった学生は、BtoCの企業や大手企業など、日常生活で社名を聞いたことのある企業 に応募をしやすいといえます。この傾向は新卒採用でとくに顕著です。
実際に、株式会社学情が発表した2025年卒就職人気企業ランキングの上位には、一般的な知名度やシェア率が高い企業が名を連ねています。
※出典:「2025年卒『就職人気企業ランキング』を発表!トップは6年連続のあの企業!」(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/saiyo/00085/)
逆に言えば、業界ではだれもが知っていたり働きやすい環境・魅力を備えていたりする中小企業でも、学生に社名が知られていないだけで求人が埋もれてしまいます。日本企業の99.7%が中小企業である(出典:中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chushoKigyouZentai9wari.pdf)にもかかわらず、その多くが新卒採用の集客に課題を抱えている現状です。
株式会社学情が企業を対象に行ったアンケート調査では、前年と比べて採用難を予想する企業(「難しい」「やや難しい」の回答の合計)は79.1%と8割に迫りました。これは、74.0%だった24年卒対象の採用活動より5.1ポイント増えています。
※出典:「2025年卒採用動向調査レポート(学情)」(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/25saiyo-report/)p.11
より多くの学生に選考に参加してもらうには、まずはとにかく社名を広く認知させることがカギといえます。
人員やノウハウなどのリソースが不十分である
企業が抱える新卒採用の課題のひとつに、採用リソースの不足が挙げられます。採用リソースには、費用や人員、ノウハウが含まれます。
企業規模によって採用への予算も大きく異なるので、効率的な採用活動が求められます。
ほかにも、採用担当者が人事や労務なども兼務しているケースがよくあります。たとえ魅力的な求人広告でも、採用担当者の手が空いておらず、次のステップにつなげられなければ優秀な人材を逃してしまうでしょう。
採用の早期化と長期化の影響で、採用担当者は今期と来期以降の新卒採用を同時並行で行う必要に迫られており、余計に負担が増えています。
また、とくに新卒採用が初めての企業にとって、ノウハウ不足も課題です。手法によっては自社のターゲットに的確に訴求できていない場合もあります。
ターゲットに合った採用チャネルを選べていない
近年では、採用ニーズの多様化とともに新しい採用手法も出てきています。従来から主流の就職ナビサイトや人材紹介など、一対多の採用手法に加えて、ダイレクトリクルーティングをはじめとする一対一のアプローチ方法もあります。
自社を広く認知させたいなら前者の一対多の採用手法、接点をもちたい人材像が明確に設定されているなら後者が適しているでしょう。
ターゲットに合っていない採用手法を続けていると、効率が落ちてしまいます。
くわしい採用手法についての説明は「採用ペルソナを見直し、適した採用手法を選び直す」章をご覧ください。
内定辞退にあう
売り手市場に伴って、昨今の新卒採用市場ではある程度の内定辞退は避けられないとの考えが一般化しています。
株式会社学情が実施したアンケートで、採用予定数に対し内々定をどの程度出す予定かを尋ねた質問では、3割近くの企業が151%以上と回答しました。
※出典:「2025年卒採用動向調査レポート(学情)」(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/25saiyo-report/)p.20
せっかく人を集められても、内定辞退があると予定数に不足してしまう可能性があります。
内定辞退率を下げる6つの対策をこちらの記事で紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
新卒採用で学生が集まらない問題の解決策6選
新卒採用での知名度・リソース不足を解決する方法を6つ紹介します。
- 既卒・第二新卒も受け入れる
- 通年採用に切り替える
- 学生に「会える」施策を取り入れる
- RPO(採用代行)や外部委託を利用する
- 採用ペルソナを見直し、適した採用手法を選び直す
- 内定後フォローを怠らない
既卒・第二新卒も受け入れる
卒業後3年以内の既卒・第二新卒の受け入れは、新卒採用での集客に悩む企業の救済策のひとつです。
厚生労働省は、少なくとも3年以内の既卒者の応募を新卒枠で受け付けるように求めています。
「社会の厳しさを知っている分、 入社後の辞退が少ない」「卒業後1~2年経過し、 自分の適性を見直して応募するため、就労意識が高い」といったメリットがあります。
※参考:厚生労働省「青少年雇用機会確保指針」(https://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/dl/11a.pdf)
通年採用に切り替える
新卒一括採用は決められた時期に一斉に採用活動を行うのに対して、通年採用は時期を決めずに年間を通して採用を行います。
新卒一括採用のメリットには、企業文化になじみやすい、組織の新陳代謝を高められるなどが挙げられますが、もとを正せば終身雇用や年功序列制度と相性が良かったために定着したといわれています。
近ごろ、終身雇用や年功序列制度は崩壊しつつあります。時代背景に合わせて新卒採用のスタイルも変えていくほうが効果的でしょう。
こちらの記事では、2026年新卒採用の学生の動きを解説しています。スケジュールは例年と大きく変わりませんが、内々定出しの時期が年々早まっていることから、学生の動き出しはより早期化する予想です。
学生に「会える」施策を取り入れる
自社が認知されていない状態では、学生が企業の採用サイトや説明会へ自主的に訪れることはありません。とにかく会いさえすれば、興味をもってくれる学生も少なくないでしょう。
「攻め」の採用ともいわれるダイレクトリクルーティングや既存の社員から紹介してもらうリファラル採用など、企業側からのアプローチが重要です。ほかにも、地方であれば、合同企業セミナーをはじめとしたイベントへの出展がそもそも認知度を高めるケースもあります。動画やSNSへの投稿、オウンドメディアを用いた積極的な情報発信が、学生に興味をもってもらう機会を増やすでしょう。
学生と会う方法も説明会や面接だけでなく、カジュアル面談やミートアップ(企業が開く交流会や勉強会のこと)といったバリエーションを用意するのがおすすめです。学生が受け取るメリットが多い方法を選びましょう。
学生と必ず「会える」イベントなら、株式会社学情が提供する就活サポートmeetingがおすすめです。少人数制で、参加した学生全員と話すことができます。Web媒体「あさがくナビ」で事前に告知しているため、貴社に興味のある学生が来場します。くわしくはお問い合わせください。
RPO(採用代行)や外部委託を利用する
自社に十分なリソースがない場合は外注も効果的です。
RPOは「Recruitment Process Outsourcing」の略称で、企業の採用活動をサポートする採用代行サービスです。採用計画の作成から母集団の形成、内定後のフォローまで、さまざまな面でリソース不足をフォローします。
ただし、自社にノウハウが蓄積されないデメリットもあります。定例会を開いて情報交換を行うなどの対策が必要です。
採用ペルソナを見直し、適した採用手法を選び直す
採用におけるペルソナとは、自社が応募者に求めるパーソナリティを詳細に設定した架空の人物像です。名前や経歴、趣味などを具体的に決めます。採用ターゲットは自社が求める条件のグループであり、ペルソナとは細かさが異なります。
ターゲットはなんとなく決まっていたがペルソナの設定まではしていなかった企業も多いのではないでしょうか。ペルソナを設定すると採用基準を社内に周知しやすくなるほか、採用手法も精査できます。
ペルソナに合った採用手法の例を紹介します。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業側が欲しい人材を採用するために適切な手段を主体的に考え、能動的に実行する採用手法のことです。「攻め」の採用とも呼ばれます。
たとえば、将来やりたいことが決まっている人物が採用ペルソナであれば、職種にフォーカスしたスカウトが効果的です。「自社ではこういう仕事ができます」「あなたの○○の経験をこんな環境で活かせます」といった1on1のメッセージが学生の心を掴むでしょう。
リファラル採用
「リファラル(Referral)」は、日本語で「推薦」や「紹介」という意味です。リファラル採用とは、自社の従業員や取引先などから、自社の採用条件に合った知人や友人を紹介してもらう採用手法です。
たとえば、自社の社風に合う人物を採用ペルソナとしているならこの採用手法がおすすめです。なぜなら、既存の社員が良いと思った知人・友人を紹介してくれることで、その社員と雰囲気や考え方が似た人材に出会える可能性が高いためです。
SNS採用
SNS採用とは、その名前のとおりSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用した採用活動のことです。「ソーシャルリクルーティング」とも呼ばれています。すぐに効果が期待できる施策ではなく、中長期的な取り組みを求められますが、自社の認知度を高めるのに有効です。
新卒採用の対象となるZ世代のSNS利用率は、90%を超えています(※出典:総務省|令和4年版 情報通信白書「20. 年齢階層別SNSの利用状況」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf308000.html#d0308200)。
SNSを通じて採用マーケティングや採用ブランディングを行いましょう。採用ペルソナが興味をもつ内容を投稿することで的確な訴求ができるほか、学生に「この企業はこういう人材を求めている」と知ってもらえます。
オウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアリクルーティングも採用マーケティング・採用ブランディングの施策のひとつです。オウンドメディアとは、自社が運営するホームページやブログ、採用サイトなどのメディア全般を指します。読者に共感を抱いてもらえるような情報発信を行い、応募につなげます。
学生の考えと企業の理念やミッションがいかに一致しているかを重視するなら、この手法は適しています。社員一人ひとりや企業全体としての価値観を感じ取れるコンテンツを提供しましょう。カジュアル面談から選考に進んでもらう際に求職者の志望度を高めるのにも活用できます。
ただし、自社に興味がある人以外はオウンドメディアを訪れません。流入のきっかけをSNSなどでつくる必要があります。
内定後フォローを怠らない
学生の内定辞退の理由が「ほかにやりたいことがある」なら仕方ないでしょうが、それ以外の理由で辞退が頻発しているならフォロー体制に原因があるかもしれません。とくに新卒採用では内定が決まってから実際に入社するまでの期間が長く、学生には考える時間がたくさんあります。企業は、内定を出したあとも気を抜かずにフォローが必要です。
株式会社学情が実施したアンケートでは、企業が内定辞退対策として行っていることのトップ3は「懇親会(対面)」(74.9%)、「先輩社員との面談(対面)」(48.3%)、「人事担当との面談(対面)」(41.3%)でした。
ほかにも会社見学会やオンラインでの面談といった回答が多く見受けられました。
※出典:「2025年3月卒業予定者/採用動向調査レポート」(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/25saiyo-report/)p.20
採用支援事例
採用手法の切り替えや間口を広げることで新卒採用の課題を解消した企業の事例を紹介します。
株式会社BWORKS様
採用媒体を使った新卒採用にはじめて挑戦し、「あさがくナビ」から25人の採用に成功。新卒採用のプロである学情を活用し、知識やノウハウを自社の社員に培いました。
あさがくナビ
株式会社阪急交通社様
初めての既卒・第二新卒採用に挑戦し、10人の採用に成功。もともと第二新卒採用にも取り組んでみたかったがマンパワーが足りず、断念していたところ、学情のサポートとともに実現しました。
転職博、Re就活
株式会社京都放送様
学情のサービスのみで新卒採用を実施、採用業務のWeb化、効率化を実現。学情のサポートにより採用業務の効率化、スケジュールの変更といった課題をクリアしました。
あさがくナビ、就職博
東濃信用金庫様
新卒採用中心からの脱却を目指して業界でいち早く20代・若手人材採用に取り組み、3年間で15人の20代・若手採用に成功。
転職博、Re就活
柴田科学株式会社様
ダイレクトリクルーティングの有効性に着目し「攻めの採用」への転換を図り、理系出身者を中心に5人の新卒・第二新卒採用に成功。
あさがくナビ、Re就活、JobTube
20代通年採用なら
新卒採用の集客課題は「20代通年採用」で解決できます。新卒学生だけでなく既卒・第二新卒も対象に採用の間口を広げ、新卒採用以外の時期に既卒・第二新卒採用を実施することで通年採用を取り入れましょう。
株式会社学情は、新卒採用と既卒・第二新卒採用をミックスし、貴社にとってベストなバランスの「20代通年採用」をデザインします。ぜひお問い合わせください。
売り手市場に対応した採用スタイルへの切り替えを
売り手市場は今後も続くと考えられます。時代に合った採用スタイルへの切り替えが必要になるでしょう。
自社の課題を突き止め、それに合った解決策を模索してください。
就職・転職・採用を筆頭に、調査データ、コラムをはじめとした担当者の「知りたい」「わからない」にお応えする、株式会社学情が運営するオウンドメディアです。