

中小企業のなかには「新卒がとれない」と悩んでいる企業も多いでしょう。本記事では、中小企業の新卒採用がうまくいかない理由や対策について解説します。新卒採用に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
新卒採用の現状
近年、新卒採用では売り手市場が続いており、人材獲得競争が激化しています。リクルートワークス研究所の調査によると、2026年卒の求人倍率は1.66倍と、前年よりも0.09ポイント低下したものの、大手企業は買い手市場、中小企業は売り手市場といった採用格差が生じています。中小企業の採用を成功させるには、採用課題に適した対策が必要です。
※参考:リクルートワークス研究所「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」
大企業と中小企業の新卒採用の違い
新卒採用において、中小企業は大企業と比べると企業知名度や採用予算・リソース面で不利な場面が多く見られます。大企業は高い知名度や充実した福利厚生・給与水準などで学生を惹きつけられますが、中小企業は同じ手法では埋もれてしまいがちです。
さらに、大企業は専任の採用担当者や専門チームを抱えられるため、多数の応募者へ丁寧に対応できます。一方で中小企業の人事担当者は他業務と兼任しているケースが多く、採用活動に十分な時間を割けないという課題があります。
しかし、中小企業ならではの魅力を打ち出すことで大企業と差別化し、学生の興味を引きつけることは可能です。社内のアットホームさや若手の成長機会の豊富さ、経営層との距離の近さなど、中小企業ならではの強みを活かす視点が重要です。
中小企業の新卒採用がうまくいかない原因と対策

中小企業の新卒採用がうまくいかない原因と対策について解説します。
採用要件が明確でない
明確な採用要件が定まっていないと、採用活動を効率的に進められません。
採用要件とは、企業が人材を採用する際に基準となる条件のことです。採用要件が明確でないと、採用ターゲットに適した採用手法を選べなかったり、ミスマッチを誘発し、採用に至っても内定辞退や早期退職につながってしまったりする可能性があります。
ペルソナを設定する
採用要件を明確にするには、採用ペルソナを設定しましょう。
採用ペルソナとは、採用したい人物像のことです。学歴や資格だけでなく、価値観や行動特性など、求職者のパーソナリティーに関する項目も細かく設定します。
採用要件を明確にすることで、選考の精度が高まったり、企業と求職者のミスマッチを防いだりする効果が期待できます。
採用手法が適切でない
採用手法が適切でないと、母集団形成ができなかったり、企業と求職者の間にミスマッチが生じたりする可能性があります。
新卒採用における採用手法には、以下のようなものがあります。
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メリット |
デメリット |
求人サイト |
・幅広い学生にアプローチできる。 |
・採用できなくても掲載費がかかる。 |
人材紹介 |
・採用要件に適した人材を紹介してもらえるため、マッチング精度が高い。 |
・採用する人材の年収に伴って成功報酬額が上がる。 |
合同企業セミナー (合同企業説明会)
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・短期間で多くの学生と面談の機会が持てる。 |
・イベントに参加する人員が必要。 |
ダイレクトリクルーティング |
・求人サイトに登録している求職者に、直接コンタクトが取れる。 |
・業務負担が大きい。 |
リファラル採用 |
・企業を理解したうえで紹介を受けられるので、マッチング精度が高い。 |
・紹介される人材のタイプに偏りが生じやすい。 |
最適な採用手法を選定するために、それぞれの特徴をおさえておきましょう。
採用ターゲットに適した採用手法を選定する
新卒採用を成功させるには、採用ターゲットに適した採用手法を選定することが大切です。
大手求人サイトは登録者数が多く、幅広い求職者にアプローチできます。一方で、掲載企業数も多く、求人情報が埋もれてしまう可能性もあります。
採用手法を選定する際は、求人サイトの規模やネームバリューだけでなく、採用ターゲットに適しているかを確認しましょう。
企業の知名度が低い
中小企業は知名度の低い企業が多く、母集団形成に苦戦しやすい傾向にあります。
大手企業は知名度が高いため、学生が能動的に情報収集を行います。一方、企業知名度の低い中小企業は、企業側から働きかけないと、企業の存在を知ってもらえないため、企業の魅力や強みを効果的にアピールできません。
採用広報に力を入れる
企業の知名度を上げるには、採用広報に力を入れましょう。採用広報とは、自社が求める人材を採用するために実施する広報活動のことです。
採用広報の手法には、次のものがあります。
- コーポレートサイト
- 広告
- イベント
- SNS
- ブログ
- 採用サイト など
採用広報を実施するには、マンパワーや予算が必要です。まずはできることから取り組んでみるのがおすすめです。
母集団形成ができていない
母集団形成ができていないと、採用要件に適した人材を採用することが難しくなります。
母集団形成とは、自社の求人に興味を持つ求職者を集めることです。母集団形成が不十分だと、限られた人材のなかから採用しなければならず、ミスマッチを誘発する可能性があります。
採用ターゲットに適したアプローチをする
質の高い母集団形成を行うには、ダイレクトリクルーティングを活用し、採用要件に適した求職者へ効率的にアプローチするのがおすすめです。
「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」では、学生が設定したアバターと自己診断した性格タイプ、就職活動の進捗度からスカウト検索ができます。それらの項目に応じてスカウトメールが送れるので、高いプレエントリーの実現が可能です。
他社との差別化ができていない
他社との差別化ができていないと、学生になかなか興味を持ってもらえません。
株式会社学情の調査によると「若手のうちから裁量を持って働ける職場は『魅力を感じる』」と回答した学生が8割でした。また、やりがいや成長実感を得ながら仕事をすることを重視する学生が約9割にも上ります。
他社との差別化を図るには、自社の魅力や仕事のやりがいを改めて分析し、求職者にアピールすることが重要です。
※参考:株式会社学情「裁量・やりがいに関する調査」
企業独自の魅力や強みを発信する
他社との差別化を図るには、独自の魅力や強みを積極的に発信することが大切です。
新卒採用サイト「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」の動画型のスカウトメール「JobTubeスカウト」を活用すれば、掲載原稿や画像 できるので、企業の魅力をリアルに伝えられます。動画を撮影する手間がないので、業務負担を増やすことなく、短期間での作成が可能です。
選考スピードが遅い
選考スピードが遅い、選考回数が多過ぎる企業は、学生から敬遠される可能性があります。
株式会社学情の調査によると、就職活動準備の中で「タイパ」を意識すると回答した学生が約7割でした。就職活動の効率化を意識する傾向が高く、企業側にはスピーディーな選考が求められます。
また、選考スピードが遅いと、待っている間に他社の選考が進み、関心が移ってしまう点にも注意が必要です。
※参考:株式会社学情「タイパ(タイムパフォーマンス)についての調査」
選考フローを見直す
まずは自社の選考フローが適切か確認しましょう。多くの企業は2〜3回の選考で内々定を出しており、一次選考から内々定までの平均日数は27.8日です。
面接回数が多かったり、選考に時間がかかっていたりする場合は、選考フローの見直しが必要です。他にも、選考結果や内定通知を迅速に連絡することで、企業側の熱意を学生に伝えられます。
内定後フォローが十分でない
入社意欲を確認できても、内定を辞退されることは珍しくありません。株式会社学情の調査によると「第一志望ではない企業から志望順位を聞かれた際に、どのように回答するか」という質問に対して、約半数の学生が「第一志望だと伝える」と回答しました。
内定承諾率を上げるには、内定後フォローを行い、学生の志望度や熱意が下がらないように対策する必要があります。
※参考:株式会社学情「選考についての調査」
入社への不安や疑問を解消する場を設ける
内定承諾を得るには、会社説明会や選考では解決できなかった不安や迷いを払拭しなければなりません。内定者懇親会や職場見学、既存社員との面談などを通して、企業理解を深めてもらうことで学生の志望度を上げていくことが大切です。
採用ノウハウ・経験の不足
中小企業では毎年多くの新卒を採用するわけではなく、効果的な採用手法や面接ノウハウが蓄積しにくいという課題があります。採用チームを専任化しづらいこともあり、最新の学生動向や選考手法を取り入れるのが難しいケースも多いでしょう。
外部の知見とデータを活用する
こうしたノウハウ不足を補うためには、過去の選考データをしっかり記録・分析するとともに、外部の専門家や採用コンサルタントの意見を取り入れるのも有効です。内製化だけでなく、他企業の成功事例や最新の採用トレンドを積極的に学び、自社の採用活動を継続的に改善していく姿勢が大切です。
内定辞退の多発と定着への不安
苦労して内定を出しても、他社と比較検討する中で中小企業の内定を辞退されるケースも少なくありません。特に複数内定を獲得している学生からすると、大企業のほうが条件面で魅力的に映りやすく、結果的に内定辞退が相次いで計画通りに人員を確保できないという事態が発生しがちです。
また、入社後に早期離職が発生すると、採用コストが大きく無駄になるだけでなく、社内の士気低下にもつながります。
入社前後の支援を充実させる
こうした定着率の不安を解消するためにも、学生の入社前後のフォロー体制やキャリア支援を手厚くすることが重要です。
採用に割けるリソースの不足
中小企業の人事担当者は、採用業務だけでなく総務や労務、経理など他の部署・業務と兼任していることが多々あります。そのため採用活動に十分な時間を割けず、求人票の作成や応募者管理、面接日程調整などの基本的なタスクで手一杯になりがちです。
また、限られた予算では大手求人サイトや広告への出稿、イベントへの参加を十分に行えず、結果的に母集団形成やブランディングに取り組みにくいという状況も生まれます。
限られたリソースを補う採用手法を取り入れる
こうしたリソースの制約を考慮しながらも、低コストでも活用しやすいSNSやダイレクトリクルーティングの導入など、工夫や外部リソースの活用で補っていくことが必要です。
中小企業の新卒採用を成功させる3つのポイント

中小企業の新卒採用を成功させるポイントについて解説します。
カジュアル面談を実施する
カジュアル面談とは、相互理解を深めるための面談です。
選考前に企業と求職者がリラックスしながら対話することで、本音で話しやすくなります。また、カジュアル面談では選考の合否は出さないため、選考で聞きづらいことも質問しやすいのが特徴です。
相互理解を深めることで、ミスマッチの防止や面談数の増加による志望度アップが期待できます。
採用枠を広げる
採用目標人数を達成するには、採用枠を広げて第二新卒やヤングキャリアの採用を目指すこともおすすめです。
第二新卒やヤングキャリア層には、働く意欲や成長意欲が高い求職者が多く存在します。4月入社を目標に採用活動を進めれば、新卒と同時入社でき、入社準備や研修にかかる業務負担が軽減できます。
第二新卒やヤングキャリアの採用を目指すなら、20代採用に強い「Re就活」がおすすめです。若手採用に特化した求人サイトを活用することで、採用活動を効率的に進められます。
便利な採用ツールを活用する
中小企業では、採用担当者が採用以外の業務を兼任している場合が多く、マンパワーが不足しがちです。便利な採用ツールを活用し、業務負担を軽減しましょう。
「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」では、応募から来社までの一連の流れを完全システム化した「カンタン面接調整システム」を導入しています。システムを活用することで、採用の効率化だけでなく、スピーディーな選考や面接設定率の向上が目指せます。
中小企業の新卒採用成功事例
ここでは、実際に新卒採用に成功した中小企業の事例をご紹介します。具体的な取り組み内容を参考に、自社の採用活動に活かしましょう。
ドリームスデザイン株式会社
ドリームスデザイン株式会社では、新卒採用を始めた当初は大学訪問や行政の合同説明会が中心で、安定した採用にはつながっていませんでした。加えて、大手ナビサイトでは企業規模的に埋もれやすく、エントリー数や応募者の質にも課題を感じていたといいます。
そこで、母集団の「量と質の向上」を目的に媒体選定を見直し、学生に発見されやすく、自社への理解を深めたうえでエントリーしてもらえることを重視。Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)への掲載と、合同企業イベント「就職博」への参加を組み合わせ、2方向からの母集団形成に取り組みました。
掲載開始が夏以降にずれ込んだものの、前年と同等のエントリー数を確保。企業理解の深い学生からの応募が増え、理解力を重視した厳選採用の中でも前年を上回る4名の採用に成功。媒体費を抑えつつ、質の高い採用活動を実現することができました。
※参考:株式会社学情「ドリームスデザイン株式会社様|費用対効果の改善を図りつつ、前年以上の採用を実現。」
東洋不動産株式会社
東洋不動産株式会社では、事業用不動産の仲介や運用を行っています。学生にとって仕事内容がイメージしにくいため、企業説明会ではプロジェクトを軸に社員の仕事ぶりを紹介する動画を活用していましたが、映像から受ける印象が「堅い」仕事に見えてしまい、現在の仕事や職場の雰囲気が十分に伝わっていない状態でした。また、内容が古くなっていたこともあり、親近感を持ってもらえる新たな動画の制作を検討しました。
そこで、学生の就活に精通した学情の提案を受け、“職場体感型採用動画”「JobTube」を導入。JobTubeは、コンセプトや構成がパッケージ化されており、ローコストで手間をかけずにハイクオリティな動画を制作可能です。3分程度のショートバージョンと20分程度のフルバージョンを作成し、マイページ上で学生が視聴できるようにした結果、ログインした学生の約7割がフルバージョンを視聴。会社の雰囲気や業務内容を深く理解した上で選考に進む学生が増加しました。
※参考:株式会社学情「東洋不動産株式会社様|自社の魅力を等身大で訴求できる動画をローコストで作成、企業理解の促進、志望度の醸成に貢献。」
岐阜造園株式会社
株式会社岐阜造園では、建築・土木系学生の採用を中心に進めてきましたが、エントリー数の減少や説明会参加率の低下(約20%)に加え、採用担当者が他業務と兼務していたため、採用活動に十分なリソースを割けない状況が続いていました。また、当時利用していた就職情報サイトからのフォローが乏しく、採用活動の見直しが急務となっていました。
この課題を解決するため、学情の提案を受けて、スカウト型就職情報サイト「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」を導入。これにより、説明会参加率は50%以上に向上し、応募者の企業理解も深まり、ミスマッチや内定辞退の減少につながりました。さらに、動画による情報発信の重要性を踏まえ、「JobTube」を活用して企業の雰囲気や社員の声を伝える動画を制作。これらの取り組みにより、採用難易度の高い施工管理職を含む4名の内定者を確保することに成功しました。
※参考:株式会社学情「株式会社岐阜造園様|母集団の質の改善や手厚いサポートを受け、24卒は4人の内定者の確保に成功。」
新卒採用がうまくいかないときは「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」でマッチングの高い採用を目指そう!
新卒採用がうまくいかない原因には「採用要件が明確でない」「採用手法が適切でない」などがあります。中小企業の新卒採用を成功させるには、採用課題を把握し、課題に適した対策をすることが大切です。
新卒採用がうまくいかないときは「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」の活用をご検討ください。
「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」は、会員数40万人を誇るダイレクトリクルーティングサイトです。採用要件にマッチした人材に対し、直接アプローチすることで、母集団形成やマッチング度の高い採用が期待できます。
新卒採用にお困りの方は、株式会社学情へお問い合わせください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。