【2024年最新】中途採用のトレンド|個別採用と多様化する採用手法も解説
2024.05.16
中途採用の戦略を練り直すには、市場の傾向を知ることが重要です。2024年度は、3メガバンクで中途採用の数がはじめて新卒採用を上回るなど、新卒一括採用がメインだったこれまでの慣行が転換点を迎えています。リファラル(紹介)採用やアルムナイ(卒業生)採用といった、新しい採用手法も登場しています。
この記事では、変化する中途採用のトレンドとともに多様化する採用手法を紹介します。
中途採用のトレンド
少子化の影響により、新卒採用での競争が依然として激しく、戦略的に中途採用へと舵を切る傾向が強まっています。また、DX化が進む社会に対応するため、即戦力を求める企業が多いようです。新型コロナウィルスの流行がひと段落したことで、各社が活発に採用活動を行っています。
しかし、中途採用でも求職者が優位な売り手市場が続いています。求人サイトや人材紹介といった従来の採用手法のみでは条件に合った人材との接触はむずかしく、新しいアプローチ方法で企業から積極的に応募を集めようとする流れです。
新卒採用から中途採用へシフト
少子化による人手不足の影響で、新卒採用一本をやめて、戦略的に中途採用へシフトする企業が増えています。
2024年4月に日経新聞が発表した調査では、中途採用比率が過去最高の43.0%となりました。2024年5月2日の日経新聞の記事によると、以前まで新卒一括採用を優先していたメガバンクでも、2024年度は中途採用が新卒採用の数を上回る見通しです。3メガバンクを合算した中途採用比率は、2018年度の5%から45%にまで上昇しました。
また、株式会社学情が行ったアンケート調査では、特に採用したい年齢層を20代と答えた企業が合わせて63.5%でした。中途採用のなかでも、既卒や第二新卒のほか、ジョブチェンジやキャリアアップを狙う若手層である20代を主なターゲットにした採用が拡大していることがうかがえます。
※出典:株式会社学情「経験者(中途)採用 動向調査2023」(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/career-saiyo-report2305/)p.4
新卒採用の補てんとして、中途採用との両軸で活動を行う企業が今後も増えるでしょう。2022年1月の経団連の調査によると、新卒者と既卒者の採用割合について、今後5年程度先では既卒者の割合が増える予測です。
※出典:日本経済団体連合会「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」(https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/004_kekka.pdf)
激化する採用競争をなんとか勝ち抜こうとする企業の努力が、中途採用市場のトレンドに表れています。
採用活動のオンライン化
新型コロナウィルスの流行により、採用活動のオンライン化が進みました。流行が落ち着いた現在も、対面とのハイブリッドで続いています。
これは新卒採用のアンケート調査ですが、企業セミナーの対面とオンラインの実施比率は5:5、もしくは、すべてオンラインと答えた企業が18.1%と、もっとも多い結果でした。
面接においても、新型コロナウィルスの流行がおさまって対面回帰の傾向が強いものの、引き続きオンラインを併用する企業も多いです。
※出典:株式会社学情「2025年3月卒業予定者/採用動向調査レポート」(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/25saiyo-report/) p.14, p.16
中途採用でも、オンライン採用に対応できていないと、魅力的な求職者に接触する機会の損失につながる可能性があります。
引き続き売り手市場
新型コロナウィルスの流行で落ち込んだ求人件数が徐々に復活していますが、引き続き売り手市場です。2024年3月の有効求人倍率は1.28倍で、前月に比べて0.02ポイント上昇しました。
※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39833.html)
有効求人倍率は公共職業安定所(ハローワーク)における求人状況を基にしており、民間企業が運営する求人サイトでの実態とは異なります。とくに、観光業界やアパレル業界といった、新型コロナウィルスの流行で採用をストップしていた業界での採用市場が活況です。ハローワークではむずかしい、緊急度や難易度の高い採用を企業が行っていることがわかります。
「個別採用」の登場と多様化する採用手法
求職者が優位な売り手市場なので、従来の「待ち」の採用を続けていても応募は集まらないことから、企業から求職者へ個別にアピールする「個別採用」と呼ばれる採用手法が登場しています。代表的なものは「ダイレクトリクルーティング」や「リファラル採用」、「アルムナイ採用」などです。
従来の「マス形」と呼ばれる、求人サイトや人材紹介と併用して、個別採用を取り入れる企業が増えています。
くわしくは、つぎの「採用手法の多様化」章で説明します。
採用手法の多様化
採用手法について、こちらの記事でもくわしく解説しています。あわせてご覧ください。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が直接求職者にアプローチする採用手法です。企業が自社の条件に合う人材を見つけ、求人サイト上でのスカウトメールやSNSのダイレクトメールなどを通じて連絡を取り、応募を促します。
近年の売り手市場によって、企業は攻めの姿勢で優秀な人材を確保する必要があり、ダイレクトリクルーティングがその手段として注目されています。
カジュアル面談
ダイレクトリクルーティングで接点をもった求職者に、自社を知らない段階でいきなり面接を案内してしまうと求職者にとってはハードルが高く、応募が集まらない可能性があります。まずはカジュアル面談から始めると効果的です。
カジュアル面談とは、選考の合否とは関係のないカジュアルな場で、企業と求職者がお互いに理解を深める取り組みです。企業側は募集の背景や求める人材を本音で伝えられ、求職者側も、採用面接では合否への影響を気にして聞けないようなことを質問できます。
リファラル採用
リファラル採用とは、自社の従業員が知人や友人を含む外部の候補者を企業に紹介する採用手法です。候補者は採用試験や面接を経て採用されることが多く、縁故採用とは異なり、候補者の実力も重要視されます。
リファラル採用は、企業文化や価値観に合う人材を効率的に見つけられる可能性が高いです。求人サイトや人材紹介サービスに支払う費用がなく、採用コストの削減も図れます。ほかにも、定着率の向上、質の高い候補者の確保などのメリットがあります。
その一方で、候補者が偏る可能性や大量採用には向かない、紹介してもらえるかどうか確定ではないなどのデメリットもあります。
少子化による人手不足や早期離職率の高さなどを背景に、リファラル採用が注目されており、多くの企業が導入を進めています。ただし、リファラル採用を行う際には、法的な注意点もあります。
くわしくはこちらの記事をご覧ください。
アルムナイ採用
アルムナイ採用とは、出産や介護、配偶者の転勤などの理由で自社を退社した現役世代を再雇用する採用手法です。アルムナイは日本語で「卒業生」や「同窓生」を意味し、定年退職は含みません。
採用コストの削減や即戦力確保などがメリットです。もともと自社で働いていた社員を再雇用するので、ミスマッチも起こりづらいと考えられます。ただし、アルムナイ採用を導入する際には、在籍社員のモチベーションが下がらないように環境や制度の整備が必要です。
アルムナイ採用を実施するには、アルムナイネットワークを構築し、退職者とコミュニケーションを継続的に取ります。タレントプールを活用するのも良いでしょう。
通年採用
通年採用とは、一般的な新卒一括採用と異なり、時期を決めずに年間を通して行う採用活動です。
内定辞退によってやむを得ず時期外に採用活動を再開しなければならないケースもありますが、多様な人材の採用や効率的な母集団形成を目的として、戦略的に通年採用を取り入れる企業も増えています。
20代通年採用
少子化の影響によって採用競争が激しくなる中、株式会社学情は、新卒採用と既卒・第二新卒採用を並行して行う「20代通年採用」を提唱しています。
20代全体をターゲットにした採用を実施することで、より優秀な人材の採用成功や企業としての魅力のアップにつながります。2004年から「20代通年採用」を提唱・実現してきた学情は「Re就活」「転職博」で20代採用を強力サポートします。
採用難を乗り切るポイント
この先もしばらく売り手市場が続くことが予想されます。求める人材を採用するために、5つのポイントを押さえながら現在の採用活動を見直しましょう。
- 戦略に基づいた採用計画を立てる
- 長期的に取り組む
- 採用した人材が離れないようにする
- AIや管理ツールを活用する
- 採用におけるDE&Iに注力する
1.戦略に基づいた採用計画を立てる
自社の条件にマッチした人材を効果的に採用するために、明確な採用計画を立てましょう。すでに採用活動を行っていても十分な数の応募がこなかったり、通過率が低かったりする場合は、採用計画が現実的でない可能性があります。
人材を募集するポジションや職種に応じて、求める経験やスキルを言語化し、適切な入社タイミングを考えましょう。そこから逆算して、いつまでにどの施策をスタートさせれば目標を達成できるのか、順序だてて計画します。
採用活動を終えたあとは、改善点を分析し、次の採用活動に活かしましょう。採用計画どおりに活動を進められたか、求人方法や選考基準は適していたかなどを見直すことが重要です。
2.長期的に取り組む
生産年齢人口の減少と有効求人倍率の高止まりにより、現在の採用活動では、長期的な広報活動が成功のカギを握っています。自社の魅力を高め、ブランディングやマーケティングによって周知し、採用力を育てることが応募者を増やす秘訣です。
自社が求める人材が多く利用している媒体を選定し、効率的にアピールしましょう。SNSや会社説明会、オウンドメディアなどが候補です。
手間と時間がかかり、すぐには効果が表れないかもしれませんが、これから着手することで10年後の会社を支える要因となるでしょう。
3.採用した人材が離れないようにする
内定辞退が起こると、それまでにかけた時間と費用が無駄になってしまいます。入社するまでの期間には内定者フォローを行い、モチベーションを保ちましょう。具体的な施策には、内定後面談や研修などがあります。入社後も、1on1ミーティングやオンボーディングを実施することで、定着率を高めるのがポイントです。
4.AIや管理ツールを活用する
採用担当者のリソース不足はどの企業も抱える課題です。AIや採用管理システムを活用し、工数削減を図りましょう。候補者のスクリーニングや面接の自動化、候補者とのコミュニケーションの最適化などが期待できます。生成AIを用いて、スカウトメールの文面を作成するのも良いでしょう。
採用管理システムは、ATSとも呼ばれ、面接日程の調整や選考結果を一元管理するシステムです。
求職者との接触機会をできる限り逃さないよう、積極的に自動化ツールを活用しましょう。
5.採用におけるDE&Iに注力する
DE&Iは「Diversity, Equity, and Inclusion」の頭文字をとった言葉で、企業経営における人的資本活用の考え方として注目されています。性別や年齢、出身地や価値観などの違いを認め合い、一人ひとりが最大限に能力を発揮できている状態を指します。
それぞれの言葉の意味を説明します。
- Diversity(多様性):組織内で多様な要素を持つこと。要素とは、人それぞれのバックグラウンド、性別、人種、年齢、宗教、性的指向、障害など。
- Equity(公平性):すべての従業員が同じ機会とリソースを持ち、公平な評価や待遇を受けること。
- Inclusion(包括性):組織内のすべてのメンバーが尊重され、意見を述べ、組織活動に積極的に参加できる環境を作ること。
DE&Iは全ての社員が尊重される場所を作ることを目指し、企業の成果を向上させるために不可欠な要素となっており、採用プロセスにおいても注目されているトレンドです。
また、多様なバックグラウンドや経験をもつ人材の採用に注力し、それをアピールすることで企業の魅力を高められます。
トレンドをおさえて効率的な採用活動を行おう
多くの企業が、厳しい新卒採用から、戦略的に中途採用へとシフトしようとしています。採用活動のオンライン化や個別採用の手法への迅速な対応が今後も求められるでしょう。
自社のみの取り組みでなかなか採用につながらない場合、採用のプロに依頼するのもひとつの手です。お困りの際は、ぜひ学情にご相談ください。
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