
内定後面談は、おもに内定者の入社意思の確認や入社意欲の向上のために行います。実施する際には、十分な準備が必要です。
本記事では、内定後面談の詳しい内容と実施する目的、具体的な手順を詳しく解説します。実際に行う際の準備として、想定される内定者からの質問や面談時に聞くべきことも紹介します。
また、記事の後半では、近年の採用現場で広がりつつある、内定後面談の捉え方の変化にも触れていますので、ぜひ自社の採用活動の参考にしてください。
内定後面談とは

企業が内定通知を出した内定者に対して行う面談です。「オファー面談」と呼ばれることもあります。内定後面談を実施するかどうかは企業によって異なります。
企業側は内定後面談で内定者の入社意思確認を行います。
内定辞退者が出ると、企業は人材確保のために選考をし直さなければなりません。そのため、内定者が入社するつもりなのかどうか確認しておく必要があります。
また、内定承諾を迷っている場合には入社を促したり、入社後にスムーズに慣れてもらったりするために行います。
内定獲得の早期化により、複数企業を比較する動きが一般化
近年の新卒採用では、インターンシップや早期選考の拡大により、内定(内々定)を早い段階で複数獲得する学生が増えています。採用活動の早期化・長期化が進む中で、企業ごとの条件や仕事内容、成長環境を比較しながら就職先を検討することが一般的になりつつあります。
実際に、株式会社学情が2027年卒学生を対象に実施した調査(2026年5月末時点)では、内々定率は77.7%に達しており、多くの学生が早い段階で内定を獲得している状況です。また、内々定を獲得した学生の平均保有社数は1.50社となっており、複数の内定を比較しながら意思決定を行う動きが見られます。

※出典:株式会社学情「2027年卒 内々定率調査(2026年6月度)」
こうした状況により、「すぐに意思決定できない」「他社と比較したうえで慎重に判断したい」と考える学生も増えています。内定を得た後も就職活動を継続し、情報収集や企業比較を続けることは、現在では一般的な行動となっています。
そのため企業は、内定を出した時点で安心するのではなく、入社意思の確定に至るまで継続的にフォローしていく必要があります。内定後面談は、内定者の不安や比較ポイントを把握し、適切な情報提供を行う重要な機会です。単なる意思確認ではなく、意思決定を支援する場として活用することで、内定辞退の防止につながります。
内定後面談を行うおもな目的

内定後面談を実施するおもな目的は次のとおりです。
- 内定者の入社の意思を確認するため
- 信頼関係を構築するため
- 配属先を決める参考にするため
- 業務や環境に対する不安を軽減させるため
- 労働条件・給与・福利厚生などを説明するため
それぞれの目的を詳しく解説します。
内定者の入社の意思を確認するため
内定者に内定を承諾して入社する意思があるのかを確認します。内定者が承諾を迷っている様子の場合は、不安を感じている点や心配している点を解消できるように話を聴き適切なフォローを行いましょう。
なお、法律上、内定者が内定を辞退できるのは入社する2週間前までです。民法第627条1項では「期間の定めのない雇用の解約の申入れ」について、次のように定めています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
※出典:「民法」(e-Gov法令) (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
たとえ内定者が入社を承諾したあとでも、入社する2週間前までなら企業側は内定辞退を拒否できないため、しっかりと内定者の入社の意思を確認する必要があります。
信頼関係を構築するため
内定後面談は、内定者に対して企業の期待や本気度を伝える場でもあります。内定者に歩み寄り、円滑なコミュニケーションをとれる関係を早期に築く機会にもなります。
内定後面談では、選考時よりも本音に近い部分で質問や話し合いができるため、内定者の迷いや不安、悩みなどにもしっかりと耳を傾けることが必要です。誠実に対応すれば信頼関係を構築でき、内定者の入社意欲を高めることができます。
配属先を決める参考にするため
入社後のミスマッチを防ぐために、内定者の希望を聞いておくことも大切です。内定後面談では内定者の働き方や業務内容の希望を確認し、できる限り希望に沿う形で配属先を決めます。
また、配属先が決定するタイミングを知らせ、入社後の準備をしっかりと進めている旨を伝えておくことも大切です。内定後面談の段階で既に配属先が決定している場合は、内定者の業務内容を詳しく説明しておくと良いでしょう。
業務や環境に対する不安を軽減させるため
内定後面談では、仕事内容や職場環境について詳しく紹介します。入社後に「こんなはずじゃなかった」とミスマッチが起こらないよう、業務内容や職場環境は具体的なイメージができる形で伝えられると良いでしょう。
また、内定者には働き方の面で、不安や心配していることはないかを質問するのも大切です。言語化できない漠然とした不安でも、その心の内を率直に伝えてもらうだけで内定後面談を行う価値があります。内定者の心が晴れて、入社後すぐに気持ちよく働いてもらえるでしょう。
労働条件・給与・福利厚生などを説明するため
内定後面談では、企業理念や労働条件、給与や福利厚生などの説明も行います。
労働条件や給与形態など、雇用契約に関する内容は重要事項であるため、認識の相違がないようしっかりと説明しましょう。質疑応答の時間を設けるなど、内定者の疑問を解消する必要があります。
また、入社までの手続きや流れ、入社後の段取りや研修の予定なども説明しておきましょう。内定者に安心感と入社後のイメージを持ってもらうことで、入社後スムーズに活躍してもらえる土台作りとなります。
【質問例】企業側が内定後面談で聞くべきこと

内定後面談で企業側が聞くべきことを、具体的な質問例をあげて紹介します。あとになって「これも聞いておけば良かった」ということにならないよう、事前にしっかりと準備しておきましょう。内定後面談では、内定者の回答から入社意欲や辞退リスクを見極め、必要に応じて不安や懸念を深掘りすることが大切です。
また、内定後に初めて入社意思を確認するのではなく、選考中から志望度や不安を把握し、魅力付けを行っておくことも重要です。内定後面談は「入社するかどうかを確認する場」ではなく、これまでの選考で把握した情報をもとに、内定者の意思決定を後押しする場として設計しましょう。
入社の意思
入社意思に関する質問例
まずは入社の意思確認です。内定を承諾し、入社する意思があるのかを聞きましょう。質問例は次のとおりです。
- 「弊社への入社について、現時点ではどのようにお考えですか?」
- 「入社を前向きに考えていただくうえで、気になっている点はありますか?」
- 「弊社で働くイメージについて、不安に感じていることはありますか?」
- 「入社を決めるために、追加で知りたい情報はありますか?」など。
回答のなかで「もう少し考えたい」「家族に相談したい」「他社の結果を見てから決めたい」といった言葉が出た場合は、辞退リスクのサインと考えられます。このような場合は、無理に承諾を迫るのではなく、何が判断材料になっているのかを丁寧に確認することが大切です。
入社意思を深堀りする質問
深掘りする際は、次のような聞き方が有効です。
- 「迷われている点があるとすれば、どのような点でしょうか?」
- 「入社を判断するうえで、特に重視していることを教えていただけますか?」
- 「弊社について、まだ十分に理解できていないと感じる部分はありますか?」など。
一方で、「入社してくれますよね」「いつまでに必ず返事をもらえますか」といった聞き方は、内定者にプレッシャーを与える可能性があります。内定者が本音を話しにくくなるため、承諾を迫るのではなく、意思決定に必要な情報を一緒に整理する姿勢で臨みましょう。
特に第二新卒や若手人材の場合は、企業側が一方的に判断するよりも、「一緒に考える」「不安を解消する」というスタンスのほうが安心感につながります。
就職活動の状況
就職活動状況の確認に関する質問例
他社の選考の進捗状況も確認しておけるとなお良いです。もし、内定者がほかの企業からも内定を得ていることを知らせてくれた場合は、自社と比較して迷っている点を確認しましょう。質問例は次のとおりです。
- 「現在の就職活動の状況について、差し支えない範囲で教えていただけますか?」
- 「比較検討するうえで、弊社について追加で知りたい情報はありますか?」
- 「企業を選ぶうえで、特に重視しているポイントは何ですか?」
- 「他社と比較した際に、弊社について不安に感じている点はありますか?」など。
内定者にほかに選考中の企業がある場合、すべての選考結果が出るまで内定承諾予定を延期される可能性もあります。特に、他社の選考が残っているにもかかわらず回答を先延ばしにしている場合は、自社の志望度が相対的に高くない可能性もあります。
ただし、就職活動の状況を確認する際には、聞き方に注意が必要です。「他社は辞退できますか?」「弊社が第一志望ですか?」といった直接的な聞き方は、内定者に圧迫感を与えたり、オワハラと受け取られたりする可能性があります。
比較軸を深堀りする質問
深掘りする場合は、次のように聞くとよいでしょう。
- 「比較されている企業とは、どのような点で迷われていますか?」
- 「弊社と他社を比較するうえで、判断材料として不足している情報はありますか?」
- 「仕事内容、社風、成長環境、条件面など、どの点を最も重視されていますか?」など。
就職活動の状況を把握する目的は、内定者を囲い込むことではありません。内定者が何を重視して意思決定しようとしているのかを理解し、自社の魅力や合う点を適切に伝えるためです。
また、就職活動の状況は内定後に初めて確認するのではなく、選考中から継続的に把握しておくことも重要です。内定を出してから「どうすれば入社してもらえるか」を考えるのではなく、選考段階から志望度を高めるコミュニケーションを行うことで、内定承諾につながりやすくなります。
条件面
条件面の確認に関する質問例
内定後面談では、給与や賞与、勤務時間、勤務地、配属予定部署、雇用形態、入社日、福利厚生といった条件面についても確認しておくことが重要です。労働条件は内定承諾の判断に大きく影響するため、企業側から明確に説明するだけでなく、認識に齟齬がないかを丁寧にすり合わせる必要があります。
質問例は次のとおりです。
- 「待遇や勤務条件について、追加で確認しておきたい点はありますか?」
- 「給与や賞与、評価制度について、気になる点があれば遠慮なくご質問ください。」
- 「入社後の働き方や勤務地について、不安に感じていることはありますか?」
- 「配属予定や勤務条件について、ご希望やご懸念があればお聞かせください。」など。
条件面に関する質問は、内定者から切り出しにくい場合があります。そのため、企業側から質問しやすい雰囲気をつくることが大切です。特に給与、勤務地、配属、勤務時間などは、入社後のミスマッチや早期離職につながりやすい項目であるため、曖昧にせず説明しましょう。
回答のなかで「給与面で少し迷っている」「勤務地が希望と違う」「入社後の働き方がイメージできない」といった発言があれば、辞退リスクのサインです。条件そのものをすぐに変えられない場合でも、仕事内容や成長環境、職場の雰囲気、入社後に得られる経験など、条件以外の魅力を伝えることで不安を軽減できる場合があります。
条件面を深堀りする質問
深掘りする際は、次のような聞き方が有効です。
- 「条件面のなかで、特に重視されている項目はありますか?」
- 「入社後の働き方について、具体的に不安に感じている点を教えていただけますか?」
- 「条件面以外で、入社を判断するうえで大切にしていることはありますか?」など。
一方で、「この条件で問題ないですよね」「他社より条件が良いか悪いかだけで判断していますか」といった聞き方は避けましょう。内定者が本音を話しにくくなるだけでなく、企業への不信感につながる可能性があります。
条件面は、企業側が一方的に説明して終わるものではありません。内定者が納得して入社を判断できるよう、疑問や不安を引き出し、必要に応じて補足説明を行うことが重要です。
疑問点や心配な点
不安や疑問を把握する質問例
内定者の疑問点や心配な点を解消するため、気になることはないかを聞いておきましょう。内定者の抱える不安に寄り添い、大切な社員として迎える準備を整えている姿勢を見せることが大切です。
質問例は次のとおりです。
- 「現在、不安に思っていることはありませんか?」
- 「何か気になっていることや心配なことがあれば教えてください。」
- 「疑問点はありませんか?」
- 「事前に聞いておきたいことがあれば、なんでも聞いてください。」など。
内定者は新しい環境にさまざまな不安を抱えている可能性があります。できるだけ話しやすい雰囲気を作って、内定者の話に耳を傾けることが大切です。
回答のなかで「職場になじめるか不安」「上司や同僚とうまくやっていけるか心配」「実際の仕事内容がまだイメージできない」といった発言があった場合は、入社後のミスマッチにつながる可能性があります。特に、配属先や仕事内容への不安が強い場合は、現場社員や配属予定部署の社員と話す機会を設けることも有効です。
不安や疑問を深堀りする質問
深掘りする際は、次のように聞くとよいでしょう。
- 「どのような場面を想像したときに、不安を感じますか?」
- 「実際に働くイメージを持つために、どのような情報があると安心できますか?」
- 「先輩社員や現場社員に聞いてみたいことはありますか?」など。
面談では、人事担当者だけでなく、現場社員や配属予定先の上司に同席してもらう方法もあります。実際に一緒に働く社員から仕事内容や職場の雰囲気を伝えることで、内定者は入社後のイメージを持ちやすくなります。
また、現場社員から「一緒に働きたい」と伝えてもらうことで、内定者にとっては自分が必要とされている実感にもつながります。ただし、同席者には面談の目的や内定者の懸念点を事前に共有し、単なる雑談で終わらないようにすることが大切です。
一方で、「不安はないですよね」「入社すれば分かります」といった聞き方や回答は避けましょう。内定者の不安を軽く扱っている印象を与え、入社意欲を下げてしまう可能性があります。
内定者は、自分の不安を真摯に傾聴して十分な説明で解消してくれる担当者がいれば、企業に対して安心感を感じるでしょう。
内定辞退を防ぐための具体的な施策は、以下の記事でも解説しています。
内定後面談の逆質問で聞かれやすいこと
内定後面談では、企業側からの質問だけでなく、内定者から企業に対しても逆質問が寄せられます。特に内定承諾前の段階では、入社判断に直結する具体的な内容について質問される傾向があります。
逆質問は、内定者の不安や懸念、意思決定の軸を把握する重要な機会です。質問内容の背景にある意図を理解し、適切に回答することで、入社意欲の向上やミスマッチの防止につながります。
ここでは、内定後面談で聞かれやすい逆質問をカテゴリ別に紹介します。
条件・働き方
内定者からは、給与や勤務条件、働き方に関する具体的な質問が多く寄せられます。
質問例は次のとおりです。
- 「給与や賞与はどのように決まりますか?」
- 「残業時間はどのくらいですか?」
- 「勤務地や転勤の可能性はありますか?」
- 「リモートワークやフレックス制度は利用できますか?」
これらの質問で内定者が確認したいのは、入社後の生活や働き方が自分の希望と合っているかどうかです。条件面に不安がある場合、内定辞退に直結する可能性が高いテーマでもあります。
回答時は、制度の説明だけでなく、実態とのズレがないようにすることが重要です。たとえば「制度上は可能です」だけでなく、「実際にはどの程度利用されているか」といった運用面もあわせて伝えると、内定者の納得感が高まります。
一方で、あいまいな回答や過度に良く見せる説明は、入社後のミスマッチや早期離職につながるリスクがあります。特に残業時間や勤務地、配属に関する情報は正確に伝えましょう。
仕事内容・配属
仕事内容や配属先に関する質問も多く、入社後の具体的なイメージを持ちたいという意図があります。
質問例は次のとおりです。
- 「入社後はどのような業務を担当することになりますか?」
- 「配属はどのように決まりますか?」
- 「希望した部署に配属される可能性はどのくらいありますか?」
- 「1日の仕事の流れを教えてください。」
内定者はこれらの質問を通じて、自分がその職場で活躍できるか、成長できるかをイメージしようとしています。
回答する際は、抽象的な説明だけでなく、できる限り具体的に伝えることが重要です。たとえば、業務内容や案件例、チーム構成、実際の働き方などを具体的に説明することで、リアリティのあるイメージを持ってもらえます。
また、配属については、希望通りにならない可能性がある場合も正直に伝える必要があります。そのうえで、配属後にどのような経験が得られるのかを補足することで、不安の軽減につながります。
研修・キャリア
入社後の成長機会やキャリアパスについての質問も多く見られます。
質問例は次のとおりです。
- 「入社後の研修はどのような内容ですか?」
- 「どのようなキャリアステップを描くことができますか?」
- 「評価制度はどのようになっていますか?」
- 「早期に成長していくために求められることは何ですか?」
これらの質問からは、内定者がどのように成長できるのか、自分のキャリアをどう築けるのかを重視していることが分かります。
回答時は、制度や仕組みだけでなく、実際にどのような成長を遂げた社員がいるのかといった具体例を交えて説明すると効果的です。また、「どのような人が活躍しているか」「どのような姿勢が求められるか」を伝えることで、自社とのマッチ度を内定者自身が判断しやすくなります。
一方で、キャリアの可能性について過度な期待を持たせる説明は避ける必要があります。実現可能な範囲で説明し、現実とのギャップが生じないようにすることが重要です。
職場の雰囲気
職場の人間関係や社風に関する質問も多く、安心して働ける環境かを確認したいという意図があります。
質問例は次のとおりです。
- 「職場の雰囲気はどのような感じですか?」
- 「上司や先輩との関係性はどのようですか?」
- 「一緒に働くメンバーはどのような方が多いですか?」
- 「入社後に馴染めるか不安なのですが、どのようなサポートがありますか?」
内定者はこれらの質問を通じて、自分が安心して働ける環境かどうか、人間関係に問題がないかを確認しています。
この領域は、言葉だけで伝えることが難しいため、現場社員との面談やオフィス見学など、実際に雰囲気を体感できる機会を設けることも有効です。実際に一緒に働く社員と接点を持つことで、内定者の不安を大きく軽減できます。
回答時は、理想的な姿だけでなく、組織の特徴やリアルな一面も含めて誠実に伝えることが重要です。また、面談に同席した社員から「一緒に働きたい」といった言葉があると、内定者の安心感や入社意欲の向上につながります。
内定後面談を実施するまでの手順

内定後面談を実施するには、さまざまな準備が必要です。実施までのおもな手順は次のとおりです。
- 面談の内容・方向性を決定する
- 実施時期を決める
- 内定後面談の出席者を決める
- 内定者の逆質問に備える
- 内定者に告知する
1.面談の内容・方向性を決定する
内定後面談を行う目的を明確にしておきましょう。
内定者の入社の意思確認や信頼関係の構築、不安解消、条件面や給与などの認識の擦り合わせなど、何を重点的に行うのかを決めます。
入社を迷っている可能性がある内定者には、どのような方向性で接するのかもあらかじめ決めておくと当日はスムーズに進行可能です。
2.実施時期を決める
内定後面談を実施するタイミングと回数を決定します。
内定後面談は、内定通知を出してから内定者が承諾する前、または内定承諾後から入社するまでの間に行うのが一般的です。おもに次の2パターンで進めます。
- 内定通知→内定後面談→内定承諾→入社手続き
- 内定通知→内定承諾→内定後面談→入社手続き
面談の目的や内容はどのタイミングで実施するかによっても変わってくるでしょう。新卒採用の場合は内定から入社までに約半年程度の期間があるため、内定承諾前と後に分けて複数回実施するケースもあります。
内定者との接触頻度が高くなるほど信頼関係の構築や安心感、所属意識を高めることにつながります。ただし、頻繫に接触すると逆に負担に感じられる可能性があるため、適切な回数に設定するようにしましょう。
3.内定後面談の出席者を決める
内定後面談の出席者も決めておきます。
たとえば、入社確認を行う場合は人事担当者を、配属が決まっていて仕事内容の説明をする場合は配属先となる上司を、理念や今後のビジョンを話す場合は経営陣、といったように面談の内容ごとに適した担当の出席者を選ぶようにしてください。
4.内定者の逆質問に備える
内定者にとって内定後面談は、選考面談では聞きにくかったことを質問できる機会でもあります。そのため、内定後面談では内定者からの逆質問に備え、適切に回答できるように準備しておくことが大切です。
逆質問に備えておくべき項目は次のとおりです。逆質問されることが多い項目であるため、説明できるよう準備して面談に臨みましょう。
- 待遇・条件・給与
- 残業の有無
- 配属先の業務内容
- 職場環境
- 入社後の研修・取得すべき資格
- 入社前に必要な準備
また、給与や昇給などに要望があった場合、どこまで交渉に応じるのかをあらかじめ決めておくことも必要です。
5.内定者に告知する
準備が整ったら、内定者へ内定後面談を告知します。告知はメールや電話などで行います。日時や場所、持ちものなどを伝えて、出欠の回答方法を説明してください。
内定後面談は任意であるため、内定後面談に来ないからと言って内定が取り消されるものではありません。したがって、参加しない内定者も一定数存在します。参加しない内定者にはメールや電話で可能な範囲のフォローをすると良いでしょう。
内定後面談のポイント

内定後面談を成功させれば、内定承諾率や入社率を高められます。次のポイントを意識して、内定後面談を成功させましょう。
緊張をやわらげる雰囲気を作る
内定後面談は選考の場ではありません。しかし、緊張するという内定者もいるでしょう。実施する際は本音を話してもらえるように、リラックスできる雰囲気を作ることが大切です。
せっかく面談の機会を設けても、内定者の抱える不安や疑問点などを引き出せなければ、その時間が無駄になりかねません。
また、担当者の態度・対応に疑問や不快感を感じると、内定者は不安になり、内定を辞退してしまう可能性もあります。そのため、内定後面談やメールフォローの際は、質問や相談をしやすい姿勢をくずさず、丁寧に対応することが大切です。
会社の先輩として親しみやすいと感じてもらえるよう、フラットな姿勢で向き合うように心がけましょう。
内定の理由をしっかり伝える
なぜ内定を決めたのか、内定者に理由を説明することも大切です。内定の理由とともに入社後の活躍を期待していることを伝えれば、内定者の入社意欲の後押しや入社後のモチベーションアップも狙えます。
「あなたのこういった経験を当社で活かしてほしいと思った」「あなたのこのような持ち味を発揮した活躍を期待している」といったように、内定者をしっかりと評価した上での内定だと伝えるのがポイントです。
自身が必要とされた上で活躍を期待されている内定とわかれば、内定者のモチベーションを上げて、入社してすぐから活躍してくれる可能性が高まるでしょう。
自社の魅力を十分に伝える
今後の事業展開やビジョン、働き方や待遇などを含め、自社の魅力を十分に伝えることも大切です。
内定辞退は企業にとって損失となるため、できれば避けたいものです。内定者が「ここで働きたい」と感じ、内定承諾または入社意欲を高めてくれるような自社の魅力を面談で伝えられるよう、準備しておきましょう。
また、面談当日だけでなく面談前後のフォローも大切です。内定者が企業に魅力を感じるのは、仕事や事業内容、企業のビジョンや条件面だけではありません。実際に働く職場の雰囲気や働いている人たちの様子、担当者の対応も魅力を感じる要素の一つです。
そのため、全体を通して誠実な対応を心がけ、企業への魅力を感じてもらえるよう意識して取り組みましょう。
フォローを継続することをアピールする
面談後でも内定者が不安や疑問を感じた場合は、適時迅速に対応する姿勢を見せましょう。不安を感じた内定者が心配事を解消できなければ、内定辞退につながってしまうかもしれません。そのため、定期的にメールや電話で連絡を取るなどフォローを継続することが大切です。
内定者同士の親睦を深めるイベントや、入社前に自社や業界全体の理解を深めるための勉強会などを実施するのも効果的でしょう。
内定者からの質問に曖昧な回答は避けるようにする
内定者の質問には、明確に回答しましょう。逆質問に対する回答が曖昧にならないよう、さまざまな質問内容を想定し、説明を準備しておく必要があります。
想定外の質問を受けて、その場で正確に回答するのが難しい質問は、後ほど回答すると返事してきちんと対応するようにします。曖昧な回答は、内定者の不安や不信感を募らせる可能性があるため注意が必要です。特に給与の面において質問を受けた場合には、内定者の働く意思に大きく関わるため慎重に回答するようにしてください。
内定辞退率を下げる方法は、こちらの記事でもくわしく解説しています。あわせてご覧ください。
内定後面談は「内定後」に始めるのでは遅い?採用現場で実践されている考え方
なぜ「内定後からのフォロー」だけでは不十分なのか
内定後面談は、内定後に実施するフォロー施策として位置づけられることが一般的です。しかし実際の採用現場では、「内定後に初めて入社意欲を高める」のでは遅いと考えられています。
実務では、内定を出してから入社承諾を得るのではなく、「最終面接までに入社意向を高める」ことを前提に選考プロセスを設計している企業も少なくありません。内定後にどうフォローするかを考えるのではなく、選考段階からいかに志望度を高め、意思決定を後押しできるかが重要になります。
実際に、内定を出したあとに「どうやって自社に入社してもらうか」を考える体制では、内定辞退のリスクが高まります。一方で、選考中から内定者の志向や不安を把握し、それに合わせて企業理解や魅力付けを行っていれば、内定時点で意思決定がほぼ固まっている状態をつくることができます。
また、内定後面談においては、内定者ごとに目的を変えることも重要です。たとえば、他社と迷っている内定者には、その企業との違いや優位性を明確に伝える必要があります。一方で、成長意欲が高い内定者には、自社で得られる経験や成長機会を具体的に説明するなど、関心に応じた情報提供が求められます。
このように、内定後面談は一律の内容で実施するものではありません。内定者ごとに志向や懸念を把握し、それに応じて設計することで、入社意欲の向上につなげることができます。
内定前から志望度を高める採用設計が重要
カジュアル面談や現場社員との接点を通じて、選考中から関係性を構築することも重要です。実際に働く社員と接点を持つことで、内定者は入社後のイメージを持ちやすくなります。また、現場社員からの「一緒に働きたい」という言葉は、内定者の意思決定に大きな影響を与える要素となります。
内定後面談を成功させるためには、「内定後に何をするか」だけでなく、「内定前からどのような関係性を築いているか」という視点で採用プロセス全体を設計することが重要です。
十分な準備をして内定後面談を成功させよう

内定後面談は、内定者の入社意思を確認し、入社意欲を高めるために実施します。内定辞退やミスマッチによる早期離職を防止し、入社後にスムーズに慣れて活躍してもらうためにも有益な機会と言えるでしょう。
内定者が安心して「ここで働きたい」という意欲を持てる、有意義な内定後面談を行うには準備が欠かせません。担当者は内定者の想定質問に対する回答や、アピールできる自社の魅力を多角的な視点で伝えることが大切です。
本記事を参考にしながら、自社の内定後面談を成功させ、入社後すぐに活躍してもらえるよう取り組んでいきましょう。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。
