企業の動向

 10月1日、2022年卒採用を実施している多くの企業で内定式が執り行われた。9月中旬に弊社が実施した人事担当者向けの調査によると、内定式の実施形式は「リアルで実施」が33.0%、「オンラインで実施」が35.4%と拮抗し、企業により対応が分かれた。昨年は開催形式に頭を悩ます企業も多かったが、今年は比較的スムーズに決められ、どちらかといえば「コンテンツをどうするか」「どのように趣向を凝らすか」などに焦点が当てられた。ただそれよりも各社を悩ませたのが、内定式前の内々定辞退だ。ある大手サービス業の人事担当者によると、「2週間後に予定している内定式の連絡をしたところ、内々定承諾をしていた学生の実に15%から辞退の申し出があった。ここにきて採用活動を再開せざるを得なくなった」と頭を抱える。同社は最終面接までオンラインで実施しており、「効率は上がったものの、一人ひとりの心理状態の把握やフォローが足りていなかったのでは」と振り返る。こういった状況にある企業は少なくないだろう。

 近年、学生が複数内々定を保持しながら就職活動を継続することは日常風景であるが、コロナ禍はこれに拍車をかけている。景気がどう転ぶか分からない中、1社に絞ることのリスク。就職活動のオンライン化の進行に伴う、社風を感じる機会の不足。さらにインターネット上に氾濫している情報も学生の決断を鈍らせる要因となっている。内定式を終え、採用目標に到達していない企業は、2022年卒採用を継続するのか、既卒・第二新卒採用で補填するのか、2023年卒採用に完全に切り替えるのかなど、判断が必要な時期となっている。 (石谷 博基)


学生の動向および学生を取り巻く就職環境について

 10月、多くの企業で内定式が執り行われ、2022年卒の就職・採用活動はいったんの区切りがついた。その一方で、公務員からの志望転向組など、一定数の2022年卒学生は就職活動を続けている。9月中・下旬に東京・名古屋・京都・大阪・福岡の5地区で合同企業セミナー「就職博」が開催されたが、参加学生のアンケートによると、いずれの地区も70~80%が未内々定であった。また、各大学が把握している内々定獲得状況も8月から9月にかけて、あまり数値が伸びていないという。弊社が9月中旬に人事担当者に対して実施した調査では、2022年卒採用を継続している企業は51.9%と半数超に達する。学生としては、視野を広げ行動量を増やせば、就職のチャンスはまだまだあるといえよう。

 一方、2023年卒学生は夏期休暇期間を利用して積極的にインターンシップに参加したようだ。弊社が8月に実施した調査では、インターンシップの参加率は昨年同時期を12.5ポイント上回る83.9%となった。このうち、6割を超える学生は「オンライン形式のプログラムのみ」への参加であった。オンラインのみは昨年同時期を40ポイント以上上回り、時間や場所に左右されずに参加できる環境の拡大が参加率アップに繋がったといえる。ただ、各大学の就職指導担当者からは「オンライン慣れにより、幅広い業界や企業に対する理解が乏しくなるのでは」と懸念の声も聞かれる。画面越しでは得られる情報が限られ、学生自身が好む情報だけを受け取ってしまいがちだ。大学の方針や今後の感染状況などもあり対面型に一気に舵を切るのは難しいが、就職指導担当者の懸念からは対面での就活支援を増やしたいという思いもにじんでいる。 (斎藤 寛武)