企業の動向

 弊社が1月に実施した2022年卒の採用動向調査では、面接の形式として、オンラインよりも対面の実施比率を大きくする意向の企業が49.9%に上り、当初は約半数が対面を重視していた。ただ、コロナ禍による度重なる緊急事態宣言の延長を受け、多くの企業でオンライン面接への切り替えを余儀なくされた。そうした中ではあるが、弊社の調査によると5月末時点での内々定率は昨年同時期(51.8%)を大きく上回る66.6%に達した。昨年より培ってきたオンライン採用のノウハウや、オンライン化による採用業務の効率化により、結果的には活動を停滞させずに進められる企業が多かったようだ。スケジュール面では順調だが、ここにきて課題も浮き彫りになってきた。あるメーカーは「5月末段階で内々定者が全員辞退し、急遽ここから追加募集を行うことになった。採用計画数を満たすために第二新卒も対象に含めて再度動いていく」という。また、あるサービス業の企業では「例年は内々定者と若手社員による懇親会を催して囲い込みを行ってきたが、緊急事態宣言の延長で開催できず、ここにきて辞退が増えてきた」という。こうした状況は多くの企業で見られるようになっている。学生からすると移動時間や交通費をかけずに企業と接触できる機会が増え、企業にとっても採用活動のオンライン化は会社説明会の参加者増といったメリットをもたらした。その一方で、選考が進むにつれ「学生からの辞退の連絡が昨年よりも増えた」という企業も目立ち、採用活動は長期化の様相を呈している。(森山 展成)

学生の動向および学生を取り巻く就職環境について

 5月に開催された2022年卒学生対象の合同企業セミナー「就職博」には、「当初志望していた企業の選考結果が芳しくなく、新たな企業を探しにきた」という学生が多く見受けられた。弊社が実施している内々定率調査によると、学生の内々定率は昨年を大きく上回りながら推移しているが、その裏で内々定獲得に至らず、奮闘を続ける学生も少なくない。また会場内の就活相談ブースでは「やりたいことがわからない」「どうやって企業を探せばいいかわからない」といった相談も寄せられた。オンライン中心の大学生活になった影響もあり、就職活動に関する周囲の情報がなかなか入らず、悩みを抱えたまま活動が停滞している学生も多い状況だ。また、対面形式の面接に慣れていない学生も多く、各大学では対面での模擬面接を要望する声が増加しているという。一方で、複数の内々定を得た後の対応や内々定承諾書に関する相談も多く寄せられているといい、学生の状況は多様化している。
 2023年卒学生については、各大学でオンラインまたは対面での就職ガイダンスが実施されているが、学生の参加状況はどちらも好調なようだ。コロナ禍で先行きが見通せない中、就職活動に対して危機感を抱く学生が多く、それが参加動機の一因になっているようだ。特にインターンシップ参加の有無がその後の就職活動の成否に大きく関わっている現状を踏まえ、各大学ではインターンシップ関連のガイダンスの実施回数を増やすなど、手厚い支援が続けられている。(巽 浩一)