中途採用者が1日で辞める理由は?早期退職の原因と改善策を解説
公開日:2025.10.16

中途採用者が1日で辞めてしまい、衝撃を受けた経験を持つ方もいるでしょう。非常識に感じるかもしれませんが、法律的には可能です。
しかし、短期間での離職は企業にとって大きな損失をもたらします。
本記事では、中途採用者が早期退職する原因を明らかにし、具体的な解決策や効果的な採用戦略を解説します。
中途採用者が1日で辞める理由7つ
中途採用者がたった1日で会社を退職することは、企業にとって大きな痛手です。なぜ、このような早期離職が起こるのでしょうか。考えられる主な理由を詳しく解説します。
募集要項と実際の仕事内容に乖離があった
企業が提示する求人情報と、入社後に任される業務内容や役割に大きなズレがあると、社員は失望感や不信感を抱き、「だまされた」と感じてしまいます。
期待外れの業務や不本意な役割は、モチベーションの低下だけでなく、精神的なストレスにもつながってしまうでしょう。
結果として、早々に見切りをつけ、入社1日で退職を決断する人も少数ながら存在します。
会社の雰囲気や人間関係に馴染めなかった
中途採用者は即戦力として期待されるため、新卒のような手厚い研修や、一緒に頑張る同期とのつながりが少ない傾向にあります。
そのため、入社初日から社風や企業文化に違和感を抱いたり、既存社員とのコミュニケーションがうまくいかなかったりすると、孤独を覚えるかもしれません。
「この会社は自分には合わない」と感じた場合、入社1日で辞めてしまうこともあります。
教育体制やサポートが不十分だった
入社後の教育体制やサポートが不十分だと、中途採用者は「会社に歓迎されていない」「期待されていない」と感じ、仕事に対するモチベーションが低下しやすくなります。
企業は「経験者だから大丈夫だろう」と考えがちですが、たとえ優秀な人材でも、新しい環境で本来の能力を発揮するには、丁寧なサポートが必要です。
ハラスメントや理不尽な指示があった
入社直後にハラスメント行為や理不尽な指示を受けた場合、社員は精神的に大きなダメージを受けます。
特に新しい環境に慣れない時期の無理な要求や不快な言動は、会社への不信感を一気に高めてしまうでしょう。
次のような行動は、無意識のうちに相手を不快にさせてしまう可能性があります。
- 一方的なアドバイスの押し付け
- 過度な手助けや先回り
- プライベートへの過度な介入
提示された労働条件と異なっていた
入社前に提示された労働条件と、実際の条件が大きく違うと、社員は会社に不信感を抱き、早期離職につながる可能性が高まります。
主な労働条件の不一致は次の通りです。
- 提示された給与よりも低かった
- 入社初日から長時間の残業を強いられた
- 休日出勤が常態化していた
- 住宅手当や資格手当が実際にはなかった
キャリアパスが不明瞭だった
入社前に描いていたキャリアアップの期待と、現実の間に大きなギャップがあると、「この会社では成長できない」と判断し、モチベーションが低下しやすくなります。
キャリアパスが不明瞭だと感じる主な要因は次の通りです。
- 配属された部署にロールモデルとなる上司がいない
- 単調なルーティンワークばかり任せられる
- キャリアパスや人事評価に関する説明が全くない
会社の将来性に不安を感じた
入社直後に会社の将来性に不安を感じると、「この会社では自分の将来を守れない」という危機意識が働き、早期退職につながることがあります。
会社の将来性に不安を感じる主な要因は次の通りです。
- 入社初日の説明で、会社の明確なビジョンや中長期的な事業計画が示されない
- 短期間での部署異動や組織変更が頻繁に行われている
- 社内の雰囲気が全般的に暗く、社員の顔に活気がなく、不平不満が多い
中途採用者が早期退職する企業の損失

中途採用者の早期退職は、単なる「採用の失敗」に留まらず、企業にとって大きな損失をもったらします。どのような損失につながるのか詳しく解説します。
採用コストの無駄
中途採用者の早期退職は、企業にとって大きな損失です。求人サイトの掲載費や人材紹介の手数料といった採用コストに加え、選考に費やされた社員の時間もすべて無駄になってしまいます。
さらに、欠員を埋めるための再募集は、二重のコストと労力を生むことになります。早期離職が繰り返されるほど、企業の損失は雪だるま式に増えていくでしょう。
教育・研修コストの損失
業務に必要な知識やスキルを教えるための研修費用や外部講師への謝礼、教材費が無駄になります。さらに、OJT(実務を通しての指導)を担当する社員の時間も大きなコストです。
特に、OJTはベテラン社員が通常の業務を中断して行うため、その社員の生産性が一時的に低下します。こうした見えにくいコストも、早期離職によってすべて失われてしまいます。
社会保険の負担が発生
入社1日で中途採用者が退職した場合でも、企業は原則としてその月の社会保険料を全額負担しなければなりません。
それに加え、社会保険の資格喪失やハローワークでの雇用保険の手続きなど、多くの事務作業が発生します。
さらに、短期間で再募集をかければ、再び社会保険の加入手続きなどが必要になり、事務担当者の業務負担は大幅に増えてしまうでしょう。
既存社員のモチベーション低下
新入社員を受け入れるために、既存社員は業務の引き継ぎやOJTに多くの労力と時間を費やします。
しかし、新人がすぐに辞めてしまうと、「せっかく教えたのに無駄になった」「また最初からやり直しか」と感じ、既存社員のモチベーションは大きく下がってしまうでしょう。
その結果、組織全体の士気が低下し、生産性にも悪影響を及ぼすリスクが高まります。
企業イメージの悪化
早期退職が頻繁に繰り返されたり、常に求人広告が掲載されていたりすると、「何か問題があるから人が定着しないのでは」といったネガティブな評判が広まりやすくなります。
特に、優秀な人材ほど企業の評判を念入りに調べているものです。
そのため、一度企業イメージが悪化すると、応募者の質の低下や応募者数の減少といったリスクが高まり、結果として採用活動そのものが困難になってしまうでしょう。
中途採用者がすぐに辞めるのを防ぐ方法
中途採用者の早期離職は、企業にとって大きな損失です。しかし、適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に減らし、定着率を高められます。
中途採用者がすぐに辞めることを防ぐための具体的な方法について解説します。
正確な情報開示をする
入社後のギャップを防ぐには、正確な情報開示が重要です。
仕事の具体的な内容や期待される役割、職場の雰囲気などに加え、企業が抱える課題についても正直に伝えましょう。
こうした透明性の高い情報開示は、求職者が「自分に合った企業か」を正しく判断する助けになります。
企業の厳しい側面も理解したうえで入社した人材は、多少の困難があっても乗り越える力を持っているため、結果として定着率の向上につながります。
キャリアパスを明確に提示する
キャリアパスが不明瞭なことによる早期退職を防ぐには、入社前に具体的なキャリアパスを提示することが大切です。
たとえば、「入社3年目でチームリーダーに昇進」「5年目には〇〇部門への異動も可能」といった具体的な昇進・異動例を示すことで、社員は入社後のキャリアをより明確にイメージできます。
また、資格取得の支援制度や外部研修への参加、部署を横断したプロジェクトへの参加機会など、具体的なスキルアップ支援制度についても詳しく伝えましょう。
オンボーディングを整備する
オンボーディングとは、新入社員が会社にスムーズに馴染み、早く活躍できるようにサポートする一連のプロセスです。
入社直後の数週間は、新しい環境に適応するため、多くの不安を抱えやすい時期です。この期間に放置されたり、必要な情報が不足したりすると、孤立感や不安を感じ、モチベーションが低下する可能性があります。
充実したオンボーディングを整備することで、新入社員は安心して環境に溶け込むことができ、早期退職の防止につながります。
入社後のフォロー体制を充実させる
中途採用者の早期退職を防ぐには、入社後の手厚いフォロー体制が重要です。
新しい環境に慣れていない時期にフォロー体制が不十分だと、孤立感が高まり、早期退職につながる可能性があります。
フォロー体制を整えるには、次のような制度を導入すると良いでしょう。
- バディ・メンター制度:先輩社員が個別の相談役となり、新しい社員の疑問や不安を解消する
- 1on1ミーティング:上司が部下と定期的に個別面談を行い、業務の進捗や悩みをヒアリングする
既存社員への受け入れ研修を行う
人材定着には、既存社員の協力が不可欠です。新入社員を適切にサポートするため、受け入れ研修を実施しましょう。
既存社員の理解と協力を促すことで、チーム全体で新入社員を支える体制が構築され、定着率の向上につながります。
受け入れ研修の主な内容は次の通りです。
- 中途採用者の心理と特性の理解を深める
- 具体的なサポート方法を知る
- 企業として実施している取り組みを共有する
会社の将来性やビジョンを共有する
経営層が会社の将来性やビジョンを共有することは、社員の定着率を向上させるためには非常に重要な対策です。
具体的な経営目標を掲げることで、社員は自分が目指すべき方向性を明確に理解し、日々の業務がその目標達成にどのようにつながるかを実感できます。
また、会社のビジョンを共有する際には、経営層が直接社員と対話する機会を設けることも有効です。
定期的な全体ミーティングや質疑応答の場を設けることで、社員は会社への信頼と愛着(エンゲージメント)を深められます。
適切な役割と期待値を設定する
新入社員の早期戦力化を図るには、新入社員のスキルや経験を考慮したうえで、段階的に業務を振り分けることが大切です。
まず簡単な業務から始めて、少しずつ難易度を上げていくことで、新入社員は安心して業務に慣れていけます。
また、定期的なフィードバックも効果的です。進捗を確認し、貢献度を伝える機会を設けることで、新入社員は自分の成長を実感し、モチベーションを維持できるでしょう。
中途採用の定着率を向上させる採用戦略

中途採用の早期退職が多いなら、採用のミスマッチが起きている可能性が高いです。マッチング精度の低い採用は、入社後の大きなギャップを生み、早期退職のリスクを上昇させます。
採用戦略を見直し、中途採用の定着率を向上させましょう。
採用ペルソナを設定する
採用ペルソナとは、企業が採用したいと考える理想的な求職者の詳細な人物像です。
単にスキルや経験といった表面的な条件だけでなく、価値観や仕事で重視する点、キャリアへの志向性など、その人のパーソナリティまで詳細に設定します。
採用ペルソナを具体化することで、採用チーム全員が共通の採用基準を持って求職者を見極められるようになり、採用活動の精度を高められます。
多様な採用手法を導入する
中途採用者の定着率を高めるポイントは、単に求人広告を出すだけでなく、多様な採用手法を戦略的に導入することです。
近年、多様な求職者を獲得するため、複数の採用手法を組み合わせる企業が増えています。
それぞれの方法が持つ特性を理解し、自社の採用ターゲットに最適な手法を見極めることが成功の鍵となります。
| 採用コスト | 母集団 | マッチング精度 | 採用工数 | |
| 求人サイト | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ |
| 人材紹介 | △ | △ | ◎ | ◎ |
| 合同企業セミナー(イベント) | △ | ◎ | ◯ | △ |
| ダイレクトリクルーティング | ◯ | ◯ | ◎ | △ |
| リファラル採用 | ◎ | △ | ◎ | ◯ |
| アルムナイ採用 | ◎ | △ | ◎ | ◯ |
| ハローワーク | ◎ | △ | △ | ◎ |
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、採用要件に適した求職者を、人材データーベースから抽出し、企業が直接アプローチする採用手法です。
スキルや経験、求職者の志向性などの条件を絞り込めるため、マッチング精度の高い採用が期待できます。
20代転職に特化した「Re就活」では、希望人材の自動抽出やスカウトメールの自動配信機能により、採用活動を効率的に進めることが可能です。
さらに、スカウトしたい人物に合わせて最適な文面を自動生成する「スマートスカウトアシスト機能」も活用できます。
初めてダイレクトリクルーティングを導入する企業でも、専任の担当者が検索条件の設定やスカウトメールの作成をサポートするため、安心して利用できるでしょう。
掲載原稿をブラッシュアップする
中途採用の定着率を上げるためには、掲載する求人原稿をブラッシュアップすることが重要です。掲載内容が適切でないと、採用のミスマッチを招くリスクが高まります。
株式会社学情では、企業の採用課題を深く分析し、その結果を求人原稿に反映します。
制作スタッフが企業の採用ターゲットやニーズを詳細に理解しているため、求める人材からの応募の増加が期待できるでしょう。
人材紹介を活用する
人材紹介は、自社の採用要件に合う人材を専門家が厳選して紹介してくれるため、マッチング精度の高い採用が期待できます。
20代に特化した「Re就活エージェント」は、高いマッチング精度を強みとした人材紹介サービスです。
企業の求める人物像を丁寧にヒアリングし、スキルや経験はもちろん、カルチャーフィットも重視しています。
20代専門のキャリアアドバイザーが、企業の魅力や強みを求職者に的確に訴求することで、入社後の定着率は93%という高い実績を誇ります。
カジュアル面談を実施する
カジュアル面談とは、企業と求職者がお互いの理解を深めるための場です。選考ではないため、求職者は面接では聞きにくいことも気軽に質問でき、入社後のギャップや不安を解消できます。
株式会社学情の調査によると、すでに企業の3社に1社がカジュアル面談を実施しており、さらに3割の企業が実施を検討しています。
20代転職に特化した「Re就活」の「カジュアル面談機能」を活用すれば、求職者の職務経歴書などの情報をもとに、カジュアル面談の打診が可能です。
また、求職者からも面談オファーを受けられるため、幅広い人材と接点を持つことができます。
※参考:株式会社学情「カジュアル面談」に関する企業調査(2024年6月)」
合同企業セミナーに出展する
合同説明会(合同企業セミナー)とは、複数の企業が集まって、求職者に自社や採用に関する情報を提供するイベントです。
テキストだけでは伝えきれない、独自の魅力や強み、雰囲気などを直接アピールできます。
20代から最も選ばれている転職イベント「転職博」は、来場者の約90%が20代です。そのため、経験とポテンシャルを兼ね備えた若手人材との出会いが期待できます。
また、イベント当日は、企業担当者がブース運営をサポート。企業の求める人物像を熟知したスタッフが、採用基準に合った人材のアテンドも行うため、初めて出展する企業でも安心して利用できます。
採用動画を活用する
採用動画の活用は、中途採用の定着率向上に非常に効果的な戦略です。文字や写真だけでは伝えきれない企業の魅力やリアルな雰囲気を、求職者に届けられます。
株式会社学情が提供する「Job Tube」は、企業の雰囲気を伝える”職場体験型”の採用動画です。職場風景や社員インタビューを通して、企業の魅力や強みを効果的にアピールできます。
中途採用に精通したプロが撮影や取材を担当するため、初めて採用動画を制作する企業でも、負担なくスムーズに導入できるでしょう。
中途採用のミスマッチ防止の成功事例
中途採用のミスマッチ防止につながった事例を紹介します。具体的な取り組みを参考に、自社の採用活動に活かしましょう。
株式会社シナプスイノベーション
| 課題・ニーズ | 第二新卒採用を、自社に合った人材紹介サービスで実現したい |
| 活用したサービス | Re就活エージェント |
| 効果 | 20代・第二新卒人材を2年で20人採用 |
製造業向けのソフトウェア開発・販売・導入・コンサルティングを行う企業です。
これまで採用媒体をメインに活用していましたが、大手と比べて知名度が低く、どのように求職者に自社の魅力や強みを伝えるかが課題でした。
そのため、近年は人材紹介とダイレクトリクルーティングを中心に採用活動を行っています。
複数の人材紹介サービスを活用されていますが、Re就活エージェントにおいて最も評価いただいていることが求職者の質です。
企業の採用ニーズやターゲット層を理解し、入社後の活躍を想定した人材をご紹介することで、内定率はもちろん、高い定着率を実現しています。
2年間で20人以上入社しており、退職者はわずか1人。前向きに仕事に取り組んでいる人が多く、今後の活躍にますます期待が集まっているとの声をいただきました。
※参考:株式会社学情「株式会社シナプスイノベーション様|採用ニーズ・ターゲット層を深く理解してくれ、2年で20人の採用を可能に。」
株式会社スリー・イー
| 課題・ニーズ | 採用単価を抑えつつ、積極的に第二新卒・未経験者層を採用 |
| 活用したサービス | |
| 効果 | 月8人の第二新卒層の採用に成功 |
IT分野を中心に多岐にわたる事業を展開している企業です。未経験からITエンジニアを育成し、ITインフラ領域でサービス提供しています。
採用単価を抑えつつ、第二新卒・未経験者を効率的に採用するため、20代転職に特化した「Re就活」を導入。媒体の特徴と採用ターゲットが合致し、他社媒体に比べてカルチャーフィットする人材からの応募が多い傾向にあります。
求人サイトを効果的に運用するには、掲載原稿のブラッシュアップやスカウトメールの配信が重要です。株式会社学情では、企業のニーズを関係スタッフ全員が把握しているため、マッチング精度の高いサポートができます。
合同企業セミナー「転職博」においても、企業が求める人物像とマッチする求職者のアテンドを行っています。その結果、多い時では月に8人の採用につながりました。
※参考:株式会社学情「株式会社スリー・イー様|エンジニアを育成する独自のメソッドを武器に、月8人の第二新卒採用に成功。」
マッチング精度の高い採用で、中途採用者が1日で辞めるのを防ごう!
中途採用者の早期退職は、企業に多大な損失をもたらします。これを防ぐには、採用のミスマッチを防ぐことが重要です。
株式会社学情では、20代転職に特化した「Re就活」をはじめ、さまざまなサービスを通じて、質の高い採用活動をサポートしています。
媒体の提案だけでなく、企業の採用課題を丁寧にヒアリングし、定着率の向上を目指した採用戦略の立案も行います。中途採用者の早期退職にお困りの方は、株式会社学情へご相談ください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。
