キャリア採用とは?中途採用とのちがいやよくある困りごとを解説
2024.06.18
キャリア採用は中途採用の一部で、年々難易度が高まっています。この記事では、キャリア採用は中途採用や経験者採用とは何が異なるのか、メリット・デメリット、取り組み方、成功させるポイントなどを解説します。
この記事の一部は生成AIを用いて執筆しています。
キャリア採用とは
キャリア採用とは、すでに職務経験をもつ人材を募集する即戦力採用のことを指します。専門知識や経験が必要な職種で、ゼロから人材を育成するコストが割けない場合に、とくに適している採用手法です。たとえば、ITエンジニアや管理職の採用などが当てはまるでしょう。
キャリア採用では、応募の必須条件を「実務経験を○年以上お持ちの方」「資格保有者」などとするケースが多く、即戦力となるか否かが重要視されます。
この逆で、スキルや経験よりも、企業文化との相性や将来性などを評価軸にする採用手法はポテンシャル採用と呼ばれます。就労経験の少ない新卒や第二新卒を対象にした採用で、おもに使われる手法です。
中途採用とのちがい
中途採用には、職務経験者採用と職務未経験者採用の二種類があります。つまり、職務経験者に絞って採用を行うキャリア採用は、中途採用に含まれるといえます。
- キャリア採用: 職務経験者採用
- 中途採用:職務経験者採用+業界未経験者採用
ただ、最近では、単純に中途採用をキャリア採用と言い換える流れも出てきています。「中途」という言葉に「途中から参加した」「新卒ではない」などの否定的なイメージがあるのではないかという考えから、中途社員が疎外感を抱かないように配慮した表現と捉えられているようです。
経験者採用とのちがい
経験者採用の対象は、就業経験のある人材、もしくは、募集職種に関するスキルや知識、職務経験を一定のレベル以上にもつ人材です。
経団連は、ネガティブな印象を与えるとして、「中途採用」を「経験者採用」という呼称に改める考えを発表しました。しかし、「経験者採用」と言うと求職者から「職務未経験者は応募できない」との誤ったイメージをもたれる可能性があり、表現のしかたは企業に委ねられているのが現状です。
キャリア採用のメリット
キャリア採用のメリットはおもに即戦力確保の点にありますが、ほかにも、業務内容を理由とした採用ミスマッチが起こりにくいなどの利点があります。
即戦力を確保できる
キャリア採用の最大のメリットは、即戦力を確保できる点です。企業は、必要なスキルや専門知識をすでに備えている人材を採用することで、短期間で人員補充ができます。企業文化や自社のやり方に慣れてもらう時間は必要ですが、ゼロからの教育期間を設ける必要はありません。
これに伴い、教育費用もおさえられます。
業務内容での採用ミスマッチが起こりにくい
カルチャーマッチや将来性を重視するポテンシャル採用と比べて、キャリア採用ではすでに業務内容を熟知している人材を採用するので、業務内容に起因する採用ミスマッチが起こりにくいと考えられます。
株式会社学情が実施したアンケートでは、社会人経験3年未満の第二新卒が「転職しようと思う理由」の回答でもっとも多かったのが「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」でした。就業経験がない新卒学生が入社前に業務内容を細かく想定することはむずかしく、当初のイメージとのギャップで転職を考えている人が多いことがわかります。
※参考:株式会社学情「20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(転職理由)2023年8月版」(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/230802/)
キャリア採用で入社するのは同じ業界ですでに活躍している人材であるため、「業務内容がイメージとちがった」という理由での採用ミスマッチは防げるでしょう。
新たな知識や考え方を取り入れられる
キャリア採用で入社した人材は、他社での豊富な経験やノウハウをもっています。第三者視点で意見をもらうことで自社の課題に気付けるでしょう。
異なる文化や考え方をもつ人材の採用は、ダイバーシティ・インクルージョンの観点からも有益で、さまざまな価値観や個性を受け入れる環境づくりにもつながります。まだ社風に染まり切っていない、新しい角度からの見方は既存社員の成長を促し、イノベーションを生み出す可能性が高いです。
キャリア採用のデメリット
キャリア採用のデメリットは、「給与水準が高い」「自社になじめない可能性がある」の2点です。それぞれをくわしく説明します。
給与水準が高い
高いスキルや経験をもつ人材は、未経験者とくらべ、給与水準が高くなる傾向があります。入社してからの教育費がかからない分、他社で積んだ経験の対価を支払うと考えるとよいでしょう。また、リーダー職やマネジメント層が採用ターゲットの場合は、一般職よりも多くの人件費がかかります。
職務経験者は、転職に給与アップや待遇の改善を期待する場合が多いので、それが叶わない求人には応募が集まらない可能性があります。
実際に、株式会社学情が実施したアンケートでは、社会人経験3年以上の転職理由は「給与・年収をアップさせたい」が54.2%で最多でした。
※参考:株式会社学情「20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(転職理由)2023年8月版」(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/230802/)
募集部署の採用背景や求める人材像、ひとり当たりにかけられる人件費などを吟味して、適切な採用手法を選ぶことをおすすめします。ただし、キャリア人材は即戦力でもあるので、高い人件費を支払っても十分に採算がとれる場合が多いです。
自社のやり方や社風になじめない可能性がある
キャリア採用で入社した人材が、慣れた前職でのやり方から切り替えられず、戸惑うケースがあります。各社でやり方が微妙に異なる業務の場合に多いです。本人のこだわりがあまりにも強いと、逆に既存社員のほうがやりづらさを感じかねません。
キャリア採用はスキルと経験を重要視する採用手法ですが、いくら条件にマッチするからといって既存社員との相性をきちんと見ないと、採用ミスマッチによる早期離職につながってしまいます。
キャリア採用に向いている職種
キャリア採用は職種に限らず導入可能ですが、とくに専門的な知識や経験が必要な職種に向いています。キャリア採用が適している職種の例をご紹介します。
- 人事・経理・財務・法務などのバックオフィス系の職種
管理部門の人材には資格の保持や高い専門性が求められるので、職種経験者を求めているケースが多いです。人材会社に勤めていた人間が一般企業の人事に転身するパターンはよくみられます。どの企業でも業務内容が共通しているのも、キャリア採用に向いている点のひとつです。
- IT・研究などの専門職
IT技術や研究分野において、専門性が高いスキルをもつエンジニアなどを採用したい場合、キャリア採用が適しています。SES企業やSIerでは積極的に未経験者を採用しているケースも多いですが、高い技術力が必要な自社開発を行っているIT企業などでは、キャリア採用を導入しているところが多い印象です。
- 営業・企画系の職種
営業や営業企画系の職種では、未経験者採用も多いですが、即戦力となる経験者を求めることもあります。業績数字に直結する営業職や戦略的な企画職において、教育に時間がかけられない場合はキャリア採用が有効です。
キャリア採用の取り組み方
- 採用ニーズの明確化
まず、企業がどのような人材を求めているのかを明確にしましょう。どの職種やポジションに対してキャリア採用を行うのか、必要なスキルや経験、資格は何かなどを整理します。社風や企業文化によるミスマッチが怒らないよう、どんな価値観をもった人が自社に合うのかの観点でも忘れずに検討が必要です。
ペルソナを設定するのもよいでしょう。採用に関わる部門全体で、求める人材像の共通イメージをもちやすくなります。
- 採用戦略の策定
キャリア採用の目的に基づいた戦略を策定しましょう。採用戦略とは、いつまでに何人採用するか、ターゲットに適した採用手法はどれかなどを検討することです。最近では、職種や業界に特化した求人サイトもあります。ターゲットに絞ってアプローチできそうであれば、それらのサービスを利用するのもひとつの手です。
- 採用プロセスとスケジュールの設計
決定した期日までに目標人数を採用できるよう、採用プロセスを設計します。どの時期に何の施策を実施するのか、余裕をもたせたスケジュールを引きましょう。施策の例は、求人広告の出稿や会社説明資料の作成、カジュアル面談の企画、キャリア人材が集まるイベントへの出展、スカウトメールの送付などです。
- 採用チームの編成
何をするか決まったら、キャリア採用を担当するチームを編成しましょう。採用担当者、面接官、募集部門の責任者などが協力して採用プロセスを進めます。
- 求職者へのアプローチ
求人サイト経由のスカウトメールやSNSのDMなどを用いて、求職者へ企業から積極的にアプローチします。応募者に対しては、面接のスケジュール調整や選考の進捗管理などを行います。
- 面接と評価
面接を1~3回程度実施します。書類選考から最終面接まで、それぞれ立場が異なる人物が面接官を担当し、設定したペルソナに合う人材を多角的に見極めましょう。ミスマッチを防止するには、募集部署の現場社員も同席すると効果的です。
- オファーとオンボーディング
選考が終了し、求める人物像にマッチする人材には採用通知を送ります。一般的に、転職活動では2~3か月で選考プロセスが終了します。高いスキルをもったキャリア人材は、同時期に複数社からオファーを受けていることも多いでしょう。辞退を防ぐためにこまめに連絡をとり、内定者からの信頼を得るのが重要です。
キャリア採用は採用したら終わりではなく、継続的な取り組みであることを忘れずに、PDCAを回しながら採用活動を進めていくことが大切です。
キャリア採用でよくある困りごとと解決策
キャリア採用を行っている場合によくある困りごとと、それに対する解決策をひとつずつ紹介します。
未経験者採用よりコストが高い
デメリットの章でも紹介した通り、キャリア採用は未経験者採用よりコストがかかる傾向があります。
これは、入社してから支払う給与に限らず、採用活動自体にかかる費用についても同じです。理由としては、未経験者採用よりも、条件に合う人材を見つけるのがむずかしいからだといえます。
解決策
キャリア採用では、給与水準が高いことを踏まえた採用計画を立てましょう。採用ターゲットに設定する条件と、それに見合った給与額とのすり合わせが必要です。
また、ターゲットに効率よくアプローチできる採用手法の選定や、自動化ツールやAIを活用して採用活動の効率化を図るのもコスト削減の点で有効です。
カルチャーマッチが軽視される場合がある
キャリア採用では、スキルや経験を求めるあまり、応募者が自社の社風や文化に合うかどうかの評価軸が見過ごされがちです。高いスキルをもっていても、入社後に周りとなじめなければキャリア人材がパフォーマンスを発揮するのはむずかしいでしょう。最悪の場合、採用ミスマッチによる離職に至ります。
解決策
自社の既存社員に合う性格や考え方を、求める人材の条件に盛り込むとよいでしょう。選考プロセスにリファレンスチェックや適性検査を導入するのもひとつの手です。
入社後にも、組織文化やルールを理解しやすくする研修や、人事や上司との定期的な1on1ミーティングなどを行うサポートが必要です。
入社後に過剰なプレッシャーを感じさせることがある
キャリア人材は即戦力として採用されるので、早く成果を出さなければならない、と過度なプレッシャーを感じてしまう場合があります。高いスキルをもっていたり、業務内容が前職とあまり変わらなかったりしたとしても、環境の変化は想像以上に心身に負荷をかけるものです。キャリア人材の入社後のストレスを軽減できるよう、適切なサポートが求められます。
解決策
現場にていねいに説明し、キャリア人材に対して過度な期待は禁物であることを伝えましょう。ほかにも、キャリア採用だからといって研修期間を設けないのではなく、新入社員として早く自社になじんでもらえるように研修や指導を行うことで、その後の定着につながります。
キャリア採用を成功させるためのポイント
キャリア採用を成功させるには、いくつかの気をつけるべきポイントがあります。この章では、3点ご紹介します。
採用目的を明確にする
まずは採用目的を明確にしましょう。採用目的によっては、キャリア採用が適していない場合もあります。人材を採用することによって何が達成されるのかを明確に言語で表しましょう。現状の課題や過去の採用活動を振り返ると、目的をはっきりさせやすいです。
採用目的にそって採用計画を立て、ターゲットを採用するための戦略を練ります。
採用計画や採用戦略について、こちらの解説記事もあわせてご覧ください。
アンコンシャスバイアスに注意する
アンコンシャスバイアスとは、「unconscious – 無意識の」「bias – 偏見・先入観」のことです。だれもがもっているとされており、わたしたちは無自覚に特定の人々に対して肯定的、または否定的な見方をしてしまうことがあります。
キャリア採用は難易度が高いので、魅力的な経験や高いスキルをもつ人材がいると、そのほかの要素がどうであろうと良く見えてしまいがちです。
しかし、キャリア人材がパフォーマンスを発揮できるか否かは、周囲との相性やカルチャーフィットにも影響されます。スキルや経験はあとから身につけられますが、持って生まれた人柄や価値観はなかなか変わらないため、キャリア採用でもスキル以外の評価項目をつくりましょう。
経験者にこだわらない
ここ数年は求職者優位の売り手市場が続いており、高いスキルや経験をもつ人材からの応募を集めるには他社より条件の良い求人を出す必要があります。未経験から教育する体力が社内にあれば、職務経験者のみにこだわらず、社会人経験あり・職務経験なしの人材にまで間口を広げるのもよいでしょう。
経験者のみを対象にすると、その業界や職種に偏った人材が集まりがちです。一方で、未経験者や異業種から転職してきた人材は、業界に新たな視点やアイデアを持ち込んでくれる可能性があります。
また、経験者にこだわり続けると、業界未経験者でも適性をもっている人材を見逃してしまうことになります。ポテンシャルの高い人材に出会う機会を減らさない工夫が重要です。
組織の多様性と柔軟性を高められる点でも、経験者と未経験者をバランスよく採用するのがおすすめです。
まとめ
キャリア採用とは、すでに職務経験やスキルをもつ人材を採用する手法です。一部では単に中途採用の言い換えとして使われている点にも注意しましょう。
※ 株式会社学情では、中途採用をキャリア(経験者)採用と呼称しています。
なかなか求めている人材に出会えない場合は、採用することで解決される課題は何かといった視点に立ち返り、キャリア採用が採用目的に適しているかを見直すことが必要です。社会人経験あり・業界未経験の第二新卒や、キャリアチェンジを考えている20代若手の採用に切り替える際は、ぜひ株式会社学情にご相談ください。
就職・転職・採用を筆頭に、調査データ、コラムをはじめとした担当者の「知りたい」「わからない」にお応えする、株式会社学情が運営するオウンドメディアです。