キャリアセンター訪問

4年間のキャリアデザインを通じて、
自主性に富んだ学生を輩出。

東洋大学 就職・キャリア支援部 次長 野口 正生さん
東洋大学
1887(明治20)年に哲学者である井上円了が創立した「私立哲学館」を起源とし、哲学を建学の理念とする唯一の私立大学として130年以上の歴史を誇る東洋大学。建学の精神である「諸学の基礎は哲学にあり」「独立自活」「知徳兼全」は現在も着実に受け継がれており、東京都文京区にある白山キャンパスを始めとする5キャンパスにおいて13学部46学科、約31,000名もの学生に対して「国際化」「キャリア教育」そしてその基礎となる「哲学教育」に基づく教育研究活動を展開しています。また学祖・井上円了の「余資なく優暇なき者に教育機会の場を開放する」という建学の志は、「第2部・イブニングコース」として現在も引き継がれており、働きながら学びたいという多くの学生の受け皿になっています。今回は、経済界はもちろん様々な分野で活躍する卒業生を数多く輩出している同校の就職・キャリ支援の現状について、次長の野口さんにお話を伺ってまいりました。
※記事の内容は取材当時のものです。

低学年次から学生の自主的な成長を促進・支援。

――貴校の就職・キャリア支援の特徴・方針についてお教えください。
本学では4年間で自身のキャリアデザインを自ら考え、行動することを大切にしており、1年次は「自分を知る」、2年次は「なりたい自分を探す」、3年次は「なりたい自分をつくる」、そして4年次は「希望の進路へ向けた実践」と、低学年次からそれぞれの目標・方針を明確にした上で、各キャンパス・学部の特色を踏まえた就職・キャリア支援を行っています。なかでも2017(平成29)年に最先端のIoTを導入した「スマートキャンパス」として開設した赤羽台キャンパスの情報連携学部は、4年間のキャリアデザインに基づいて学生生活を過ごした社会人1期生がいよいよ来春に誕生しますので、本学で得た学びや経験を活かして社会で活躍してくれることを、とても楽しみにしています。
――それぞれの年次で学生の自主的な成長を促進・支援する仕組みがあるそうですね。
4年間のキャリアデザインをスタートする1年次には、社会人として活躍できる汎用的な能力を「知識活用力」「行動実践力」の側面から測るアセスメントテストを実施し、自己の強みの理解、働くことへの意識の醸成を行い、2年次には自らの1年次を振り返り学修することで、職業意識の醸成に向けたインターンシップへの誘導も行っています。また3年次にはアセスメントテストを再度実施し、1年次からの成長と変化をあらためて認識させるとともに、本格化する就職活動に備えた自己分析ができるよう、各種支援プログラムを実施しています。そして4年次には希望進路に向けた企業・自治体等の選考活動へ円滑に入っていくことができるよう、学内で説明会を実施し、企業等の最新情報を確認する機会の提供や、専門相談員による個別相談を行う等、個々の進捗状況に応じたタイムリーな支援を行っています。

コロナ禍の中でも、低学年向けに新たな取り組みを開始。

――本年度は新型コロナウイルスの影響で、就職・キャリア支援にも影響が大きいのではないでしょうか?
確かにまだ学生がキャンパス内へ入構することができておりませんので(取材日:2020年7月3日)直接会って支援ができないもどかしさはありますが、オンラインを活用した個別相談や、模擬グループ面接といった各種支援策もかなり浸透しており、当初に比べると学生の不安はかなり払拭できているのではと感じています。また企業様への対応に関しても、白山キャンパスでは学内企業説明会の中止に伴い、3月上旬には急遽WEB上での実施に切り替え、約50社にご参加いただきました。このような状況下でも何としても自社を学生に知ってもらいたいという企業様側のご要望と、多くの企業と接点を持つことで企業研究を進めたいという学生側の願いがマッチした効果的なプログラムになりましたので、引き続き6月にもWEB企業説明会を拡充して実施し、多くの学生がここから選考に進んでいる状況です。

とはいえ今後は、学生もWEB面接だけでなく実際にお会いしての面接・選考の機会も徐々に増えてくると思いますので、その点で学生が不安を感じることがないよう、しっかりとフォローしていきたいと考えています。
――またこのような状況下でも、これまでにない新たな取り組みをスタートされたそうですね。
今年の6月に、白山キャンパスの1・2年生(低学年)を対象に、「イノベーションを生む働き方とは」と題して実際に起業された方によるベンチャー企業のビジネスモデルやキャリアアップ事例を話していただき、WEB上で配信を行いました。働き方も多様化している今日、起業家の精神に触れることでSociety5.0に向けた就業意識の醸成を図ると共に、積極的にこれからの学生生活を過ごし、将来を考えるきっかけとしてもらえれば思っています。視聴した学生の満足度はとても高く、次回は「オープンイノベーションを学ぶ」というテーマでの動画配信を予定しています。
――「働き方の多様化」という点では、地方就職や外国人留学生への就職支援も積極的に行っておられますね。
本学は16の県とUIターン就職支援に関する協定を締結、2つの県のUIターン就職促進事業に加盟をしており、各自治体との協力体制のもと、U・I・Jターンを希望する学生を対象にガイダンスやセミナー、各地方の企業様の最新情報の提供を実施しております。また、実際にUターン就職先に内定を得た先輩の体験談を後輩へ伝えてもらう等のサポートをしており、ここ数年のUターン就職率※は30%超となっています。

また本学は年々外国人留学生も増加しており、多くの留学生が日本国内での就職を希望しています。そうした希望を叶えるために本学担当者が企業様と情報交換をさせていただく際には、外国人留学生の採用実績について聞き取りをしており、またそこで得た有益な情報は各キャンパスの就職担当者間で速やかに情報共有を行い、留学生へ提供できるようにしております。また本学は文部科学省の「留学生就職促進プログラム」の採択を受けており、東京と地方都市をつなぐIターン就職を促進する取り組みを他大学と連携をしながら行っています。

※就職者のうち、出身地に本社がある企業へ就職した卒業生数。本社所在地と勤務地は異なる場合もあります。

環境が変わっても、保護者・学生への支援方針は変わらない。

――では続いて、ご父母向けの支援対策についてもお教えください。
学生にとって保護者の協力は、自身の将来を見据え、就職活動を円滑に進めていくためになくてはならないものとなっています。ですがご父母の皆様の頃と現在の就職環境は大きく異なっており、まずは今の就職を取り巻く環境について詳しく知っていただく必要があります。そのために本学では、就職に関する最新動向や就職支援の取り組みを情報提供すべく、保護者向け情報誌「自立への道」を2012年より年3回、定期的に作成しています。今年度は既に6月にWEBでの配信をしており、この内容が保護者と学生の希望進路についての会話の一助となることを期待しております。

また従来は6月から8月の土・日を中心に全国各地で「父母懇談会」を実施しており、就職担当者が出向いて就職講演等を行っておりました。ただし今年度は対面での実施ができませんので、「保護者のための就活講座」のオンライン配信や、これまでご質問を多くいただいた内容をQ&A形式でまとめてWEB上で発信することで、保護者の不安の払拭に努めてまいる予定です。
――学生に対しても保護者に対しても、適切なタイミングで適切な情報を提供することが大切だ、ということですね。
就職・採用活動を取り巻く環境がどのように変化しても、学生はその環境下で勝負をしていくことに変わりはありませんので、就職・キャリア支援に関わる我々は、これまでと同様に世の中の動きをしっかりと見据えながら、適切な時期に適切な支援プログラムを設定し、実施すること、そしてそれをきっかけに、学生自らが主体的にキャリア形成・就職活動を行っていけるよう、支援していくことを今後も徹底していきたいと考えています。
――では最後に、この記事をお読みの人事・採用ご担当者へメッセージや、貴校学生のPRをお願いいたします。
日頃より卒業生ならびに学生へのご指導を賜りまして、厚く御礼を申しあげます。本学の建学の精神に「独立自活」「知徳兼全」がありますが、この言葉のとおり受身的ではなく、自主的・主体的に行動する力を身につけ、学力と人間力を兼ね備えた人間になるよう教育・支援を行っております。ぜひそうした精神を受け継いだ本学の学生へ、変わらぬご期待を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申しあげます。

またそうした学生へ企業様の最新情報をタイムリーに提供するためにも、ぜひとも人事・採用ご担当者の皆様とお話をさせていただきたいと思っています。残念ながら現在の状況下では直接お目にかかることが難しいかと存じますが、求人票だけでは知り得ることのできない貴重な情報を、全てのキャンパスの就職担当者で共有し今後の就職支援に活かしてまいりたいと思いますので、これからも学生同様、本学職員へのご指導を何卒よろしくお願い申しあげます。

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