HR用語の基礎知識

アルムナイ

人事の図書館 編集長 大西直樹

離職社員の出戻り制度である「アルムナイ制度」

アルムナイ(alumni)とは、英語の卒業生alumnusの複数形で、企業における離職者やOB・OGを指す言葉として使われています。また、アルムナイである元社員と企業が継続的に接点を持ち、再雇用する動きを「アルムナイ制度」といい、「出戻り採用」や「カムバック採用」とも呼ばれています。

これまでは離職者=「裏切者」といったイメージが持たれがちでしたが、そうではなく人的リソースとして前向きに捉えようという動きが広がっています。例えばアクセンチュア株式会社では「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」というサイトを公開しており、再入社に関する情報発信を行ったり、卒業生に向けた各種サービスの提供を通じて、継続的な関係づくりを行っています。

ミスマッチが少なく、即戦力として期待できる。

業界全体の取り組みとして、全国の地方銀行により発足した「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」では、結婚や介護、配偶者の転勤等で転居する行員を転居先の地方銀行で雇用する「地銀人材バンク」を2015年に創設し、実績を上げています。

アルムナイの活用に企業が注目する理由として、人材の流動化、そして優秀な人材確保の困難化が上げられます。かつては、入社した企業で長く働くのが当たり前でしたが、昨今では様々な事情により退職・転職が一般化しています。また、働き方の多様化により終身雇用のフルタイム勤務を希望しない方も増えています。そのためどの企業でも、優秀な人材を正社員として雇い続けること、そしてなるべく自社にマッチした人材採用を実施することの重要性がますます高まっています。

そのような中で、求めるスキルや経験を有し、自社の組織や風土を理解しているアルムナイ人材であれば、求職者・企業がお互いをよく知っているためにミスマッチを防ぎやすく、また教育・研修に要する費用も抑えられるというメリットもあり、まさに即戦力として活躍してくれる可能性が高い人材といえるのです。

加えてアルムナイは、他社での経験を有していることが多く、自社では持ち得なかったスキルやノウハウを持ち込んでくれることが期待できます。自社に所属しながら他企業で一定期間働くことができる、社外留学制度を導入する企業も増えてきましたが、自社の良いところも悪いところも理解した上で、社外の異なる価値観を持ち込んでくれるアルムナイ人材が、企業・組織の活性化に重宝されているのです。

「辞め方」の正しい情報把握が成否のカギ。

メリットの多いアルムナイ制度ですが、「出戻りOK」をオープンにして採用活動を行っている企業はまだまだ少数派です。その大きな理由は、アルムナイなら誰でも採用、というわけではないからです。

「辞めてもまた復帰できるんだ」という誤解は、安易な離職につながりかねません。まずは誰でも無条件で復職できるわけではないと明示して、スキルや経験、在職期間といった採用基準を規定する必要があります。

加えて、戻ってきてほしい人と戻ってきてほしくない人の差を分けるのが「辞め方」です。優秀な社員が退職するとなれば、上司はどうしても感情的になりがちで、ともすれば本当の退職理由や退職者の希望・不満等が共有されないケースもあります。在職中に一定以上の成果を発揮していることはもちろん、関係性を壊さずにしっかりとした辞め方ができていた人かどうかを見極めるためにも、退職時の情報を客観的に把握し、管理しておくことが重要です。

日本の労働人口が減少することは避けられない事実であり、今後も採用難は続くと思われます。従業員満足度を高めて、退職者を出さないようにすることはもちろん重要ですが、出てしまった退職者も人的資源と考え、関係性を構築することから始めてみてはいかがでしょうか。

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