注目企業の人事インタビュー 

「全社採用」で多様性のある企業を実現、
さらにIT・デジタル人材の採用増を目指す。

アイフル株式会社 人事部 採用課 課長 今井健志さん
アイフル株式会社
1967(昭和42)年の創業以来、大手消費者金融の中で唯一、銀行傘下とはならずに独立系企業として経営を続けているアイフル株式会社。「そこに愛はあるんか?」という印象的なフレーズのTVCMで知られている同社は、2020(令和2)年6月に創業53年目にして初めて社長交代が行われ、IT化・デジタル化を強力に推進していくために、新たな一歩を踏み出し始めています。
現在のアイフル株式会社は「誠実な企業活動を通じて、社会より支持を得る」ことを経営理念とし、主力であるローン事業、クレジットカード事業に加え、キャッシュレス事業やクラウドファンディング、ベンチャーキャピタル事業といった多彩な商品やサービスを、国内外のグループ会社15社を通じて展開するグローバル金融グループへ、そしてそれらの事業にAIやIoTといったデジタル技術を活用したIT金融グループへと成長・変化を遂げようとしています。今回はアイフルグループの新卒採用を約2年前から担当しておられる、人事部採用課の今井課長に、同グループの採用方針や今後の方向性、戦略等についてお話を伺いました。
※記事の内容は取材当時のものです。

大手消費者金融の中で唯一の独立系企業であり、多種多様な金融事業を展開。

――ユニークなTVCMの印象が強いせいか、どうしても個人向けのローン事業を真っ先に連想してしまうのですが、これ以外にもグループ各社と連動して実に幅広い金融サービスを展開しておられますね。
個人向けの無担保ローン事業は1967年の当社創業時から続く祖業であり、主力事業であることは確かです。ですが当グループは、ライフカードでお馴染みのクレジットカード事業や、当グループの与信技術を活かして金融機関と保証提携を行う信用保証事業、さらには金融機関の不良債権の買取・回収を行うサービサー事業やその債権の不動産・事業再生を手掛ける再生事業、ベンチャー企業へ投資を行うベンチャーキャピタル事業といった、多種多様な金融事業を国内外で手掛けています。今後もお客様に信頼され、必要とされるグローバル金融グループとして、大手消費者金融の中で唯一の独立系企業ならではの自由度の高さと迅速な意思決定が可能な経営戦略のもと、事業ポートフォリオの多角化を図ってまいります。
――グローバル金融グループへの歩みを加速させると同時に、「IT金融グループとしての成長」という目標も掲げていらっしゃいます。
金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせたFintech(フィンテック)という言葉をお聞きになられたことがあるかと思いますが、金融業界がより良い商品・サービスを提供する上で、デジタル技術はもはや、切っても切り離せないものになっています。当グループにおいても例えばローン事業では、以前は店頭・対面でお客様に対応するのが当たり前でしたが、今はほとんどのお客様がスマートフォンアプリを介してキャッシングのご利用をされるようになっています。ではそのアプリの利便性を高め、いかにお客様に快適にご利用いただくかについて、これまでは外部ベンダーに委託して開発・改修を行っていましたが、よりハイクオリティ・ハイスピードで顧客ニーズにお応えすべく、デザインやシステム開発等の内製化を推進しています。

この事例以外にも当グループでは、これまで蓄積してきた膨大な与信情報を統計データ化し、より迅速かつ均一的な与信提供可能にするシステムの開発等、あらゆる事業でデジタル化の動きを進めています。私たちが目指しているのは、金融事業会社としてITを駆使するのではなく、IT企業に生まれ変わり、そこで金融事業を展開しようという大胆な挑戦です。この大転換を成功させるために、従来のゼネラリスト中心の採用・育成方針から、特定分野の専門家であるスペシャリストの採用・育成を強化されることが急務になっています。

「やってみなわからん」精神を持った方、そしてIT・デジタル人材の採用を強化。

――ということは、新卒採用のご方針もこれまでとは変わってきそうですね。
当社の社長がよく、「やってみなわからん」という言葉を使うのですが、採用の方針もこの意図を汲み取り、激しい変化をある意味楽しみながら、新しいことにチャンレジできる人、頭でっかちに考えるのではなく、主体性・好奇心が旺盛でまずは行動してみようという積極的なマインドを持った方を採用していきたいと考ええています。またこれまでは文理問わず採用してきたのですが、より理系人材、IT・デジタルに関して知識を有している人材の採用を強化していく必要があると考えています。
――22年4月の新入社員の皆さんのご状況をお教えください。
51名の新たな仲間を迎えることができ、現在は約1か月間の集合研修を終えて(取材日:2022年5月6日)、これから約2ヶ月間の配属先でのOJT研修へと進んでいきます。当グループは京都本社ということもあり、関西圏出身者が約6割、関東が3割、その他が1割となっています。また男女比はおよそ6:4で男性が多いのですが、21入社は逆に女性のほうが多く、近年の実績を平均するとおよそ5:5になっています。強化すべき理系採用ですが、22入社は15%程度で、23採用に関しては40%まで引き上げることを目標に、現在採用活動を行っています。
――理系・デジタル人材に関しては新卒採用以外でも積極的に採用・育成していく必要がありそうですね。
仰る通りで、新卒採用に関しては23卒では採用数を若干抑制し、その分第二新卒・中途からIT・デジタル分野に精通したスペシャリストを採用すべく、注力したいと考えています。また入社後の研修に関しても、従来は全員が同じ内容を受講してもらっていたのですが、今年からデジタル人材向けにプログラミング研修を実施しています。さらにこれも今年から、デジタル人材向けの研修内容を内製化し、プログラミングの基礎からしっかりと育成することで、社内はもちろん、社外でも第一線で通用するような人材をどんどん輩出していきたいと考えています。
――この他に、解決すべき課題や実現したい方向性等はございますでしょうか?
当グループでは2021年4月に、時代に即した具体的な達成目標としてVISION/MISSION/VALUEを策定し、実現したいVISIONとして「For Colorful Life 自分の色が輝く社会に。」を掲げています。「あらゆる人が、自分らしくいられる未来を創造していく」、そうした社会の実現に向けて、当グループが牽引役を果たすためには、私たち社員も多様化させていかなければなりません。これまでは例えば、コミュニケーション力に長けた方を採用しようとなれば、それに基づいた同じタイプの方ばかりを採用していましたが、仮にコミュ力が低くてもプログラミングができる、デザインセンスに溢れているといった、ある分野で秀でた能力を発揮してくれそうな人材を、これからどんどん受け入れていきたいと考えています。

その施策として当グループでは、我々採用課以外の社員にも、採用活動に関与してもらう「全社採用」に取り組んでいます。部署や経歴、年次や役職が異なる様々な立場の社員から、それぞれの観点で会社の情報を発信してもらえれば、より幅広い層の学生の皆さんの心を動かすことができるでしょうし、これまでアイフルに全く興味を持ってくれていなかった層の学生の方々にも当グループの魅力を知ってもらえ、結果的に多様な人材の獲得につながれば、と期待しています。

IT企業への大転換という挑戦を、人材採用・育成の観点から支えていきたい。

――入社後に自分の個性や能力に合ったフィールドで活躍できるのも、個性を尊重する貴社ならでは制度です。
先ほどからお話しておりますIT・デジタル人材といった専門人材の採用・育成も重要ですが、一方で幅広い金融知識や経験を持つゼネラリストの存在も、当グループの発展には欠かせません。そこで当グループではジョブローテーション制度を導入し、おおよそ3年をめどに部署を異動する仕組みにしています。さらに年に1度、社員アンケートを実施し、異動の希望等を人事部に提出する制度や、自分の経歴・能力等を希望部署に直接売り込み、異動を可能にする社内FA制度があり、自分の個性や強みを存分に発揮できる環境を整えています。

当グループでは現在、人事評価制度を見直しており、年功序列から能力評価主義への移行を進めています。それにより若手社員の活躍推進が一気に加速し、入社1年目のリーダーや4年目の係長、8年目の課長といった若手抜擢が可能となりました。また総合職コースとは別に、その道の専門人材としてキャリア形成を行なえる「スペシャリストコース」を設けており、例えばデータ分析のスペシャリストであれば、データアナリストとしてキャリアを築いていただけるといった、デジタル系部門の人材に主に適用されています。さらに女性社員や地域限定社員に対しても昇進の門戸をさらに広げており、これも多様性を育む取り組みのひとつになっています。
――社員が働きやすい環境が整っているのも、貴社の自慢のひとつですね。
年間休日は126日、有休消化率76%、残業時間は月平均15時間、さらに育休取得者の職場復帰率100%、男性社員の育休職率16%等、平均数値を大きく上回る働き方ができているのも、当社の特長のひとつです。またオフィスでの服装は自由で、Tシャツ等のカジュアル派が38%、ポロシャツ等のオフィスカジュアル派が34%、スーツ派が28%と、自分が働きやすい、着たい服で仕事をすることが認められおり、当グループが金融会社からIT会社への転換を目指している、ひとつの表れと言えるのではないでしょうか。
――では最後に、今後の貴社の採用方針、戦略等についてお教えください。
繰り返しになりますが、IT・デジタル人材の採用の成否が、今後の当グループの命運を握っているといっても過言ではありません。母集団形成に関しては、23卒採用から従来手法に加え、ダイレクトリクルーティングにも注力するようにしており、またインターンシップについてもIT・デジタル人材向けに新たなコースを新設するよう、現在検討を進めています。50年以上の歴史のある会社として安定した基盤を持ちながらも、新たな挑戦を行うベンチャーマインドを併せ持つ当社は、全社を挙げてチャレンジャーを応援しています。変化の過渡期にある今だからこそ経験できる面白さややりがいを、ぜひ多くの学生の皆さんに体感してもらいたいですね。

また接点を持てた学生の方々に対して、当社がなぜIT・デジタル人材を求めているのか、金融事業を手掛ける当グループのどこに、IT・デジタル人材の活躍の場があるのか、といったことを丁寧に説明し、理解していただく必要があります。そのためには従来の採用手法とは異なり、よりマンツーマンに近い形での情報発信・コミュニケーションを行う必要があるでしょうし、例えば有償の長期インターンに参加してもらって実際のサービスプロダクトに関わってもらったり、デジタル系部署で働く社員との座談会といった機会も増やしていければと考えています。先ほどご紹介した「全社採用」の取り組みがここでも効果を発揮すると思いますので、人事部採用課を中心に「オールアイフル」で、IT企業への大転換という前代未聞の挑戦を、人材採用・育成の観点から支えていければと考えています。

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