「ガクチカ」最前線!

コロナ禍を乗り越え、自分に打ち勝って、
箱根駅伝メンバーを目指す。

帝京大学 駅伝競走部 渡部裕輝さん
帝京大学 駅伝競走部
東京箱根間往復大学駅伝競走(通称:箱根駅伝)は例年1月2日・3日の2日間にわたって東京・読売新聞社前から箱根・芦ノ湖間を往路・復路それぞれ5区間、計10区間(217.1km)で競う、学生長距離界最長の駅伝競走です。今回ご紹介する帝京大学駅伝競走部は1998(平成10)年の第74回の初出場以来、「世界一、諦め悪く」をモットーに着実に総合力を高めてきており、2021(令和3)年に開催された第97回では往路4位、総合8位という好成績でゴール、例年上位を争う有力校として知られています。
今回は大阪出身でありながら、箱根駅伝の舞台で走ることを目指して帝京大学への進学を選んだ渡部裕輝さん(教育学部教育文化学科4年)に、帝京大学駅伝競走部の特徴や駅伝の魅力、そして今後の夢・目標等についてお話をお伺いしました。
※記事の内容は取材当時のものです。

部員全員が「諦め悪く」とことん練習できるのが、帝京大学駅伝競走部の強さ。

――はじめに帝京大学駅伝競走部の活動内容についてお教えください。
帝京大学駅伝競走部は、もともとは1979(昭和54)年に創部された陸上競技部の中で活動しており、1999(平成11)年に強化種目に指定され、駅伝競走部として創部されました。箱根駅伝等に出場している強豪校の中では、部としての歴史は浅いほうになります。現在の部員数は選手60名、マネージャー・スタッフ10名の計70名で、全員が同じ寮で生活を共にしながら箱根、出雲、全日本の学生3大駅伝制覇を目指して日々の練習に取り組んでいます。
――1日のスケジュールはどのようなものでしょうか?
通常は2部練習となっており、朝5時30分に起床して6時30分から8時まで練習、その後朝食をいただいた後に授業を受けます。午後は16時から19時までが練習で、その後は夕食、お風呂、自由時間となります。これを週6日、1日およそ30km程度走っており、日曜日は休みです。ただし夏休み期間は秋以降のシーズン本番を見据えた追い込みの時期でもありますので、今日(取材日:2021年8月5日)から昼間を加えた3部練習となり、走る距離がさらに増えることになります。

また10月頃からは週末毎に5,000m、10,000mといったトラックレースの記録会が数多く行われますので、自身が出場する大会に向けて調整を進めていきます。各部員がトラックで自己の記録を高めていくことが、結果として部全体のチーム力の大きな底上げにつながりますので、部員全員がどの瞬間でも妥協せずに「諦め悪く」とことん練習し、自己ベストの更新に挑み続けることができているのが、帝京大学駅伝競走部の強さだと思います。

陸上競技は自分との戦い、記録への挑戦の中から得るものが大きい。

――渡部さんが陸上競技を始めたきっかけをお教えください。
姉が陸上教室に通っており、「弟も一緒に」と声をかけていただいたのがきっかけで、小学校1年生から始めました。多くの選手が小学校高学年の頃から始めている中で、小学校1年生からというのは異例の早さだと思いますね。始めた当初は結果が出た時に親から褒められるのが嬉しくて、小学校のマラソン大会で1位になると豪華な夕食が食べられるのが楽しみで頑張っていたのですが(笑)、キツイ練習を乗り越えてレースを走り終えた時の達成感や、仲間との一体感のほうが徐々に大きくなり、その楽しさをもう一度味わいたくて続けていたら、あっという間に競技生活が今年で15年になりました。
――長い競技生活の中で、走ることが嫌になったことはないのですか?
何度もありますよ!毎日キツイ練習を続けてもなかなか結果が伴わない、記録が伸びない時は「もうやめようかな」と気持ちがブレることがありますし、ケガをした時等はなおさらです。ですが、そうした停滞期を乗り越えて結果が出せた時はこれまで苦しかった分、嬉しさはとても大きくなりますし、それを駅伝競技部の仲間と共に達成できた時の喜びは、何物にも代えがたいですね。陸上競技はいかにタイムを縮めて速く走るか、というとてもシンプルなスポーツで、だからこそ奥が深く、自分との戦い、記録への挑戦の中から得るものが大きいのも魅力だと思います。
――昨年は新型コロナウイルスの影響で大会の中止等が相次ぎました。活動を続けるのも大変だったのではないでしょうか?
仰る通り昨年は多くの競技会が中止となり、年明けの箱根駅伝も開催されるかわからない、という不安な状況下に置かれ、モチベーションの維持が大変でした。ですが、そんな中でもできることを探してみんなで取り組もうと部員全員で決意を固め、これまでできていなかったようなトレーニング法を取り入れる等、様々なことに挑戦しました。その結果、11月に行われた第52回全日本大学駅伝対校選手権大会では8区間中4区間で大学新記録を出す快走で7位、箱根駅伝では往路4位、総合8位でゴールし、無事シード権を勝ち取ることができましたので、個人的にはコロナ禍は決してマイナス面ばかりではなかったと感じています。

どんな時でも謙虚であり続けることの大切さを、陸上競技から学んだ。

――渡部さんが陸上競技を通じて学んだことは何ですか?
どんな時でも謙虚であり続けることの大切さだと思います。帝京大学駅伝競走部の60人の選手の中で、実際に出走できるのはわずか10人、キツイ練習を共にしてきた仲間の中から、今年はコイツに託そうと誰からも認められた10人しかそこに立つことはできません。もし仮にその中の誰かがケガや体調不良でタスキをつなぐことができなかったとしても、誰もその人を責めるようなことはしないでしょうし、どういった結果になってもそれまでの努力・忍耐を認め合い、信じあって受け入れる謙虚さ、そしてまたそこから力を合わせて這い上がれる忍耐力こそが私の一番の強みだと思いますし、この心構えは社会人になっても大切にしていきたいと思います。
――卒業後は陸上競技の第一線からは身を引かれるとのことですが、就職活動と部活動の両立は大変だったのでは?
これまで通りの練習を続けながら、夜遅くまで履歴書やエントリーシートを作成しなげればならなかったり、5月に教育実習に行くための課題を作成したりといった時期が3か月ほどあり、その時は本当にキツかったですね。ですが振り返ってみれば競技と勉強をここまで両立できたのはこの時期だけでしたので、とても充実した時間を過ごすことができました。おかげさまで第一志望の企業に内定をいただくことができましたので、これまで打ち込んできた陸上競技で学んだことを活かして、自分なりの存在意義や、働くことに対する意味を見つけていければと考えています。
――では最後に今後の夢、目標についてお教えください。
これから始まる夏の追い込みシーズンで自分をもっと強くして、シーズン本番となる秋以降の残り半年間を、自身の競技生活の集大成にしたいと考えています。駅伝競走部としては箱根駅伝で往路優勝、総合3位を目標に、また個人としては最高学年としてチームの士気を高め、ひとつにまとめていくことで結果に貢献したいですし、何より自分が箱根メンバーになるという最大の夢をぜひ叶えるために、時間が許す限り最大限の努力を続け、記録を伸ばし続けたいと思います。

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