HR用語の基礎知識

Z世代

人事の図書館 編集長 大西直樹
「Z世代」は、1990年代後半~2012年頃に生まれた年代を指します。この世代の区分方法は、アメリカで生まれた概念です。もともと、1965年~1980年頃に生まれた世代を「ジェネレーションX(X世代)」と名付けたことに始まり、そのあとに続く世代をアルファベットの順番になぞらえて、1981~1995年頃生まれをY世代(ミレニアル世代)、そしてZ世代と呼ぶようになりました。Z世代は現在、全世界の人口の約3分の1を占めており、少子高齢化の進む日本では、これからの消費、そして就労を担う世代として注目を集めています。

人間的なつながりを職場に求めているZ世代。

アメリカのコンピュータテクノロジー企業であるデル株式会社は、世界17カ国12,000人以上(日本の回答者は718人)のZ世代(16~23歳)を対象に、テクノロジーと就職に関するグローバルな意識調査を実施(2018年8月~9月)しました。主な調査結果は以下の通りです。

■98%(日本:92%)は正規教育の一部としてテクノロジーを利用した経験を持つ
■91%(日本:78%)は類似した条件の就職機会を選択する際に職場が提供するテクノロジーを重視
■80%(日本:60%)は最先端テクノロジーを活用できる業務への就職を希望 ― そのうち38%(日本:31%)がIT管理部門、39%(日本:24%)がサイバーセキュリティー分野、46%(日本:31%)が技術研究開発職に関心を持つ
■同僚とのコミュニケーションで望ましい方法は、43%が直接的な対話、21%が電話であり、メッセージング アプリ(17%)とショート メッセージ(19%)は最下位(日本では、直接的な対話33%、ショートメッセージ19%、メッセージング アプリ17%、電話 16%、メール 15%)
■75%(日本:88%)はオンラインではなく、同僚などから仕事を直接学びたいと回答
■通勤と在宅勤務の比較では、半数以上の53%(日本:41%)が通勤を望み、58%(日本:41%)は単独ではなくチームとともに働くことを希望

生まれながらにして電子デバイスに触れ、ソーシャルメディアと共に育ってきたZ世代の多くがテクノロジーの扱いに自信を持っていますが、意外にも人間的なつながりを職場に求めていることがわかります。

※デル株式会社「Z世代のテクノロジーと就職に対するグローバルな意識調査結果」

Z世代の特徴や、重視している価値観とは。

ではZ世代の特徴や、重視している価値観についてご紹介します。

◆ソーシャルネイティブ
Z世代の間では、ミレニアル世代以前に比べてSNSが深く生活に浸透しています。幼少期から慣れ親しんでおり、学校の友達や趣味の友達等、複数のコミュニティに別アカウントで参加し、人とのつながりやコミュニティを重視する傾向が強いのが、Z世代の特徴です。

◆社会問題への意識が高い
Z世代はSNSを通して世界中の情報にアクセスするのが当たり前の日常となっています。国境を越えてさまざまな価値観に触れることで、子供の頃から多様性に富んだ考え方を持ち、社会問題への意識も高いです。この世代の半数以上は、地球上で起こっているあらゆる社会問題に対して自分の意見を持っているとされ、SNSを通じて意見交換や発信を行っています。

◆多様性を認める価値観
SNSを介して国境を越えてさまざまな情報にアクセスできるため、Z世代は国境や性別の壁を越えて、社会には多様な人がいることを自然に受け入れています。そして、受け入れるだけでなく、多様な背景を持つ人から考え方や行動について刺激を受けています。

◆個性や自分らしさを重視
Z世代は、社会的に認められたブランドよりも、自分が気に入ったものを選びたいという志向を持っています。内閣府による令和2年版『子供・若者白書』によると、人生観に関する調査の中で「自分には自分らしさというものがあると思う」と回答した若者は7割以上にのぼっています。SNSをふだんから利用する一方で、インスタントカメラ等のアナログなものを好む傾向があり、Z世代のものを選ぶ基準は、「新しい」ではなく「ユニークさ」や「自分らしさ」であると言えます。

◆リアリストで経済的に保守派
Z世代はリーマンショックなどの不況や社会不安の経験が影響しており、消費に対してとても保守的であることが特徴です。一方で、消費行動の特徴として物品の購入ではなく「コト」消費への動きが見られ、スポーツ観戦・映画・コンサートに対しての消費は積極的な傾向が見られます。

Z世代の仕事に関する価値観とは。

続いて、Z世代の仕事に関する価値観についてご紹介します。

◆安定志向
親世代の終身雇用が危うくなり始めた環境や、現在30~40代になる人たちの就職氷河期における姿を見て育ったため、終身雇用への期待感と安定志向が強い傾向にあります。同時に、SNSで多様な働き方を見聞きしているため、「雇用の安定=キャリアアップや成長機会の確保」と捉えているケースが多いです。「会社に貢献すれば長期的に成長できる」といった環境に加え、「多様なキャリアの選択肢」を認める社風に魅力を感じます。

◆オープンなコミュニケーション
SNSを使った情報の収集や、体験の共有を日常的に行っているZ世代は、自分のことをオープンに語ることに慣れています。そのためZ世代は、会社や上司ともオープンなコミュニケーションを求める傾向が高いです。子どもの頃からデジタルデバイスに親しみ、わからないことはすぐに調べられる環境で育ったため、会社でも疑問点を上司や先輩に聞いて解決できるオープンな環境を整えることが大切です。

◆プライバシーを重視
SNSでの不用意な投稿がトラブルを生むことを知っているZ世代は、プライバシー保護に注意を払っています。また、SNSで体験や私生活を共有したいと感じている一方で、「よく知っている人だけにプライベートを知ってもらいたい」という人がほとんど。私生活について知られることに慎重な人が多いということを留意して接することが大切です。

◆平等性
社会問題に敏感なこの世代にとって、マイノリティであることは何ら問題ではなく、全ての条件において平等であることが求められます。人種、性別、ジェンダーなど、全て現代社会では平等に受け入れられるべきというのがZ世代の考え方です。働く人の不平等に対しても非常に敏感で、「会社の命令には絶対に従う」という根拠のないメッセージには素直に納得しないでしょう。彼らが活躍できるフィールドを作るには、個人の価値観やプライバシーを尊重し、安心してコミュニケーションが取れるよう配慮する必要もあります。

株式会社学情では、「Z世代のコロナ禍就活」と題して、2022年卒学生を対象にしたアンケートの回答を集計したレポートを発表しています。コロナ禍でこれまでの売り手市場から情勢が変化した中で、学生がどのような就職意向や仕事観を持って就活に取り組んだのかを紐解く内容となっておりますので、Z世代を理解するためにこちらもぜひご覧ください。

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