キャリアセンター訪問

就職・キャリア支援においても
学生の自立心、自ら考える力の伸長を重視。

同志社大学 キャリアセンターキャリア支援課 キャリア支援係長(今出川) 中本雅和さん
同志社大学
同志社大学の創立者である新島襄は、幕末の1864(元治元)年に国禁をおかして脱国。約10年間にわたってアメリカ、ヨーロッパで学び、キリスト教の洗礼を受けて帰国後、1875(明治8)年に京都の地において同志社英学校を設立しました。新島の夢は「良心」と「自由」に満たされた学園と社会の実現で、同志社とはそうした新島と「志を同じくする者が創る結社」を表しています。新島は大学昇格を目指して募金活動を行う途中、志半ばで倒れましたが、その遺志は教え子たちに引き継がれ、死後22年となる1912(明治45)年に同志社大学が実現しました。
生前、初対面の勝海舟に「同志社の完成は何年かかるのか」と問われた新島は、「二百年の後を期せざるを得ざるべし」と答えたと言われています。英学校の設立から150年近くの歴史を持つ同校ですが、この言葉の通り、まだまだ発展途上の学園だと自校を捉え、新学部や専攻の設置を始め、先端的教育・研究体制の整備や充実、組織の改編等に積極的に取り組んでいます。今回は同校の今出川校地で数多くの「同志」達のキャリア・就職支援を行い、社会に送り出しておられる中本係長に、同志社大学のキャリアセンターの特徴、ご方針等についてお伺いしました。
※記事の内容は取材当時のものです。

同志社教育の神髄を大切にし、学生が自ら答えにたどり着けるように支援。

――同志社大学といえば、創立者である新島襄の言葉、また新島がもたらしたキリスト教主義に基づく教育方針を150年近く経った今でも大切にしていることで知られています。
1888(明治21)年に新島襄は20を超える新聞、雑誌に「同社社大学設立の旨意」を公表し、大学設立への協力を呼びかけているのですが、この旨意は毎年、入学式で一部朗読されており、記憶されている卒業生の方も多いと思います。この中で新島は「一国を維持するは、決して二、三、英雄の力にあらず。実に一国を組織する教育あり、智識あり、品行ある人民の力に拠らざるべからず。これらの人民は一国の良心とも謂うべき人々なり。而して吾人は即ち、この一国の良心とも謂うべき人々を養成せんと欲す」と記しております。知・徳・体を兼ね備えた全人格教育、また人は宗教的教育により「良心」を育み、ようやく「人間」となる、という彼の信念を受け継ぎ、本学では「キリスト教主義」「自由主義」「国際主義」を教育理念とする「良心教育」を実践しています。「キリスト教主義」では他者への愛情を学び、「自由主義」では自分で考え行動する自立心を涵養し、「国際主義」では国境の垣根を越えて様々な人とつながることで広い視野を養う、これらを併せ持つ人物を育成・輩出してきたのが本学の歴史であり、特に我々キャリアセンターはこの同志社教育の神髄を決して忘れることなく学生を支援していきたいと考えています。
――就職・キャリア支援のご方針としては「一人ひとりの人生設計を視野に入れた、計画的できめ細かい支援体制」としておられます。
「自分で考え行動する自立心」を涵養することを大切にしていると申しましたが、本学では就職・キャリア支援においても学生の自立心、自ら考える力の伸長を何より重視しており、例えばES(エントリーシート)の添削を依頼されても、簡単に答えを与えるような指導は一切していません。我々職員はあくまでもアドバイス、気づきにつながるきっかけを与えるまでにとどめ、学生が自ら答えにたどり着けるようにしています。そうすることで、社会に出てからも自立して行動できる力を身につけることができるでしょうし、それが社会と大学・学生との接点を創出する我々キャリアセンターの責務であると考えています。

今年度からガイダンス・セミナー等の支援を4つの時期に分けて実施。

――一方で学生のニーズに寄り添った施策に関しては、積極的に導入・実施しておられます。
新島襄の「諸君ヨ、人一人ハ大切ナリ」という言葉がありますが、一人ひとりを大切にする教育の信念は現在も、我々キャリアセンター職員に浸透しています。本学では昨年度までは3年生対象の就活支援のスタートであるキャリアガイダンスを10月に実施していましたが、新型コロナウイルスの影響による就活スケジュールの混乱や選考の早期化・長期化、インターンシップが採用に直結しているケースが増えている状況に対応するため、3年生対象の1回目のキャリアガイダンスを春に前倒しいたしました。早期から就活準備を促すことで学業との両立を支援すると共に、インターンシップ参加へのハードルとなっているES・面接対策セミナー等を実施し、希望する企業への積極的な挑戦を後押ししています。

また学生の活動開始時期も多様化していますので、秋、冬、年明のそれぞれの時期にガイダンス、セミナー、ワークショップ等を開催、いつから始めても就活に必要な知識・スキルが身に付くように体系的なパッケージを準備しています。本年4月1日にオンラインと対面を併用して開催したキャリアガイダンスには約1,200名が参加しました。
――学生からの質問・相談もかなりの数に上ったそうですね。
従来の大きなホールや教室での対面開催とは異なり、オンラインでのチャット機能は質問しやすかったのか、200件もの質問・相談が来て驚きましたが、当初予定の30分を大きく超え、計3時間にわたり、学生からの全ての質問に回答しました。コロナ禍で他の学生の就活活動の様子がなかなか見えない状況のなか、多くの質問に回答することで、いま学生が何に悩み、何に困っているのかをより的確につかむことができ、その後のガイダンスの内容にも反映するようにしています。

同志社大学生限定のインターンシップを実施。

――インターンシップにおいても新たな取り組みを始められたそうですね。
学生がインターンシップへの参加をより活発に行う中で、一部の企業では応募学生数がかなり多くなり、結果的に希望する企業のインターンシップに参加できない学生が増えています。そこで本学では少しでも学生がインターンシップに参加するチャンスを広げたいと考え、同志社大学限定の枠を設けていただける企業を今年度からに募集し、受付を開始しました。このプログラムの特徴のひとつに、企業により、選考を本学が実施し、現時点での完成度ではなく、インターンシップを経てどのように成長したいと考えているのか、といった想いの部分に重きを置いて学生を選考・推薦する教育的な観点にあります。受入側の企業からみれば「なぜこの学生を?」とお考えになられるかもしれませんが、本来は選考を通過することができなかったが熱意のある学生にチャンスを与えることができることになります。もちろんこの取り組みを継続させていくためには企業、そして学生の満足度をいかに高めることができるかと考えており、今年度の成果を十分にと把握・検証し、より良い方向につなげていきたいと思っています。
――では最後に、貴校並びに貴校学生のPRをお願いします。
本学には多様な学生が全国各地から集まっており、さらには留学生も多く、学生生活を通じて多様性が自然と身に付く環境が整っています。個性を大切にすることを重視しいま多くの企業等が必要とされているダイバーシティに富んだ人材や様々な価値観を持つ人々を束ねることができるリーダーシップを持った人材を輩出し続けるためにキャリアセンターはじめ全教職員が一体となって取り組んでいます。ぜひこれからも本学及び本学学生にご期待をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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