キャリアセンター訪問

「オール龍谷」で学生のキャリア支援を強化。

龍谷大学 キャリアセンター長 インターンシップ支援オフィス長 経営学部教授 松永 敬子さん
龍谷大学
1639年に京都・西本願寺境内に創設された教育機関「学寮」にはじまり、2019年に創立380年を迎えた龍谷大学は、大学9学部・短期大学部・大学院10研究科の総合大学に発展し、約2万人の学生が学んでいます。建学の精神である「浄土真宗の精神」をわかりやすく伝え、龍谷大学ならではの人材育成につなげるための新たな行動・実践哲学として380周年に「自省利他」を発信し、仏教版のSDGsも推進しています。この自省利他を「真実を求め、真実に生き、真実を顕かにする」姿として実践した親鸞聖人に学び、実践できる人材の育成を教育理念・目的にも掲げ、最高の教学環境を提供することを目指し、先進的な取り組みを続けてきました。また進取の精神は今も脈々と受け継がれ、近年ではキャリア教育を含むカリキュラム改革やインターンシップ制度の拡充等、「オール龍谷」で教育体制の充実に力を注いでいます。今回は、同校のキャリアセンター長兼インターンシップ支援オフィス長であり、自ら経営学部で教鞭を振るっていらっしゃる松永教授(写真中)に、龍谷大学独自のキャリア支援の方針等について、詳しくお話を伺ってきました。
※記事の内容は取材当時のものです。

2020年度より全学部の1年次正課科目内で、キャリア教育を実施。

――龍谷大学の校風や特徴についてお教えください。
一番の特徴は「建学の精神が形骸化していない大学」だということです。本学の建学の精神は「浄土真宗の精神」であり、「真実を求め、真実に生き、真実を顕かにする」ことのできる人間の育成を実現するために、「平等」「自立」「内省」「感謝」「平和」の5つの心を持った人材の輩出を目指しています。学生にもわかりやすいこの5つの心は、1年次の正課必修科目でもある「仏教の思想」において学び、学生生活のあらゆるシーンで自らの言動と結び付けやすく、身近な教えとして学生に深く浸透しており、これが本学の真面目で誠実な校風や学生気質に色濃く反映され、人材育成にもつながっていると考えています。

また創立380年を迎えた昨年に「自省利他」という新たな行動・実践哲学を発信しましたが、「自らを省み、他人に尽くす」という教えを学んでいく中で、社会課題に対して自分は何ができるのかといった問題意識を持つ学生が多いのも特徴です。事実、関西の大学発スタートアップ企業数で本学は京都大学、大阪大学に次ぐ3位※となっており、なかでもソーシャルベンチャーと呼ばれる社会課題の解決を目指して起業するケースが相次いでいます。本学では1991年に産学連携を手掛ける龍谷エクステンションセンター(REC)を設立し、2019年にはユヌスソーシャルビジネスリサーチセンターを創設する等、社会・地域課題の解決を目指す学生への様々な支援を展開しており、起業家精神(アントレプレナーシップ)を持った人材育成に資するプログラムの展開等、キャリアセンターとも連携を強化しています。キャリアセンターとしては、起業を目指す学生のみならず、多くの学生にもそのマインドは伝えていきたいと考えています。

※出典:経済産業省「令和元年度大学発ベンチャー実態等調査」
――就職だけでなく起業も学生のキャリアのひとつの選択肢として、大学全体で支援しておられるんですね。
これまでは「キャリア=就職」として語ることが多かったと思うのですが、「キャリア=将来設計」として捉え、就職のことだけではなく、「キャリア教育」と「進路・就職支援」を柱としています。社会人として生きていくため、一人ひとりが生涯向き合っていく「自身の将来設計」を早い段階から意識し、準備をすることが重要であり、大学教育における正課・正課外のすべての学びこそが、最大のキャリア支援であるということを、私達キャリアセンター職員だけでなく全ての教職員、そして学生が認識をすることが重要だと考え、様々な機会を通じて情報発信に努めています。もちろん、就職支援が主になりますが、起業だけでなく国内外への大学院進学等、学生の多岐にわたる進路についても関係部署と連携を取りつつ、支援をしていきたいと思っています。

本学ではその新たな一歩として、低学年次からのキャリア教育の重要性に鑑み、2020年度より全学部で正課科目内におけるキャリア教育の実施を始めました。これまでは学部によってキャリア教育に対する取り組みは様々でしたが、各学部の教務・キャリア担当教職員とキャリアセンターの学部担当職員が協働し、両輪となる形で実現に至りました。具体的には、全ての学部の1年次正課科目の演習等を活用し、本学および各学部のキャリ支援の方針や人材育成の方向性を学び、自身の4年間の学生生活や将来設計を考える場を短時間でも設定できたことは、本学のキャリア教育・支援にとって大きな一歩だと考えています。

1・2年次生が先輩の就職活動を支える「キャリアサポーター」。

――正課だけでなく、正課外でのキャリア教育にも積極的に取り組んでおられますね。
キャリアセンターの取り組みとして特徴的なのが、2003年から始動した「キャリアサポーター」です。多くの大学では先輩や卒業生がこれから就活を始める後輩を支援する制度として実施しており、当センターでも「キャリアアシスタント」として活躍していますが、本学では1・2年次生が「キャリアサポーター」としてキャリアセンターの実施するイベントをサポートし、先輩の就職活動を支える活動として実施しています。学内合同企業研究会等の企画・運営を通じて社会人と接することで、早くから話し方やマナーを身に付けることができますし、先輩の活動を見ることで数年後の自分の姿を具体的にイメージすることができるため、とても有意義な活動だと学生にも好評で、課外活動の部活・サークルのような位置付けで1年次から多くの学生が所属し、成長の機会としています。
――インターンシップについても多彩なプログラムをご用意しておられます。
本学では協定を締結している企業・団体での「協定型インターンシップ」を15年にわたり全学部生を対象に実施しています。ほぼ全学部から選出される担当教員による濃厚な事前・事後学修と関西の企業・団体を中心とした現場でのインターンシップ実習は正課科目として位置づけられています。また、2018年度からは首都圏の企業、2020年度からはグローバルな企業等にも協力を得るなど、さらなる進化を遂げています。他にも「アカデミックインターンシップ」「長期プロジェクトインターンシップ」「海外インターンシップ」のインターンシッププログラムを用意し、大学における学びの意義を認識し、学生の自立とキャリア形成を支援する実践的な教育プログラムと位置づけ、全学的に取り組んでいます。

また2017年度から1・2年次生を対象に、グローバルにビジネスを展開する企業や国際機関での仕事を通じて、グローバルキャリアとは何かを学ぶ「グローバル・キャリア・チャレンジプログラム(GCCP)」をグローバル教育推進センターと連携して実施しています。正課外のキャリア教育プログラムとして展開しているこのプログラムは、グローバル企業や国際機関で活躍する講師による課題解決型のグループワークを中心とし、企業見学なども実施しています。最終の成果発表会で優秀賞等を獲得したチームには海外インターンシップ枠を授与し、グローバル社会で活躍できる人材の育成を目指しています。
――しかし今年は新型コロナウイルスの影響で、インターンシップの実施は難しいそうですね。
残念ながら予定していた協定型インターンシッププログラムをはじめとする多くのプログラムはほぼ中止となってしまいました。それでも、一部の企業やプログラムではオンラインにてインターンシップを実施しているため、それに対応した支援を展開しています。さらに、延期にしていた「グローバル・キャリア・チャレンジプログラム(GCCP)」は後期にオンラインで実施することになりましたが、海外インターンシップについては当面は難しいと思います。

今年は入学式も中止となり、例年、オリエンテーション期間に実施している新入生対象の「キャリアガイダンス」等も実施することができなかったのですが、幸い今年度からは先ほど申し上げた正課内の1年次の演習等でキャリア教育を展開するしくみが全学部でスタートしておりましたので、キャリアセンターから伝えたいことに関しては、それらの授業を通じて発信できました。実際、低年次生向けのインターンシッププログラムには例年以上の反響がありましたので、中止になったことを踏まえて今後のフォローにも力を入れていきたいと思っています。またインターンシップをはじめ就活生への進路・就職支援についても、ガイダンスのLIVE配信・録画配信や個別相談・模擬面接のWeb化といったオンライン化への準備をコロナ禍以前の昨年度より先駆けて進めておりましたので、比較的スムーズに対応できたのではないかと考えています。

※冒頭の写真は6月初旬に開催された緊急オンライン就活イベントの模様です。

様々な機会を通じて「キャリア=将来設計」を考えさせることが重要。

――全国から学生が集まっている貴校だけに、U・Iターン就職支援も充実しています。
本学では地域経済を支える人材の育成・確保に向けて、現在17府県の自治体とU・Iターンの促進を目的とした就職支援協定を締結しており、学内での合同企業研究会や全国での保護者会に各自治体の担当者や企業をお招きしたり、U・Iターン相談会を開催したりする等、積極的に支援しています。またU・Iターンに関しても低学年次からの意識の醸成が大切だと考え、4月のオリエンテーション期間に地方出身の新入生を対象にした「ふるさとタイム」を実施し、協定を締結している府県のU・Iターン担当者にお越しいただき、卒業後の進路を見据えた様々な情報を提供しています。
――様々な機会を通じて、学生に「キャリア=将来設計」を考えさせることが、やはり重要だという事ですね。
仰る通りで、U・Iターンで連携させていただいている自治体や保護者会・校友会といった学外の方はもちろん、まずは各学部との連携を密にし、キャリア教育を展開することが重要であり、アセスメントテストやeポートフォリオの全学導入等の支援体制も推進しています。その上で留学生支援を含めたグローバル教育推進センターとの連携や障がい学生支援室、社会貢献を軸にしている龍谷エクステンションセンター、ボランティア・NPO活動センター、課外活動を支援する学生部(スポーツ・文化活動強化センター)、龍谷総合学園(教育連携校)などを所管する高大連携推進室等、そして東京オフィス・大阪オフィスといった学内組織とキャリアセンターが協働し、「オール龍谷」で学生のキャリアを支援することが最も重要ですし、全ての方々と全方位的に取り組みを強化していくことがキャリアセンターに与えられたミッションだと考えています。就職率に代表される数字ももちろん大事ですが、そこばかりに囚われず、充実した大学生活が満足のいく進路決定につながるという視点から、本質的な学生のキャリア支援のあり方を今後も突き詰めていきたいと思います。
――では最後に、貴校並びに貴校学生のPRをお願い申し上げます。
本学の学生は真面目で誠実という評価をよくいただきます。繰り返しになりますが、それは本学の建学の精神が基礎となり、自省利他の精神によって社会課題に対して自分に何ができるのかといった問題意識を持つ学生が多いことが特徴のひとつであるのが理由といえます。無限の可能性を追求し、自分の未来を切り拓いていく学生であってほしいという「You,Unlimited」を本学のスローガンとして掲げており、このような高いポテンシャルを持つ学生が多いことをぜひ認識していただきたいと思います。本学では、学生自身が充実した大学4年間を過ごし、学び、成長していく中で、自身の適性を見極め、満足のいく進路決定につながるよう、「オール龍谷」でキャリア支援を推進し、内に秘めているポテンシャルをさらに高めていきたいと考えています。人事ご担当の皆様にはぜひその内面をご覧いただき、ご評価いただければ幸いです。これからも皆様のご期待に応えられる人材の育成・輩出に努めてまいりますので、今後とも本学並びに本学学生と本学卒業生をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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