HR用語の基礎知識

ハロー効果

人事の図書館 編集長 大西直樹
「ハロー効果」とは心理学の用語です。ハロー効果の「ハロー」は英語の「halo」で、キリストや聖人等の絵画で頭の後ろや素の人の背景等に描かれている光の環のことで、これによってその人物を特別な人と認識されやすくしています。このことからハロー効果とは、あるモノやヒトの対象を評価するときに、一つの特徴に引っ張られてその対象を歪めて見る人間の心理を指します。

ハロー効果という言葉は、1920年に心理学者エドワード・ソーンダイクが書いた論文で初めて使われました。ハロー効果が起きる理由は、原始的な時代に生き抜くためには物事を即断することが有利であって、そのことが遺伝的に受け継がれているのではないかと考えられていますが、実際のところはわかっていません。

人事担当者が注意すべき「ハローエラー」

ハロー効果には、ポジティブとネガティブの2種類があります。

【ポジティブハロー効果】
特定分野における高い評価に引きずられて、関係ない他の分野まで高く評価がつけられてしまうことです。学歴の高い人や語学が堪能な人が、実際の業務実績に関わらず、なんとなく「仕事ができる人」と評価されがちなのも、一種のポジティブハロー効果です。

【ネガティブハロー効果】
ネガティブハロー効果はその逆で、特定分野の評価が低いせいで、他の分野の評価まで低くなってしまう現象のことをいいます。また、ハロー効果によって実際の業績や本人の能力と乖離した評価を下してしまうことを「ハローエラー」といい、人事担当者が注意すべき点として挙げられます。

ハロー効果とよく似た現象の一つとして「ピグマリオン効果」というものがあります。ピグマリオン効果とは他者に期待されていると感じることによって、成績をあげる現象のことです。教育心理学者のロバート・ローゼンタールによって提唱された現象であり、「ローゼンタール効果」とも呼ばれます。

ピグマリオン効果は、相手の潜在能力を引き出す際に有効で、部下や新人を育成する際などに役立ちます。

◆ピグマリオン効果:育成時に相手へ使う手法
◆ハロー効果:評価の見え方を変化させる現象

と考えると違いが分かりやすくなります。

ハロー効果が面接・人事評価に与える影響。

ハロー効果が表れることによって、面接に影響を及ぼすことがあります。

◆経歴をもとにした判断
履歴書等に記載された学歴、職歴をもとに判断してしまうことにより、面接前からポジティブハロー効果、もしくはネガティブハロー効果が起こってしまい、バイアスのかかった評価をしてしまう恐れがあります。

◆スキルの拡大解釈
グローバル展開を考えている企業に、英語のスキルを持った人材が面接に現れたらどうでしょうか。日常英会話とビジネス英会話ではスキルレベルが違いますし、英語ができるということはビジネススキルがあることを意味しないことは明白です。しかし、ポジティブハロー効果が起こってしまえば「英語のできる=仕事ができる人材」と、思ってしまうかもしれません。

◆見た目で判断
ポジティブハロー効果は、見た目の第一印象で起こる場合がほとんどです。同程度の経歴であれば、見た目で評価してしまう場合もありえますが、これは正しい評価法とは言えず、多角的に人物を見極める必要があるでしょう。

また人事考課の際にもハロー効果は大きな影響を受けます。上記のように「有名大学を卒業している」といった過去の経歴を含め、考課者が対象者を個人的に気に入っているといった感情的な評価によって、実際の仕事の出来具合いの評価が歪められてしまう場合があるのです。

◆実際は業務を十分に遂行する能力が無いにも関わらず、ハロー効果によって評価を得た人物が出世してしまう。
◆実際に仕事ができる人物が正当な評価を受けられないと感じ、会社を離れてしまう。

このように、もしハロー効果を考慮せず人事考課を行った場合、様々な損失が生まれる可能性があるため、人事考課の際にハロー効果を考慮した対策を行うことは必須と言えます。

人事考課で「ハローエラー」を起こさない対策。

では実際に人事考課の際にハロー効果を抑えるにはどのような対策が必要なのでしょうか。

◆評価項目や基準を明確にする
まずは評価項目や基準を明確にすることです。「ノルマをどれくらい達成できているか」といった数値化できる項目等によって人事考課を行うことで、ハロー効果の影響を抑えることが可能となります。

◆客観性の高い評価ができる環境を構築する
次に客観性の高い評価ができる環境を構築するということです。具体的には一人の考課者の独断で人事考課を行わず、複数の考課者によって判断を行うといったことが挙げられます。

◆評価する人が自分の癖や評価傾向を理解した上で評価する
最後に人事考課を行う者が自分の癖や評価傾向を理解した上で評価を行うということです。先述したようにハロー効果というのは無意識のうちに行われる現象です。そのため、どれほど対策を行ってもある程度人事考課に影響が出るのは免れません。しかし、このような事実を認識した上で意識的に評価を行えば、できる限りハロー効果の影響を抑えることは可能となります。

ハロー効果は、昔から人間が生活していくうえで欠かせない要素のひとつだったという説まであり、それほど実生活に根付いた現象だといえます。これを応用してマーケティングが行われたり、恋愛で活用されたりしていますが、ビジネス面では人事評価や社内での人間関係に大きな影響があり、円滑な企業活動を行っていくためには、これらの心理的現象は排除しなければなりません。特に人事担当者はハロー効果がどのような形で私たちの心理面に影響するのか、理解しておくことが重要となってくるでしょう。

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