HR関連法令・制度のご紹介

パートタイム・有期雇用労働法

人事の図書館 編集担当者

働き方改革関連法の目玉施策の1つ

2019年より順次適用が開始され、企業・求職者ともに大きく注目を集めている「働き方改革関連法」。従業員を雇用する全ての企業が把握して対応しなければならない内容となっており、人事の図書館でも、2019年10月21日に特集記事を掲載しています。

なかでも、今回取り上げる、パートタイム・有期雇用労働法は、同関連法の目玉施策ともいえる内容となっています。正式には「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」という名前で、多様な就業形態で働く人々が、それぞれの意欲や能力を十分に発揮し、その働きや貢献に応じた待遇を得ることのできる「公正な待遇の実現」を目指す法律となっています。改正法は2020年4月(※中小企業では2021年4月)から施行となり、既に契約社員・派遣社員を雇用している企業も、新しい法律に沿った対応や雇用管理が求められます。

今回の改正で企業が留意すべき点や、改正のポイントを解説いたします。

対象が派遣労働者にも広がります

まず、今回の法律の対象となる、パートタイム労働者と有期雇用労働者の定義は以下の通りです。

■「パートタイム労働者」の定義
パートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされており、「職務の内容」と「人材活用の仕組み」が正社員と同一で、「無期労働契約」を締結している方を指します。現行法と異なり、事業所単位ではなく企業単位で判断することになります。企業によってはパートタイマー、時短勤務等様々な呼称がありますが、同職種の正社員より1週間の所定労働時間が1時間でも短ければパートタイム労働者となります。

■「有期雇用労働者」の定義
事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいいます。これまでは期間の定めのない者(=無期雇用労働者)のみが、この法律による保護の対象でしたが、改正に伴って新たに有期雇用労働者が保護の対象となった点にご留意ください。パートタイム労働者の雇用はしていないものの、派遣労働者を活用している企業については、法対応の必要がございます。

また、「パートタイム労働者」「有期雇用労働者」いずれの場合においても、労働基準法に定められている雇い入れ時の労働条件に加え、昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・相談窓口を明示することとなっており、違反した場合、行政指導によっても改善が見られなければ10万円以下の過料の対象となります。

改正のポイントは3点

今回の改正のポイントは、3つです。

(1)不合理な待遇差の禁止
パートタイム・有期雇用労働者であることを理由にして、基本給や賞与役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練など、あらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されることとなります。例えば、正社員には全額支給されている通勤手当を、同一の支給要件を満たす有期雇用労働者に支給しない、等といったことが全面的に禁止されます。

(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
パートタイム労働者・有期雇用労働者は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、 事業主に対して説明を求めることができるようになり、企業は、求めがあった場合にその説明義務を負うだけでなく、説明を求めた労働者に不利益な取り扱いをしないよう明記されています。また、説明についても、「将来の役割期待が異なるため」という主観的・抽象的なものではなく、賃金の決定基準・ルールの違いが、職務内容や、異動の有無等、客観的・具体的な実態と照らして不合理でないように説明をする必要があります。

(3)行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
ADRとは、民事上の紛争を解決しようとする紛争の当事者のため、裁判ではなく公正な第三者が関与して、その解決を図る手続きのことを差します。この法律に関してトラブルが発生した際は、各都道府県の労働局が仲裁することとなっており、法律が順守されていなければ、行政指導の対象となる可能性もあります。

これらの改正点からもわかるように、今後ますます増加するであろう多様な働き方に対応すべく、正社員と比べても弱い立場の労働者を保護する施策となっています。法改正を契機とし、労働環境や長時間労働の見直し、多様で柔軟な働き方の実現に向けた検討や、従業員満足度の向上などを進めていくことが、中長期的に安定した人材の確保といった結果にも繋がることでしょう。

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