グローバル人材採用のススメ

外国籍人財の活用で、真のグローバル化を加速させる。

ローム株式会社 人事部 人財戦略課 築山光さん/山内翔太さん/野口恵里さん
ローム株式会社
1958年、抵抗器メーカーとして設立したローム株式会社。その後1970年代に日本企業として初めてアメリカのシリコンバレーに進出し、本格的に半導体分野に参入。現在では自動車や産業機器、通信機器や家電製品といった、様々な分野で欠かせない半導体製品の開発、製造、販売をワールドワイドに展開し、連結グループ会社約45社、従業員数約23,000人、売上の海外比率が6割以上といった、日本を代表するグローバル企業に成長しています。今回は同社の採用方針、そしてグローバル人財採用の狙い等について、人事部人財戦略課の築山光さん(写真左)、山内翔太さん(写真中)、野口恵里さん(写真右)にお話をお伺いしました。
※記事の内容は取材当時のものです。

「品質」とは、製品だけを指す言葉ではない。

――設立当初は今の時代でいう「ベンチャー企業」だった御社ですが、60年強で国内のみならず海外でも欠かすことができない企業に成長なさった、その原動力は何にあるのでしょうか?
野口:様々な要因があるかとは思いますが、一番の原動力は、「われわれは、つねに品質を第一とする。」というロームの企業目的が、社員全員に浸透していることだと考えています。ここでいう「品質」は、製品の品質はもちろん、社員一人ひとりのマナーや態度、勤勉さといった人格の品質、そしてお客様をはじめとする全てのステークホルダーに安定して価値をご提供し続けるための経営の品質が含まれています。

山内:そして、野口の申し上げた、品質第一の企業目的には、「いかなる困難があろうとも、良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、文化の進歩向上に貢献することを目的とする。」と続きます。私はいかなる困難があろうとも、決して諦めることなく果敢にチャレンジしていくベンチャー精神が、ロームのDNAとして脈々を受け継がれていることも、原動力だと考えています。半導体業界は非常に変化の激しい、また流れの速い業界ですが、社員全員が設立当時と同じ熱い気持ちを持って、失敗を恐れることなく常に挑戦し、困難に立ち向かい続けてきたことが、現在の発展を支えていると思います。

築山:ロームには営業・生産拠点を中心に海外に70を超える現地事務所があり、それぞれで現地の人財を採用します。こうした方々にも私たちと同じ想いで働いていただくために、それぞれの拠点に本社から社員が訪問し、CMW(カンパニーミッションワークショップ)という活動を通じて、企業目的の共有を図っています。世界中のどこで働いていても、企業目的という旗印のもとで一つになって挑戦し続けられる、こうした企業風土がロームの強みになっていることは間違いないと思います。
――こうした想いや価値観を理解・共有できる方が、御社が求める人財像ということになるのでしょうか?
山内:仰る通りで、私たちはそれを「情熱」「スピード」「科学的探究心」という3つのワードで説明しています。「情熱」は先ほどご説明したロームのDNAの根幹をなすものであり、自らの熱い想い、強い信念で自分はもちろん、他者の思考や行動に火をつけることができる方が、ロームで活躍している方に多いように感じています。

築山:「スピード」も先ほどご説明した通り、変化の激しい半導体業界において、既存のルールに捉われず、「まずやってみる」、行動力とスピード感を持った方が、ロームの成長には不可欠だと考えています。

野口:最後の「科学的探究心」ですが、これから大学・大学院を卒業し、社会に出られる方々は、長い方だと働く期間が50年に及ぶ方もいると思います。その間、技術革新は立ち止まることなく進歩を続けていきますので、そうした新技術・新分野に興味、関心を持ち、常に自己を高め続けられると共に、現場・現物・現実を重視して、物事の本質を突き詰めることができる方に、ぜひロームの仲間になっていただきたいと思います。

2008年より本格的に、グローバル人財を採用。

――2020年3月卒の採用状況はいかがでしょうか?
山内:約110名の新入社員をお迎えする予定で、職種別にはエンジニアが約60名、営業・管理系が約30名、一般職が約20名になります。京都本社に西日本エリア、新横浜拠点に東日本エリアの担当者が在籍し、全国で採用活動を行っています。

築山:ロームは半導体の研究開発から生産、販売までを一貫して行っていますので、理工系学部と文系学部の方を幅広く、積極的に採用しています。毎年の採用を安定させるため、特別なことをやるというよりは、既存社員のつながりを活かした学校・研究室訪問やOB・OG訪問対応等を通じて、大学、教員、キャリアセンターとの関係性の強化に努めています。

野口:特に理工系の採用に関しては、人事部の力だけでは年々難しくなってきています。ロームでは電気・電子、機械、材料、化学、その他、理工系学生を対象にしたインターンシップにも注力しており、毎年約50名の学生に対して約2週間半、ロームの新入社員が実際に行う仕事を経験してもらうという現場受入れ型のインターンシップを実施しております。学生は仕事のイメージをよりクリアにすることで、自身の研究や専門性の活かし方を明確にできると思いますから、私は良い経験の場を提供できたと感じています。

山内:ロームとしても、学生との交流を通して学ぶことがあったり、新たな視点を得られることが多く、今年もぜひ受け入れたいと考えています。人事部としてはこうした機会を数多く作ることで、ロームで活躍してもらえる理工系人財の安定確保につなげていければと考えています。
――では次に、グローバル人財の採用のご状況についてお教えください。
築山:ロームでは2008年より本格的に外国籍人財の新卒採用を開始しており、主に日本に来ている留学生の方を毎年数名程度、また既卒者に関しても、現場からの要望に合致した外国籍人財を採用し、活躍いただいております。

野口:ただし、外国籍人財だからと言って特別な募集・選考方法を実施しているわけではなく、求める人財像も日本人と一緒で、まずそこに合致するかが最も重要なポイントになります。日本語能力に関してはN1以上が理想的ですが、これも入社までにということで、選考段階での条件ではありません。

山内:入社後の研修についても同様に日本人社員と一緒に受けていただいていますが、外国籍人財のフォロー施策として、集合研修の際に語学が堪能な社員とペアにする、外国籍人財をつなげるコミュニティづくり、日本語教室の斡旋等をおこなっています。ロームが早くからグローバル展開に取り組んでいることに加えて、2008年から定期的に受け入れていることで、社員間では外国籍人財をフォローすることが当たり前になっています。ここにいる3名も入社時からこうした環境で仕事をしておりますので、違和感は全くありませんね。

採用も、企業目的に沿った方向性で推進していく。

――では、グローバル人財を採用することのメリットは、どこにあるとお考えでしょうか?
野口:まず挙げられるのが「組織の活性化」です。ロームが今後さらにグローバル化を加速させていくには、異なる文化や価値観を持った方を受け入れることができる視野の広さ、そしてボーダーレス化の推進とコミュニケーションスキルの向上が欠かせません。

山内:ロームは売上の海外比率が6割以上ですので、当然のことながら業務上での海外とのやり取りも頻繁にありますし、海外赴任者も多いですから、日本人にもグローバル視点は必要不可欠です。普段からグローバル人財と自然に接することで、そうした感性を磨き、職場環境、ひいては会社全体の活性化につなげられているのは、大きなメリットだと言えますね。

築山:また、他の社員への刺激剤になっている点も、大きなメリットだと感じています。母国を離れ、日本でチャンスを掴もうとしているグローバル人財は、広い視野を持ちチャレンジスピリッツに溢れています。そうした人財と切磋琢磨することで、刺激を受け、より高い次元でライバル関係が作れることは、会社の将来にとってとても有益なことだと考えています。
――では最後に、今後さらなるグローバル人財の有効活用や、新卒一括採用から通年採用へ、といった様々な採用環境の変化が予想されていますが、対応策はどのようにお考えでしょうか?
山内:これからの新卒採用は、手法を固定化せず、変化し続けていくことが求められる時代になっていくと考えています。ただし、これだけ情報が錯綜している時代でもありますので、それらに惑わされないようにしなければなりません。そのために学生はもちろん、大学、教員、そしてキャリアセンターとの関係性をより大切に考え、正しい情報をキャッチアップする努力を怠らないよう、心掛けています。

築山:就職活動が早期化する中、学生との接点をより多様化させることも重要だと考えています。例えばロームが出展する展示会に大学関係者や学生を招待したり、ローム製品を使った電子工作体験ができるハンズオンを主催したり、ロームのことを知っていただき、興味・関心を持っていただける機会を増やしていきたいですね。

野口:大学教員やキャリアセンターの皆様にロームのことを知っていただき、緊密な関係を築くというのが私たちの目標です。そのためにはまず私たちが情熱とスピードを持ち、現場の生の声や実際の採用環境の動きを重視する、そうしたロームの企業目的に沿った採用活動を推進することがより必要になってくるかと思いますので、人事部だけでなく会社全体の「ONE TEAM」で、未来の成長に向けて共に歩む人財の採用に取り組んで参ります。

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