HR用語の基礎知識

ワーケーション

人事の図書館 編集長 大西直樹

「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語。

「ワーケーション」とは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語で、休暇中に旅先等で仕事をする新たなテレワークの仕組みとして広まりつつあるスタイルです。もともとはアメリカで生まれた考え方ですが、2017年に日本航空(JAL)が導入したことで、日本でも働き方改革・休み方改革の新しい手法として注目されるようになりました。

ワーケーションが注目される要因としてまず挙げられるのが、日本における「低い有給取得率」です。旅行サイト「エクスペディア・ジャパン」の「世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2018」によると、日本人の有給休暇取得率は50%にとどまっており、3年連続で最下位。支給日数と取得日数の差も10日と最も多く、日本人は休みを与えられているにも関わらず、実際には取得できていないという結果になっています。

◆各国の有給休暇の平均支給日数・取得日数・取得率
次に考えられる要因は、日本人の「低い長期休暇取得率」です。同じくエクスペディア・ジャパンの調査では、日本人の休暇の取り方は「短い休暇を複数回」という人の割合が43%とトップで、欧米のように長期休暇でしっかりリフレッシュするという休み方ができておらず、休暇の質が低く、結果として生産性が上がらないという社会問題につながっていることが指摘されています。

◆各国の「休暇は『短い休暇を複数回』という人の割合」
そこで、休めない、休みづらいことを逆手にとって、仕事と休暇を合体させてしまおうという発想から、ワーケーションが生まれました。

ワーケーションのメリット・デメリットとは?

では次に、ワーケーションのメリット・デメリットについてご紹介します。

△メリット1:業務へのモチベーションアップ
旅先で仕事をすることができますので、仕事時間以外を自由にバケーションスポットで過ごせます。そのため、早く仕事を終えてエンジョイしたいという思いが、生産性やパフォーマンスを向上につながると期待できます。

△メリット2:家族や友人、恋人と過ごす時間が増える
多くのビジネスパーソンが日々の業務に忙殺されて家族や友人、恋人とゆっくり過ごす時間が取れない中、実家に帰省したり、友人や恋人と旅行に出かけた先で仕事をすることで、これまで失っていた大切な人との時間を過ごすことができます。

△メリット3:リフレッシュ効果で業務効率が上がる
ワーケーションでは一歩仕事を離れれば、家族や友人と話したり、その土地のリフレッシュスポットがすぐに活用できます。仕事のオンとオフの切り替えがすぐにでき、業務効率が上がると言われています。

▼デメリット1:コミュニケーションコストがかかる
最大のデメリットは、ITツールの普及で便利になったとはいえ、やはりリアルなコミュニケーションに比べるとコストがかかったり、不自由である点です。また、情報漏洩のリスクに備えるための設備・機器にかかるコストも必要になります。

▼デメリット2:労働時間の管理が煩雑になる
ワーケーション中は勤務時間の過ごし方を実際に上司が目で見て確認できませんので、勤怠の管理や休暇の定義を見直す必要が出てきたり、管理が煩雑になることが考えられます。

地方自治体・観光地も受け入れ体制を整備。

では、ワーケーションを導入するにあたって必要なこととは何でしょうか?

◆1:制度・ルール作り
実施するにあたって、業務の進め方や量、期日といったルールを事前に決めておく必要があります。そうしないと会社と社員の認識にズレが生じてしまい、業務に支障をきたす可能性があります。

◆2:コミュニケーションツールの整備
遠隔地とストレスなくコミュニケーションを図るためのビデオ会議や音声通話、チャットツール等のコミュニケーションツールを整備しておく必要があります。

◆3:仕事環境の確保
休暇先で働く場所を事前に確保しておかないと、いざ仕事をしようとなった際にインターネットが使えなかった、といったトラブルになりかねません。Wifi環境はあるか、作業できるデスクやスペースはあるかといった点は事前に確認しておきましょう。

ワーケーションには企業だけでなく、長期滞在が見込める観光地や地方自治体からも大きな期待が寄せられています。例えば和歌山県では県内のワーケーションに関する情報を発信するWEBサイト「WWP(WAKAYAMA WORKATION PROJECT)」を開設したり、ビーチや温泉で有名な同県白浜町では2019年5月に不動産大手の三菱地所が町内にワーケーションオフィス「WORK×ation Site 南紀白浜」をオープンさせる等、積極的に取り組みをを進めています。また2019年11月には、和歌山県や長野県等7道県58市町村で構成する「ワーケーション自治体協議会」が設立されており、受け入れ側の体制も着々と整備されています。

ここまで、新しい働き方である「ワーケーション」についてご紹介してきました。ワーケーションを成功させるには、仕事と休暇の定義、企業と社員双方のワーケーションへの理解、場所・環境の充実、そして何より社員が自分で仕事をコントロールできる自律性が不可欠です。働き方改革の一環として、またES(従業員満足度)の向上のため、御社でも導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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