企業の動向

5月以降、2019年卒採用の内々定出しがペースアップしている。弊社が6月上旬に実施した内々定率調査では、1社以上内々定を獲得している学生が68.0%と7割に迫る。もっとも就職活動継続中の学生がまだ69.5%と高い水準にあり、各社とも気を抜けない状態だ。理工系学生中心の採用を行っている中堅メーカーA社では、ゴールデンウィーク前に内々定出しを進めたが、ゴールデンウィークが明けるとともに辞退の連絡が相次ぎ、第2クールで確保しなければならない学生数が予定よりも増えてしまったと言う。採用ニーズのより高い理工系学生を追加で確保するという難題を突き付けられた状況だ。また、金融系の中小企業B社では、30名の採用予定数に対して既に45名の内々定を出しているが、承諾は2名のみ。入社に至りそうな学生数が読めないことが悩みの種である。反対に「順調に進んでいる」「想定通り」という声が聞かれるのは、インターンシップに注力して3月より前に多くの学生と接点を設けた企業からである。結果として就職活動の早期化、長期化を招いていると言えなくはないが、インターンシップが採用の成否を左右する状況となっている。その一方で、企業によっては新卒採用にこだわらず、20代の中途も含めた通年採用での若手人材確保を目指す動きも出てきている。少子高齢化に伴い、新卒採用の対象となる学生数の減少は不可避だ。その中で少し対象や採用活動期間を広げ、若手人材確保に乗り出す動きは今後も広がっていきそうだ。(四十山 聡)

学生の動向および学生を取り巻く就職環境について

5月以降、大学キャリアセンターには2019年卒学生からの内々定報告が急増している。地域や専攻によって差はあるが、各大学が把握している内々定率は概ね30~40%といったところだ。しかし内々定先に満足して就職活動を終える学生は少数であり、内々定を保持しつつ、夏休み前後までは活動を継続する意向の学生が多い。大学には内々定報告とともに提出期限の迫った承諾書への返答の仕方に関する相談も相次いでいる。いずれにしても内々定の重みが学生と企業で大きく異なっており、企業は内々定者の動向について例年以上に注意を払う必要があるだろう。一方で選考が上手くいかなかった学生が就職活動をリスタートさせる動きも広がっている。3月より開催されている「就職博」に関して、東京では5月下旬開催が、大阪では6月上旬開催が、今年度において2019年卒学生の来場が最も多い回となった。就職博参加者のうち「なかなか面接が突破できない」という学生に話を聞くと、エントリー社数が10社前後、面接回数は数回程度といった、行動量の少ない学生が目立つ。こうした学生からはアプローチした企業の少なさを悔やむ声も聞かれ、今から仕切り直しということで積極的に企業訪問を行っていた。
2020年卒学生については学内での前期就職ガイダンス実施が本格化しているが、大半の大学で学生の参加状況が前年同時期を上回っている。夏のインターンシップに向けての情報収集や準備に余念が無いようだ。6月中~下旬に東京・名古屋・大阪で開催される弊社主催「インターンシップ博」の事前予約者数はどの地区も前年同時期を大きく上回りながら推移しており、学生のインターンシップへの関心の高さが伺える。(江村 朋裕)