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学情レポート【COMPASS】2018.01

次代を担う人材を育成する大学~注目分野の新設学部・学科~

「情報」「国際」「地域」「観光」「看護」「健康」「スポーツ」…。これまで大学において時代や産業界の要請に伴い数多くの学部・学科が誕生してきた。2017年度には50を超える学部が、そして約200の学科が新たに誕生したとされる(改組を含む)。定員割れに苦しむ大学がある一方で、それだけの学部・学科が新設されていることに驚かれる方もいるかもしれない。ただ並行して定員削減や募集停止が行われており、少子化が待ったなしで進行する中で、大学の生き残りをかけた取捨選択が続いている。そうした状況下において新たに誕生する学部や学科はまさに時代を映す鏡と言える。

今世の中を見渡せば、人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ活用、自動運転など、あと何年も経たないうちに生活や労働環境に大きな変革をもたらすような目覚ましい技術発展が思い浮かぶだろう。また、地球環境を悪化させない再生可能エネルギー、これまで困難とされてきた病気の治療に大きく貢献するであろう再生医療など、過去の課題を乗り越え、将来世代に寄与する研究も進められている。

そこで今号では近年新たに設立された(あるいは設立される)中で、こうした分野を背負って立つ次世代人材育成に特に寄与するであろう学部・学科として、横浜市立大学・データサイエンス学部・データサイエンス学科(2018年4月新設予定)と関西学院大学・理工学部・先進エネルギーナノ工学科(2015年4月学科新設)をインタビュー形式で紹介する。

横浜市立大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科
■設立年月日:2018年4月1日  ■1学年の定員数:60名
■1期生の卒業年次:2022年3月

Q.1 新設学部・学科が誕生した背景をお教えください。

国において、「第5期科学技術基本計画」や「日本再興戦略2016」などで、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、人工知能(AI)の進展により、大学での高レベルなデータサイエンティスト等の人材育成が重要な取組の一つとされるなど、社会全体において、データサイエンスの重要性とニーズは急速に高まっています。横浜市立大学では、横浜市医療局との医療ビッグデータ解析の取組など、既にデータサイエンスにかかる様々な事業を進めています。また横浜市立大学は医学部・附属病院も有しており、領域横断的な教養教育を土台に、医学を含め応用領域の強みを活かした「データサイエンス学部」を設置することとしました。

Q.2 新設学部・学科の特徴をお教えください。

これまでに横浜市立大学で実施してきた文理融合型教育や医学部との医理連携の取組など横浜市立大学の強みを活かした体系的な教育を活かし、“「統計学・データ解析」や「計算機科学・アルゴリズム」の基礎に関する素養”に加え“経済社会の中で膨大なデータを駆使する素養”を習得します。つまり、数理・統計の基本的な知識だけでなく、データサイエンスで重要となる経済・経営学、医療統計学等応用分野の基礎も学修し、卒業生が将来データサイエンス人材として活躍するために必要となる知識を習得します。さらに、演習・PBL(Project Based Learning)教育などを通じて、コミュニケーション能力、課題発見・問題解決能力の高いデータサイエンス人材を育成します。

Q.3 新設学部・学科ならではの専門知識や技術を修得するための、目玉と言えるような実習やプログラムがございましたらお教えください。

データサイエンスは“応用”“現場”がキーワードとなります。横浜市立大学データサイエンス学部では、2年次後期から「計量経済学モデリング」、「医療統計学」等、修得したデータサイエンスに係る知識、技能の社会展開を目指す科目が提供され、自らの関心に応じてこれらの科目を選択し、さらに当該分野とデータサイエンスの関連性について学修を深めます。特徴となるのは、3年次から応用分野の演習である「専門領域演習」、4年次では個々のテーマを設定する「卒業研究」において、病院等の医療関係組織、経済・産業界等、“現場”の協力を得て、コミュニケーション能力の向上を含め、実践的な教育成果を得ることを目指すことにあります。

Q.4 卒業後に想定される進路(就職先の業界や職種等)をお教えください。

横浜市立大学データサイエンス学部が育てるのは、文理融合の「知」を持った人材です。卒業後は、時代をリードする幅広い分野での活躍が期待されます。もしかしたら、それはまだ存在していない職業かもしれません。

■金融(銀行、証券会社、生命保険・損害保険会社など)
…データコンサルタント、データアナリスト

■IT企業(インターネット関連会社、ネットショッピング運営会社など)
…製品開発、データマイニングエンジニア

■製造業(電機メーカーなど)
…製品開発、データマイニングエンジニア

■広告代理店、総合商社
…アカウントマネジャー、マーケティング担当

■製薬メーカー、大学病院
…臨床研究専門家

■公務員
…オープンデータに基づくアナリスト

■今はまだ存在していない職業

Q.5   将来採用する側として関わる企業(人事担当者)に対し、メッセージがございましたらお願いいたします。

横浜市立大学データサイエンス学部では、日々生み出される膨大な情報・データから新しい価値を創り出すことができる人材を育成します。ただデータを扱うだけではなく、高いコミュニケーション能力をもとに“現場”に入り込み、“現場”の課題発見・解決を見出す、次世代を担う人材です。特定の業種によらず、様々な“現場”で活躍できるデータサイエンス人材にぜひご期待ください。

新設学部・学科の主なカリキュラム

 1年次2年次
主なカリキュラム 総合講義(データサイエンス入門)/教養ゼミ/情報倫理/Practical English/線形代数学Ⅰ・Ⅱ/微積分学Ⅰ・Ⅱ/線形代数学実習Ⅰ・Ⅱ/微積分学実習Ⅰ・Ⅱ/集合・位相/情報リメディアル/コンピュータ演習/統計の数理Ⅰ 代数学/プログラミング演習Ⅰ・Ⅱ/統計の数理Ⅱ/多変量データ解析/統計モデリングⅠ/応用統計学Ⅰ/計算機概論/情報理論/アルゴリズム論/組合せ論/臨床研究・疫学入門Ⅰ/医療統計学/計量経済学モデリングAⅠ・B/サンプリング法/自然科学モデリング
3年次4年次
データ解析演習Ⅰ・Ⅱ/データマイニング/機械学習/統計モデリングⅡ/計算機統計学/応用統計学Ⅱ/データ可視化法/調査設計論/ビッグデータ解析/データベース論/並列分散処理/計算機数理/非構造化データ/最適化理論/数値解析/臨床研究・疫学入門Ⅱ/計量経済学モデリングAⅡ/金融時系列モデリング/量子計算モデリング/専門領域演習Ⅰ・Ⅱ 卒業研究Ⅰ・Ⅱ

関西学院大学 理工学部 先進エネルギーナノ工学科
■設立年月日:2015年4月  ■1学年の定員数:80名
■1期生の卒業年次:2019年3月
※理学部(理工学部の前身)自体は1961年に開設

Q.1 新設学部・学科が誕生した背景をお教えください。

新しいエネルギー社会の構築に向けて、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー技術を、系統的且つ総合的に教育研究する場が我国において必要となっています。そのような背景の下、2015年4月に設置されたのが本学理工学部先進エネルギーナノ工学科です。本学科の名称を「先進エネルギーナノ工学科」としたのは、先述した新しいエネルギー技術がナノテクノロジーをベースに発展しつつあることに由来しています。

Q.2 新設学部・学科の特徴をお教えください。

エネルギーを「創る」、「蓄える」、「運ぶ」、「有効に使う」の4つの教育研究分野を相互に関連付けながら学修できる点が、本学科の最大の特徴です。ナノテクノロジーをベースとした新しいエネルギー技術を系統的且つ総合的に学修することにより、当該分野において、幅広い知識と深い専門性を併せもつ人材を育成することを目指しています。

Q.3 新設学部・学科ならではの専門知識や技術を修得するための、目玉と言えるような実習やプログラムがございましたらお教えください。

3年次に履修する「ものづくり理工学実験Ⅰ」、「ものづくり理工学実験Ⅱ」では、1~3年次に学修した物理・化学をベースに、ナノテクノロジーや先進エネルギー科学・工学に関連した実験・実習に取り組みます。また、3年次、4年次に開講している専門科目においては、適宜、社会の一線で活躍されている外部講師を招いて、特別講義を行っていただいています。これにより、学生を最新の技術に触れさせ、さらに学生に学修していることと社会との接点を意識させるようにしています。

Q.4 卒業後に想定される進路(就職先の業界や職種等)をお教えください。

約半数の学生の大学院進学が想定されますが、大学院修了者も含めた進路としては、ナノレベルの物質制御や新原理に基づくエネルギー関連技術を武器に、新しくエネルギー産業分野に乗り入れてきた、あるいは乗り入れようとする企業群への就職が考えられます。具体的には、電気・電子・素材メーカーなどの基幹産業、通信・自動車産業といった技術総合型企業、そしてナノテクノロジーとは無縁と考えられがちですが実は深い関連をもつ重化学工業・電力などの重厚長大型産業が想定されます。

Q.5 将来採用する側として関わる企業(人事担当者)に対し、メッセージがございましたらお願いいたします。

ナノテクを駆使した新しいエネルギー関連技術(燃料電池、二次電池、省エネルギー半導体等)を学修した学生を数多く輩出いたしますので、是非採用をご検討ください。

新設学部・学科の主なカリキュラム

 1年次2年次
主なカリキュラム 先進エネルギーナノ工学入門

ナノケミストリーⅠ

電磁気学Ⅰ

電磁気学Ⅱ
物理数学Ⅰ
物理数学Ⅱ
ナノケミストリーⅡ
エネルギー材料熱力学
ナノ物性量子力学Ⅰ

3年次4年次

ノ物性量子力学Ⅱ/ナノケミストリーⅢ
統計熱力学/固体電子論/構造物性学
物質設計ナノ工学/プロセス設計ナノ工学
エネルギー変換と電気化学
エネルギー半導体工学
エネルギー電気・電子回路工学
ものづくり理工学実験Ⅰ
ものづくり理工学実験Ⅱ

卒業実験及び演習

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