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学情レポート【COMPASS】2016.11

企業・大学アンケート結果に見る
 『2017年卒採用の状況・2018年卒採用の展望』

東京・名古屋・大阪・福岡の4都市で開催された弊社主催「就職講演会・名刺交換会」には、多くの企業採用担当者ならびに大学就職支援担当者が来場した。各地区の来場者を対象に、採用活動状況や就職指導状況に関するアンケートを実施。今号ではその調査結果をもとに、2017年卒採用の現状や2018年卒採用の展望等についてレポートする。

※レポート内の各項目は小数点第一位を有効桁数として表記しているため、択一式の回答の合計が100.0%とならない場合があります。

調査概要

●調査対象:全国の企業採用担当者
      大学就職支援担当者
●有効回答数:企業担当者1,485件
       大学担当者361件
●調査方法:「就職講演会・名刺交換会」来場者
      へのアンケート
配布・回収
●調査期間:東 京/2016年8月23日~8月26日
      名古屋/2016年8月30日~9月 2日
      大 阪/2016年8月22日~8月26日 
      福 岡/2016年9月 7日~9月 9日 

1.企業アンケート結果

■2017年卒採用の状況について

経団連の「採用選考に関する指針」の改定により、3月採用広報解禁、6月選考解禁となった2017年卒採用。選考解禁から3ヵ月ほど経った時点での今回の調査では、各社の活動状況は「既に終了」が28.7%、「継続中」は66.0%となった。継続中が過半数を占めてはいるが、前年同時期調査では「既に終了」が14.5%、「継続中」が77.7%であったことを踏まえると、選考解禁時期の2ヵ月前倒しによってより早く活動を終えた企業が増加したことがうかがえる。「内々定を出した人数」「内々定承諾者数」についても、採用予定数に占める各人数の割合は前年度と比べ高まりが見られる。

数値だけを見れば採用活動をしやすい環境になったと言えそうだ。各社からも「スケジュールが短くなった分、学生が絞り込みを掛けてから企業セミナーに参加するため、最初から志望度の高い学生と出会いやすかった」「前年度は広報解禁から選考までの期間が長く間延びしてしまったが、今年度は学生の自社への気持ちを途切れさせずに内々定へと繋げられた」「6月に大手企業の選考から漏れた学生が相次いでエントリーしてくれ、6月以降の巻き返しが図りやすかった」といった肯定的な意見が聞かれた。

一方で「母集団形成に苦労した」「スケジュールがタイトになり、他社と選考がバッティングして学生を取りこぼした」「自社理解や志望動機形成を促す時間がなく、辞退者が増加した」といった意見もあり、一様に賛成というわけではないようだ。

Q. 現時点(8月下旬~9月上旬)の活動状況は?

現時点(8月下旬~9月上旬)の活動状況は?

■参考:前年度調査結果

Q.現時点(8月下旬~9月上旬)の活動状況は?

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Q. 採用予定数に占める「内々定を出した人数」の割合は?

内々定を出した人数の割合

Q. 採用予定数に占める「内々定承諾者数」の割合は?
 

内々定承諾者数の割合

採用広報解禁までの間に少しでも学生との接点を作ろうと、各社が注力したものがインターンシップである。2017年卒学生を主対象とするインターンシップを実施した企業は43.0%と半数に達する勢いだ。採用広報解禁日が12月1日→3月1日へと繰り下げられた2015年卒採用からインターンシップ実施企業は増大し、弊社調査では実施企業の割合は3年連続で上昇している。

しかし、「インターンシップを行ったことで自社への認知度、志望度が高まり、結果的に採用に結び付いた」というケースは珍しくないが、実施に関しての課題もあり気軽には実施しづらいものでもある。インターンシップ実施における課題として、「マンパワー不足」(58.1%)が1位に、次いで「社員の協力が得づらい」(35.1%)が上げられた。「採用に繋がらない」は24.2%に留まり、実施はしたいが人的要因により苦慮しているという企業が多いようだ。

Q. 2017年卒学生を主対象とする
 インターンシップの実施の有無は?

Q. 2017年卒学生を主対象とするインターンシップの実施の有無は?

Q. インターンシップ実施における課題は?(複数回答)
 

Q. インターンシップ実施における課題は?(複数回答)

■2018年卒採用の展望について

採用スケジュールの変動はなく、3月採用広報解禁、6月選考解禁で進行することが決まった2018年卒採用。大卒の求人倍率は2015年卒=1.61倍、2016年卒=1.73倍、2017年卒=1.74倍(出所:リクルートワークス研究所「ワークス大卒求人倍率調査」)とここ3年は高水準を維持しているが、2018年卒採用ではさらに採用意欲が高まりそうだ。採用予定数の見通し(前年度比)については、「並」が66.1%と過半数を占めるものの、「増やす」(18.0%)が「減らす」(2.9%)を15.1ポイント上回り、増加基調にある。採用予算(前年度比)についても、「増やす(「101~119%」「120%以上」の合計)」(20.7%)が「減らす(「80~99%」「51~79%」「50%以下」の合計)」(8.8%)を11.9ポイント上回った。採用予定数、採用予算の両側面から次年度の新卒採用に向けた各社の積極的な姿勢がうかがえる。

インターンシップの実施意欲も旺盛だ。2018年卒学生を主対象とするインターンシップの実施(予定)の有無について、「実施している・実施予定あり」が52.5%と過半数に達した。前述の2017年卒学生を主対象とするインターンシップ実施企業=43.0%を10ポイント近く上回っている。実施(予定)時期については「2016年12月~2017年1月」(50.5%)と「2017年2月」(48.0%)が「2016年7~9月」(46.2%)を上回った。インターンシップの主流ともいえる夏休み期間以上に冬期開催が盛り上がりを見せそうだ。2017年卒採用が長引き夏期開催に踏み出せなかったことや、2018年卒採用スタートが近づいた時期での開催により学生への印象付けを強化しようという意図が読み取れる。

Q. 2018年卒の採用予定数の見通し(前年度比)は?

Q. 2018年卒の採用予定数の見通し(前年度比)は?

Q. 2018年卒の採用予算(前年度比)は?

Q.  2018年卒の採用予算(前年度比)は?

※グラフ数値のうち、上段が採用予算の前年度比

Q. 2018年卒学生を主対象とするインターンシップの
実施(予定)の有無は?

Q. 2018年卒学生を主対象とするインターンシップの実施(予定)の有無は?

Q. 2018年卒学生を主対象とするインターンシップの
実施(予定)時期は?(複数回答)

Q. 2018年卒学生を主対象とするインターンシップの実施(予定)時期は?(複数回答)

 

2.大学アンケート結果

■2017年卒学生の状況について

各社の採用意欲がよりいっそう高まり、さらに採用スケジュールの短縮化で就職活動がスピーディーに進んだことを受け、2017年卒学生の就職活動環境は売り手市場に拍車が掛かった。各大学へ調査した内々定状況(前年度比)は「非常に良い~少し良い」が69.6%と、「悪い~少し悪い」(1.7%)を大幅に上回った。前年の同調査では「悪い~少し悪い」という大学が27.0%あったことを踏まえても、今年度はことのほか内々定を獲得しやすい環境であったと言える。

ただし何もせずに容易に内々定獲得に至ったわけではない。就職相談件数について「非常に増えた~少し増えた」(42.4%)が「減った~少し減った」(7.6%)を大きく上回っている。エントリーから選考までの過密スケジュールの中で学生たちはキャリアセンターのサポートをうまく受けながら就職活動を進めていったようだ。特に多かった相談がエントリーシート添削依頼である。「キャリアセンター開室前から添削希望者が列を成し、こんな状況は過去になかった」という大学もあったほどで、3月は多くの大学が添削対応に追われることとなった。

2017年卒学生の就職活動スケジュールに関しては「活動を早めに終えられた学生は、その後のゼミ活動や卒論制作に集中しやすくなった」「夏の暑い時期の活動を避けられた」「選考がうまくいかなくても再チャレンジの機会が増えた」など肯定的な意見が多く上げられた。

一方で「教育実習と選考期間が重なった」「海外留学から帰国した学生が選考に間に合わなかった」という声もあり、一部の学生が不利益を被る状況も生まれている。

Q. 2017年卒学生の就職相談件数(前年度比)は?

Q. 2017年卒学生の就職相談件数(前年度比)は?

Q. 2017年卒学生の内々定状況(前年度比)は?

Q. 2017年卒学生の内々定状況(前年度比)は?

■参考:前年度調査結果

Q. 2016年卒学生の内々定状況(前年度比)は?

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3. 企業・大学アンケート結果

■「インターンシップと採用活動の関連付け」について

今年に入り、政府や経済団体等の間で議論されている「インターンシップと採用活動の関連付け」の是非。経団連の「『採用選考に関する指針』の手引き」では、“(広報活動開始日より前に実施する)インターンシップは、産学連携による人材育成の観点から、学生の就業体験の機会を提供するものであり、社会貢献活動の一環として位置付けられるものである。したがって、その実施にあたっては、採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行う必要がある”と記されており、採用との関連付けを否定している。一方で海外では採用活動の一環としてのインターンシップ実施が一般的だ。日本でもインターンシップ参加者限定のセミナーや選考を実施したり、そのまま内定を出すといったケースもあり、採用活動との関連付けはグレーな状態と言える。元々「ミスマッチを減らすうえでインターンは効果的」「社会貢献だけでインターンを行うのは無理がある」といった声もあり、今後インターンシップの在り方はこの議論を皮切りに変化する可能性がある。

企業採用担当者、大学就職支援担当者はこの「インターンシップと採用活動の関連付け」についてどう思っているのであろうか。各者とも現時点では「どちらとも言えない」が半数近くを占めるが、「賛成(賛成+どちらかと言えば賛成)」と「反対(反対+どちらかと言えば反対)」を比較すると、企業は「賛成」が43.3%、「反対」が12.5%、大学は「賛成」が35.1%、「反対」が19.4%と、企業、大学ともに賛成派が上回っている。賛成派からは「マンパワーや費用などを考慮すると採用に結び付けなければ企業としてメリットがない」「学生にとっても採用に繋がる方がメリットがあり、参加意欲が高まる」「現状として採用活動に結びつけており、建前だけのルールは不要」「就業体験を通して学生の働きぶりが分かり、自社に合っているのであれば採用に繋げていくのは当然」といった意見が上げられた。一方、反対派からは「採用活動の早期化に繋がるだけ。学業にも影響が出る」「インターンを実施する余力のない企業が不利になる」「大手企業、有名企業に学生が流れてしまう」「地方の学生はインターンに参加しづらく、エリアによっても格差が生じる」といった意見が上げられている。社会や仕事を知る上でインターンシップは有効な手段である。どのような立場の学生、企業であっても不利にならないルール作りはできるのか。今後の議論の行方が注目される。

Q. インターンシップと採用活動の関連付けについてどう思うか?


■企業回答

■企業回答

■大学回答

■大学回答

九州・山口ふるさと若者就職促進事業(九州・山口共同インターンシップ)

九州・山口8県の特選企業インターンシップ実施報告

今年6月、国は地方創生を推進していくための戦略となる「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」を閣議決定した。ローカル経済圏の好循環を目指す「ローカル・アベノミクス」の実現に向けて、全国で多様な施策が取り組まれている。地方自治体主導で人材還流を目指し、東京圏等からのUIJターン就職の促進を行う施策が多く行われており、その一つに九州・山口の8県が取り組む「九州・山口ふるさと若者就職促進事業」がある。「九州・山口ふるさと若者就職促進事業」は、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、山口県の8県が一体となり、東京圏の若者人材を対象に、地域へのインターンシップやUIJターン就職イベントを通じて、成長する場・生活する場としての九州・山口の魅力発信と人材還流、地域定着の促進を目的としている。

本事業は株式会社アソウ・ヒューマニーセンターと株式会社学情が九州・山口8県で構成される九州・山口UIJターン若者就職促進協議会から委託を受け、運営事務局として各企画を実施している。 今号では第2特集として、本事業の一環でこの夏に行われた「九州・山口8県の特選企業インターンシップ(九州・山口共同インターンシップ)」の実施結果をレポートする。

事業概要、実施報告

■九州・山口8県の特選企業インターンシップ(九州・山口共同インターンシップ)

九州・山口8県の特選企業インターンシップ(九州・山口共同インターンシップ)は、東京圏の大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校等の学生(2018年以降の卒業予定者)を対象に、九州・山口8県の特選企業約100社の受入先とのマッチングを図り、8月~9月(夏季休暇期間)で5日間程度のインターンシップを実施する事業である。

将来のキャリアを考えたい、九州・山口地域の魅力を体感したい、今後の就職活動に役立つ経験をしたいといった高い意識を持つ学生から多数の応募があり、9月末までに東京圏の学生72名が、受入先企業でのインターンシップに参加した。

将来のUターン就職を考える九州・山口各県出身者が参加者の大半になると想定していたが、蓋を開けてみればインターンシップ参加者のうち、該当地域の出身者は全体の約3割。出身地域にこだわらず、日本全国広いエリアで色々経験してみたいと考える8県出身者以外の学生(いわゆるIターン学生)が約7割を占める結果となった。

インターンシップ参加までの流れ

インターンシップ説明会(個別面談、企業紹介)

インターンシップ説明会を都内会場で約40回実施。インターンシップ参加希望学生を募り、本事業の趣旨及び制度説明、地域インターンシップの理解向上を促す講座、個別カウンセリング及び受入企業紹介を行い、マッチングを行った。該当地域でのインターンシップに参加できるのであれば、受入企業の規模や業種を問わない学生が多かった。就活シーズン突入前に今しかできない経験を積みたいからと、ゆかりのない地域や将来の就職先としてイメージしたことのない業種・仕事内容に敢えてチャレンジしたいという学生も多く見受けられた。

事前研修会

受入が確定した学生を対象に、参加にあたって必要な諸手続きや講習を行う事前研修会を実施。特に学生に好評だったコンテンツは「社会人としての基礎マナー研修」である。挨拶や身だしなみ、基本となるビジネスマナーを事前に学べたことで、自信を持ってインターンシップに参加できると安心したようだ。また同じ志を持つ者同士のつながりを持ちたいと、連絡先の交換等も積極的に行われていた。

インターンシップ実施

九州・山口8県の約50社の受入企業でインターンシップに参加。社会に触れる職場実習や慣れない土地での生活も、各地域企業担当者の指導やインターンシップ仲間に助けられ、地域の仕事と生活を体感する濃密な時間を過ごしたようだ。72名の参加学生は全員が無遅刻・無欠席、1人も途中辞退することなく、大変満足したという声が多かった。

Case【1】

受入企業名:イオン九州株式会社
所在地:福岡市博多区博多駅南2-9-11
事業内容:イオングループの中核であるGMS(総合スーパー)事業、HC(ホームセンター)事業、
SuC(スーパーセンター)事業、サイクルショップ、D&F(ドラッグ&フード)事業等


受入地域にこだわりはなく、なんとなく興味があり応募したインターンシップも、毎日が学ぶことばかり。社会人と直接接する機会は、日常生活でも大切な挨拶や礼儀作法を改めて見直すことが出来、人間として大きく成長したという。業界・仕事研究を深めるだけでなく、人生プラン設計の大切さにも、見学や座学を通じて気付きを得たようだ。若手社員との座談会では、仕事を離れた地域の魅力について教えてもらい、地域への興味も高まったようで、魅力的な生活面のメリットも大いに学び、魅了されたと振り返る。「自身が立てた目標に向かい、今回の経験を活かして学生生活や就職活動を頑張ってほしい。」と受入先の企業担当者はエールを送った。

参加学生の声

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小売のイメージを強く持っていましたが、それだけではなく物流という大きな仕事もあることを初めて知りました。商品が店舗に並ぶという、私たちが当たり前に見る風景は、多くの人の努力で成り立っていることを学びました。 (千葉県出身、東京都内の大学3年生)

実習スケジュール例

10:00~12:00 挨拶の基本、店内ルール等の研修
13:00~15:00 衛生管理に関する研修
15:00~16:00 社員との座談会
16:00~17:00 本日の振り返り、連絡等

Case【2】

受入企業名:関門港湾建設株式会社
所在地:山口県下関市細江新町3番54号
事業内容:急潮流、岩盤・硬土盤という厳しい条件の関門海峡で培った浚渫(しゅんせつ)技術をもとに、
国内外の大型プロジェクトに参画。浚渫、埋立などが主業。


建設業界を学び、地方での暮らしを体験することで、自分の経験値を高めることを目標に本プログラムに参加。もともと興味がある業界で、専門知識をより深めるため「自分の目で見たい」「体で感じたい」との思いで応募した。東京圏出身のため、縁もゆかりもない地域の方との交流には、煙たがられるかも?という不安が参加前はあったという。現地に入ると関係者にとても温かく迎え入れられ、実習前の杞憂は払拭されて人を通じて一層地域の魅力を感じたようだ。今回のインターンシップで一番印象に残ったのは、長府テクノベース(船が修理、停泊する場所)の見学で、圧倒的なスケールに感銘を受けたそうだ。受入先の企業担当者からは「積極的に質問する姿や真面目に実習に取り組む姿勢は、非常に好感が持てた。今後の活躍に是非期待したい。」とお褒めの言葉も聞かれた。

参加学生の声

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短い間でしたが、毎日様々な現場を見学させていただき、沢山の知識と経験を得ることが出来ました。この夏参加できて本当に良かったです。将来の進路を考えるうえで、選択の視野が広がりました。 (東京都出身、東京都内の大学3年生)

実習スケジュール例

8:00~10:30   浚渫工事の見学
10:30~12:00 彦島パナマ運河式閘門
         (こうもん)の見学
13:00~17:00 長州出島埋立工事の見学

 

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