企業の動向

 4月1日、多くの企業で入社式が執り行われた。弊社が企業を対象に実施した「2022年4月の入社式に関する調査」では、「例年と同規模で、対面で実施」が50.8%で最多、「規模を縮小して対面で実施」が16.4%でそれに次ぎ、対面実施が約7割となった。対面で開催したIT企業の人事担当者は「面接もほとんどがオンラインで、オンライン慣れした学生が多かったためか、例年にない大変緊張感のある入社式となった」と無事終えられたことに安堵していた。
 さて、2023年卒採用については広報解禁から1か月が経過したが、企業によっては早くも暗雲が立ち込めている。よく耳にするのは「母集団の減少」と「理解度低下」の2点だ。ある住宅系の企業では「例年以上に学生募集に注力しているが、プレエントリーは昨年比微減、セミナー参加数は昨年の半数に満たず、例年6月以降に実施している小規模セミナーのような状態だ」と危機感を抱く。実際に弊社が2023年卒学生を対象に実施した調査でも、エントリー先を絞り込む傾向が見られている。また、ある自動車関連商社では、「情報の伝え方は例年と同じだが、こちらが期待する最低限の企業理解度に達しない学生が多い。このままでは選考など次のステップに進められない」と嘆く。しかしこれらの課題について、学生に直接語り掛けられる合同企業セミナーに出展したり、自社アピール中心ではなく普段の職場の様子がわかる動画を作成したり、選考ステップの合間にフィードバック面談を設けたりと、テコ入れは可能だ。肝心なのは、いかに早くこうした取り組みに着手するかであり、それが採用の成否を左右しそうだ。
(フィールドセールス本部 石谷 博基)

学生の動向および学生を取り巻く就職環境について

 4月に入り2023年卒学生の就職活動は様々な局面を迎えている。まだ少数ではあるが、意中の企業から内々定を獲得し就職活動を終える学生も散見されるようになった。ただ多くは就職活動を継続中だ。3月に締切日を設ける企業が多かったエントリーシートの提出がひと段落し、各大学には面接に関する相談が増えているという。一方で、4年生への進級が決まり、4月より本格的に就職活動を開始した学生も出てきている。そうした学生は自己分析や企業研究、エントリーシート作成などへの着手を、少しずつではあるが進めている段階だ。各大学が気に掛けているのは、まだ就職活動を始めていない学生だ。そうした学生は一定数いると見られ、その層にいかにアプローチするかを模索している。ただ昨年と異なり、4月から対面授業を再開する大学も増えていて、キャリアセンターの担当者からは「少しは状況把握がしやすくなりそう」と期待する声も聞かれる。
 各大学が最も不安視しているのは2024年卒学生についてだ。大学入学のタイミングでコロナ禍に見舞われ、授業を始め学生生活のほとんどがオンラインとなった代である。特に危惧しているのは「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」としてアピールできるような取り組みをほとんどできていない点で、そうした学生は昨年度よりも大幅に増加しそうだ。今後2024年卒学生対象のインターンシップが本格化していくが、少しでも希望するインターンに参加できるよう、昨年よりも前倒しで就職ガイダンスを実施するなど、先手先手で支援に乗り出す大学が増えている。
(キャリアサポート部 松井 健悟)