企業の動向

 2023年卒採用について、3月の採用広報解禁を待たずして、インターンシップなどで接触した学生に対する選考~内々定出しが早くも進められている。弊社調査による1月末時点での内々定率は19.4%と、昨年同時期の14.7%から4.7ポイントアップ。内々定先の企業と接点を持ったタイミングは「8月以前」が6割を超え、より早く学生に接触できた企業ほど採用活動を前進させている。一方で冬季の活動に力点を置いていた企業の多くは、年明けからの新型コロナウイルス感染者数の急拡大により、計画の見直しを余儀なくされた。冬季インターンシップについては応募数、参加率ともに年内より低下したほか、対面で予定されていた学内合同企業セミナーもオンライン形式に変更となり、直接学生と接点を持てなくなった。ただその状況を逆手に取った企業もある。ある中堅自動車部品メーカーでは、冬季インターンシップのプログラムとして予定していた対面での工場受け入れができなくなった。通常のオンラインセミナーに切り替えるだけでは他社との差別化が難しいと判断し、社員の出身大学情報をサイトに掲載、オンラインOBOG訪問を受け付けた。学生からは好評で、短い告知期間に関わらず満席の回も出たという。オンラインでもやり方によっては学生の興味関心を集められる事例と言えそうだ。

 今後、2023年卒のプレエントリー受付や選考などがいっそう本格化していくが、2024年卒学生に対するインターンシップの早期計画も各社で進んでいる。一方で4月入社を目前に2022年卒採用を粘り強く続ける企業もある。人事担当者は各年度の対応に奔走している状況だ。

(フィールドセールス部 森山 展成)


学生の動向および学生を取り巻く就職環境について

 2022年卒学生の状況について各大学に話を聞くと、「内定獲得状況は昨年同時期よりは良いが、コロナ禍前の水準まではあと少し」という声が多い。大学に届く求人票もコロナ禍前ほどには戻っていないという。一方で弊社主催の転職イベントでは「転職希望者だけでなく2022年卒学生にも会いたい」というニーズもあり、新卒採用の意欲が減退しているわけではないようだ。例えば2月5日に東京で開催された『転職博』では、出展企業の約70%が2022年卒学生も採用対象に含んでいた。また来場者の15%程が2022年卒学生であり、企業・学生とも一定の動きが見られる。
 一方、2023年卒学生について、年明け以降、各大学ではエントリーシート添削や模擬面接を希望する相談が急増しているという。相談の予約枠がすぐに埋まってしまうケースも少なくないようで、3月より前の時点で選考のフェーズに入る学生が目立つ。既に面接を経験した学生についてはそのほとんどがオンライン形式だ。1月30日に名古屋で開催された業界研究イベント『就職博 就活準備編』の来場者に参加理由を聞くと、「オンラインではわからない企業の雰囲気を体感したかった」という声が多く、少しでも対面に慣れておきたいという思いがあったようだ。学内開催の業界研究会では「少しでも対面で企業と接する場を設けられれば」と、当初は多くの大学で対面形式が予定されていたが、年明けからの新型コロナウイルス感染者数の急増に伴い、急遽オンライン形式へ切り替える大学もあった。まだまだコロナ禍の影響は収まらず、各大学では思い通りの支援が難しい状況が続いている。

(キャリアサポート部 巽 浩一)