新卒採用において、母集団形成ができずに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。マッチング度の高い採用を目指すには、質の高い母集団形成が重要です。
本記事では、母集団を増やす方法や母集団形成を成功させるポイントについて解説します。母集団形成に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
新卒採用の母集団形成とは
母集団形成とは、自社の求人に興味を持っている求職者を集めることを指します。ただ人数を集めるのではなく、自社の採用要件に適した人材を集め、質の高い母集団形成を行うことが重要です。
質の良い母集団形成ができるかどうかが、採用活動の成否を左右します。とくに中小企業は、大手企業と比べて知名度が低く、母集団形成に苦戦するケースが多いため、課題に適した対策が必要です。
新卒採用で母集団形成が必要な3つの理由
新卒採用を成功させるには、質の高い母集団形成を行うことが必要です。ここでは、新卒採用で母集団形成が必要な理由について解説します。
人材獲得競争が激化しているため
近年、少子化による労働人口の減少が進み、人材獲得競争が激化しています。
リクルートワークス研究所の調査によると、2025年卒の大卒求人倍率は1.75倍となっており、前年より0.04ポイント上昇しました。
採用難が続くなか、大手企業では買い手市場、中小企業では売り手市場といった採用格差が生じています。自社の採用要件に適した人材を採用するには、十分な母集団形成が重要です。
※参考:リクルートワークス研究所「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」
採用のミスマッチが増加しているため
母集団形成が不十分だと、限られた候補者の中から採用しなければならず、採用のミスマッチが生じる可能性があります。
マンパワーグループ株式会社の調査によると、新卒採用におけるミスマッチは8割超という結果となりました。また、新卒採用におけるミスマッチを経験した人事担当者の6割が、新入社員の早期退職を経験しています。
企業と求職者のミスマッチは、選考辞退や内定辞退率が増加するだけでなく、採用に至っても早期退職を誘発する可能性があるので注意が必要です。
※参考:マンパワーグループ株式会社「新卒採用におけるミスマッチの状況に関する調査」
選考辞退・内定辞退による欠員を補填するため
母集団形成ができていないと、選考辞退や内定辞退が発生した際に、採用予定人数を下回ってしまいます。そのため、採用目標を達成するには十分な母集団形成が重要です。
株式会社学情の調査によると、2025年卒の内定辞退率は、前年2024年卒とほぼ同じ水準でした。売り手市場が進むことで多くの企業が内々定辞退の急増を危惧していましたが、前年並みと落ち着いています。
ただし、学生側はエントリーする企業を絞り込む傾向が強まっているため、人材獲得が難しいことには変わりありません。
母集団形成では、採用プロセスごとの人数を割り出し、採用目標を達成するのに必要な人数を予測して目標数値を決定します。
※参考:株式会社学情「2025年3月卒業予定者/就職戦線中間総括」
新卒採用における母集団形成のメリット
母集団形成には、さまざまなメリットがあります。ここでは、新卒採用における母集団形成のメリットについて解説します。
計画立てて採用活動が進められる
計画立てて採用活動を進めるには、母集団形成が欠かせません。とくに新卒採用は一括採用のため、母集団形成を行うことで、採用計画が立てやすくなります。
母集団形成を行うには、採用プロセスごとに獲得人数を設定しましょう。採用プロセスごとの目標に達しない場合は、過去の実績を参考にしながら、再び採用計画を練っていきます。
母集団形成を行わないと、採用活動の見通しが立たず、採用人数が不足する可能性があるので注意が必要です。
採用要件に適した人材が採用できる
十分な母集団形成を行うことで、採用要件に適した人材が採用しやすくなります。
新卒採用は、中途採用と比べて幅広い候補から母集団を形成できます。そのため、経験や資格のフィルターがなく、学生の中身や人間性などのポテンシャルを重視した母集団形成が可能です。
企業と学生のマッチング精度を高めることで、採用率が向上するだけでなく、早期離職を防ぐ効果も期待できます。
採用コストを削減できる
十分な母集団形成ができれば、効率的に採用活動が進められ、採用コストの削減にもつながります。
反対に母集団形成ができないと、目標の採用人数を獲得できず、追加募集をしなければなりません。採用が長期化すれば、それだけ採用コストが増加してしまいます。
また、新卒採用の方が中途採用と比較して、母集団形成にかかるコストが安い傾向にあります。これは、中途採用は即戦力や実績を求めるケースが多く、新卒採用と比べて母集団を形成しにくいからです。
新卒採用で母集団を形成する方法
新卒採用で効率良く母集団を形成する際のポイントは、採用計画に応じて、最適な手法を選ぶことです。次は、新卒採用で母集団を形成する方法について解説します。
求人サイト
求人サイトに自社の求人情報を掲載し、採用要件に適した求職者を募る方法です。
求人サイトのメリット・デメリットは次の通りです。
- メリット:一度に多くの求職者に求人情報を見てもらえる。
- デメリット:採用できなくても掲載費がかかる。
求人サイトは、媒体ごとにそれぞれ特色や得意分野が異なります。掲載媒体を選ぶ際は、サイトの登録者数だけでなく、採用ターゲットに適した媒体であるかもチェックしましょう。
人材紹介
人材紹介とは、人材紹介会社から採用要件に適した人材を紹介してもらう方法です。
人材紹介のメリット・デメリットは次の通りです。
- メリット:採用要件に適した人材を採用できる
- デメリット:成功報酬額が高い
キャリアアドバイザーは、企業の採用要件を熟知しているため、学歴や資格の有無だけでなく、求職者のパーソナリティも考慮して、マッチング精度の高い人材を紹介することができます。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、スカウトメールなどを使い、企業が求職者へ直接アプローチする方法です。
ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリットは次の通りです。
- メリット:潜在層にも直接アプローチできる。
- デメリット:業務負担が増える。
従来の新卒採用は、求人サイトや人材紹介などを使い、求職者からの応募を「待つ」採用が主流でした。近年、待つだけでは十分な応募を集めるのが難しくなり、採用要件に適した求職者に直接アプローチできる「攻め」の採用に注目が集まっています。
合同企業セミナー
合同企業セミナーとは、企業が求職者に対して、会社説明や面談を行うイベントのことです。
合同企業セミナーのメリット・デメリットは次の通りです。
- メリット:選考の短期化や志望度の向上が期待できる。
- デメリット:イベントに参加する人員が必要。
株式会社学情では合同企業セミナー「就職博」を開催しています。「就職博」は、リアルイベントだけでなく、オンラインイベントも開催しているため、幅広い学生へのアプローチが可能です。
リファラル採用
リファラル採用とは、内定者や新入社員に大学の友人や後輩を紹介してもらう方法です。必須ではありませんが、採用に至った際は紹介してくれた方へインセンティブを支払う場合があります。
リファラル採用のメリット・デメリットは次の通りです。
- メリット:採用要件や求職者をよく知る人物から紹介が受けられる。
- デメリット:同じタイプの人材に偏りがち。
採用インセンティブの相場は1万円〜30万円ほどなので、採用コストを抑えながら採用要件に適した人材の採用が目指せます。
ただし、インセンティブの支払い方法や金額によっては、職業安定法の第40条に反し、違法となる可能性があります。インセンティブを支払う際は「賃金や給料という形で支払う」「支払額が高額になり過ぎない」などの点に注意しましょう。
新卒採用で母集団形成を成功させる3つのポイント
最後は、新卒採用で母集団形成を成功させるポイントについて解説します。
採用要件を明確にする
質の高い母集団を形成するには、採用要件を明確にすることが大切です。
採用要件を設定する際は、採用ペルソナを設定しましょう。学歴や資格の有無だけでなく、仕事に対する価値感や何にモチベーションを感じるかなど、求職者のパーソナリティに関する項目を入れることで、求職者の人柄と社風のマッチングが確認できます。
採用ペルソナを、人事担当者だけでなく、配属先や選考に関わる社員とも共有することで、共通認識を持って効率良く選考を進められます。
自社に適した採用手法を選ぶ
効率良く母集団形成を行うには、自社に適した採用手法を選ぶことが重要です。
たとえば、大手求人サイトは登録者数が多いですが、求人掲載数も多いので情報が埋もれてしまう可能性があります。とくに知名度の低い中小企業は、企業側からの積極的なアプローチが必要です。
ダイレクトリクルーティングを併用することで、企業知名度が低くてても母集団形成がしやすくなります。
学生と積極的に会う
学生と直接会ってコミュニケーションを取ることで、相互理解が深まりやすくなります。
企業側からの一方的な情報発信だけでは、求職者の疑問や要望に対応できないかもしれません。直接会って対話することで、学生の知りたい情報を的確に提供できます。
株式会社学情が主催する「就職博」は、年間延べ20万人以上の学生が来場している合同セミナーです。多くの学生が参加するため、短時間で効率的な母集団形成ができます。
新卒採用の母集団形成には求職者に直接アプローチできる
「あさがくナビ」がおすすめ
近年、少子化による労働人口の減少が進み、人材獲得競争が激化しています。今後も新卒採用は厳しい状況が続くと予想され、従来の採用手法だけでは十分な母集団形成ができないかもしれません。
応募数を獲得しにくいからこそ、数だけでなく質を重視した母集団形成が必要です。新卒採用サイト「あさがくナビ」では、独自の検索システムで、自社の採用要件に適した求職者を絞り込み、効率的にアプローチできます。
新卒採用の母集団形成に悩まれている方は、株式会社学情にお問い合わせください。
株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。