合同説明会(合同企業セミナー)の企業側の準備にはなにがあるのでしょうか。出展するメリットや成功のポイント、実際の事前準備から当日、開催後までの流れを詳しくご説明します。
合同説明会(合同企業セミナー)とは
合同説明会(以下、合同企業セミナー)とは、複数の企業が集まって、学生や求職者などの参加者に対して自社の情報や採用に関する情報を提供するイベントのことです。 求人情報サイトの運営会社をはじめ、大学や地方自治体などが開催しています。
展示場や広めの会議室を貸し切って企業がブースを出す対面型リアルイベントと、時間で区切ってそれぞれの企業が配信をおこなうオンラインイベントの二種類があります。
合同企業セミナーに出展する目的
合同企業セミナーに企業が出展する目的は大きくふたつあります。
ひとつは、知名度の向上です。
単独で説明会をおこなう場合と比べて、多くの求職者に企業名を知ってもらう機会が増えます。複数の企業が集まる場で他社にはない魅力をアピールできれば、ほかの企業を目的に来場した求職者にも、自社を訴求するチャンスがあるのです。
もうひとつは効率的な母集団形成です。
合同企業セミナーでは求職者と直接コミュニケーションをとることができます。企業と求職者の距離が近いので、対面で相手の反応を確かめながら自社の魅力を伝えられます。求職者のキャリア観を個別に聞き、自社のパーパスやミッションとの共通点を見つけることで、ぐっと求職者の志望度を上げられるでしょう。
また、求人広告では出会いにくい層にもアプローチできる可能性があります。
これにより、効率的な母集団形成が実現できます。
合同企業セミナーのメリット・デメリット
合同企業セミナーに企業が出展するメリット・デメリットをご紹介します。参加を検討している際は、ぜひ参考にしてみてください。
メリット
合同企業セミナーのメリットを4つご紹介します。
- 短期間で多くの求職者と面接の機会がもてる
- 求職者と実際に会い、自社の魅力を伝えられる
- 素のコミュニケーション能力を見ることができる
- 出展している他企業の情報を得られる
短期間で多くの求職者と面談の機会がもてる
合同企業セミナーでは、1~3日間の短期間で多くの求職者と接点をもてるのがメリットです。
求人情報サイトに載せるケースは、4週間~半年ほどの掲載期間で、応募数以上の面談・選考は設定できません。
それに対し、イベントであれば企業側からのアプローチが可能です(自社ブース範囲内のみ)。面談した求職者には次のステップへすすむようその場で促すこともできます。母集団形成には効果的な手法であるといえるでしょう。
求職者と実際に会い、自社の魅力を伝えられる
対面でのコミュニケーションで、ナビサイトなどの求人原稿だけでは伝えられない自社の魅力を直接求職者に伝えられます。選考前の双方向のコミュニケーションによって、自社への理解度が深い状態で応募者を面接に迎えることができるでしょう。
株式会社学情が実施したアンケートでは、内々定出しの決め手について「自社(社風)に合いそう」と回答した企業が45.0%と最多の結果でした。
(引用:就職戦線中間総括 p.24)
また、学生にとっても、就職先の決定理由は「携わる仕事内容」の次に「人(人事や社員の人柄や雰囲気)」が多い回答でした。
(引用:就職戦線中間総括 p.15)
実際に会ってカルチャーマッチを確かめられる対面イベントは、企業と求職者双方にとってメリットがあるといえます。
素のコミュニケーション能力を見ることができる
求職者は、選考前の情報収集のために合同企業セミナーに参加します。
選考時のようにあらかじめ志望動機や自己PRを準備してきている求職者は少ないので、素のコミュニケーション能力を見ることができるでしょう。
出展している他企業の情報を得られる
会場では、ほかに出展している企業ブースを見ることもできます。
一対多の形式で企業の魅力をプレゼンするのか、いわゆる説明会はせずに面談のみに振り切るスタイルなのか、あるいはノベルティを配り知名度を上げる戦略なのか、運用は企業によってさまざまです。
会場で人をあつめている企業ブースを見学して、そのアピール方法を自社にも取り入れることができます。
また、ブース装飾も参加者は思いのほか見ているので重要です。他社の装飾も参考にしたうえで自社の色を反映できる演出はなにか、今後の検討ができます。
デメリット
イベントへの出展は工数も費用もかかります。自社のリソースや採用状況と、これから紹介するデメリットを踏まえて、参加を検討してみてください。
必ずしも採用ターゲットに合致した人材と出会えるとは限らない
自社ブースに訪れる人を企業側からは選べません。必ずしも自社の採用ターゲットに合った人材と出会えるわけではないことを念頭に置く必要があります。
しかし、メリットの章でお伝えしたように、合同企業セミナーは短期間での母集団形成には効率的な方法です。
自社ブース範囲内での声かけや魅力的なブース装飾など、積極的なアピールが採用成功の糸口となるでしょう。
求職者は、たとえば理系出身なら理系のシールや希望業種のネックホルダーをつけています。それらを目印にし、まずは接触する求職者の母数を増やすことをおすすめします。
出展準備や当日の工数・手間がかかる
合同企業セミナーに出展するには、プレゼン資料・パンフレットの用意や当日のシフト作成などの準備に工数がかかります。余裕をもったスケジュールと十分な人員が必要です。
イベント当日も、自社に興味をもってくれた求職者に対応できるだけの数の社員がいります。採用担当者だけでなく現場に詳しい社員にも参加してもらう場合は、メイン業務との兼ね合いによって事前のスケジュール調整が必須です。
他社との差別化を図る必要がある
合同企業セミナーには多くの企業が出展します。求職者は複数のブースを回るため、企業側は限られた時間でいかに自社の魅力を印象づけるかが要です。
ブース装飾や配布物、プレゼンテーションの内容で、他社に埋もれないよう差別化を図りましょう。
合同企業セミナーを成功させるポイント
合同企業セミナーは求職者が企業に接する初めての機会です。ここでの印象が、その後の企業イメージに影響を与えるのは間違いありません。
採用成功につながるイベントにするには、求職者に好印象を抱かせるポイントを把握して実践しましょう。
採用ターゲットに響くアプローチ方法を検討する
最終的に内定へとつながる学生を呼び込むためには、ターゲットに絞ったアピールが不可欠です。事前に求める人物像を明確にし、そのターゲットに響くアプローチ方法を検討しましょう。
たとえば、グローバル人材が欲しいのであれば海外拠点での業務を強調する、学習意欲が高い求職者に対してはスキルアップの事例を紹介する、などが考えられます。
求職者の興味を惹きつけるプレゼンテーション
社会人経験がない新卒・既卒者、また、業界や職務内容に知見がない未経験人材が理解できるような企業説明が大切です。専門用語を使わず、かつ、求職者が知りたいとおもう内容でプレゼンテーションをしましょう。
求職者はその日のうちに複数社の企業説明を受けて、帰宅後に資料を見比べて応募検討するケースもあります。見やすい配布資料も重要です。
企業側から積極的なコミュニケーションを図る
合同企業セミナーでは、学生や業界未経験者でも知っている有名企業でないかぎり、求職者のほうから着席してくれる可能性は低いです。
対策として、待ちの姿勢ではなく、企業側からブース範囲内での声かけなどの積極的なコミュニケーションを図るべきでしょう。
自社ブースへの呼び込みをする際には、相手に応じて対応を変えます。
たとえば、自社に興味がなさそうな求職者でも、短い時間でいいので話をしないかと1対1の会話を打診します。これは面談のハードルを下げるのに効果的です。
その場で15~20秒程度の簡単な事業内容の説明をし、興味のあるそぶりが相手にすこしでも見られたら、くわしい話をするためにとブースへの着席をうながしましょう。
1対1のコミュニケーションを心がける
イベントで求職者に着席してもらうためには1対1のコミュニケーションが大事です。自社ブースに着席してくれた求職者に対しては、相手の話(イベントに来た経緯やキャリア観など)が自社の企業説明より長くなるようなペース配分をしましょう。
相手から聞いた話にもとづいて自社との共通点を伝えられれば、求職者にカルチャーマッチを感じさせ、興味をひくことができます。
話しかけやすい雰囲気をつくる
ブースに求職者がいない状態でも、求職者が話しかけやすい雰囲気をつくるのがおすすめです。
たとえば採用担当者がPCをずっと見ているような状況では、求職者に話しかけづらさを感じさせてしまいます。
自社に興味をもって近づいてくる求職者に気付けず、選考に進んでくれる可能性のあった人材を逃す事態にもつながりかねません。
社員間の仲の良さや社内の風通しの良さを求職者にイメージさせるためにも、採用担当者同士のコミュニケーションを意識的に見せましょう。
ブース来訪者には素早く次のステップに案内する
ブースに訪れてくれた求職者にはその場で素早く次のステップへの案内が必須です。
採用担当者はイベントの翌週~翌々週のスケジュールをあらかじめ確保しておき、スムーズに求職者との面談・選考の設定ができるようにします。
イベント当日から時間が経つとせっかく印象づけた自社へのイメージが薄れるので、スピードが重要です。
合同企業セミナーの流れ|事前準備~後対応まで
では、実際にどんな流れでイベントに出展するのか、順を追って説明します。
事前準備
まずは事前準備が必要です。おもにこれらの作業があります。
- ブース設営に必要な備品の手配
- イベント当日のシフトを組む
- プレゼンテーション資料・配布用パンフレットの用意
- SNS等での出展の告知
当日に間に合うように、余裕をもったスケジュールで臨みましょう。
ブース設営に必要な備品の手配
ブース設営のために必要な備品を洗い出して、事前に手配をします。
<準備が必要な備品一覧>
- プロジェクター(タブレット)・・・資料投影用
- 企業説明資料・・・配布用
- エントリー用のQRコードや連絡用の企業アカウント・・・次のステップへすすむ求職者との連絡方法
- ノベルティ、BtoCの企業では実際の商品など・・・ブースへの誘致用、説得力を上げるアイテム
椅子やテーブルはブースにセッティングされています。スクリーンなどは、イベント主催側からレンタルできるケースも多いです。レンタル品の多くは事前申請が必要なので注意しましょう。
就職博・転職博を開催する株式会社学情では、以下のような備品は当日会場でご用意しています。
画鋲、両面テープ、S字フック、模造紙、ガムテープ など
イベント当日のシフトを組む
参加スタッフ内で休憩を回せるよう、イベント当日のシフトが必要です。
会場にもよりますが、ブース範囲などの理由によって参加人数に制限がある場合があります。あまり多くの社員は参加させられないことに注意してください。
プレゼンテーション資料・配布用パンフレットの用意
オフィスの雰囲気や社員の一日のスケジュールなど、入社後のイメージがわくような資料を用意しましょう。
合同企業セミナーに参加しなければ知り得なかった情報を盛り込むと有用です。インターネット上で収集できる情報だけにならないよう気をつけましょう。
SNS等での出展の告知
合同企業セミナーに参加する求職者は、希望する業界・職種が定まっていない方が多いです。しかし、明確に「この企業の話を直接聞きたい」と目的をもって来場する参加者もします。
そのような参加者のために、SNSや採用HP、求人情報サイト、大学の就職課などでの告知を忘れないようにしましょう。
当日
当日の流れを説明します。
搬入、ブース設営
イベントが始まる前に、配布用の資料やそのほかの備品を搬入し、ブース設営をする必要があります。
搬入の方法は、
①事前に配送する
②当日持参する
のふた通りがあります。自社のリソースに合った方法を選びましょう。
ブース設営にはプロジェクターのセットやブースの装飾などの作業があります。所要時間はだいたい30分~1時間程度です。あまり明確な目的をもたずに来場した求職者がブースの装飾に惹かれて来訪するケースもあり、見落としがちですが重要な要素といえます。
当日のスケジュール(就職博の場合)
<企業側>
10:00~10:30 企業様受付・ブース装飾等準備時間
11:00~17:00 ブースオープン
17:00 退出準備(アンケート記入、返送・流用荷物の梱包作業)
17:30 退出完了
<学生側>
10:00~ 受付スタート
10:30~ オープニング講演スタート
17:00 ブース訪問終了
17:30 退出完了
開催後
イベント後には、なるべく早く参加御礼メールを送ります。
自社の採用ターゲットに合致した人材にはすぐに次のステップへ進んでもらえるよう、選考を案内しましょう。
案内メールは全員共通のテンプレートを使うのではなく、当日に求職者と話した内容などを含めると「あなたに魅力を感じています」とOne to Oneのメッセージが伝えられて効果的です。
収集した求職者の個人情報をデータ化し、タレントプール(人材プール)に蓄積しておくのも大切です。
まとめ|合同企業セミナーで効率的な母集団形成を
合同企業セミナーには、短期間での効率的な母集団形成を目的に多くの企業が出展します。
求職者に自社を知ってもらう機会を増やし、対面でのコミュニケーションで興味を惹きつけることで、効果的な母集団形成ができます。しかし、出展には一定の工数や費用がかかるのも事実なので、無理のないスケジュール作成・イベント規模の選定が必要です。
大規模な合同企業セミナーのほかにも、少人数制のイベントを開催している企業もあります。ブース設営の手間や当日の人員を削減でき、かつ、参加者とより近い距離感でコミュニケーションをとりやすい利点があります。
自社のリソースに見合ったイベントを検討するのもひとつの手です。
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