「タイムパフォーマンス(タイパ)」とは?
Z世代の傾向とキャリア観

「タイムパフォーマンス(タイパ)」とは、「コストパフォーマンス」の時間版で、かけた時間に対する満足度を表す言葉です。もともとZ世代を中心に使われていました。この記事では、タイパを意識した行動傾向の事例や、Z世代に響く採用活動例をご紹介します。

「タイムパフォーマンス」とは

「タイムパフォーマンス(タイパ)」とは、「コストパフォーマンス」の時間版で、かけた時間に対する満足度を表す言葉です。

たとえば、少ない時間で満足度の高い経験が得られたと感じられるとき、その行動は「タイパがよい」と表現できます。タイパは「効率」や「生産性」という言葉に言い換えることもできるでしょう。

コストパフォーマンスが「コスパ」と略されるように、タイムパフォーマンスも「タイパ」もしくは「タムパ」と略されることがあります。

「タイパ」という言葉は、三省堂主催の「今年の新語 2022」の大賞に選ばれたことでもより広く知られるようになりました。

タイパが注目される背景:ITの発達とZ世代間での流行

タイムパフォーマンスが注目された背景には、デジタルツールの発達があります。そんなデジタルツールと関わりが深いZ世代間での流行が「タイパ」という言葉の発祥といわれています。

デジタルツール・IT技術の進化

近年、急速なデジタルツール・IT技術の進化により、たくさんの情報を一度に処理することが一般的になりました。

たとえば何か調べものをする際、ユーザーは検索エンジンでキーワード検索をかけるだけで数多くのwebページを目にします。
次に各ページの説明文やタイトルを見て、自分が欲しい情報が載っているかどうか、取捨選択を行うでしょう。求める情報が載っているページにたどり着いても、場合によっては、そのほかのページを見比べて情報の正確さを判断するかもしれません。

このように、ひとつひとつの情報にかけられる時間が短くなったことが、タイパが流行した理由のひとつといえるでしょう。
なぜならインターネットを中心に今後も情報は増え続けるばかりですが、人々が情報収集にかけられる時間はあまり変わらないのです。
そのため、より少ない時間で効率的に情報を得られることに重きが置かれるようになりました。


また、スマートフォンの普及により、動画投稿サイトやSNSへのアクセスが手軽にできるようになり、移動時間や信号待ちの時間などの細切れの可処分時間にもコンテンツ消費が可能になりました。
そのため、tiktokやYouTube Shorts、Instagramのリールなど、短い時間で消費できるコンテンツの人気が高まりました。

これらショート動画の人気には、「より効率的に情報収集をしたい」というユーザ側の需要があると考えられます。

「デジタルネイティブ」と呼ばれるZ世代間での流行

Z世代とは、1990年代後半~2012年に生まれた世代のことをいいます。
初代iPhoneが発売されたのが2007年ですから、Z世代が生まれ育った環境には既に発達したデジタルツールやIT技術が身近に存在していたといえるでしょう。

そのため、Z世代はたくさんの情報の中から信頼がおける情報、または、自分にとって有益な情報を選び取ることに慣れ親しんでいます。Z世代が「デジタルネイティブ」と呼ばれる所以はそこにあります。

数ある情報の中からひとつを選び取るためには、より効率の良い情報収集の方法を選ぶ必要があり、結果としてZ世代にはタイパを意識する傾向が表れたのではないかと考えられます。また、情報収集の場面以外にもタイパを意識した行動が見られます。

Z世代のタイムパフォーマンスを意識した行動傾向の事例

Z世代のタイムパフォーマンスを意識した行動傾向の事例を紹介します。

動画コンテンツの消費方法:倍速視聴や「ながら見」、ショート動画や切り抜き動画

2022年に出版され話題となった、「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形 (光文社新書)」に見られるように、Z世代は映画などの動画コンテンツを1.25倍速~2倍速での視聴を好む傾向があります。

それだけでなく、動画を見ながらスマートフォンで調べ物をする、家事などの他の作業と並行して映像を見る「ながら見」などの、コンテンツの並行消費を好む傾向があるようです。

また、前述のショート動画の人気に加え、長時間配信の一部分だけを切り抜いた「切り抜き動画」の文化も台頭しました。
ほかにも、動画の冒頭部分だけ視聴して、興味がないと判断したら離脱することもタイパを意識した行動事例といえます。

冷食宅配や完全栄養食の人気に見る、食に求めるタイパの良さ

昨今、冷食宅配や完全栄養食がにわかに人気を集めています。

冷食宅配とは、冷凍弁当が定期的に届く宅配サービスのことです。弁当は管理栄養士によって糖質・塩分・たんぱく質が管理されており、電子レンジで解凍するだけで手軽に一食分をまかなうことができます。

また、完全栄養食とは、1日で摂取すべき栄養素の1/3以上を含むようなパンやドリンクのことです。

手軽に食事が採れ、栄養のこともすでに考えられているため、タイパのいい食事方法といえるでしょう。

オンライン授業やweb面接

Z世代はコロナ渦でのオンライン授業に慣れており、就職活動などにおいてもweb面接を一般的と捉えています。

リモートでの活動は移動時間を削減できます。逆に、デジタルで知れることを知るためにわざわざ足を運ばなければならないケースは、Z世代にとってはタイパが悪いと感じられてしまうかもしれません。

また、オンライン授業についても、Z世代はオンデマンド形式であれば移動時間などに視聴することや倍速視聴をすることで、タイパの良い学習を図っているようです。

「タイパ」を重視したキャリア形成

就職活動においても、Z世代は「自身が希望するキャリアを実現できるか」を重視して企業選びを行う傾向が強いです。これは、Z世代は自身のキャリア形成において「失敗したくない」「時間を無駄にしたくない」と考える傾向が強いためと考えられます。

また、会社が向いている方向と自身の目指すゴールが合致するか、事前に知りたいというニーズもあります。実際に業種・仕事内容や、社員との相性を肌で感じて、自分と合っているかどうか、吟味したい気持ちが強い傾向があるようです。

Z世代を採用するにはどんな採用活動をすべき?

そんなZ世代に訴求するには、タイムパフォーマンスの良い情報提供方法が必要です。

web媒体・動画コンテンツの活用

web上に最新の情報を常に開示しておく体制を整えましょう。見る側も、企業のことが気になったときにすぐにアクセスできる正しい情報があれば、無駄な情報の取捨選択をせずに済んで時間の削減になります。

また、動画コンテンツを活用すれば、わざわざ足を運ばなくてもオフィスの雰囲気やどんな社員が働いているのかを知ることができます。

さらに、タイムパフォーマンスの良い動画コンテンツを制作するためには、倍速視聴を視野に入れた内容にする、移動時間中に無音でも見られるようにテロップを入れるなど、ターゲットの傾向を押さえることが効果的です。

動画制作のノウハウがない場合には外注を利用することもあわせて検討できるとよいでしょう。

ダイレクトリクルーティング

膨大な量の求人情報をすべて見るのは求職者にとってタイパが悪く、かつ、企業にとっても自社を見つけてもらいづらいといえます。

そのため企業側からアプローチをすることで、自社のことを知ってもらえる確立が上がります。「あなたのどこに魅力を感じたか」を個別に伝えることでミスマッチを減らすことも可能です。

また、Z世代は個性を大事にするため、親和性が高い方法です。

SNSの活用

リアルタイムに更新できるため、常に最新情報を提供できます。

見る側も「このアカウントを見れば最新の情報を得られる」と一度認識すれば、その後はリアルタイムで情報を追いかけることができ、改めて検索する手間を省けます。

高頻度では更新できないHPの補助として活用するのがおすすめです。

とは言っても具体的な活用方法にお悩みでしょうか?

「新卒学生(Z世代)の特徴まとめレポート ~Z世代のキャリア観・仕事観を紐解く~」では、SNSの活用方法の解説に加え、実際の投稿内容例も掲載しています。ほかにもZ世代の特徴や価値観をこちらの記事以上に詳しく解説しておりますので、ぜひダウンロードしてご参考になさってください。

タイパのよいアプローチ方法でZ世代に効果的に訴求しましょう

タイムパフォーマンスは「コストパフォーマンス」の時間版で、かけた時間に対する満足度を表します。注目されている背景には、IT技術の進化と「デジタルネイティブ」であるZ世代の存在がありました。今後Z世代を対象にした採用では、よりタイパがよい情報提供方法が求められるでしょう。

採用の課題はぜひ学情まで
ご相談ください。

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