グローバル人材採用のススメ

国籍関係なく、長く働いてもらえる方の採用を実現したい。

株式会社コメットカトウ 常務取締役 本部長 野々部正幸さん/総務チーム リーダー 時田麻美さん
株式会社コメットカトウ
株式会社コメットカトウは1920(大正9)年に調理用レンジメーカーとして名古屋市中川区で創業し、COMETブランドに込められた「輝く彗星のように注目される技術で食文化を拓く」という強い意志のもと、以来100年にわたって業務用加熱機器の専門メーカーとして常に私たちの食と共に歩んできました。学校給食や病院、ホテル、レストラン、ファストフードのキッチンで使用されている加熱機器の開発、製造、販売、メンテナンスまで一貫して行う独立系メーカーである同社は、主力製品であるガススチームコンベクションオーブンで国内有数のシェアを誇り、近年ではASEAN諸国を中心とした世界マーケットにも進出する等、100年間培った技術力を武器にさらなる成長を目指しています。今回は同社に1990(平成元)年に入社し、開発職を中心にコメットブランドの発展を支えてこられた野々部常務(写真左)と、総務チームで採用を担当する時田リーダー(写真右)に、同社の新卒採用及びグローバル人材採用の現状についてお話をお伺いしました。
※(写真中)は、後述するベトナム人の正社員 グエン アイン ホアイさんです。
※記事の内容は取材当時のものです。

加熱機器に特化し、自社一貫のワンストップサービスを展開。

――普段我々が目にする機会が少ない業務用調理機器をお作りになられて100年を迎えられる貴社ですが、他社にはない特長、強みはどこにあるのでしょうか?
野々部:レストランのキッチン等で使用されている業務用調理機器は、冷却、調理、洗浄といった様々な用途のものがあり、実は1社でそれらすべての機器を用意できるメーカーはほとんどなく、ディーラーがそれらの機器を各メーカーから揃えて納品しています。その中で当社は加熱機器に特化して開発、製造、販売からメンテナンスに至るまで自社スタッフによるワンストップサービスを展開しており、ディーラーと連携しながらお客様のご要望に合った機器をご用意できる開発力と技術力を有しているのが特長です。また独立系の強みを活かし、お客様のニーズに合った製品を開発・製造するだけでなく、シーズを敏感にキャッチし、まだ世の中にない画期的な製品を数多く生み出してきました。例えば当社の主力製品であるスチームコンベクションオーブンは、もともとはヨーロッパで普及していた加熱方法をいち早く国内に取り入れ、製品化に成功したことで、国内有数のシェアを獲得することができています。今後もこれまで培った開発力・技術力を活かして、お客様にとってよりよい調理環境をご提供すると共に、豊かな食文化づくりに貢献したいと考えています。
――そのためには優秀な人材、特に貴社の発展のカギとなる開発職の採用が不可欠ですね。
野々部:仰る通りで、開発職を担ってくれる人材の獲得は例年の採用活動における最重要事項で、20卒では4名中1名が入社、21卒でも同じく4名中2名の採用を予定しています。入社後の新入社員研修も事務・営業職は2か月間ですが、開発職に関してはモノづくりの現場を知るところから、メンテナンス担当者に同行して実際にどのような環境で製品が使われているかを知ってもらったり、開発が描いた図面を製造工程に落とし込む役割を担う生産技術の研修等、約1年半にわたって当社のモノづくりの現場を徹底的に学んでもらっています。いくら優れた図面を描けたとしてもそれを実際に製造できなければ意味がありませんし、現場を知ることでベストにマッチした図面を描くことができるようになります。今年は残念ながら新型コロナウイルスの影響でメンテナンス担当者との同行研修はできず、約9か月間に短縮されますが、今も様々な研修を通じて日々成長してくれていると期待しています。

ベトナム人を採用し、新たなマーケットの開拓を目指す。

――新型コロナウイルスは採用活動にも影響したのではないですか?
時田:国内の新卒内容に関しては、早めに活動を開始していたこともあり、オンラインでの説明会や面接等を導入することなく、無事に予定数を確保することができました。ですが今年から本格的にスタートを予定していた、ベトナムのパートナー企業との橋渡し役となってくれる人材として採用を予定していたグローバル人材に関しては、残念ながら中止を余儀なくされてしまいました。

野々部:当社では5~6年ほど前にベトナムの企業とパートナーを組んで製品の調達を開始した際、日本にきている留学生からいずれはベトナムに戻って現地法人を立ち上げてくれるような人材を採用し、日本国内で育成しようと画策したことがあるのですが、残念ながらほとんどの留学生が将来もずっと日本で働きたい、という希望の方ばかりで、断念したことがあるんです。しかしその後ベトナムとの事業は拡大し、パートナー企業との関係も非常に良好ですので、これからは日本の図面に従ってモノづくりをしてもらうだけでなく、ベトナム、そしてASEANをはじめとするアジアで売れる商品を共同で開発していきたいと考えるようになり、今は現地の工業大学を卒業した学生を採用し、日本を拠点にしてパートナー企業との橋渡し役になってくれる人材を育成しようという考えにシフトしたのです。
――ベトナム、そしてアジアで売れるモノづくりには、やはり現地の方の目線が必要だ、ということですね。
野々部:当社が長年にわたって培ってきた開発力・技術力に、現地のニーズに精通したマーチャンダイジングパワーが融合されれば、これまでとは比べ物にならない規模のマーケットを相手にビジネスを展開することが可能になります。そのためには単なる通訳ではなく、技術的な素地を備えたプロジェクトリーダーとして活躍できるような人材が必要だと思っていますので、引き続きチャレンジしていきたいと考えています。
――加えて貴社では外国人技能実習生の受け入れも積極的ですね。
野々部:そちらに関しては10年ほど前からベトナム人技能実習生を受け入れており、現在は20名程度が在籍しています。当初は外国人を受け入れることに抵抗があるかな、と思っていたのですが、全くの杞憂で、言葉が分からなくてもすぐにお互いが打ち解けてくれました。それまでは仕事は当たり前のように日本人だけでやるものでしたが、徐々に日本人だけではできないことが増えてきて、今では後者の方が圧倒的に多くなりましたね。

自社の魅力を維持、発展させ続けることが採用成功につながる。

――なかには日本の方と結婚して、正社員として活躍されている方もいらっしゃるそうですね。
時田:今では製造ラインの責任者として、当社になくてはならない存在になってくれています。また彼に限らず、実習生は皆とても優秀で、同世代の日本人社員にも大いに刺激を与えてくれています。また一方で休みの日は一緒に食事や遊びに連れて行ってくれており、面倒見がいいというか、仲間意識はとても強いですね。
――そうやって普段から日本人と接していると、日本語も身につくでしょうし、ホームシックの心配も少なくなりますね。
時田:ベトナム人が多いから安心する、といった反面、ベトナム人同士で固まってしまうと言葉をなかなか覚えない、といった弊害も生まれます。なるべく日本人とも交流するように、とはいえあまり無理のないよう、本人の性格や素地、向き不向きを考え、配属先を決めるようには心掛けています。

野々部:これは外国人技能実習生に限らず全員に言えることですが、当社では人材を採用する際は外国人、日本人といった意識を持たず、常にベストマッチとまではいかなくても、よりベターマッチする方にできるだけ長く働いてもらいたいと考えています。そのため、ベトナム人実習生の採用に関してもオンラインでの面接等は行わず、現地に出向いて直接会って、どんな若者なのかをしっかりと見極めた上で採用するようにしています。今は残念ながら渡航することができませんが、なるべく早くベトナムに行って、将来の当社を背負ってくれるような人材と出会いたいと願っています。
――では最後に、貴社の今後の発展を支える優秀な人材を採用し続けるには、何が大切だとお考えでしょうか?
野々部:当社は決して大企業ではなりませんが、100年以上続く安定企業であり、さらに優れた開発・技術力とトップシェアブランドを有している、とても魅力にあふれた企業だと自負しております。これからの採用にとって最も重要なのは、こうした魅力を損なうことなく維持し、さらに磨き続けることに他なりません。当社独自の強み、特長、そして魅力を求職者に伝え、そこに価値を感じ、共感してくれる人材を採用していきたいですし、そのためには求職者との接点を持つための様々な施策に関しては、時代の変化に合わせて柔軟に対応していきたいと考えています。

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