注目企業の人事インタビュー 

「Humanity」=社員の一生を大切にする。

月桂冠株式会社  総務部 人事課 課長 渡邊弘貴さん/総務部 人事課 天川隼輔さん
月桂冠株式会社
古くから交通の要衝として栄え、江戸時代には人口3万人以上、江戸・大坂等に次ぐ町として伝えられている京都・伏見。天然の良水に恵まれ、日本を代表する酒どころでもあるこの伏見の地で、月桂冠株式会社は1637(寛永14)年に「笠置屋」として創業し、以来380年以上の歴史を刻んでいます。常に創造と革新を繰り返すことで度重なる苦難を乗り越え、伝統を継承してきた同社の歴史は、まさに「挑戦」の歴史であり、どこよりも先駆けて酒造りに科学技術を導入し、防腐剤なしの日本酒や常温で流通可能な「生酒」、直近では日本酒で困難と言われた「糖質ゼロ」等、多くの「日本初」を生み出しており、リーディングカンパニーとして日本酒業界を牽引しています。挑戦のDNAを次世代につなぐために不可欠な同社独自の考え方や、大切にしている想いについて、総務部人事課課長の渡邊さん(写真右)と、同課の天川さん(写真左)にお話をお聞きしました。
※記事の内容は取材当時のものです。

380年以上の歴史は、創造と革新の歴史。

――380年を超える歴史と伝統をお持ちの貴社ですが、ここまで長く事業を継続してこられた秘訣は、どこにあるのでしょうか?
渡邊:当社には「Quality・Creativity・Humanity」という基本理念があり、「Quality」はお客様に満足いただける最高の品質、「Creativity」は常に創造し革新し続けることを意味しています。

当社には確かに長年培われた歴史と伝統がありますが、それを単に受け継いできただけであれば、きっと会社はここまで存続することはできなかったと思います。最高品質を目指し、常に創造と革新に挑み続けてきたこと、「挑戦」を止めなかったことが月桂冠の今を支えていると、私は考えています。

天川:2017年9月に創業380年の記念式典を開催するにあたり、社員全員に月桂冠を表す漢字一字を募集したのですが、最多得票は「挑」でした。従来の日本酒にはなかった新たな商品開発や、海外マーケットへの進出、さらに日本酒の発酵技術を活かした異分野への展開等、常に挑戦し続ける月桂冠のDNAは、令和になった今日にも社員一人ひとりに脈々と受け継がれています。
――「Humanity」に関しては、いかがでしょうか?
渡邊:「Humanity」は、一生懸命事業に尽くしている「社員の一生を大切にする」という意味です。創造と革新、新たな挑戦を成し遂げるには、社員一人ひとりが充実した人生を過ごしていることが不可欠です。お客様の満足を得るためにはまず社員の満足を得ることが必要です。このような「社員を大切にする」という企業理念を持っている企業はとても珍しいと思います。

天川:基本理念は新卒採用にも色濃く反映されています。選考の基準として「挑戦心」と「自ら考え、行動できる方」、さらに「思いやり・気遣いの心」等も重視した採用を行っています。

コミュニケーション重視の採用活動にこだわる。

――21年卒採用についてもメインはオンラインではなく直接会っての面接にこだわって実施されたそうですね。
天川:もともとは4月上旬にエントリーシートを締め切って、面接を実施する予定でしたが、コロナ禍で実施することが難しくなってしまいました。実施方法を検討した結果、学生と面接官の安全・健康への配慮と同時に直接会うことを大切にしたいと考え、4・5月は選考活動を一旦ストップし、6月から再開することにしました。

渡邊:採用活動の最盛期に中断することのリスクも十分承知しているのですが、安全・健康を優先し、このような結論を出しました。むしろ学生も当社も不慣れなオンラインで無理をして選考するよりも、新たな社員になるかもしれない学生を安心してお迎えするために必要な期間だったと考えておりますし、その想いは学生にもしっかりと伝わっているのではと感じています。
――20年4月入社の新入社員のご状況はいかがでしょうか。
天川:大卒・大学院卒では5名が入社しました。採用に関して、営業職は学部学科不問、研究職は理系の方が対象ですが、特に学部学科にはこだわらず学生時代に学んだことを当社で活かしていただける方であれば、どなたでもご応募いただいております。

渡邊:入社後、2~3週間の全体での新入社員研修を経て、その後営業職に関してはさらに約1か月程度の営業研修を受けていただくのが通例なのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で一部オンライン研修を取り入れたりする等、様々な工夫をしました。特にコロナ禍での配属時期には苦慮しました。本人とご家族ともに安心して赴任してもらうため、会社の都合だけで決めずにご家族にも状況の説明・相談をしたうえで全員が納得したタイミングで赴任をしてもらうことにいたしました。

天川:「もし仮に自分の家族が同じ状況になったとしたら、どうしてほしいか」と考えて行動することの大切さと、それが当たり前にできる月桂冠の企業風土の良さを再認識することができました。

独自のメンター制度で新入社員を手厚くサポート。

――では現在(取材日:2020年7月27日)はすでに、配属先で業務を始めておられるのですね。
渡邊:はい、現在はそれぞれの部署で先輩からの指導を受けながら、徐々に仕事を覚えていっている段階です。当社では独自のメンター制度があり、社員1人に対して1人のメンターではなく、複数人がついて様々な面から支えるようにしています。複数人いることでより目が届くようになりますし、新入社員もより安心して職場に溶け込むことができると好評です。

天川:私も新入社員の頃にたくさんのメンターにサポートしてもらいました。1人だけだとその方の仕事のやり方しか教えてもらえませんが、複数人いることでいろいろなやり方を覚えることができ、自身の成長にもつなげることができました。また入社3年目にはメンターを経験したのですが、指導する立場の大変さは想像以上で、これもまた自身の成長の幅を大きく広げてくれたと感じています。

渡邊:教える側になって初めて気づくことや、刺激になることの大きさを知ってもらうために、当社では例えば新入社員研修では外部講師に依頼する内容はごくわずかで、ほぼすべての講師を社員が担当しています。手作り感を大切にして、「月桂冠らしさ」を継続していければと考えています。
――インターンシップでも若手社員との交流会を実施しておられますが、採用活動に関わってもらうことも社員の成長に糧になりますよね。
渡邊:仰る通りで、「採用は最高の教育」だと考えております。これからの採用活動には「社員総力戦採用」という考え方が不可欠です。採用は会社の未来を作り出す根幹であるということを社員全員が共有し、より積極的に関わることで、社員は会社の良さ、仕事のやりがいや面白さを再認識することができます。その結果学生にもその社員の魅力や仕事の面白さが伝わることになります。

天川:ここで気をつけなければならないのが、当社が最終消費財メーカーであり、選考結果がどうあれ、月桂冠に対してできるだけ良いイメージを持っていただくことが重要だという点です。私達採用担当も学生の立場になり丁寧に対応すること等、当たり前のことをより高いレベルで実行できるよう意識しています。面接でもより学生の良さを引き出せるような質問をしたり、選考後にフィードバックを行ったりする等、様々な工夫を行い当社や日本酒に良いイメージを持ってもらえるよう心掛けています。

渡邊:関わってくれる社員が我々と同じ意識レベルで行動するためには教育・啓発活動が必要ですので、さらに規模を広げての「社員総力戦採用」を実現するにはもう少し時間が必要だと考えています。さらに言えば、現状の数回の面接・選考だけで私達の一員となってくださる方を見つけるには限界があると感じているのも事実です。そこで、例えばインターンシップをさらに就業体験に近くすることで学生との接点を増やし、相互理解をより深める事で、今まで以上にコミュニケーション重視の採用の精度を高めていくことができないかと考えております。そこで学生との接点となる社員の教育・啓発活動からまずは着手していき、ゆくゆくは企業カルチャーとしてしっかりと根付くよう、取り組んでいきたいと考えています。そして「歴史のある会社=お堅い会社」ではなく、「歴史のある会社=創造と変革を続けてきた会社」だということを学生だけでなく、より多くの方に知っていただけるよう、採用に関しても結果を恐れず変革に挑み続けてまいります。

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