HR関連法令・制度のご紹介

労働関係調整法

人事の図書館 編集担当者

労働者の権利を保障するための法律。

日本国憲法第27条で「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」と定められているように、私たち国民にとって、仕事を通して自己実現を図ることは義務であるとともに、権利でもあります。しかし、企業(=使用者)に比べ労働者は弱い立場にあることが多く、その権利が企業によって不当に脅かされるトラブルが後を絶ちません。そういったトラブルを未然に防ぎ、労働者の地位・権利を守るため、様々な法律が制定されています。なかでも、労働三法と呼ばれる3つの法律は、労働組合法(1945年)、労働関係調整法(1946年)、労働基準法(1947年)をさす総称で、戦後すぐに制定された、最も基本的な労働者の権利を守る法律です。

最初に施行された労働組合法は、労働者が組合を自由に結成・加入する事で、企業と対等な立場として労使間で団体交渉を行える事を保障する法律として制定されました。戦前より、鉱山などでは労働条件や賃金を改善すべく闘争が度々発生しており、ストライキを始めとした労働争議も行われていたものの、軍国主義の台頭によってその活動は弾圧され、終戦前にはそれまで設立していた労働組合もすべて解散させました。そういった背景もあったため、本法では労働組合の行動を法的に認めつつ、その活動を妨害することを「不当労働行為」として禁じています。

また、労働基準法は、労働条件に関する最低基準を定めたものです。「1日8時間、週40時間」といった法定労働時間や、人事の皆さんにとってはなじみ深い「36協定」などもこの法律に定められています。そして、発生しうる労使トラブルを未然に防止したり、その解決をするための手続きを明示するため、労働関係調整法が制定されています。

労働委員会による調整は3つ。特に多いのが「あっせん」です。

労働関係調整法とは、労働争議を予防・解決するために、労働委員会がその間に立って調整をする手続きを定めた法律です。労働委員会は、労働組合と企業との間に起きた紛争を中立・公正な立場で解決を図る行政機関で、国の機関としての「中央労働機関」と都道府県ごとに設置されている「都道府県労働機関」があります。

なお、ここでいう労働争議とは、「労働関係の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生している状態又は発生するおそれがある状態」と定義されていて、争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖など、労働組合が労働者の要求の実現や講義を目的として行い、業務の正常な運営を阻害するものをさします。
争議行為が発生した場合、その当事者は直ちにその旨を労働委員会又は都道府県知事に届け出なければならない義務を負います。そして、場合によっては都道府県労働組合による調整が行われることになります。

労働委員会が行う調整は、以下の3つです。

■あっせん
関係当事者の双方若しくは一方の申請又は職権に基づいて行われます。3つの調整手法のなかでは最も利用されており、労働者側、企業側、どちらからでも申請することができます。団体交渉を取り持ち、場合によっては解決案を提示することもあります。

■調停
基本的には、関係当事者双方からの申請により行われます。また、労働協約の定めがある場合に限っては、関係当事者の双方又は一方からの申請でも可能です。原則解決案を提示し、労使双方に受諾を勧告しますが、強制力はありません。

■仲裁
関係当事者の双方から、又は労働協約の定めに基づき関係当事者の双方又は一方からの申請がなされたときに行われます。「あっせん」「調整」によって提示された解決案には強制力はありませんが、「仲裁」による決定には強制力があり、労使ともに拒否することはできません。
基本的には、これらの調整は企業と労働組合間で行われるものですが、2006年からは、個別労働紛争解決促進法が整備され、企業と労働者個人間でもあっせんが行われるようになりました。これにより、労働組合に加入していない個人でも、労働委員会による調整が行われることとなっているため、労働組合の設置がない企業も留意が必要です。

労使間のトラブルは、労働委員会に任せていればOK?

依然多くの企業で労使間のトラブルが発生しています。では、社内でトラブルが発生した際は、労働委員会に任せていればよいのでしょうか。

労働関係調整法には、「労働関係の当事者が、直接の協議又は団体交渉によって、労働条件その他労働関係に関する事項を定め、又は労働関係に関する主張の不一致を調整することを妨げるものでないとともに、労働関係の当事者が、かかる努力をする責務を免除するものではない。また、労働関係の当事者は、労働争議が発生したときは、誠意をもって自主的にこれを解決するように、特に努力しなければならない。」と定められています。つまり、争議行為が起こったからと言って、その解決について労働委員会に任せるだけではなく、当事者間(=企業と労働組合や労働者の間)で自主的に解決するよう努力しなければなりません。

では、労使間のトラブルを防ぐため、人事として心がけなければならないことはなんでしょうか。まず、新たに入社する方と「労働契約」を締結する際、特に重要な項目(契約期間、仕事内容、賃金の額など)については、書面交付が義務付けられていますが、それ以外の項目についても、トラブル防止のためなるべく文書で渡しておくとよいでしょう。また、労働契約締結時に契約する労働条件について、実際の労働条件との相違がないか確認しておくことも重要です。これらが違っている場合は、労働者は、即時に労働契約を解除することができるためです。また、常時10人以上の労働者(パート、アルバイトを含む)を雇用している会社は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。この就業規則は、いつでも従業員が閲覧できるように文書で配布するか掲示しておく必要があります。

近年労使トラブルが増加している背景には、インターネットの発展により容易に労働者側が情報を得ることができることも一因と言われています。「少しくらい大丈夫だろう」と曖昧にしていたことが、後々大きなトラブルに繋がる可能性もあります。長年人事を務められてきた方にとっては当たり前のことかもしれませんが、先述したような法令や労働協約などを守りつつ、「企業」と「従業員」が事前にしっかりとお互いに納得のいく形で契約を結び、その契約が確実に遵守することが何よりも重要です。

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