注目企業の人事インタビュー 

「やるべきこと」をやることで、会社の発展を支えていく。

株式会社ユーシン精機 総務部 人事課 採用・研修担当リーダー 大川始さん/総務部 人事課 山口萌さん
株式会社ユーシン精機
1989年に、それまでの常識を覆すサーボモーター駆動式の樹脂射出成形品取出ロボットを世界で初めて開発。その高い技術力で、世界シェアNo.1メーカーとして君臨する、株式会社ユーシン精機。採用手法の見直し・改善をはじめ、働き方改革の推進や福利厚生・研修制度の充実といった、人事・労務制度に対して様々な角度から変化に挑戦し、成果を上げている同社の大川さん(写真右)と山口さん(写真左)に、成功のヒントについて語っていただきました。
※記事の内容は取材当時のものです。

「顔の見える」コミュニケーションで技術力をさらに磨く。

――こちらの本社ビルは2016年に竣工されたそうですね。
山口:以前は京都の伏見に本社があったのですが、事業の拡大と共に工場が徐々に増えていった結果、第6工場まで広がってしまい、社員同士のコミュニケーションがなかなか取りづらくなってしまったんです。

大川:当社の製品がお客様から信頼され、世界No.1のシェアをいただけているのは、技術力の高さがあればこそです。そして、その高い技術力の源泉になっているのが、社員同士の「顔の見える」コミュニケーションにあると考え、この本社ビルは建設されました。これまでは距離があった技術者同士が一堂に会して研究に没頭することで、さらに当社の技術力が磨かれています。また技術者と製造担当、あるいは営業担当といった部署を越えたコミュニケーションを活性化さるために、壁が一切ないフロアを作ったり、あらゆる場所にミーティングスペースを設ける等、よりお客様に喜んでいただける製品作りにも大いに役立っています。
――職場環境の変化が、優れた技術力や労働生産性の向上、ひいては社員の定着率アップにもいい影響を与えそうですね。
大川:はい。実はここ近年は新卒の採用数をあえて減らしているのですが、その背景には定着率が上がった影響があり、社員数は順調に増えています。ただしこちらは職場環境の変化もさることながら、働き方改革の推進による成果の方が大きいと思いますね。

山口:一例をお話ししますと、当社では育児休暇をお子さんが3歳になるまで取得することができますし、希望者は小学校3年生まで時短勤務を選択することができます。法定期間より長く取得できることで、第2子、第3子を出産した後に復職する社員も増えてきています。もちろん女性だけでなく男性社員の育休取得の例も増えています。

大川:なかには部長クラスの男性の時短勤務の事例もあり、男女問わずロールモデルになる先輩社員が多いのが当社の特長です。他にも余暇の充実の支援として、提携ホテルの宿泊費を1泊1人当たり最大4,000円補助する制度や、入社11年目までの社員は年に1度、外部の研修を受講できる制度を導入する等、社員にとって有益な福利厚生・研修制度をどんどん充実させています。

山口:外部研修制度では自分に足りていないと感じるビジネススキルを習得するために、約80コースから受講したいものを選び、上司と相談の上で決めることができますので、「やらされてる感」が全くないのがいいですね。私も今年は会社説明会でのプレゼン技術をより磨きたいと考え、プレゼンテーション研修を受講する予定です。

安定の礎には、幾多の挑戦があることを知ってほしい。

――2020年4月入社の採用活動のご状況はいかがですか?
大川:入社予定数は6名で、技術系が4名、事務系が2名です。先ほども触れました通り、当社では例年15名~25名の新卒採用を定期的に行っていたのですが、19年入社以降は1桁の採用数となっており、今後もしばらくはこの方針を続けたいと考えています。

山口:全社的に人員バランスが整っており、数を追いかける採用をする必要がなくなりましたので、当社では今、これまで以上に質にこだわった採用活動を行っています。具体的には技術系は、当社が必要としている機械・電気・電子・情報系で優秀な成績を修めている学生、そしてこれは文理問わず、何事にもアグレッシブに挑戦してくれる人材を厳選し、採用しています。

大川:当社は創業以来一度も赤字になったことはありません。また有利子負債はゼロで、高い自己資本比率を維持し続けていますし、さらに国内だけでなく世界でNo.1シェアを持つ、強い製品を有しています。これだけを見ると大手企業に負けないほどの安定企業、と評されがちですが、これはあくまでも結果論であって、創業以来ユーザー様の想いに応えるために数々のチャレンジを繰り返し、数多くの成功と、そしてその何倍もの失敗を積み重ねてきたからこその姿なんだ、だからこそこれからもより挑戦を続けていくんだ、という企業姿勢に共感してくれる方を採用できればいいなと考えています。
――では、質にこだわり、特に採用難易度の高いと言われている機電系学生の採用に成功されている、その秘訣はどこにあるとお考えですか?
大川:一言でいえば、「やるべきことをきちんとやる」ことです。例えば、先ほど触れた働き方改革で重視されるのが業務の効率化だと思うのですが、私は採用に関しては効率化を目指してはいけないと考えています。いかに手間をかけて、足を運んで活動ができるか、それが成否に結びつく最大の要因だと信じて取り組んでいますし、これを「やるべきこと」のひとつにしています。

山口:学生と触れ合う時間を惜しまないのはもちろん、大学関係者や他社の人事担当者との交流に関しても、時間と手間をかけて積極的に取り組んでいます。そこで得た情報が、採用の成否を分ける重要なファクターになっています。

大川:当社では学生のエントリー数や会社説明会への参加率、そこから面接への移行率といった、採用活動のフェーズ毎にKPI(key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定し、進捗状況に応じて常に施策を改善するようにしています。ここで最も重要なのが、今後どうなっていくのかを予測することで、その指標を得るためにも鮮度の高い情報は欠かせません。

山口:それともう一つ、学生が求めていることで、他社がやっていないことをやる。これも当社にとっては大切な「やるべきこと」です。京都には世界に名の知れ渡ったメーカーが多数存在しており、その中で人材獲得競争をしなければなりませんので、同じことをやっていては勝てません。

大川:最近では応募学生と内定者、そして当社の社員といった立場の違う3者でのランチセッションを行っており、当社での働き方や、内定者がなぜユーシン精機を選んだのか、といったリアルな話を学生に届けられるような取り組みも始めています。またインターンシップでは理工系学生対象に、当社の研究開発に携わるコアメンバーと5日間にわたり一緒に研究開発に取り組んでいただけるプログラムを始めました。こちらは誰でも参加できるわけではなく、当社の新卒の選考試験と同程度の課題をクリアした方だけが参加でき、ハイレベルな研究開発の現場を体感いただける、学生にとってかなり刺激的なプログラムになっています。

学生の熱意に応えるために、真剣に、ありのままに。

◆2019年度からクッキングを活用した新入社員研修を実施

――採用も安定より挑戦を重視しておられる、ということですね。
大川:世の中のあらゆるものが目まぐるしく変化する時代にあって、採用だけが「昨年これでうまくいったから、今年もうまくいくだろう」とは絶対になりません。学生・大学・企業の動きを敏感に察知し、それにフィットした施策にすべく、当社では毎年ゼロベースから採用活動を見直しています。

山口:就活に挑んでいる学生は「新卒」という一度きりのプラチナチケットを握りしめて必死になって活動しているわけですから、私たちも真剣に取り組まないと、「なんとなく」で決めていては失礼だと思っています。ですから学生が望むことに関してはできる限り、例えば学生からの質問や不安に思っていること等に関しては、全てありのままをお答えするようにしています。

大川:当社では学生に対して「うちにおいで」とは決して言いません。聞きたいこと、知りたいことといった判断材料は全てご提供しますので、その内容をしっかりと吟味して、自分で決断してから来てください、と伝えています。極端な言い方かもしれませんが、入っていただいてすぐに退社するくらいなら、入ってもらわない方がお互いにとっていいですから、マイナス面もしっかりと伝えて、ある意味覚悟を持ってきていただけるようにしています。
――では最後に、今後の御社の採用戦略の方向性について、お教えください。
大川:ここまで威勢のいい話ばかりさせていただきましたが、当社もまだまだ多くの課題を抱えており、それを一つずつクリアしていっている状況です。例えば当社では選考途中の辞退はさほど多くないのですが、会社説明会から選考への移行率の低さや、内々定辞退率の高さが課題になっており、次年度に向けて対策を検討しているところです。

山口:福利厚生や教育・研修制度にもまだまだ改善の余地があると考えています。いまある制度のブラッシュアップだけでなく、新しい制度の導入にも挑戦してみたいですね。

大川:大事なことは現実をしっかりと把握して、課題から逃げずに向き合うこと、それと変化を恐れず、いいと思ったことは貪欲に取り入れることです。この姿勢を守り続けて、会社の発展を足元から支えていきたいと思います。

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