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中途採用率の公表義務化に関する報道について

人事の図書館 編集担当者

中途採用率の公表義務化で起こる変化とは。

12月8日付読売新聞をはじめ、ヤフーニュース等で一斉に、従業員が301人以上の大企業に、中途採用と経験者採用が占める比率の公表を義務づける方針を固めたという報道がなされました。中途採用率の公表が意味するもの、あるいはそれらが社会にもたらす影響については注目の集まるところかと思います。
中途採用率の公表が義務化されることで、転職市場は劇的に活性化することでしょう。大手企業が中途採用を積極的に行うことで、転職に意欲的な求職者が増加しますし、特に、これまで今の仕事に納得していなかったものの、転職することに不安を抱えていた若手社会人が、多く転職市場に流出するようになります。

また、新卒一括採用が終焉を迎え、通年採用が日本の採用のスタンダードになります。新卒や20代の若手社会人の採用においても、ポテンシャルに加え、個人のスキルや経験を軸に行う時代が到来します。このような時代では、母集団を多く集めること以上に、ピンポイントでターゲットにアプローチすることが重要になってくるでしょう。言い換えると、自社の必要な人材定義を明確に、具体的に設定し、そのターゲットを確実に採用することが、今後の採用環境の変化を乗り切るカギとなります。

これらの情報を整理し、お届けいたします。

日本型雇用慣行の転換

報道のきっかけですが、11月26日(火)に開催された、「第4回全世代型社会保障検討会議(以下、検討会議)」で、企業による中途採用比率の情報公表に向けた法整備についての提起がありました。検討会議とは、2019年9月に発足した政策会議で、少子高齢化・ライフスタイルの多様化のなか、誰もが安心できる社会保障制度について検討するものです。
これに先立って11月15日(金)に行われた、厚生労働省による、「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」においても、中途採用に関する情報公開について議論がなされております。「中途採用に関する情報公表に係る主な検討課題」という資料も公表されており、検討課題として、「情報公表を求める対象企業について」「公表する情報の内容について」「情報の公表方法、必要な準備期間、支援等について」があがっております。
さて、経団連が、昨年10月に「就活ルールを2021年春に入社する学生から廃止する」と発表しました。その後、政府が主導となって、「3月広報活動解禁、6月選考活動解禁」のルールを維持することになりましたが、足元では6月以前に内々定出しが行われております。学情の調査でも内々定出しのピークは4月となっており、既にルールは形骸化しています。

しかし、この経団連の発表は、単に形骸化している就活ルールを後追いするものではありません。この発表に先駆けて、経団連の中西会長は、「経団連が採用の日程に関して采配すること自体に極めて違和感がある」と発言しています。自由な採用活動を推進し、新卒一括採用を前提とする雇用慣行の転機とすることが本来のねらいです。

今後、企業に求められることとは。

今年に入り、横並びでの採用活動から通年採用に転換する動きが出てきました。トヨタ自動車の社長が「終身雇用を守っていくのは難しい」と発言し、総合職採用の1割を占める中途採用の割合を、中長期的に5割に引き上げることを決定したとも報じられています。

こういった流れのなか、中途採用率が低い大企業に対してその公表を義務化するのは、企業の中途採用のさらなる拡大を狙い、人材の流動性を高めるという意図があります。また、求職者への調査でも、「正規雇用の採用実績」の公表を希望する方が多く、公表の義務化が転職への不安を払拭することに繋がることでしょう。

一連の報道をきっかけに、今後ますます日本の雇用に関する議論は過熱します。今後企業に求められる役割は、新卒・中途に関わらず自社にとって有用な人材であれば受け入れられる、柔軟な体制の整備です。

一括採用であれ、通年採用であれ、採用現場において心がけるべきことはそう変わりません。一方で、日本型の終身雇用を前提とした制度を維持するだけでは、通年採用時代に生き残ることは難しいでしょう。守るべきものは守り、変えるべきものは変える、このバランス感覚のある変化が人事にも求められています。

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