企業の動向

多くの企業では2019年卒採用活動の計画をおおよそ立て終えたようだ。いずれもインターンシップ等により採用広報解禁前の学生との接点作りを強化し、そこから展開していくというトレンドがみられる。企業の採用意欲は前年並み、あるいはそれ以上で、学生優位の売り手市場は継続しそうだ。そうした環境下において思惑通りの状況に至っていない企業も多い。特に大手人気企業以外の場合、インターンシップを実施しさえすれば「集まる」「成功する」わけではない。今年は経団連の「採用選考に関する指針」においてインターンシップの最低日数要件が削除されたことも影響し、インターンシップ実施に踏み出す企業が増加した。結果として学生の選択肢が広がり、「せっかくインターンシップ実施を決めたのに思ったように集まらない」という悩みを抱える企業がみられる。あるいは「インターンシップを実施したものの、参加学生がその後のセミナーや選考に来てくれるのか手応えがない」という悩みを抱く企業もある。前者の場合は、学生の春休み期間である1月下旬~2月の間に少しでもインターンシップに参加してもらおうと、今後開催される「インターンシップ博」等のインターンシップイベントに出展をするといった対策が採られている。後者の場合は、採用ホームページの更新や学生に配布するパンフレット等のツール拡充などで様々な角度から自社の魅力を伝えようとする動きがみられる。いずれにしても、年明け以降はよりその後の採用活動を意識した動きが広がりそうだ。(石谷 博基)

学生の動向および学生を取り巻く就職環境について

例年、最終学年の学生のうち、1割程度は年明け以降も就職活動を継続している。2018年卒学生も例に漏れず、その傾向が見られる。様々な事情で就職活動に本腰を入れられなかった学生も少なからずおり、卒業論文提出後や後期試験後が本格的な企業探しのタイミングとなる。各大学のキャリアセンターも、そうした学生への就職支援に力を入れている。このタイミングが2018年卒学生を採用できる最後のチャンスになると思われるので、採用継続企業はキャリアセンター訪問を強化することも一策だろう。
2019年卒学生については就職に対する意識の二極化が顕著に感じられる。3年生(修士1年生)の夏からインターンシップに参加したり、キャリアセンター主催の就職ガイダンスに出席したり、あるいは「インターンシップ博」など就職情報会社主催のインターンシップ&業界研究イベントに来場するなど、前向きに自分のキャリアを考える学生は前年よりも増えている印象だ。その反面、3月までは一切の準備もしない学生も多い。新聞やニュースでの発表だと、まるでほとんどの学生が早くから動き始めている印象を受けるが、実際は3月以降の動き出しとなる学生もかなりの割合にのぼるとみられる。各大学では、早めに準備を進める学生には自己分析や業界研究などの支援を強化し、万全の状態で就職活動に臨めるよう指導している。一方、現状何もしていない学生に対しては、お尻に火が付き始める3月前後の学内合同企業セミナーや直前対策ガイダンスの実施などで、しっかりと指導していく体制を整えている。(岩本 和彦)