• お問い合わせ

学情レポート【COMPASS】2018.07

学情レポート【COMPASS】 2018.07

平成29年度 社会人基礎力育成グランプリ 受賞校インタビュー

今回で11回目を迎える「社会人基礎力育成グランプリ」。その決勝大会が2月20日に東京で開催された。「社会人基礎力育成グランプリ」は、ゼミ・研究・授業等における社会人基礎力の「育成・成長の事例」と「その成果」を指導担当教員+学生によるチームが発表するもので、社会人基礎力の礎となる3つの能力(「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」)がどれだけ成長したか、大学で学ぶ一般教養や専門知識をどれだけ深めることができたかという点で審査が行われる。今回は約50のチームから地区予選を勝ち抜いた9チームが決勝大会に進んだ。地元企業や自治体とともに地域活性化を目指した取り組み、学生の視点での新商品開発に挑んだ取り組み、学生という立場から社会問題に深く切り込んだ取り組みなど、大学教育の枠を超えて様々なことにチャレンジした学生たちによる熱を帯びたプレゼンテーションが行われた。

今号ではその中から大賞(経済産業大臣賞)を受賞した福岡女学院大学、準大賞を受賞した朝日大学および松山大学の取り組みと学生の成長の軌跡を、インタビューにより紹介する。

写真提供:福岡女学院大学

開催概要

開催日:2018年2月20日(火)
会 場:拓殖大学 文京キャンパス
主 催:社会人基礎力協議会
共 催:経済産業省

決勝大会 結果

社会人基礎力大賞
(経済産業大臣賞)

  • 福岡女学院大学
    (九州・沖縄地区代表)

準大賞

  • 朝日大学
    (中部地区代表)
  • 松山大学
    (中国・四国地区代表)

〈決勝大会出場大学一覧〉

【北海道・東北地区代表】
 東京農業大学(北海道オホーツクキャンパス) 生物産業学部
  「市民マラソンボランティアを通じた『人間力』の育成
    ~地域活動で育む『共創』『共育』『共感』~」

【関東地区代表】
 ①創価大学 経営学部経営学科
   「モラトリアムシニアに第三の居場所のきっかけづくりを提供する
    ~one step project~」

   ②拓殖大学 商学部経営学科経営コース
   「WA食~みんなで繋がろう~:こどもの幸せな未来を創る
   『こども食堂』」

【中部地区代表】
  ①朝日大学 法学部法学科
   「大学生による子ども支援活動」

  ②中京大学 総合政策学部総合政策学科
 「瀬戸ガチャ」

【近畿地区代表】
 ①大阪工業大学 知的財産学部知的財産学科
 「宇宙デブリに立ち向かう!宇宙用ロケットエンジン事業戦略
 〈知的財産学部×工学部〉学部間連携による挑戦」

   ②帝塚山大学 現代生活学部食物栄養学科
  「地域振興支援に挑戦するTEZUcafe(学生レストラン)3期生」

【中国・四国地区代表】
 松山大学 経済学部経済学科
 「サイクリストの聖地における社会人基礎力育成の試み」

【九州・沖縄地区代表】
 福岡女学院大学 人文学部現代文化学科
 「世界一の非売品 エアライン業界実践研修 CLASS J」


<社会人基礎力の3つの能力(12の能力要素)>

前に踏み出す力(アクション)

~一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力~

主体性
 

物事に進んで取り組む力

働きかけ力
 

他人に働きかけ巻き込む力

実行力

目的を設定し確実に行動する力

考え抜く力(シンキング)

~疑問を持ち、考え抜く力~

課題発見力

現状を分析し目的や課題を明らかにする力

計画力

課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力

創造力

新しい価値を生み出す力

チームで働く力(チームワーク)

~多様な人々とともに、目標に向けて協力する力~

発信力
 

自分の意見をわかりやすく伝える力

傾聴力

相手の意見を丁寧に聴く力

柔軟性
 

意見の違いや立場の違いを理解する力

情況把握力

自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力

規律性

社会のルールや人との約束を守る力

ストレスコン 
トロール力

ストレスの発生源に対応する力

大賞(経済産業大臣賞)

福岡女学院大学 人文学部現代文化学科

「世界一の非売品 エアライン業界実践研修 CLASS J

指導教員:人文学部 教授 浮田 英彦 氏   

取り組み内容について

▲エアライン研修の提案風景

まず当ゼミでは1~4年生が参加する協同学習を実施しています。これは上級生が授業の組み立てや運営を行い、受講生である1年生がその上級生の姿を見ながら様々な学びを得るロールモデルというスタイルを取り入れています。もちろん上級生も下級生に何をどう伝えるかを考え実践することで自分たちの成長にもつながっています。ゼミの大目的はロールモデルを通した各自の成長ですが、それとは別に各学年が任意の課題に挑むこともできます。

今回の社会人基礎力育成グランプリで大賞を受賞した学生たちが2年生だった2016年9月、設定した課題が自分達で「エアライン研修を作ること」でした。当大学では航空業界を目指す学生が多く、エアライン系の外部スクールに通う学生もいますが、受講料が高く、その費用を稼ぐためのアルバイトで疲弊し授業にも支障が出るという悪循環に陥るケースもあります。そうした状況を改善できないかと立ち上がったのが当ゼミの学生たちです。当大学は2015年に日本航空と包括的連携協定を結んでおり、エアライン研修も日本航空に協力いただく内容を考案することになりました。ただ、学生たちは研修作りなど初めて。何から手をつければいいか、誰にどうアドバイスをもらえばいいか分からないという手探り状態です。とにかく自分たち流で作ってみようということで考案したのが、飛行機を貸し切って九州を周遊する、日本航空の社長に講義を行ってもらうなどのアイディア。これはいかにも非現実的なものでしたが、私は敢えて口を挟みません。学生たちはこのアイディアをそのまま日本航空に持ち込んだところ、「とても企画とは言えない」と厳しい評価を受けました。私が口を挟まなかったのは、失敗から学んでほしいという思いがあったから。学生たちも自分たちの考えの甘さにようやく気が付き、研修内容を一から見直すことになりました。試行錯誤を繰り返し、日本航空側へ何度も提案しながら企画をブラッシュアップさせる中、学生たちはあることに気が付きました。それは、自分たちがやりたいことを押し付けるのではなく、この研修に協力いただく日本航空の利得を考える必要があるということです。若年層利用者の増加を図りたい日本航空に対し、若年層の意見を聞けるワークを取り入れたらどうか。そんなアイディアを加えた最終提案の場でようやく日本航空の全面協力を得られることが決まりました。それは従来のエアラインスクールに見られる見学や体験に重きを置いたものではなく、座学やワーク中心の内容で、受講希望者がどれだけ集まるかという懸念もありましたが、学生たちは必死のPR活動を行いました。ふたを開けてみれば定員を大きく上回る応募があり、研修自体も好評のうちに終えることができました。

受賞学生の声 ~苦労したこと、成長したこと~

▲見事、大賞を受賞した学生たち

日本航空への最初の提案で研修内容のダメ出しをされた時、いかに自分たちの考えだけで物事を進めていたかを痛感し、もっと先生や先輩方に相談すべきだと気付きました。4年生に相談したところ、「研修の目的や目標がぶれている」という指摘をいただきました。そこでメンバーで議論し、研修を通しての目的・目標、さらには1コマ1コマの目的・目標を決めようとなり、「航空業界を正しく理解する」「社会人基礎力を身に付ける」という2つの目標を掲げることにしました。特に2つ目の「社会人基礎力を身に付ける」はゼミで行っている協同学習から着想を得ました。協同学習では1年生対象の初年次教育の運営を行っていますが、その目的自体が社会人基礎力の修得です。この学習では後輩が先輩の姿勢を真似たり、1年生自身も議論やプレゼンを行うことで、人の接し方や礼儀作法といったマナー、さらには周囲を巻き込む力や発信力などを身に付けてもらっています。エアライン研修もそれを応用しました。例えば研修では受講者同士でチームを組んでもらい、ワークとプレゼンを毎回実施、競い合う中で社会人基礎力を身に付けてもらうようなプログラムにしました。協同学習に取り組んでいたからこそ、作り上げられた研修だったと思います。

また今回の取り組みで特に苦労したと感じることは「時間の使い方」です。研修の提案日や実施日というタイムリミットはあるものの、そこに至るまでの時間をどう使うべきか。それが見えていない状態が長かったので、とりあえずやることをリストアップし、メンバーで役割分担をして、みんなが何かしら行動するようにしました。土日も学校に来たり、メンバー宅で泊まり込みの作業をしたりと、とにかくやみくもに動いていました。そうした中で先輩からは「こんな時間まで何しているの?もっと時間をきっちり使わないとだめでしょ」と注意されたこともありました。今であればこの言葉を素直に受け入れることができますが、当時は意味が分からず苦しかったのを覚えています。そんな時に先生から「やらなくてはいけないことに捉われているときほどもっと周りを見るように」と諭されました。自分たちは本当に周りが見えていない状態でしたので、その言葉にはハッとさせられました。そうしたアドバイスも助けとなり、「何日の何時までにこれをやろう」「1日ごとに目標を決めてそれに向けて取り組もう」など、だんだんと時間の使い方を体得しながら作業に臨めるようになりました。

また活動を通して批判力が身についたと思います。研修内容を考える際も、他の研修と差別化できているか、それが実現性のあるものなのか、日本航空側の利得は何なのかなどを冷静な視点で考えられるようになりましたし、ゼミで毎日のようにディスカッションをしているため、相手に迎合せず別の意見も言えるようになりました。そうしたこともあり、就職活動ではグループディスカッションで落ちたことがありません(笑)。もちろん相手を単に批判するのではなく、伝える際の言葉遣いも意識できるようになりました。そうした私たちの成長の陰には見本となる先輩の存在があります。後輩たちも私たちの奮闘や成長の軌跡を見て、何か受け取ってくれるものがあればいいなと思います。

準大賞

朝日大学 法学部法学科


「大学生による子ども支援活動

指導教員:法学部   准教授 宮坂 果麻理 氏

取り組み内容について

▲子どもたちにサプライズで贈るクリスマスプレゼント

当ゼミでは、ゼミ活動の一環として座学に基づいた社会貢献活動に取り組んでいます。特に少年法を中心に学んでいるゼミであることから、6年前からBBS活動(BBS=Big Brother and Sister Movement)という非行少年の立ち直りを支援するボランティア活動に取り組んでいます。指導教員としては、この活動を通して社会人基礎力を身につけるとともに、人を大切にできる人材になってもらいたいとの強い願いがあります。そこでゼミでは、敢えて2~4年生で構成される合同ゼミ形式を採用しています。同学年のみではないため学生同士がストレスを感じることも予測されますが、教え教えられ、また成長を見届ける人間関係の中で、自主的行動力、コミュニケーション能力、チーム力が着実に高まっていると感じます。BBS活動では、非行防止に関する啓発活動を重ねてきて、一定の効果は感じられたものの、活動が単調でマンネリ化していました。また、新しいゼミ生との温度差が生じたため、学生たちは何かしらの工夫が必要であると考えていました。ゼミ生間での議論の末、BBS活動の理念にある「非行少年のよい友達になる」に着眼し、これを実践していくことで意見がまとまりました。それが社会人基礎力育成グランプリで発表した学生たちの取り組みです。

子どもたちと直接関わる活動をするために、以前活動をしたことがある児童自立支援施設の子どもたちと交流をしようということになりました。しかし、新しいゼミ生から、「非行少年と関わるのが怖い」、「どのように話しかけて良いかわからない」との不安の声が上がったことから、まずはこの不安を解消するために施設参観をし、園長先生から直接話を聞く機会を設けました。これをきっかけに、新しいゼミ生たちも「まずは子どもたちのためにとにかくやってみよう」と気持ちを切り替えることができました。具体的に何をするのかを決める際には、子どもたちの得意な面を伸ばして自信をつけさせたいと考え、「スポーツ」(ソフトボール)での交流を行いました。子どもたちとの距離は近づいてきましたが、ソフトボールが団体競技であったこともあり、上がったのは「子ども個人と関われる取り組みをしていくべきでは」という意見です。そこで卓球やたこやき作りなどを行い、子どもたちと個々人で関われる交流を図りました。初めはお互いがどのように接して良いか分からず戸惑っていましたが、年齢が近いこともあり自然と会話が生まれ、徐々に打ち解けることができました。さらに学生たちは大学祭で出店した模擬店の売上金でクリスマスプレゼントを贈りました。思いがけないプレゼントだったこともあり、子どもたちも大喜び。子どもたちの笑顔に触れ、学生たちは、他人のために力を尽くせる喜びを実感するとともに、子どもたちの喜びを自分の喜びとして感じたのではないでしょうか。

非常に難しいテーマの活動ではありましたが、学生の自主性を養うために、基本的には突き放す努力をしました。もっとも、学生たちには気づかれないように水面下でセーフティネットは準備するよう心掛けてきましたが。自主的に行動したことによって、学生たちは自身で考え抜く力がこれまで以上に増したように感じられます。また、従来は教員がレールを敷いてからでないと行動に移すことができませんでしたが、当該活動を行うようになってからは、自ら積極的にアプローチできるようになりました。

「自分たちの活動」から「子どもたちのための活動」へ

▲子どもたちの真の更生に向け、地域の方と議論を重ねる

活動をスタートしたばかりの頃、学生たちは「自分たちにできることは何か」という観点で物事を考えていましたが、活動を通じて「子どもたちにとって何が必要なのか」という考えを持てるようになっていきました。例えば、施設の子どもたちとソフトボールの試合をしたとき、大学生が大勝してしまい、子どもたちとの間に不穏なムードが漂いました。このことについて、学生間で「手を抜くべきではないか」「手を抜かずに本気でやったほうがよい」と意見が対立してしまい、しばらく活動が停滞したことがありました。この活動自体が終わりそうなほど事態は深刻化しましたが、このままではいけないと思った4年生が事態解決に向け話し合いました。そこで出てきたアイディアは「ソフトボールに参加する学生側のメンバーを男子学生中心から女子学生中心にする」というもの。参加する子どもたちにも女子メンバーがいるからで、これによって子どもたちも満足できる試合をすることができました。この一件がきっかけとなり、「とにかく施設の子どもたちのための活動を」という共通認識を持てるようになったと思います。

様々な取り組みを通じて子どもたちとの交流を図る中、子どもたちから御礼の手紙が届いたことがありました。この手紙をきっかけに、学生たちは「子どもたちが真に更生するためには何が必要か」と真剣に考えるようになりました。世論調査から、更生に協力したいという人はいても、直接関わりたいと思っている人は少ないことを知った学生たちは、自分たちだけが活動を行うだけでは足りず、地域の人たちの理解や協力が必要であるとの思いに至りました。そのためには、保護司や更生保護女性会等のボランティア団体等と連携協力し、社会の中で子どもたちを受け止める体制を整えていくことが何より重要であり、また今後の課題です。今回の活動の中心メンバーだった4年生は卒業しましたが、地域社会との連携を図り、支援の輪を広げていく活動を在学生たちにも継続していってほしいと願っています。

準大賞

松山大学 経済学部経済学科


「サイクリストの聖地における社会人基礎力育成の試み

指導教員:経済学部 教授 松本 直樹 氏

取り組み内容について

▲松山市長へ提案し、前向きな意見をいただく

当ゼミの学生が行ったのは、愛媛県松山市でのコミュニティサイクル誘致に向けての取り組みです。ただ当初はこれとは全く別の、四国の上場企業を対象としたご当地ファンドの商品化に向けた取り組みをしていました。企業研究の過程で、業界を代表するある自転車部品メーカーの株価急落に気が付きました。調べてみると理由の一つとしてコミュニティサイクルの拡大が挙げられます。大手によるコミュニティサイクル参入発表などが相次ぎ、業績悪化が懸念されたというものでした。時を同じくして2017年は国土交通省による「自転車活用推進法」が施行され、まさにコミュニティサイクル元年といえる年でした。ただし、コミュニティサイクルの展開は大都市圏に留まっていました。翻って、本州と四国を結ぶしまなみ海道の四国側の玄関口である愛媛県は、知事が旗振り役となり「サイクリストの聖地」とアピールしてはいますが、自転車産業が確立しているわけではなく、また自転車を切り口とした地域活性化としても、やや名前負けしていると感じていました。一方で自転車といえば、四半世紀以上も前から松山市内中心部の放置自転車が問題となっています。そうした中、コミュニティサイクルの導入でこの問題の解決に繋げられないかというアイディアが学生から出されました。大都市圏で先行しているコミュニティサイクルをコンパクトシティの松山にこそ活かすべきではないか、そうした思いが学生たちから湧き上がり、当初の取り組みから派生した取り組みを実施していくこととなりました。

まず学生たちは、愛媛県庁と松山市役所を訪問し、コミュニティサイクルの設置を提案しました。しかし「コミュニティサイクルの需要はあるのか」「自転車設置の予算はどう捻出するのか」という課題を突き付けられました。学生たちはそこで初めて「すんなりと事が運ぶわけではない」と自覚。この課題の解決に向けアイディアを出し合い、打開策を見出しました。1つ目は「コミュニティサイクル需要確認のためのアンケート調査」です。松山市内でアンケート調査を実施したところ、コミュニティサイクルの認知度はそこまで高くありませんでしたが、「あれば利用したい」という声が半数を超えていました。認知度向上がニーズ喚起につながるという結論に至り、それはその後のポスター制作や街頭・学内でのPR活動に繋がっていきます。打開策の2つ目は「松山市内の放置自転車をコミュニティサイクルとして再利用すること」です。放置自転車は半年間所有者が現れなければ所有権が松山市に帰属される仕組みになっており、この放置自転車を利用することで予算抑制ができます。さらに学生たちは、民間企業とタッグを組んでコミュニティサイクルを先行導入している広島市への視察調査や、様々な企業に情報提供を仰ぎながら松山市で実施するためのプランを作成していきました。そして改めて愛媛県知事、松山市長へ提案に訪れたところ、前向きな意見をいただくことができました。知事や市長からは「民間企業と協働で取り組んでみてはどうか」という話が上がり、そこで学生たちが目を付けたのが大学前にあるコンビニエンスストアです。このコンビニの本社にコミュニティサイクルの話を持ちかけたところ、「安全性や収益性に課題があり実施は難しい」と断られました。しかし学生たちはめげずに「まずはコンパクトシティである松山市で試し、全国展開前にデータ収集をしてみては」と提案。コンビニ側もこれには納得し、このコンビニと提携関係にあり、コミュニティサイクル専用車両の開発・供給を担う企業の担当者による松山市への視察が決定しました。

チーム活動で何が大事なのかに気付き、「松大クオリティ」の打破を図る

▲情報共有を徹底し、ミーティングも軌道に乗る

学生たちの取り組みはとんとん拍子で進んだわけではありません。立ちふさがったのが「松大クオリティ」です。松山大学は地方の中規模総合私立大学ということで、在学生は地元出身者が多数を占め、固定的な交友関係を生みやすい環境にあります。こうした、松山大学に特徴的な馴れ合い体質、横並び意識、現状維持バイアス・・・。それらを私は皮肉を込めて「松大クオリティ」と呼んでいます。それはこの社会人基礎力育成事業でも見られました。ダラダラやっているだけで一体感がなく、目的意識や当事者意識がない。そんな「松大クオリティ」をいかに越えていくかが大きな課題でした。

ミーティングを実施してもメンバーが揃わず、さらに議事録を取らずにいたため、学生間の情報共有が図れていない状況が続きました。また後で発覚したのですが、教員を抜きにした学生だけのグループでも活動が進められており、教員が進捗を把握できていませんでした。リーダーもこのままでは駄目だという意識はあったものの、雰囲気に流されがちでした。そうした中で、ある一人のメンバーは、どんな時もミーティングに参加し、欠席者が本来すべき作業を厭わずに行っていました。このメンバーばかりに負担が掛かっていることに気付いたリーダーは、皆をどう巻き込んでいったらいいのか私のもとに相談に訪れました。このとき、社会人基礎力育成事業とは別のプロジェクトも同時進行していたのですが、「そちらのチームは毎回うまく議事録を作成し、私を含め情報共有や連携がきちんと図れており、参考になるのでは」と紹介しました。これを受け、リーダーともう一人のメンバーは、「誰かがミーティングを欠席したとしても、作業の進捗を全員で確認できる状態にしておくことがチーム活動においていかに重要であるか」に気付き、それまでの活動を反省。情報共有方法の改善に乗り出しました。ミーティング毎にこれまでの振り返りを行い、第三者から見てもわかりやすい活動結果を残すことを目的とした議事録作成のルールを確立させました。合わせて、教員が活動状況を適宜チェックできる体制を整えました。そのように運用方法を変えていったことで、それまでの活動がいかに独りよがりであったか、そしてどんなに面倒であっても目的達成のための情報共有がいかに重要であるかに改めて気付いたようです。結果として一人ひとりが当事者意識を持って活動に臨むようになり、社会人基礎力の向上とともに「松大クオリティ」も打破できたのではと思っています。

レポートダウンロード