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学情レポート【COMPASS】2017.11

各地域の地方創生への取り組み事例レポート

「ふくいでワーキングホリデー」実施報告

総務省では地域経済の好循環の更なる拡大に向け、「ヒト・情報」の流れを創出することを目的として、都市部の若者(大学生等)などが一定期間地方に滞在し、働きながら、地域住民との交流や学びの場などを通じて田舎暮らしを学ぶ「ふるさとワーキングホリデー」を、平成29年度は全国15道府県(北海道、福島県、石川県、福井県、岐阜県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県、高知県、福岡県、熊本県、宮崎県)にて実施している。

福井県においては株式会社学情とテンプスタッフフォーラム株式会社が共同事業体を形成し、運営事務局として委託を受け、「ふくいでワーキングホリデー」の名称で各企画を実施している。
本記事では夏期に実施された「ふくいでワーキングホリデー」をレポートする。

事業概要、夏期実施レポート

ふくいでワーキングホリデー

「ふくいでワーキングホリデー」は福井県外在住の若者(大学生等)に福井県での仕事、働き方、暮らし等の多様な魅力を立体的に発信し、将来的に福井県への移住者の増加を実現することを目的に実施され、実施期間は平成29年8月から平成30年3月までを予定している。

「ふくいでワーキングホリデー」の参加者は2週間~1ヶ月の期間、福井県に滞在し、有給で福井県内の仕事に従事しながら、地域住民との交流や福井県内の様々な活動を経験する「ふくい暮らし体験メニュー」にも参加する。また、ワーキングホリデーの実施期間内に複数の福井県内企業を見学するバスツアーも実施し、福井県内の企業への理解を深める機会を設けた。

ワーキングホリデーには、平成29年9月末までの時点で福井県外在住の大学生を中心に29名が参加。参加者には福井県出身者はおらず、およそ9割が関東・東海・関西の3大都市圏の出身者で占められた。ワーキングホリデーの参加動機としては「都会とは異なる環境で、今までにない経験をしてみたい。」や「今後の就職活動を見据えて、自分の進路の可能性を広げたい。」といった声が多く聞かれ、都市部の若者の地域での生活や仕事への関心の高さが感じられた。

受入先企業

旅館・ホテル、観光業、農業、水産業、加工業などを中心に紹介。

例)・森林をフィールドとしたテーマパーク
・日本海に面したロケーション抜群の温泉旅館
・地場で獲れた海鮮物を販売する魚問屋
・ハーブや野菜の栽培を手がける農業法人

ふくい暮らし体験メニュー

福井県の暮らしに触れる機会をプログラムとして提供。

例)・地元地域の祭りへの参画
・農業ボランティアへの参加
・地域おこし協力隊と一緒に地域住民と交流
・伝統工芸(「石田縞」、「若狭和紙」等)の制作体験

企業見学バスツアー

福井県内の「シェアナンバーワン企業」「オンリーワン企業」などを知るバスツアーを実施。職場見学、工場見学を通じて福井を代表する企業の魅力を知る機会を設けた。

①8月24日実施 6名参加
訪問先企業:株式会社福井村田製作所、株式会社ふじや食品、株式会社松浦機械製作所

②9月5日実施 4名参加
訪問先企業:アイシン・エィ・ダブリュ工業株式会社、株式会社 ALL CONNECT、セーレン株式会社

ワーキングホリデー参加の流れ

1.広報
日本総合研究所が発表した「全47都道府県幸福度ランキング2016年度版」にて、福井県が「幸福度No.1」に選ばれたこともPRのポイントとして広報を展開。「あさがくナビ」、「Re就活」等の登録者や大学等に向けての広報活動を実施。

2.ワーキングホリデー説明会
東京、名古屋、大阪の会場にてワーキングホリデーの説明会を実施。「幸福度No.1」に輝く福井県の魅力や本事業の趣旨及び制度説明、受入先企業及びふくい暮らし体験メニューの紹介を行った。時間が合わない等の理由で説明会に参加にできない希望者には電話等でも事業説明を実施、できる限り柔軟に対応できる体制を構築している。

3.個別面談
ワーキングホリデー説明会後、希望者には個別面談を実施。希望の参加期間や受入先企業、ふくい暮らし体験メニューのヒアリングを行い、受入先企業やふくい暮らし体験メニューのマッチングを行った。

4.オリエンテーション
ワーキングホリデーの参加が確定した方を対象に、参加にあたって必要な諸手続きや注意事項の伝達を実施。

5.ワーキングホリデー参加
ワーキングホリデー参加期間中は福井県内の運営事務局スタッフによる参加者及び受入先企業のフォローを実施。加えて滞在期間中は運営事務局にてワーキングホリデー参加者を対象にした傷害保険に加入し、移動費や宿泊費の一部は運営事務局から助成を実施。参加者の精神的・経済的な面でフォローする体制を構築している。

 

参加者の声1

兵庫県在住の大学4年生

受入先:足羽山デッキ
事業内容:カフェの運営

今まで知らなかった福井を知るために、ワーキングホリデーへの参加を決意。

大学では地域活性化について研究するゼミに所属しており、地方での生活を体験するワーキングホリデーに参加すれば、「研究テーマの参考になるかもしれない。」と思い、詳しく調べることに。福井は今まで訪れたこともなく、現地で実際に生活をするワーキングホリデーは福井を知るきっかけになる絶好の機会だと考えました。

心にゆとりを持って働く。ワーキングホリデー先にはゆっくりとした時間が流れています。

数ある受け入れ企業の中、私は足羽山デッキに一目惚れしました。現在も神戸のカフェでアルバイトを続けていることもあり、業態が同じカフェである足羽山デッキに関心を抱きました。ホームページを見た瞬間に伝わってくるお洒落な雰囲気に、「この空間を味わいたい!」という想いが芽生えたことを覚えています。
実際に働いてみると足羽山デッキはくつろげる空間づくりを大切にしており、お客様もゆったりとした時間を過ごすことを目的に来店されます。私もお客様の目を見て丁寧にコミュニケーションを図ることができました。心なしか、足羽山デッキで働いているときは、時間がゆっくりと過ぎていく―――。それは退屈で時間が過ぎるのが遅く感じるのではなく、心にゆとりを持って働くことができたのだと思います。

福井は自然と共存できる場所。

福井で過ごしてみて気付いた魅力は、自然と共存しているということ。足羽山デッキはもちろんのこと、商業地や住宅街から近い場所に自然がたくさんあり、夜には、とてもキレイな星空をみることができます。また、福井で暮らす人たちは、優しい人ばかりです。お世話になった足羽山デッキのスタッフの方をはじめ、来店されるお客様も皆さん温かく、福井に関する様々なことを教えてくれました。
都市にはない自然、そして人との出会い。いずれもワーキングホリデーに参加しなければ見つけることができませんでした。最初は不安もありましたが、それも含めて良い思い出になりました。

参加者の声2

大阪府在住の大学3年生

受入先:フィールドワークス
事業内容:「とみつ金時」を中心とした野菜の生産・販売

夏休みを有意義なものにするため、ワーキングホリデーに参加。

「ふるさとワーキングホリデー」を実施している県はいくつかありますが、その中で私が「ふくいでワーキングホリデー」に参加を決めたのは、「福井県が幸福度No.1の県」であるからです。なぜ、福井は幸福度が高いのか。なぜ、福井の人々は幸福を感じているのか。幸福というイメージしにくいものだからこそ、自分の目で見て、そして肌で感じてみたいと思いました。

一生懸命働いて、疲れるからこそ得られる達成感。

今回のワーキングホリデーでは、普段の暮らしでは体験することができない仕事に就きたいと考えていました。ですので、とみつ金時(さつまいも)をはじめ、福井のブランド野菜を栽培しているフィールドワークスにお世話になることにしました。いざ働いてみると本当に大変です(笑)。とみつ金時の収穫時期はワーキングホリデー実施期間である秋がピーク。暑さは緩和されているものの、一日中体を動かす仕事は農業体験がはじめての私にとって、体力的に堪えました。ただ、終業時間を迎えたときに味わう感覚。農業に限ったことではないですが、身体を使う仕事ならではの達成感はとても大きなものがあります。普段の生活では感じられない非日常的な体験をすることができたと考えています。
また、宿泊はフィールドワークスの社長のご実家にホームステイをさせていただきました。アットホームな雰囲気とたわいもない会話、そして美味しいご飯(福井のご飯は本当に美味しいです!)は、いつも私に元気をくれました。

また知らない場所に行きたいと思えるきっかけになりました。

私が滞在しているあわら市は、海も山も近く、自然と一緒に生活することができます。この自然と暮らす感覚も、地域の人々とのコミュニケーションも、少し不便なところも、その土地の中まで入ることができるワーキングホリデーでしか味わえない経験です。“知らない場所に行くことは楽しい”それを気付かせてくれた福井県とワーキングホリデーに感謝しています。

参加者の声3

京都府在住の大学2年生

受入先:越前夢ファーム
事業内容:薬草栽培・加工・販売・薬草栽培に関わるコンサル・ハーブ/野菜栽培加工販売

「なんか面白そう。」という直感。

私がワーキングホリデーを知ったきっかけは、大学の掲示板です。もともと「地域」や「観光」などを学ぶ地域創造学部に所属していることもあり、ワーキングホリデーのポスターを目にしたときは、思わず足が止まりました。詳細を確認する前に「なんか面白そう。」と感じたことを覚えています。

普段できないことを経験したくてワーキングホリデー先を志望。

ワーキングホリデーに参加するにあたって、私がテーマとして掲げていたのは、普段の生活では経験できないことへのチャレンジです。それは今までの人生で携わったことのない農業体験。私自身、「自分の好きなことは何なのか。」「どんな分野に興味があるのか。」を考えた際、“自然”というキーワードが思い浮かびますし、地域創造学部に進学した理由もその自己分析の結果の表れです。だからこそ、ハーブや薬草など、様々な種類の農産物を栽培している越前夢ファームは私にピッタリの企業でした。
越前夢ファームでの仕事は、日によって異なります。ハーブ園に行って草むしりや花の収穫をする日もあれば、漢方として利用するシソを選別する日もあり・・・どれも初体験で毎日楽しく仕事に取り組んでいます。一緒に働いているスタッフの皆さんもとても気さくで明るい人ばかり。仕事中も笑顔が絶えることはありません。

すんなりと周りに溶け込める福井の人のあたたかさ。

人との関わりと言えば、宿泊先の民宿も楽しみの一つ。私が滞在している民宿は、居酒屋も併設されており、お店はいつも常連のお客様で賑わっています。福井に来た初日は一人ぼっちの夕飯に少し寂しさもありましたが、2日目以降、その居酒屋で食事をすることが増え、地元の方との交流も多くなりました。まさか、これほどすんなり溶け込めるとは思ってもいなかったので、自分でも驚いています(笑)。人の温かさは福井の大きな魅力だと考えています。

九州・山口ふるさと若者就職促進事業(九州・山口共同インターンシップ)

九州・山口8県の特選企業インターンシップ実施報告

今年6月、国は地方創生を推進していくための戦略となる「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」を閣議決定した。既存の取り組みを加速化するための新たな施策を展開し、ローカル・アベノミクスの一層の推進が掲げられている。近年、全国で多様な施策が取り組まれ、地方自治体が主導で人材還流を目指し、東京圏等からのUIJターン就職の促進を行う施策が多く行われている。その一つに九州・山口の8県が取り組む「九州・山口ふるさと若者就職促進事業」があり、平成27年度から取り組みを行っている。

「九州・山口ふるさと若者就職促進事業」は福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、山口県の8県が一体となり、東京圏等の若者人材を対象に、地域へのインターンシップやUIJターン就職イベントを通じて、成長する場・生活する場としての九州・山口の魅力発信と人材還流、地域定着の促進を目的としている。

本事業は株式会社アソウ・ヒューマニーセンターと株式会社学情が九州・山口8県で構成される九州・山口UIJターン若者就職促進協議会から委託を受け、運営事務局として各企画を実施している。
今回の特集では、本事業の一環でこの夏に行われた「九州・山口8県の特選企業インターンシップ(九州・山口共同インターンシップ)」の実施レポートを紹介する。

事業概要、実施報告

九州・山口8県の特選企業インターンシップ(九州・山口共同インターンシップ)

九州・山口8県の特選企業インターンシップ(九州・山口共同インターンシップ)は、東京圏等の大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校等の学生(2019年以降の卒業予定者)を対象に、九州・山口8県の特選企業約100社の受入先とのマッチングを図り、7月~9月(夏季休暇期間)で5日間程度のインターンシップを実施する事業である。

将来のキャリアを考えたい、九州・山口地域の魅力を体感したい、今後の就職活動に役立つ経験をしたいといった高い意識を持つ学生からの多数の応募があり、9月末までに東京圏等の学生約60名が、受入先企業でのインターンシップに参加した。
参加者全体のうち、九州・山口各県出身者で夏季帰省とあわせて参加する学生(いわゆるUターン学生)が3割程度だった一方で、出身者ではなく、地域をこだわらず日本全国広いエリアで色々経験してみたいと考える8県出身者以外の学生(いわゆるIターン学生)が7割程度で上回る結果とった。

インターンシップ参加までの流れ
インターンシップ先行登録会・説明会(個別面談、受入企業紹介)

都内会場で4月からインターンシップ先行登録会を実施し、6月以降は随時インターンシップ説明会を実施した。参加希望学生を募り、本事業の趣旨及び制度説明、地域インターンシップの理解向上を促す講演、個別カウンセリング及び受入企業紹介を行い、マッチングを行った。該当地域でのインターンシップに参加できるのであれば、受入企業の規模や業種を問わない学生が多かった。Iターン学生の中には就活シーズン突入前に今しかできない経験を積みたいからと、ゆかりのない地域や将来の就職先としてイメージしたことのない業種・仕事内容に敢えてチャレンジしたいという学生も多く見受けられた。

事前研修会

受入が確定した学生を対象に、参加にあたって必要な諸手続きや講習を行う事前研修会を実施。特に学生に好評だったコンテンツは「社会人としての基礎マナー研修」である。挨拶や身だしなみ、基本となるビジネスマナーを事前に学べたことで、自信を持ってインターンシップに参加できると安心したようだ。また同じ志を持つ者同士のつながりを持ちたいと、連絡先の交換等も積極的に行われていた。

インターンシップ実施

九州・山口8県の約40社の受入企業でインターンシップに参加。社会に触れる職場実習や慣れない土地での生活も、各地域企業担当者の指導やインターンシップ仲間に助けられ、地域の仕事と生活を体感する濃密な5日間を過ごしたようだ。昨年同様に参加者からは大変満足したという声が多数聞かれた。

Case【1】

受入企業名:株式会社鹿田産業
所在地:福岡県八女郡広川町太田428
事業内容:福岡県知事指定特産民工芸品「八女すだれ」をはじめとした、天然素材インテリア製品の製造。百貨店・内装工事店等への卸売販売


地域ならではの仕事に関わってみたいという希望があり、インターンシップ先を探していたところ、特産民工芸品の製造・卸の企業に出会い、インターンシップの参加を決めた。「業界や仕事について理解を深めるためには、さまざまな経験を積んだほうが良い」という企業側の意向もあり、製造から営業にいたるまで、幅広いメニューが用意された。毎日が学びの連続。実務体験に加え、若手社員との意見交換の場にも参加し、これまでにないほどの気づきを得られる機会になったようだ。また、豊かな環境の中での生活を通じ、地域への興味も一層高まったようで、地域での暮らしに魅了されたと振り返る。「これからも業界研究や企業選びで悩むことがあるかもしれません。就職活動は自分自身の道を決める上でとても大切。今回のインターンシップの経験を活かして、これからも頑張ってほしい」と受入先の企業担当者もエールを送った。

参加学生の声

製造・営業・商品管理・総務・経理等、5日間のインターンシップの中で多くの実務を体験することができました。ものづくりから商品が店舗に並ぶまでの流れを、現場を通じて学べたのはとても貴重でした。 (千葉県出身、東京都の大学3年生)

実習スケジュール例

9:00~11:00 営業事務体験(受注/出荷業務)
11:00~12:00 商品管理に関する研修
13:00~17:00 すだれ編み体験

Case【2】

受入企業名:株式会社ワイズ・リーディング
所在地:熊本県熊本市北区飛田3-10-21
事業内容:CT、MRIなどの画像診断検査装置を有する医療機関に向けた遠隔画像診断事業、健診施設向け遠隔画像診断事業、医療用コンサルタント事業、医療向けソフトウェア開発


専攻しているプログラミングの知識を、実務でどのように活かす事ができるのか。それを学ぶためにインターンシップ先を探していたところ、生まれ育った九州でマッチした企業を見つけることができた。インターンシップ期間中は、プログラミング実習のみならず、実際にソフトを導入している病院に見学訪問し、ユーザーの声を直接聞く事ができた。学校で学んだ知識に、実務経験と現場実習が組み合わさり、これからの就職活動に対するビジョンをより鮮明に描く事ができたようだ。その他、インターンシップ最終日に取り組んだ社員に向けたプレゼンテーションが印象的だったと振り返る。プレゼン資料の作成から発表に至るまで、自分で試行錯誤して準備し、本番に臨んだ。それを受け企業担当者からは「5日間の中でプログラミングの基礎から現場見学、実務研修と、内容は濃密だったと思います。その中で、一つ一つ着実に学びを深め、その成果と自身の考えをしっかりと伝えられていました。今後の活躍に是非期待したい」とお褒めの言葉も聞かれた。

参加学生の声

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馴染みのある九州で、自分の志向性に合った企業を見つけることができました。短い間でしたが、毎日様々な現場を見学させていただき、たくさんの知識と経験を得ることができたので、将来の進路を考える良い機会となりました。(福岡県出身、東京都の大学院1年生)

実習スケジュール例

9:00~11:00 朝礼・医療系IT事業の研修
11:00~12:00 導入実績のある病院への見学訪問
13:00~15:00 画像判別ソフトを使った体験
15:00~18:00 プログラミング実習

 

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