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学情レポート【COMPASS】2017.09

インターンシップの移り変わりと現状について

採用広報解禁日が卒業前年度の12月1日から3月1日へと3ヵ月後ろ倒しになった2016年卒採用以降、注目を浴びているのがインターンシップだ。インターンシップはこの数年間で採用活動と切り離しづらいものへと変容し、就職・採用活動のトレンドワードになったと言えよう。そこで今号では「インターンシップ」がこの数年でどのように変わり、またどのように評価されているのか、いくつかの視点で見ていきたいと思う。

なお、大学等での単位認定制のインターンシップや、地域人材確保に向けた国や地方自治体による地方でのインターンシップ等の取り組みも広がりを見せているが、ここでは企業が独自に実施しているインターンシップをメインに取り上げる。

2015年卒から2018年卒までのインターンシップの量・質の変容について

弊社が調査したインターンシップ実施企業およびインターンシップ参加学生の2015年卒から2018年卒までの推移を見てみよう。インターンシップ実施企業は、15卒:22.1%、16卒:40.8%、17卒:45.1%、18卒:47.5%と推移、インターンシップ参加学生は、15卒:37.9%、16卒:57.5%、17卒:62.1%、18卒:71.3%と、いずれも増加の一途をたどっている。特に大きな伸びが見られるのが15卒→16卒に掛けてである。これは16卒採用から採用広報解禁日が後ろ倒しされ、それに伴い生じた空白期間でインターンシップが活用されたことが大きい。採用広報解禁日の変更が、インターンシップの量的な拡大を生み出したと言える。

また、この3年間において、質(内容)の面にも変化が見られた。15卒と18卒を主対象とするインターンシップの実施日数を比較すると、15卒対象では「1日」は21.0%に留まり、「5日~1週間程度」が38.1%、「2週間以上」が28.5%であった。5日以上のプログラムが「1日」を上回っており、複数日程企業に通い、就業体験やワークショップを行うものが主流であった。一方、18卒対象では「1日」が62.2%と大幅に上昇。「5日~1週間程度」(25.3%)、「2週間以上」(15.1%)は15卒対象からそれぞれ10ポイント以上低下している。「1日」のプログラムは特に採用広報解禁を間近に控えた12~2月に実施されており、採用活動前に学生と接触を図り、少しでも採用活動を優位に進めようという意図で実施されるケースが多い。内容もワークショップ型が中心で、より簡易なプログラムの実施が普及している。

インターンシップ実施企業数、参加学生数の割合


出所:学情「学生対象調査(調査時期/15卒:2014年6月、16卒:2015年8月、17卒:2016年8月、18卒:2017年1月)」
および学情「企業対象調査(調査時期/15卒:2014年1月、16卒:2015年7~8月、17卒:2016年6~7月、18卒:2017年7月)」

Q.インターンシップの実施日数は?(複数回答可)


出所:学情「企業対象調査(調査時期/15卒:2014年1月、18卒:2017年7月)」

短期・長期のインターンシップ活用のメリット

諸外国に目を向けると1ヵ月以上など長期間のインターンシップが一般的であるが、日本においては前述の通り短期間のものが一般的となっている。弊社の調査では短期間のインターンシップ(ここでは主に1日~1ヵ月未満のまとまった期間に行うインターンを言う)と長期間の実践型インターンシップ(ここでは主に1ヵ月以上のもので、学生が社員と同程度の業務を担うインターンを言う)で比較した場合、それぞれの実施企業は短期間が61.0%、長期間が11.4%と大差がある。

短期間のインターンシップは採用広報解禁までの空白期間、とくに解禁直前の12~2月に多く実施され、採用活動を優位に進めるために実施する企業が増えたと述べたが、実際に有利に働いているのだろうか。短期間と長期間のインターンシップ実施企業にそれぞれのメリットを聞くと、「意欲の高い優秀な学生と接点が持てた」が短期は55.5%、長期は44.5%。「採用活動時の応募者増に繋がった」は短期が37.9%、長期は19.3%であった。確かに短期間の方が多くの学生を参加させることができるため、“接点”や“応募者の数”という面では有利と言えるだろう。一方で、「実際の採用に繋がった」は短期が48.2%、長期が46.2%と大きな差は見られない。短期インターンシップは多くの学生と会えることにより、その中から採用に繋がる学生が出やすく、長期インターンシップはより実践的な業務を通して、学生は企業の仕事内容や雰囲気などを十分理解でき、企業は学生の能力を見極めることができるため採用に繋がるのだろう。追跡調査を行っておらず確かなことは言えないが、長期インターンシップの方が、入社後即戦力として活躍できるだろうし、また早期離職率も低いのではないだろうか。

さらに、長期インターンシップでは「学生への指導を通して社員自身の成長が見られた」が42.0%(短期は22.7%)、「社内に活気が生まれた」が26.9%(同12.7%)など、職場や社員に対して良い影響をもたらしていることが分かる。さらに「売上や事業の拡大に繋がった」が5.0%(同0.6%)と少数ではあるものの、企業の業績拡大にも繋がるケースもある。長期インターンシップの実施は受け入れ体制の構築など容易ではない部分もあるが、採用以外のメリットももたらしていると言えるだろう。

Q.短期間のインターンシップを実施していますか?

長期間の実践型インターンシップを実施していますか?

Q.インターンシップ実施によるメリットは?
 

出所:学情「企業対象調査(調査時期/2017年5月)」

学生が求めるインターンシップとは?

弊社では2017年6月に東京・名古屋・大阪で全学年対象のインターンシップ&業界研究イベント「あさがくナビのキャリアデザインフォーラム」を開催した。前年同時期の1.5倍となる5,000名以上の学生が来場し、インターンシップに馳せる思いは今夏、ますます高まっている状況だ。イベント参加学生へのアンケート結果を見ると、インターンシップ先を選ぶポイントとして、「志望業界であること」(68.7%)が1位に挙がり、「インターンの内容が面白そう」(56.0%)がそれに次ぐ。これを踏まえると、学生が求めるインターンシップとは、「興味のある分野の企業で、かつ魅力的なプログラムを用意していること」と換言できそうだ。

では魅力的なプログラムとはどのようなものであろうか。次ページでは、学生から好評を得ているインターンシップをいくつか紹介する。実施日数は1日のものもあれば、複数日にわたるものもあるが、それぞれ工夫を凝らして実施されている。

Q.インターンシップ先を選ぶポイントは?(複数回答可)

出所:学情「学生対象調査(調査時期/2017年6月)」

Case1

株式会社アクテック

【事業内容】
ソフトウェアの設計・開発、パッケージ商品の企画・開発・販売、システムコンサルティング

【インターンシップについて】
■実施時期:7月~9月を中心に随時  ■実施エリア:大阪  ■実施日程:10日間

インターンシップの内容

インターンシップのタイトルは“業務ソフト構築から学ぶ「IT業界」SE体感コース”。メインの内容は、社内Webアプリケーションを使用したシステム構築等についての実習。最終日には学校の先生方を招き、成果発表を行う。

1日目

  1. 会社説明・業界説明
  2. 個人情報教育・確認テスト
  3. 代表の講話(業界の話)
  4. パソコン設定
  5. 成果発表会へ向けての準備
  6. 1日のまとめ、翌日の予定確認

2日目

  1. 朝ミーティング
  2. 座学:セキュリティ・品質管理の学習
  3. 経営統括部部長の講話(社会人に向けての話)
  4. 実習
  5. 成果発表会へ向けての準備
  6. 1日のまとめ、翌日の予定確認

3日目

  1. 朝ミーティング
  2. 座学:ソフトウェアエンジニアリングについて
  3. 実習
  4. 成果発表会へ向けての準備
  5. 1日のまとめ、翌日の予定確認

4日目

  1. 朝ミーティング
  2. 座学:コーディング手法について
  3. 実習
  4. 成果発表会へ向けての準備
  5. 1日のまとめ、翌日の予定確認

5日目

  1. 朝ミーティング
  2. 先輩社員と中間座談会
  3. 実習
  4. 成果発表会へ向けての準備
  5. 1日のまとめ、翌日の予定確認

6日目

  1. 朝ミーティング
  2. 開発部部長の講話(実業務・就職活動の話)
  3. 実習
  4. 成果発表会へ向けての準備
  5. 1日のまとめ、翌日の予定確認

7日目

  1. 朝ミーティング
  2. 座学:効果的なプレゼンテーションの仕方
  3. 実習
  4. 成果発表会へ向けての準備
  5. 1日のまとめ、翌日の予定確認

8~9日目

  1. 朝ミーティング
  2. 座学:テスト手法・重要性について
  3. 実習
  4. 成果発表会へ向けての準備
  5. 1日のまとめ、翌日の予定確認

10日目

  1. 朝ミーティング
  2. 実習
  3. 成果発表会
  4. インターンシップの振り返り

インターンシップのポイント

  • 技術に関して不安のある方、未経験の方でも参加できるよう、実習だけでなく講義もしっかり行っている。その中で技術だけでなく個人情報の取り扱い等のセキュリティや、品質向上のISOに関しても学ぶため、どの業界に就職をしても役に立つ基礎知識を学んでいただけている。
  • 朝のミーティングを行うことで、前日の振り返り・疑問点・当日の目的を明確にして1日臨めるようにしている。
  • インターンシップ最終日に学校の先生方を招き、成果発表会を行っている。学んで終わりではなく、発表の場を設けることで学生も参加前から目標・目的意識を持って臨んでくれており、スムーズに開始できている。

参加学生の感想

  • 未経験者:技術力が無いので不安だったが、手厚いサポートを通して技術への理解が深まり、課題を達成することができた。
  • 経験者:実際のソフトウェア開発会社の雰囲気や開発の様子等、自分の知りたかったこと全てを見させていただき、とても満足して終えることができた。指導の仕方も丁寧で分かり易かった。今回学んだことを活かして仕事をしていくことができるように、就職活動を頑張ろうと思う。

Case2

株式会社イオンイーハート

【事業内容】
チェーンシステムによるレストラン及びフードコート内ショップの運営

【インターンシップについて】
■実施時期:7月~翌年2月   ■実施エリア:東京・埼玉・千葉・大阪・京都 
■実施日程:1日(別日で追加プログラムあり)

インターンシップの内容

自己紹介・アイスブレイク・適性検査

顧客にファンになってもらうには、「いいね!→感激→感動→感謝」のプロセスがあることを説明。それを踏まえ、自己紹介とともに自身の感動体験を発表してもらう。その後、適性検査を実施(後ほどフィードバック)。

就職活動に向けてのアドバイス

「たくさんの価値観に触れてほしい」「学生のときは最初で最後の社会見学だと思って、先入観を持たず様々な業界や企業を見てほしい」「社会人は自分で決断することが仕事になる。そのため様々なインプットをして最終的には自分で決断することを意識してほしい」といった、これから企業を見ていく上で視野を広げることの重要性を伝えるメッセージを送る。

会社紹介

イオングループの説明と、フードサービス業界の現状、自社の店舗を紹介。その上で店長がどのような仕事をしているのかをまず紹介する。店長の仕事は受け身で接客・調理を行うといった単純作業だけではなく、先読みして自身の思い描いたスケジュールを遂行していく総合職だということを理解してもらう。

「店長のマーケティング」をテーマにしたワーク

ショッピングセンター内の店舗運営が主なため、ショッピングセンター利用客や地域のニーズを知り、どのような店舗にすべきかを考えてもらう。まず「マーケティングとは何か?」といった基本の説明を行う。次に、集客に大きく関わる店頭のショーウィンドウ作成や陳列に関して体験してもらう。

適性検査のフィードバック

前半で実施した適性検査の結果をフィードバック。自身の強みと弱みを見える化する検査で、結果を直接見てもらいながら解説する。今後のエントリーシートや自己PR作成に役立つものになっている。その後、質疑応答、アンケートを記入してもらい終了。

(別日にて)店舗見学会

前回取り組んだ「店長のマーケティング」がどのように実施されているかを、現場を見ながら解説していく。さらに店長や若手社員からショッピングセンターのトレンド等の話を行い、店舗を取り巻く環境を把握することがいかに店舗づくりに重要かを考えてもらっている。

 

インターンシップのポイント

フードサービスの店長は、「忙しそう」「休みがない」「単調」といったイメージを持っている人が多いと思うが、実際は総合的に人間性を高め、管理をしていくことと、お客様のニーズを知るマーケティング的な要素が強い。当インターンシップはそのような飲食店の店長の普段見えない部分を知っていただく業界・職種理解をテーマにしている。また、飲食に限らず、就職活動全般についてもアドバイス。1回あたり最大でも5名までの参加にしており、少人数で実施しているので個別の質問にも丁寧に対応できる。

参加学生の感想

  • ショーウィンドウの並べ方について、一つひとつに意味があることを初めて知った。
  • 店長の仕事のイメージが変わった。接客や調理だけではないこと、データに基づき、未来を予測していくということに、面白みを感じた。
  • 少人数での実施で雰囲気も良く、積極的に参加できた。次回の店舗見学も参加したい。
  • 現場でキャリアを積んできたインターンシップ担当者だったので、職場や仕事のイメージをわかりやすく伝えてもらってとても勉強になった。

Case3

株式会社成城石井

【事業内容】
スーパーマーケット・飲食店の運営、食品の輸入・製造・卸売販売

【インターンシップについて】
■実施時期:8月~翌年2月(随時) ■実施エリア:神奈川(成城石井横浜本社)
■実施日程:1日(「バイヤー編」、「店舗スタッフ・エリアマネージャー編」の2種類実施)

インターンシップの内容

(1)バイヤー編

講義「食品&小売業界研究」

サプライチェーンを題材に、各業種の役割とそこに紐付く仕事を理解し、就職活動に向けての視野を広げてもらう。

講義「モノが売れるとは?」

流通業界のなかで、モノが売れるとはどういうことなのかを「付加価値」や「コンセプト」といった視点で紐解く。

ワーク「バイヤー体験1」

新商品導入に向けたプレゼンテーションを体験する。バイヤーは自身で仕入れや開発を行うが、商品の販売には携わらない。それでは、大きな売り上げを作るためにバイヤーがどんなことをしているのかをワークを通して認識してもらう。

ワーク「バイヤー体験2」

売り上げ等の数値分析を基にした根拠のある仕入れはどのようにして行うのかを考える。

(2)店舗スタッフ・エリアマネージャー編

講義「食品&小売業界研究」

サプライチェーンのなかでも小売業に焦点をあて、ビジネスモデルを理解し、就職活動に向けての視野を広げてもらう。

ワーク「店舗スタッフ体験」

売り場計画の立案。「どの商品をどのように陳列すれば成果を出せるか」を様々な視点から考え、形にしてもらう。

ワーク「エリアマネージャー体験」

課題店対策方針の立案。店舗が抱える様々な問題を分析し、エリアマネージャーとしてどのような対策方針を採るかを考える。

インターンシップのポイント

(1)バイヤー編
小売業で「バイヤー」は人気の職種だが、企業によってスタンスは様々であり、その仕事内容を正しく理解することは非常に難しい。このインターンでは成城石井の視点を基に、実際にどのような仕事をしているのか、また、どのような力が求められるのかを体験してもらっている。

(2)店舗スタッフ・エリアマネージャー編
小売の要である店舗に関わる業務を「店舗スタッフ」「エリアマネージャー」の視点で体験していただく。実際に店舗ではどのような仕事が行われているのか、また、アルバイトと社員は何が違うのかなど、小売業のイメージが変わるような内容に仕上げている。

参加学生の感想

(1)バイヤー編

  • バイヤーという仕事が、世界中を飛び回り買い付けをするだけではないことがわかった。
  • バイヤーは絶対的な味覚が第一だと思っていたが、こんなに数字を使うとはびっくりした。
  • なんとなくメーカーを志望していたが、小売業の幅の広さと優位性に可能性を感じた。

(2)店舗スタッフ・エリアマネージャー編

  • お店の売り場がこんなにも根拠に基づいて作られていたとは意外だった。
  • 漠然としていたエリアマネージャーの仕事が具体的に見えてきた。
  • 自分の想いを形にできる仕事は「意外と小売かもしれない」と感じた。

Case4

西日本電気システム株式会社(JR西日本グループ)

【事業内容】
鉄道電気設備、ビル電気設備、情報制御設備の設計・施工・監理

【インターンシップについて】
■実施時期:10月~11月  ■実施エリア:大阪  ■実施日程:1日

インターンシップの内容

業界研究説明会

新大阪の本店にて。会社説明会も兼ねて、JRグループの企業紹介を行う。

グループワーク

グループに分かれて、「2030年の当社」について考えるワークを実施。前段の説明会の中にヒントを散りばめている。

発表・フィードバック

グループワークで話し合った内容についてグループごとに発表してもらい、フィードバックを行う。その中で経営方針として現在検討している「未来の可能性」について紹介する。

バス移動・仕事紹介

新大阪から吹田へ移動。研修設備が備わっている「NESCO技術学園」にて、現場で活躍する技術社員から技術職の具体的な仕事内容を紹介する。

研修設備見学

社員の研修風景(断線復旧)の見学、軌道(線路)内を走る作業用の車(軌陸車)への乗車体験、研修用の踏切設備などの紹介等を行う。

インターンシップのポイント

グループワークでは「実際に社内で議題となっていること」をテーマとして取り上げている。学生は「もし自分が入社したら」という視点で考えることになるため、働くイメージが膨らみやすいと考えている。また、グループでの話し合いや議論を通して、自分が持つ能力(コミュニケーション能力、リーダーシップ、思考力等)を認識し、どの業界や仕事が向いていそうかを考える良い機会になっていると思う。

研修設備見学では「鉄道を支える裏側」をテーマに掲げ、普段の生活ではなかなか気づかない「当たり前」を支えることの難しさや、安全への取り組みについて理解を深めてもらっている。それは鉄道業界全体への理解を深めることでもあると考えている。

参加学生の感想

  • 電車を止めて作業する大変さ、安全への綿密な対策に驚いた。
  • 仕事の内容や厳しさについて理解できた。設備見学や体験などとても充実していた。
  • 電気に興味があったが、今日をきっかけに通信にも関心を持つことができた。
  • グループワークで一つの議題に対し意見を交換する体験が良い刺激となった。
  • 補修工事の様子が見られて非常に勉強になった。私たちの生活の中の「当たり前」を保つ仕事のやりがい、苦労についても知ることができて良かった。

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