

採用における即戦力とは、業務に必要なスキルや経験を持っている人材のことです。近年、人材獲得競争が激化し、即戦力採用が難しくなっています。本記事では、即戦力採用ができない理由や成功のポイントについて解説します。
採用における即戦力とは
即戦力とは、業務に必要なスキルや経験を持っている人材のことです。また、即戦力となる人材を採用することをキャリア採用ともいいます。
ただし、十分な経験を持っている人材が必ずしも即戦力として活躍できるとは限りません。。たとえば、エンジニアの場合、前職で使用していた言語や開発環境が異なると、即戦力として活躍できない可能性があるので注意が必要です。また、スキルや経験は充分でも、社風にマッチしない場合は、力が発揮できないケースもあります。
即戦力人材を採用できない理由

求人広告を掲載したり、人材紹介会社に依頼したりしても、採用要件に適した人材が採用できるとは限りません。
即戦力人材の採用が難しい理由は次の通りです。
- 有効求人倍率が高い
- 人材獲得競争の激化
- 即戦力人材の見極めが難しい
- 採用手法が適切でない
- 採用活動にかかるリソースが多い
それぞれ詳しく解説していきます。
有効求人倍率が高い
有効求人倍率とは、求職者1人あたりに何件の求人があるかを示す値であり、数値が高いほど人手不足であることを表しています。
令和6年12月の有効求人倍率は1.25倍、新規求人倍率は2.26倍でした。新型コロナウイルスの影響により求人倍率が落ち込んだ時期もありましたが、近年は増加傾向にあります。
現在は求職者数よりも求人数が多い状況のため、採用が難しくなっています。
※参考:厚生労働省「 一般職業紹介状況(令和6年12月分)について」
人材獲得競争の激化
人材獲得競争が激化している原因は、即戦力になり得る人材が少ないだけでなく、優秀な人材ほど好待遇の環境で働いているため、転職市場に現れにくいことも関係しています。
また、転職市場に現れても、即戦力人材には複数の企業が好待遇を提示しているため、選考・内定辞退を受けることも珍しくありません。
即戦力人材の見極めが難しい
即戦力人材を見極めるには、履歴書や職務経歴書に記載された実績や経験だけでなく、その人材が持つポテンシャルや人柄などを確認することが大切です。
華やかなキャリアだけを評価してしまうと、入社後にミスマッチが発生し、早期退職につながってしまうこともあるので注意しましょう。
採用手法が適切でない
求める人材や採用課題と採用手法が適しておらず、期待する効果を得られていないケースは少なくありません。
たとえば、大手求人サイトは登録者数が多い一方、掲載社数が多いため、自社の求人情報が埋もれやすい傾向にあります。
効果を最大化するためには、求める人物や採用課題に適した手法を選定することが重要です。
採用活動にかかるリソースが多い
即戦力人材を採用するには、採用コストや時間、労力など多くのリソースが必要です。
売り手市場では、選考や内定まで進められても、途中で競合他社に流れてしまうことも少なくありません。
十分なリソースを確保できないと、迅速な対応や丁寧なフォローが行えず、求職者が流出してしまうリスクが高まります。
即戦力採用で失敗しやすいポイント
中途採用では、多くの企業が即戦力となる人材を求めています。しかし、優秀な実績や経験を持った人材だからといって、必ずしも期待する効果が得られるわけではありません。
効率的な採用活動を行うためにも、即戦力採用で失敗しやすいポイントをおさえておきましょう。
期待する効果が得られない可能性がある
優秀な実績や経験を持っていても、自社の採用要件に適していなければ、入社後にミスマッチが生じてしまいます。
スキルや経験不足によって活躍できないケースはもちろん、オーバースペックの場合、内定者が仕事内容に不満を抱き、早期退職につながる可能性があるので注意しましょう。
採用工数がかかる
即戦力採用では複数の求人媒体を活用することが多く、原稿作成や応募者管理などの対応が必要です。また、在職中の求職者が多いため、面接や面談の日程調整に時間がかかります。
即戦力採用を成功させるには、十分なリソースの確保が大切です。状況に応じて採用管理システムや人材紹介などの利用を検討しましょう。
固定観念が強い
優れた経験を持つ人材のなかには、固定観念が強い人がいます。
固定観念が強いと、前職での働き方や価値観を持ち込んでしまい、独断で仕事を進めてしまったり、周囲にネガティブな影響を与えたりする可能性があるので注意が必要です。
スキルや経験だけでなく、人柄や価値観なども見極めなければいけません。
入社後研修が必要
即戦力人材であっても、新しい環境に馴染むためには入社後研修が必要です。同業他社からの転職であっても、環境が変われば働き方や企業文化が変わるため、研修を実施した方が良いでしょう。
即戦力採用を目指す際は、あらかじめ教育や研修に工数がかかることを想定しておく必要があります。
即戦力採用におすすめの採用手法3選
近年、従来の求人スタイルでは即戦力を採用するのが難しくなっています。即戦力人材を採用するには、採用要件に適した手法を選びましょう。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者にスカウトメールを送り、直接アプローチする採用手法のことです。登録者情報から採用要件に適した人材を抽出できるため、マッチング精度の高い出会いが期待できます。
また、スカウトメールを通じて、企業の魅力や求職者の長所などの情報を伝えられるため、求職者の興味を引きやすいのも特徴です。
人材紹介
人材紹介とは、人材紹介会社から採用要件に適した人材を紹介してもらう採用手法のことです。求職者の紹介だけでなく、選考の日程調整や年収交渉なども人材紹介会社が行うため、採用活動の業務負担を軽減できます。
料金形態は成果報酬型を取り入れている場合が多く、費用は入社に至るまで発生しません。ただし、報酬の相場は想定年収の30〜35%であるため、採用コストが高くなりやすい傾向にあります。
ヘッドハンティング
ヘッドハンティングとは、ヘッドハンティング会社が採用要件に適した人材をサーチし、スカウトする採用手法のことです。主に経営幹部や新規事業の責任者など、ハイクラス人材を採用する際に用いられます。
費用は人材紹介と同様に成果報酬型であることが多いですが、それとは別に着手金が必要な場合があります。また、想定年収が高いため、人材紹介よりも採用コストが高くなりやすいので注意が必要です。
即戦力採用を成功させるポイント

即戦力人材を採用するのは難しいですが、不可能ではありません。ポイントをおさえれば採用活動を効率的に進められます。
即戦力採用を成功させるポイントは次の通りです。
- 採用要件を明確にする
- 採用要件に適した手法を選ぶ
- 配属予定部署の社員と連携を取る
- 求職者のパーソナリティを見極める
- オンボーディングを実施する
採用要件を明確にする
採用要件とは、採用したい人物のスキルや経験、人物像などのことです。即戦力採用を目指す場合、保有資格や経験年数だけでなく、具体的な業務内容や実績、マネジメント経験の有無など細かく設定します。
採用要件を設定する際は、募集するポジションと同じ部署やチームの社員にヒアリングし、内容の擦り合わせを行いましょう。
採用要件に適した手法を選ぶ
採用活動を効率的に進めるには、採用要件に適した手法を選ぶことが大切です。
たとえば、経営幹部や事業の立ち上げ経験を持つ人材を採用したい場合は、ヘッドハンティングが向いています。
一方で、社会人経験のある中堅層を採用したい場合は、20代後半から30代の採用に特化した「Re就活30」がおすすめです。ダイレクトリクルーティングサイトなので、採用要件に適した求職者に直接アプローチできます。
配属予定部署の社員と連携を取る
即戦力採用を成功させるには、人事部だけでなく、配属予定部署の社員とも連携を取ることがポイントです。
採用要件を相談するだけでなく、面接や面談に参加してもらうことで、候補者のスキルや経験を現場で活かせるかを確認することができます。また、スキル面だけでなく、既存社員との相性や組織文化への適性など、数値化できない評価にも有効です。
求職者のパーソナリティを見極める
即戦力採用では、求職者の実績やスキルばかりに注目しがちですが、パーソナリティを見極めることも大切です。
優れた経験や実績を持っていても、企業文化や仕事の価値観が合っていないと、入社後にミスマッチが生じ、早期退職につながる可能性があります。
面接では、仕事の価値観や今後のビジョンなど、求職者のパーソナリティを知るための質問も用意しましょう。
オンボーディングを実施する
オンボーディングとは、新入社員が新しい環境に早く馴染み、戦力として活躍できるようにサポートする取り組みのことです。業務に関する知識を身につけるOJTとは異なり、組織に馴染むことを目的に実施します。
中途採用は都度入社のため、組織のなかで孤立しやすい傾向にあります。孤立した状況が続くと早期退職に至ることもあるため、新しい環境に慣れるようサポートすることも大切です。
「Re就活30」で即戦力採用を目指そう!
中途採用では、多くの企業が即戦力となる人材を求めており、人材獲得競争が激化しています。そのため、求職者からの応募を待つだけでは採用が難しくなっているのが現状です。
即戦力採用を目指すなら、20代後半から30代の転職に特化した「Re就活30」がおすすめです。
「Re就活30」はスカウトメールとヘッドハンティングの2種類のメールを使い分け、自社の採用要件に適した求職者に直接アプローチできます。
20代後半から30代の即戦力採用を検討されている方は、株式会社学情へお問い合わせください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。