国や自治体の人材支援特集

「全ての働きたい京都府民の方」を対象に、
就業・スキルアップ支援を実施。

京都府商工労働観光部 人材確保推進室 参事 森川浩行さん
京都府商工労働観光部 人材確保推進室
京都府は古くから日本の都として栄えてきた京都市をはじめ、日本海に面した港町・舞鶴市や歴史の舞台として注目を集める福知山市、お茶の産地として知られる宇治市等、多彩な顔を持つ市町村を有しており、府内で約256万人が生活しています。そんな京都府で府内企業の人材確保や就業支援施策を推進し、「働く」に関して求職者、企業問わず様々な立場の方々を支援しているのが、京都府商工労働観光部の人材確保推進室です。今回は同室の参事である森川浩行さんにお話しをお伺いし、「国や自治体の人材支援特集」の第1回の原稿としてお届けいたします。
※記事の内容は取材当時のものです。

全国で初めて公・労・使による共同運営方式で設立した京都ジョブパーク。

――はじめに、京都テルサ内にございます「京都ジョブパーク」の概要についてお教えください。
京都ジョブパークは、2003(平成15)年に就職氷河期世代への就職相談やキャリアアップ、職業紹介等を目的に京都府、(一社)京都経営者協会、(独)雇用・能力開発機構によって設立・運営された「若年者就業支援センター(ジョブカフェ京都)」が母体となっています。その後2007(平成19)年に京都府、(一社)京都経営者協会に加えて京都労働局、連合京都、京都市を中心に関係団体が参加した推進協議会が設立され、全国で初めて公・労・使による共同運営方式を採用した京都ジョブパークが誕生いたしました。人材確保推進室は、この京都ジョブパークの事務局を担当しています。

京都ジョブパークでは「全ての働きたい京都府民の方」を対象に、きめ細かい就業・スキルアップ支援を行うとともに、専門カウンセラーによる相談からハローワークによる職業紹介、就業後の定着支援等をワンストップで実施しており、若年者のみならず障害のある方、子育てしながら働きたい女性やひとり親家庭、留学生の就職支援といった様々な立場に置かれた方々に対して幅広い支援策をご提供しています。また京都府下に事業所のある企業に対するサポートも行っており、中小企業の人材確保相談や企業の魅力発信のアドバイス、障害者雇用に関する企業支援等、こちらも様々な施策を実施しています。
――2020年は春以降、新型コロナウイルスの影響で雇用を取り巻く状況が大きく変化しましたが、どのような支援策を実施しておられますか?
様々な施策を実施していますが、まずは「学生インターン・バイト応援センター」についてご紹介します。京都は「学生の街」といわれ、大学・学生数が多い街として知られていますが、新型コロナウイルスの影響による経済活動の停滞を受け、アルバイト先がなくなり、経済的に困窮する学生が増えています。そのような状況を踏まえ、府内企業のアルバイト先を紹介することで安定した学生生活を送れるような収入を得てもらうために、「学生インターン・バイト応援センター」を2020(令和2)年6月に開設いたしました。その後、9月には府内企業で働くことでその企業や業界への理解を深めるとともに、併せて収入確保の両面支援として「有償インターンシップ」の実施を強化するため、場所も移転し、リニューアルいたしました。求人開拓員による有償インターンシップ・アルバイトの受け入れ先の開拓の他、府内の就職先として有望な企業を学生自らが研究することを目的としたワークショップ「就活勉強会」を開催する等、府内での就職を促進するとともに、WITHコロナ時代を見据えた職業観の醸成を行っています。

企業との出会いの場をなるべく多く創出し、学生の視野を広げていきたい。

――さらに2020(令和2)年10月からは、中長期の有償のインターンシップ※を実施した場合にその費用を一部助成する「府内学生就職促進応援事業費補助金」制度を創設されたそうですね。
※雇用契約を締結する給与支給型のインターンシップで、受入期間が1ヶ月以上かつ従事日数が11日以上(ただし、受入期間が2ヶ月以上の場合は22日以上)のものを指します。

学生を対象とした中長期の有償インターンシップを実施する企業に対し、その経費の一部(各件によるが上限16万円)を補助する事業を実施しています。新型コロナウイルスの影響で新卒採用を躊躇されている事業者も多いかと思いますが、補助金をご用意することでまずは有償インターンシップからお取り組みいただければと考えておりますし、これをきっかけに、企業と学生がうまくマッチし、そのまま採用につながるといった事例が生まれてくればありがたいと思っています。

京都にはモノづくり企業が多く、なかには世界的なシェアを持つ企業も少なくないのですが、B to B企業が多数を占めるため、残念ながら学生の中での知名度は決して高くありません。先ほど申し上げた「就活勉強会」やこの補助金制度といった企業と若年者との出会いの場をなるべく多く創出し、「身近なところにこんな企業があったんだ」と気付いてもらったり、大手や著名企業以外にも目を向けてもらえるようなお手伝いをこれからも続けていきたいと考えています。

■補助の対象となる期間、事業者には要件があります。詳しくは京都府HP
――学生だけでなく、すでに働いている方々の雇用を守る施策にも注力されています。
新型コロナウイルスの影響で、「従業員を休業させる等、雇用の維持に不安を抱える企業」がある一方、「人手不足で一時的にでも人材を受入れたい企業」も増えています。そこで京都府では京都経営者協会、連合京都等とタッグを組んで「短期助け合いマッチング協議会」を設立し、短期的な雇用シェアリングモデル事業を実施しています。具体的には雇用の維持が困難で人材を送り出したい企業と、人手不足等で人材を受入れたい企業に対して、兼業・副業から在籍出向といった多様な働き方に関する個別のマッチング支援や社内規定の整備のアドバイス等、様々な角度から充実したサポート体制を行っています。企業・社員共にこれまでと違う環境で働くことに抵抗感が大きかったかと思うのですが、大手企業での導入がニュースになったことで抵抗感が低減されており、また我々行政だけでなく経済団体、労働者団体等を加えたオール京都による推進体制で運営されていますので、安心してご相談いただければと考えております。

京都府民の「働きたい」という意欲を、全面的にバックアップ。

――ここまではコロナ禍における対策を中心にお話をお伺いしましたが、継続して取り組み・支援されている事業も数多くあると伺っております。
例えば、子育てをしながら働きたい女性や母子家庭(ひとり親)家庭の方といった、働きたい全ての女性の方をワンストップで応援する「マザーズジョブカフェ」や、新卒で早期に離職した方を対象にキャリアカウンセリングやインターンシップ等を経て再就職を支援する「新卒離職者再チャレンジコーナー」といった、様々な立場に置かれた京都府民の「働きたい」という意欲を全面的にバックアップできる機能を備えています。

また大学3年生以下がインターンシップ情報を収集できる大規模イベント「京都インターンシップ見本市」や、大学卒業を控えた留学生を対象にした「留学生ジョブ博」といったイベントも数多く開催しています。縁あって京都で学生時代を過ごしていただいた方に、そのまま京都で就職していただき、京都で豊かな人生を過ごしていただきたい、そう願ってこれからも支援活動を続けていきたいと思います。
――では最後に、京都府内に事業所のある企業の皆様に、メッセージをお願い申し上げます。
新型コロナウイルス感染症により影響を受けられた方々につきましては、心よりお見舞い申し上げます。京都府では、京都ジョブパークをはじめ、労働行政に関わる全てのスタッフが、新たな就職氷河期をつくらないよう、全力で支援させていただいています。企業の皆様におかれましても、これからのWITHコロナ時代の活力にするべく、ぜひ積極的な採用活動を行っていただきますようお願い申し上げます。微力ながら、そのための御支援もさせていただいておりますので、お困りのことがございましたら何でもお気軽にご相談いただけますと幸いです。皆様の健康と安全、そして感染の終息を心より祈念しております。

採用の課題はぜひ学情まで
ご相談ください。

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