HR用語の基礎知識

チームビルディング

人事の図書館 編集長 大西直樹
チームビルディングとは、チームにおける個々人のスキルや能力・経験を最大限に発揮し、目標達成を目指すための取り組みのことです。従来の日本のチームでは、ひとりのリーダーを立てるとワンマンになりがちで個性が活かせない、リーダーへの負担が大きい等の問題がありました。そこでチームビルディングを導入することで、個々のスキルや能力をチームの中でも活かせるようになり、個人以上のパフォーマンスも期待でき、組織全体の成長にもつながります。

チームワークとは何が違うのか?

「チームメンバーと連携を取り、目標達成に向かってより効率的に作業をする」という意味では、チームワークとチームビルディングに大きな差はありません。では、どのような違いがあるのでしょうか?「チームワーク」はチーム内の連携やコミュニケーションにフォーカスされた言葉ですが、「チームビルディング」は、チームのビジョンなどの将来性を含む言葉です。例えば、サッカーの試合中、勝つために必要なのはチームワークです。しかし、トーナメントで勝ち上がる、いずれは他チームに負けない強豪チームを作る、というような、将来を見越したチーム作りはチームビルディングにあたります。

また、チームワークはメンバー同士で協力して目標達成をするという考え方のため、メンバー一人ひとりの成長にそこまでフォーカスされないケースもあるようです。一方、チームビルディングは個々の力を最大限に発揮しながら目標達成を目指すという考え方のため、メンバー一人ひとりの成長も加味しているとも言えます。

チームビルディングが組織にもたらす効果は、次の3つがあります。

◆達成感や成功体験が与えられる
チームビルディングの中には、ひとつの目的にチーム全員で挑むというものもあります。チーム全体で目的を達成した時の達成感や一体感が味わえるだけでなく、成功体験を繰り返すことで、社員ひとりひとりが自信やモチベーションを持てるようになります。

◆コミュニケーションスキルが向上する
チームビルディングを行うと、ビジネス上の基本的なコミュニケーションスキルを培うこともできます。さらに、チームビルディングを通じてチームメンバー同士の信頼度が増しますため、通常業務も円滑に進むようになります。

◆個々の能力以上のものが出せる
今までひとりで何事も解決しようとしてきた人でも、チームビルディングを導入することで、周りと協力して解決していこうとします。個々の能力をかけ合わせたチームは、個々の能力以上の成果が出せるようになり、業務効率も向上します。さらに、考え方やアイディアも集まりやすくなるため、新しいイノベーションの発掘も期待できます。

チームビルディングにおける「タックマンモデル」

タックマンモデルとは、心理学者のブルース.W.タックマンが1965年に提唱した、チームビルディングにおける4つの発展段階です。タックマンは、チームには4つの発展段階があることを示し、その過程について明らかにしました。その後、1977年に新たに1段階を加え、現在では5段階の発展順序であるとされています。組織形成やチームワークに関するさまざまな研究がなされている中、現在でも最も重要な理論であると位置づけられています。

1.形成期/Forming(フォーミング):メンバーを決定する
構成メンバーが決まった段階では、チームメンバーはお互いのことをよく知らない状態です。チームの共通の目標や、チームメンバー個人の役割も明確に定まっていない状態です。

【形成期で求められるチームビルディング】
・コミュニケーションと情報の「量」が重要となる
・お互いを知るための飲み会、交流会を開催する
・短時間で気軽に楽しめるゲームやアクティビティを開催する
・リーダーはメンバーにプロジェクト趣旨を説明し、明確な指示を出して仕事を進めることが求められる

2.混乱期/Storming(ストーミング):考え方、感情がぶつかり合う
チームの目的・目標に対する意見の食い違いや、人間関係、具体的な業務の進め方について対立が生まれる状態です。

【混乱期で求められるチームビルディング】
・コミュニケーションと情報の「質」が重要となる
・お互いの価値観のズレが対立を生み出すことになるため、単なる飲み会やゲームでは問題が解決されない
・お互いを理解するための「対話(ダイアローグ)」が有効
・メンバーの意見を表面化させ全員が納得するまで話し合う
・課題解決に対してトップダウンによる押し付けはせず、メンバー全員で課題解決アプローチをみつける
・リーダーには、お互いの仕事や人間性を理解しあえるような活動が求められる

3.統一期/Norming(ノーミング):共通の規範、役割分担が形成されはじめる
チームの目指すべき目的や、各メンバーの役割や特徴が共有され、統一感が生まれはじめている状態です。

【統一期で求められるチームビルディング】
・自分たちで合意したルール・役割・目標を達成することが重要
・リーダーは、相互に助け合えるような関係性を構築できるようお互いの仕事の内容を紹介するなど、メンバー間の深いコミュニケーション活動をより推進していく

4.機能期/Performing(パフォーミング):チームとして機能し、成果を出す
チームに結束力や連動性が生まれ、相互にサポートができるようになる状態で、チームとして最もパフォーマンスを発揮できる状態です。

【機能期で求められるチームビルディング】
・リーダーは細かな指示を避け、メンバーの自立を助けることが求められる
・機能期が持続するよう、コミュニケーション活動は継続して行う
・仕事から離れたスポーツやその他アクティビティでリフレッシュすることが有効

5.散会期/Adjourning(アジャーニング):それぞれの道へ
目的の達成、もしくは時間的な制約により、いずれチームは解散となります。各メンバーは別のミッションに向けて動き出す状態です。

できれば混乱期を避けて機能期が訪れてほしい、と感じるかもしれません。実際、対立や衝突の恐れから、多くのチームが形成期を脱することができません。タックマンは、混乱期や統一期などを経験してから機能期に到達しなければ、チームの力は十分に発揮されないとしています。統一期のステップが完全に成し遂げられていないと、チームは混乱期に逆戻りすることもあります。

チームビルディングの5つの手法。

①メンバーの緊張を解きたいときには「ゲーム」
チームが結成されたばかりの頃は緊張しているメンバーも多いため、成果を上げるために早く緊張を解くことが重要です。そうした場面では、お楽しみ要素があり、全員が気軽に取り組める「ゲーム」を実施しましょう。ゲームに勝つためには、メンバーの役割分担や時間配分を意識する必要があるため、戦略的な思考を養うことにもつながります。

②一丸になって行動したいときには「アクティビティ」
成果を上げるためには、メンバーが一致団結することが不可欠です。一丸になって行動してもらいたいときには、スポーツやダンスといったチーム全員で体を動かす「アクティビティ」が有効です。アクティビティに一緒に取り組むことで、チームワークが生まれやコミュニケーションの活性化が期待できます。

③メンバーのありのままの姿を知りたいときには「イベント」
メンバーのプライベートの一面も知っていると、コミュニケーションを取る上で役立つ場面があります。メンバーのありのままの姿を知りたいときには、バーベキューや社員旅行といった「イベント」を開催しましょう。仕事以外の場面でも親睦を深め、相互理解や関係性の強化を促すことが、よりよいチーム作りにつながります。

④主体的な行動を促したいときには「ワークショップ」
メンバーに主体的に行動してもらいたいときには、自主的な共同作業である「ワークショップ」を実施することがおすすめです。議論や試行錯誤を繰り返しながら最終的に成果を出すという経験を共有することが、チームビルディングにも役立ちます。

⑤時間を割くのが難しいときには「日常業務の中で」
業務量によっては、チームビルディングのために特別な時間を割くのが難しいというケースもあります。その場合、特別な機会を設けるのではなく日常業務の中でも十分に効果が期待できます。「メンバーの人格を尊重する」「互いにサポートし合う」「チームにとって有益な情報を共有する」などを日々意識することが、チームビルディングの成功につながります。

◆チームの目標設定やメンバーの役割の明確化によって、メンバーのモチベーションやパフォーマンスの向上が実現
◆仲間との信頼や結束感、円滑なコミュニケーションが増す
◆チームとしてイノベーションを起こせるまでに組織改革を進めることが可能
◆困難と思われていた課題に対してもチーム一丸となってチャレンジでき、目標を達成できる

チームビルディングにより上記のような効果が得られることが、科学的に実証されています。働き方の多様化が進み、チームのあり方も変化している中、チームの状況に応じた最適なチームビルディングを行う事で、社員一人ひとりの成長と組織の活性化を目指してみてはいかがでしょうか。

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