企業の動向

10月1日が日曜日だった今年は、多くの企業で10月2日に2018年入社予定者の内定式が執り行われた。採用予定数に達した企業はもちろんのこと、予定数に満たない場合でも節目として開催されるのが通常だ。しかし今年は満足のいく充足率に達していない場合に、実施日を10月下旬にずらす、あるいは内定式自体を行わない企業も例年以上に目につく。「内定式出席者が少ないと、内定者が不安を抱くかもしれない」ある中堅企業の採用担当者はこう漏らし、ある程度の人数が揃ってからの内定式実施を計画している。9月下旬、内定式を目前に控えたこの時期に開催された弊社主催合同企業セミナー「就職博」にはサービス業を中心に業界トップクラスの大手企業が何社も出展した。内定者未充足という状況は中堅・中小企業に限った話ではない。また「内定式当日になって辞退を申し入れる内定者がおり、採用活動を再開せざるを得なくなった」という話も耳にする。2018年卒採用は一息つくのもままならない状況が続いている。こうした状況下において、新卒採用にこだわらず、20代の若手人材採用にシフトする企業が増加している印象だ。
一方、2019年卒採用では夏期インターンシップが一段落し、秋期~冬期インターンシップの計画立てが進行している。「採用活動本番となる3月以降ではなく、2月以前の活動に予算や露出を増やす」という声が特に大手企業から聞かれる。採用活動の主戦場が昨年度よりも早い時期に移行しそうだ。(石谷 博基)

学生の動向および学生を取り巻く就職環境について

9月下旬頃より各大学では新学期がスタートした。9月末段階の2018年卒学生の状況について、各大学からは「昨年よりも内定率が高い」という声が聞かれる。概ね昨対比5~10ポイント増の70~80%という大学が多い。ただし、内定保持=活動終了というわけではない。弊社が2018年卒学生に対して実施した就職意識調査では、全体の17%が「内定を保持しながら活動を継続」しており、未内定者を含めると4割弱が活動を続けている状況だ。2018年卒学生の特徴としては、複数内定を得ているにもかかわらず最終決定先を選べない点が挙げられる。極端な例ではあるが、キャリアセンターには「複数の内定先の中から就職先を選んでほしい」、「心から納得できる1社を選べなかったので、一旦全ての内定を辞退した」といった相談も寄せられているようだ。未内定者については、「地元で事務職を募集している企業」「バイオ系やデザイン系といった、専攻内容に関連した特定業種の企業」などこだわりが強く、選択肢を広げられない傾向が見られる。
2019年卒学生については、昨年よりも積極的に夏期インターンシップに参加している印象だ。1日開催など気軽に参加できるプログラムが増加していることもあり、1社のインターンシップに参加した学生が他の業種にも興味がわき、2社、3社と参加するケースも珍しくない。「インターンシップに参加すると就活に有利」という話は以前からあったが、最近では学生間で「インターンシップに参加しないと内定がもらえない」といった噂話まで囁かれており、良くも悪くもインターンシップ熱を高めるきっかけになっているようだ。(中東 良文)