中途採用が難しい6つの理由とは?失敗例や解決策を詳しく解説!
2024.10.09
中途採用が難しいと感じている人事労務担当の方は多いでしょう。売り手市場が進み、十分な人材を採用できない企業が増えています。
本記事では、中途採用が難しい理由や採用活動に関する失敗例、解決策について解説します。中途採用に悩んでいる方は、ぜひ今後の採用活動の参考にしてください。
中途採用が難しい6つの理由
中途採用が難しいと感じている企業は多いでしょう。
専門性や経験が求められる中途採用は、以前から難しい傾向にありました。近年は採用市場や求職者の特徴の変化により、さらに難しさが増しています。
まずは、中途採用が難しい6つの理由について解説します。
有効求人倍率が高い傾向にある
有効求人倍率とは、厚生労働省が毎月発表しているもので、求職者1人あたり何件の求人があるかを示す値です。有効求人倍率が1以上は求人に対して応募が不足しており、1以下は求人に対して応募が多い状況を表しています。
新型コロナウイルスの影響で有効求人倍率が落ち込んだ時期もありましたが、現在は増加傾向にあります。2024年5月の有効求人倍率は1.24倍、その月だけの新規求人倍率は2.16倍を記録しており、採用が難しくなっているのが現状です。
即戦力人材の採用競争が激化している
中途採用では、多くの企業が即戦力人材の採用を目指しているため、人材の獲得競争が激化しています。
経験やスキルが重視されやすい中途採用は、母集団形成が非常に困難です。豊富な経験や優れた知識を持つ人材は、どの企業も即戦力として採用したいので競争率が高まります。
選考や内定につなげられても、優秀な人材ほど引く手あまたなので、選考や内定の辞退も多いでしょう。内定を出すだけでなく、入社までつなげるのも難しい状況なのです。
人材の見極めが難しい
中途採用には、求職者を募る難しさだけでなく、人材を正しく見極める難しさもあります。
新卒採用では、求職者の潜在能力を評価するポテンシャル採用が多いですが、中途採用ではポテンシャルと、すでにもっている能力や経験のどちらも見極めなければいけません。華やかなキャリアを持つ求職者でも、自社で活躍できる人材とは限らないのです。
シンプルな質問だけでは、求職者の潜在能力や自社との相性が見極められないかもしれません。多角的な質問を用意し、さまざまな角度から求職者のことを知ることが大切です。
採用活動のリソースが足りない
中途採用では、人員不足や欠員補充など、早急に採用活動を進めなければならないケースが多いです。採用を急ぐあまり、面接や内定後のフォローに十分なリソースが割けず、ミスマッチを誘発してしまうことも少なくありません。
大手企業では業務ごとに担当部署が分けられている場合が多いですが、中小企業では採用担当者がそれ以外の仕事を兼任している場合も多いでしょう。他の仕事が忙しく、採用業務が疎かになってしまいがちです。
企業の知名度が影響しやすい
企業の知名度が低く、母集団形成や内定受諾に苦戦する企業も少なくありません。
特に中小企業は知名度が低く「よく知らないから応募しない」「知名度の高い企業の方が安心」などの理由で応募が集まらなかったり、内定承諾が取れなかったりするケースがあります。
採用広報や広告などを用いて企業知名度を上げる方法もありますが、中小企業では人材不足や予算の制限によって着手できていないケースも多いのが現状です。
仕事に対する価値観の多様化
近年、仕事への価値観が多様化しています。
株式会社学情が実施したアンケートでは、社会人経験3年以上の「ヤングキャリア」の転職理由は「給与・年収をアップさせたい」が最多でした。また、第二新卒の転職理由は「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」が最多です。
一方でヤングキャリア・第二新卒ともに「残業を減らしたい、休日を確保したい」「より会社の風土や考え方が合う企業で働きたい」といった希望も上位に上がっています。
さらにコロナ禍以降は、リモートワークやフレックス制、時短勤務など働き方が注目され、企業選びのポイントになっています。これらのことから、仕事に対する価値観が多様化しているといってよいでしょう。
中途採用で失敗しやすい3つのポイント
ここまで、中途採用が難しい理由について解説してきました。採用が難しいのは、売り手市場や採用競争の激化などの環境要因もありますが、採用活動の方法に問題がある場合も少なくありません。
中途採用で失敗しやすいポイントについて解説します。
求人募集をしても応募が来ない
求人サイトに掲載しても応募が来ないのは、以下のような理由が考えられます。
- 労働条件が他社と比較して劣っている
- 企業の知名度が低い
- 企業の強みや魅力を伝えきれていない
求職者のなかには、複数の企業を比較して条件が良い企業を選ぶ方が多くいます。とはいえ、特に中小企業は、いきなり大手企業と同条件にするのは難しいでしょう。
求職者を募るには、求人サイトへの掲載だけでなく、求職者に対して企業側から積極的に魅力を伝えることも大切です。
選考スピードが遅い
選考スピードが遅く、優秀な人材を取りこぼしている企業は少なくありません。
転職意欲の強い求職者ほど、早く転職活動を終えたいと考えているでしょう。選考スピードが遅いと求職者の負担になってしまい、内定辞退に繋がる可能性があります。
- 選考期間が長い
- 返信が遅い
選考スピードを速めるには、選考フローの見直しが重要です。面接回数を減らしたり、スムーズに日程を決められるよう面接の候補日を多めに用意したりするのもよいでしょう。
選考・内定辞退が多い
せっかく選考につながり、内定出しをしても、途中で辞退されてしまう場合があります。
- 志望度の高い他社から内定が出た
- 雇用条件が求職者の希望と合致しなかった
- 社風が合わなかった
選考や内定辞退を防ぐには、求職者の返事を待つだけでなく、企業側からのアプローチが必要です。たとえば、雇用条件のすり合わせのためにオファー面談を組むのもよいでしょう。ただ書類を送るよりも求職者の不安や疑問を払拭しやすくなります。
中途採用を成功させる5つのポイント
中途採用を成功させるために、いくつかのポイントをおさえましょう。いくら求人広告を打ち出しても、自社に適した方法でなければ十分な効果が得られません。
次は、中途採用を成功させるためのポイントについて解説します。
採用マーケティングを行って企業ファンを増やす
採用マーケティングとは、採用活動にマーケティングの要素を取り入れることです。企業知名度を上げるだけでなく、理想の人材を採用するまでの戦略を立てます。
近年、労働市場は人材不足や価値観の多様化により複雑化しています。人材を募るだけでなく「どのような企業なのか」「企業の魅力は何か」などの情報を発信しなければなりません。
採用マーケティングを実施することで、優秀な人材を獲得し採用のミスマッチを防ぐ効果が期待できます。効果を発揮させるには、継続的にPDCAを回すことが大切です。
採用手法を見直す
中途採用を成功させるには、自社が求める人物像に適した採用手法を選ぶことが重要です。採用手法は多岐にわたり、それぞれに特徴やメリット、デメリットがあります。
メリット |
デメリット |
|
求人広告 |
多くの求職者にアプローチできる |
採用につながらない場合もある |
人材紹介 |
採用要件に適した人材が採用できる |
成功報酬額が高い |
転職イベント |
求職者に直接会ってアプローチできる |
出展費以外にも装飾品や参加する |
ダイレクト |
採用要件に適した求職者と出会える |
スカウティングに時間と労力がかかる |
リファラル採用 |
マッチング率が高く、 |
似ている人材に偏りやすい |
まずは採用手法を見直してみましょう。
母集団形成の段階で候補者を絞り過ぎない
母集団形成が難しい場合は、候補者を絞り過ぎているかもしれません。採用要件を明確に決めるのは良いのですが、要件が厳しすぎると求職者の母数が少ないため、母集団形成が難しくなってしまいます。
母集団形成を行うには、採用要件を明確にしつつ、最初から候補者を絞りすぎないように注意しましょう。幅広い人材を候補に入れ、ポテンシャル採用を検討するのもおすすめです。
選考スピードを速める
選考スピードが遅いと、求職者が他社へ流れてしまう可能性が高まります。求職者は同時に複数社の選考を受けているため、選考途中で辞退されることも珍しくありません。
他にも選考スピードが遅いと、求職者に対して「別の候補者と比較されている」「判断を渋っている」などネガティブな印象を与える可能性があります。
反対に選考スピードが速ければ、それだけ評価が高い印象を与えることができます。求職者の志望度を下げないためにも、一次面接から内定出しまでの期間は2週間程度にしましょう。
採用要件を明確にする
採用要件とは、採用したい人材の人物像やスキル、経験などのことです。採用要件を明確にすることで、採用のミスマッチを防いだり、採用戦略を立てやすくなったりします。
採用要件を設定する際は、募集するポジションと同じ部署やチームの社員とともに採用要件を擦り合わせるようにしましょう。
決定した採用要件は、人事部だけでなく採用に関わる社員とも共有します。採用要件を共有することで、共通認識を持ちながら選考が進められるでしょう。
中途採用が難しいときは「Re就活」を使ったポテンシャル採用がおすすめ
母集団形成ができず、中途採用が難しいときはポテンシャル採用を検討してみましょう。
「Re就活」は第二新卒や既卒、ヤングキャリアなど働く意欲や成長意欲が高い20代転職に特化した求人サイトです。会員数230万人を誇る求人サイト以外にも就活エージェントや転職フェア「転職博」などのサービスを展開し、企業の採用ターゲットに適したアプローチ方法をご提案いたします。
20代ポテンシャル採用を検討されている方は、株式会社学情へお問い合わせください。
株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。