組織風土の改善に役立つハドルミーティングとは?メリットや実施するポイントを解説
2023.11.08
従業員同士のコミュニケーションを活性化させる方法はいくつかありますが、ハドルミーティングもその一つです。
ハドルミーティングとは、必要時だけに実施する短時間の会議のことです。企業がハドルミーティングを導入すると、コミュニケーションの活性化以外にもさまざまなメリットが期待できます。
そこでこの記事では、ハドルミーティングの意味や導入することで期待できるメリットなどを解説します。ハドルミーティングを実施する際のポイントやハドルスペースについても解説するので、自社で導入する際に役立ててください。
組織風土の改善に役立つ「ハドルミーティング」
ハドルミーティングとは、定例で開催されるような会議ではなく、必要なタイミングで実施する短時間の会議や軽い打合せのことを指します。
1回当たりの実施時間は10~30分程度が目安です。ネーミングは、アメリカンフットボールのプレイ中に交わされる「ハドル」に由来しています。ハドルとは、選手たちがフィールド上で行う短時間の作戦会議のことです。
短時間で効率的なコミュニケーションをとる手段として、ビジネスシーンではハドルミーティングと呼ばれています。
このハドルミーティングを積極的に実践することにより、従業員同士のオープンなコミュニケーションを活性化させることができるため、組織風土の改善にもつながります。もし従業員の仕事の進め方やメンタルケアに課題を感じていれば、企業全体でハドルミーティングを意識して行うとよいでしょう。なお、ハドルミーティングを導入するメリットは第3章で詳しく後述しています。
Slackのハドルミーティング機能
多くの企業が導入している、ビジネス向けコミュニケーションツールの「Slack」。このSlackには、ワンクリックで気軽にメンバーと音声通話ができるハドルミーティングという機能があります。リリースされた当初は、音声通話のみでしたが、新たにビデオ通話や画面共有の機能が追加されました。
ハドルミーティングが注目されている背景
近年ビジネスシーンでハドルミーティングが注目されている背景には、国が主導で推進する働き方改革が関係しています。2018年6月、働き方改革関連法案が可決成立しました。これによって2019年4月からは、残業時間の上限規制など、各企業はさまざまな取り組みを開始しています。
また、日本の生産年齢人口は少子高齢化により年々減少しているため、企業は限られた人材の有効活用がより求められるようになっています。
このような背景により、社内の業務効率化を図るために、不必要な時間やコストを削減することが重要な課題となってきました。業務効率化の施策には、ITツールの導入やマニュアル整備などの方法が挙げられますが、なかでも無視できないのは、会議体の見直しです。
ビジネスの現場では、長い時間をかけて議論をしたにも関わらず、結論が出せずに会議の目的が果たせなかったというケースも珍しくありません。短時間かつ濃い内容の会議ができるハドルミーティングは、生産性を高める手段として注目されるようになりました。
ハドルミーティングを導入するメリット
ハドルミーティングを導入することで、生産性の向上や社内コミュニケーションの活性化などさまざまな効果が期待できます。
生産性向上が期待できる
意思決定までの流れが早く効率的な話し合いが実現できるため、生産性の向上に貢献します。ハドルミーティングにかける時間は、10~30分程度の比較的短い時間を意識することが基本です。定例の会議よりも目的を絞った話し合いができるので、会議自体が長引くこともありません。必要なタイミングで随時開催するため、参加者の日程調整や会議室の予約などの手間も少なくてすみます。
さらに、メンバーが業務を行っているワークスペースの近くにハドルミーティングの専用スペースを設けると、より迅速にミーティングを開始でき、さらなる効率化にもつながるでしょう。
ハドルミーティングには、必要なメンバーだけが招集されます。関わりが薄いメンバーは会議に参加する必要がなくなるため、リソース管理を適切に行えるようになり、割り当てられた業務により集中することができます。
プロジェクトの進行が円滑になる
ハドルミーティングは必要なタイミングでメンバーだけを集めて情報共有できるため、認識のずれが生じにくく、プロジェクトをより円滑に進行できるようになります。
プロジェクトを進行する際には、メールやチャットツールなどのテキストベースでコミュニケーションを取ることも多いでしょう。しかし、テキスト情報だけでは、発信者の言葉のニュアンスや温度感が受信者に正確に伝わらない懸念もあります。メンバー間での認識のずれが生じると、計画の大きな修正や見直しが必要となりプロジェクトの進行に悪影響をおよぼしかねません。
ハドルミーティングは対話でやりとりするため、よりお互いの意図を共有しやすくなります。認識のずれによるプロジェクトの停滞を防止し、チームの方向性を統一しやすくなるでしょう。
コミュニケーションの活性化につながる
ハドルミーティングは議論が活発化しやすいため、コミュニケーション不足の解消に役立ちます。定例会議の場合、登壇者の話を聞くだけで、発言する機会がないまま終了するケースも珍しくありません。ハドルミーティングでは必要なメンバーだけが招集されるため、メンバーそれぞれが発言する機会を作りやすく、コミュニケーションの活性化が期待できます。
ハドルミーティングは対面だけでなく、オンラインでの実施も可能です。オンライン上でハドルミーティングを開催すれば、離れた場所で働くチームメンバーとも気軽にやり取りできます。
リモートワークが普及するなか、従業員同士が顔を合わせる機会が減ったことにより、コミュニケーション不足を課題に抱える企業も少なくありません。オンラインのハドルミーティングは、リモートワークによる課題の解消にもつながるでしょう。
会議室不足を解消できる
ハドルミーティングはさまざまな場所で開催できるため、会議室不足の解消につながります。
会議室を使用する定例会議の場合、事前予約が必要なケースも多いかもしれません。また、会議室に空きがなければ、必要なタイミングで会議が開催できないこともあります。
ハドルミーティングの参加人数は定例会議よりも絞られるので、大規模な会議室が不要です。オフィス内にメンバーが集まれるスペースさえ確保できれば、すぐに会議を開催できるため、会議室を予約する手間も省けます。ハドルミーティングを導入する際には、効率よく実施できるよう、ワークスペースの一角にハドルスペースを設置することも検討してみましょう。
ハドルミーティングを実施する際のポイント
ハドルミーティングの導入には、生産性の向上や会議室不足の解消などのさまざまなメリットが期待できます。ただし、導入しただけで必ずメリットがもたらされるとは限りません。ハドルミーティングの効果を発揮するためには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。
必要なメンバーだけを集める
ハドルミーティングを実施する際には、最低限のメンバーだけを集めるようにしましょう。ハドルミーティングは会議室ではなく、簡易的なスペースで実施するケースがほとんどです。メンバーの人数が多くなると簡易的なスペースでは収容できず、会議室が必要になる可能性もあり、事前準備に手間や時間がかかってしまいます。
メンバーを絞ることで、思い立ったときでも即座にメンバーを招集でき、コミュニケーションが活発になり、意思決定のスピードを早められるといった恩恵も受けられます。このようなハドルミーティングの利点を活かすためには、まず「必要なメンバーだけを集める」という点を心がけるようにしましょう。
スピード感を意識する
ハドルミーティングを実施する際には、スピード感を意識するようにしましょう。ハドルミーティングは、10~30分程度の短時間の会議です。メンバーを招集して目的を果たしたら、すぐに解散するように心がけることも大切です。
ハドルミーティングを導入する際には従業員に目的を理解してもらい、定例会議との差別化を図るようにしましょう。
ハドルミーティングに必要なもの
ハドルミーティングはオフィス内だけでなく、オンラインによる開催も可能です。それぞれ必要なものが異なるため、自社で導入する形態に応じて必要なものを準備しておきましょう。
オフィス内で開催する場合
ハドルミーティングをオフィス内で実施する際には、適切なスペースや備品などを準備しておきましょう。
ハドルスペース
オフィス内でハドルミーティングを開催する場合、専用スペースの設置を検討してみてもよいでしょう。
ハドルミーティングは必要なメンバーだけを集めて開催するため、大規模な会議室は不要です。オフィス内に2~6人程度が集まれる専用のハドルスペースを設置しておけば、必要なタイミングですぐに会議を実施できます。
ハドルスペースを自社のワークスペース内に設置すれば、利便性が高く使いやすいでしょう。オフィススペースの有効活用の観点から、オフィス内のデッドスペースに場所を設けるようなケースもあります。
ホワイトボードなどの備品
ハドルスペースには会議を円滑に進められるよう、備品を準備しておきましょう。たとえば、ディスプレイモニターやホワイトボードなどです。ディスプレイモニターはパソコンと接続できるため、画面を共有しながら会議を進めることが可能です。ホワイトボードがあれば会議の内容を書き込めるため、メンバーが情報を共有しやすくなるでしょう。
ホワイトボードを設置する場合は、インタラクティブホワイトボードも検討の余地があります。インタラクティブホワイトボードとは板面がデジタル仕様になっており、フリーハンドで書き込みもできるホワイトボードです。遠隔地のメンバーとも情報共有できるため、オンラインでのハドルミーティングにも対応できます。
オンラインで開催する場合
ハドルミーティングをオンラインで実施する際には、Web会議システムが必要です。
Web会議システム
近年はリモートワークやWeb会議の普及に伴い、多くのシステムが登場しています。システムのなかには、ハドルミーティングに特化した機能を備えたものもあります。
たとえば会議の内容を録画・録音できるレコーディングや文字おこし機能、カレンダーに予定を入力するとメンバー全員に通知が届く機能などです。利用できる機能はシステムによって異なるため、複数を比較して自社に適したものを選びましょう。
さまざまなシーンで活用できるハドルスペース
オフィス内に設置したハドルスペースは、ハドルミーティング以外にも活用できます。オフィススペースを有効に活用するためにも、さまざまな目的で利用できるような空間を考慮するとよいでしょう。
Web会議
ハドルスペース内にWeb会議システムを導入しておけば、ハドルミーティングだけでなく、取引先や顧客とのWeb会議にも活用できます。
しかし、Web会議を円滑に進めるためには、静かな環境が必要です。オープンな空間にハドルスペースが設置されている場合、周囲の会話や雑音が入り込む可能性があります。そのため、Web会議と併用する場合は、スペースの周囲をパーティションで仕切る、できるだけ静かな場所に設置するなどの工夫をしましょう。
マグネットスペース
マグネットスペースとは、磁石に引き寄せられるように人が集まる場所を指します。具体的には、リフレッシュスペースやカフェスペースなどです。コーヒーマシーンや自動販売機の前もマグネットスペースと呼ばれます。
オフィス内にマグネットスペースがあると、コミュニケーションの活性化や従業員のストレス軽減などの効果が期待できます。デスクやチェアなどのオフィス家具を配置し、多目的に利用するのもよいでしょう。
スタンディングワークスペース
ハドルスペースは、スタンディングワークスペースとしても有効活用できます。近年は従業員の健康増進のために、スタンディングワークを推奨する企業も増えています。
スタンディングワークスペースと併用する場合は、利便性を考慮し、高さが調整できるデスクを選ぶことがおすすめです。立位の状態で会議できるため、ハドルミーティングの特徴である短時間かつ濃い内容の会議が実現しやすくなるでしょう。
ハドルミーティングで業務効率化を図ろう
日本企業の会議は、海外企業に比べて長時間に及ぶ傾向にあります。メンバーが多い会議の場合、発言する機会がないまま終了してしまうケースも少なくありません。議題によっては、一度の会議で目的が果たせないこともあります。
一方でハドルミーティングは短時間かつ濃い内容の会議が行えるため、生産性の向上が期待できます。オンラインでも実施できるため、出社しているメンバーとリモートワークをしているメンバー同士のより正確な情報共有の場ともなります。
業務の効率化や円滑なプロジェクト・コミュニケーションの実施に向けて、ハドルミーティングを導入してみてはいかがでしょうか。
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