

人材紹介の利用を検討されている採用担当者のなかには「どれくらい費用がかかるの?」「手数料が高そう」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、人材紹介にかかる手数料の相場はもちろん、手数料の種類や返金規定などについても詳しく解説します。
なぜ今、人材紹介の活用が広がるのか?
本題に入る前に、なぜ多くの企業が手数料を支払ってまで人材紹介の活用を進めているのでしょうか。その背景には、自社採用だけでは人材を確保しきれないという、深刻な採用難があります。
学情のレポートによると、ある大手企業では内定辞退率が3割も増加したり、別の企業では採用イベントへの参加者が半減したりと、従来の手法が通用しなくなっています。この結果、新卒採用だけでは計画数を満たせず、通年で若手人材を獲得できる人材紹介へのニーズが高まっているのです。
※参考:株式会社学情「企業の動向・学生の動向【2023年12月号】」
本記事を読み、人材紹介の仕組みとコストを正しく理解し、厳しい採用市場を勝ち抜くための一助としてください。
人材紹介とは
人材紹介とは、採用要件に適した求職者を求人企業へ紹介するサービスのことです。人材紹介サービスは、成功報酬型が多く、初期費用がかかりません。採用要件に適した人材を確実に採用できるだけでなく、採用活動の一部を委託することで、採用工数の削減にもつながります。
人材紹介にかかる手数料の種類
成功報酬
成功報酬とは、採用に至った際に人材紹介会社へ支払う手数料のことです。成功報酬以外に費用がかからないサービスを「完全成功報酬型」と呼び、初期費用がかかりません。多くの人材紹介会社が「成功報酬型」を取り入れています。
成功報酬額は「採用ごとに一律◯万円」もしくは「採用した人材の想定年収の◯%」と設定されている場合が多いです。
着手金
着手金とは、人材の紹介を依頼した時点で発生する手数料のことです。主にヘッドハンティングが必要なエグゼクティブ層を採用する際に必要となります。
人材紹介会社の登録者以外からヘッドハンティングするには、多くの業務工数がかかるため、採用に至らなくても返金されません。着手金の有無については、契約時にきちんと確認しておきましょう。
成功報酬型の手数料を算出する方法
成功報酬型の手数料を算出する方法には「届出制手数料」と「上限手数料」があります。それぞれ詳しく解説していきます。
届出制手数料
届出制手数料とは、厚生労働大臣に届け出た額の手数料が受け取れるシステムのことです。初年度の想定年収に、人材紹介会社ごとに設定している料率を掛け合わせて算出するもので、届出制手数料の料率は、50%を上限に人材紹介会社が自由に設定できます。
たとえば、想定年収500万円、料率が35%であれば、手数料は175万円になる計算です。ほとんどの人材紹介会社で届出制手数料が用いられています。
上限手数料
上限手数料とは、6カ月以上雇用する際に、6カ月間の賃金に11.0%(免税事業者は10.3%)を上限に徴収できる手数料のことです。2019年10月1日より消費税率が10%に引き上げられたことに伴い、手数料の最高額が改正されました。
たとえば、6カ月間の賃金が250万円、料率が11.0%であれば、手数料は27万5,000円になります。上限手数料を導入している企業は少ないため、名前だけ知っておけば問題ありません。
※参考:厚生労働省「紹介手数料の最高額の改正について」
紹介手数料の相場

紹介手数料の相場は、中途採用と新卒採用で異なります。それぞれの相場を把握し、採用計画を立てる際の参考にしてください。
中途採用の紹介手数料の相場
中途採用の紹介手数料の相場は、想定年収の30〜35%程度です。
専門スキルや高い実績を持ったハイクラス人材の場合、想定年収の40〜50%程度の手数料がかかることがあります。たとえば、想定年収が1,200万円で料率が40%のケースでは、成功報酬額は480万円にものぼります。
中途採用の費用については、こちらの記事も参考にしてください。
新卒採用の紹介手数料の相場
新卒や既卒の紹介手数料の相場は、想定年収の20〜25%程度です。中途採用と比べると、低く設定されている傾向があります。
想定年収が350万円の場合、成功報酬額は70万〜90万円程度の手数料が必要です。また、紹介会社によっては、一律50万〜100万円程度に設定していることもあります。
紹介手数料が高い・安い企業の特徴
一般的に紹介手数料の料率は、紹介する人材のスキルによって異なります。新卒や既卒など、社会人経験のない人材の場合は、手数料の料率が低く設定されていたり、一律料金であったりすることが多いです。
一方で、豊富な経験や高い実績を持つハイキャリア人材の場合は、手数料の料率が高く設定されています。
料率が低いケースでは、返金規定が厳しく設定されていることがあるため、契約する際は料率だけでなく、返金規定も確認しましょう。
人材紹介手数料の支払時期とは
人材紹介手数料の支払時期は「入社日」と「入社してから(最大)6カ月後」の2種類があります。契約時は、手数料と合わせて支払フローも確認してください。
入社日
ほとんどの場合、紹介された人材の入社日が請求日になります。
入社日に人材紹介会社から入社確認の連絡が入り、請求書が発行されます。当月末締め、翌月末払いである場合が多く、入社日の翌日に手数料を支払うのが一般的です。
人材紹介会社によっては、支払時期を相談することもできます。
入社してから(最大)6カ月後
上限手数料の場合は、給料の支払いがあってから請求が発生します。6カ月を超えて雇用が続く場合でも、6カ月間の雇用期間が対象となるので注意が必要です。
とはいえ、ほとんどの人材紹介会社が届出制手数料を取り入れているため、基本的には入社日から請求が発生します。これは補足として覚えておいてください。
人材紹介の手数料が返金される場合
多くの人材紹介会社は、返金規定を設けており、その内容に則って返金対応が受けられます。返金規定は人材紹介会社によって異なるため、契約時に確認しておきましょう。
〈返金規定例※「Re就活エージェント」の場合〉
入社後1カ月未満 |
紹介手数料の80%返金 |
入社後1カ月以上3カ月未満 |
紹介手数料の50%返金 |
入社後3カ月以上 |
返金なし |
人材紹介会社を選ぶポイント

採用要件に適した人材を効率的に採用するには、自社の採用計画に適した紹介会社を選ぶことが大切です。紹介会社によって特徴が異なるため、細かいところまで確認しましょう。
人材紹介会社の得意分野を確認する
人材紹介会社は、大きく分けて「総合型」と「特化型」に分けられます。
総合型とは、幅広い求人を取り扱っている人材紹介会社のことです。そのため、登録者の属性も多岐にわたります。
反対に、特化型は、ある属性に特化した人材紹介会社のことです。たとえば、IT・エンジニアや若手の転職に特化した人材紹介会社などがあります。
採用ターゲットに適した人材紹介会社を選ぶことで、マッチング精度の高い採用が期待できます。
手数料や返金規定を確認する
手数料や返金規定は、人材紹介会社によって異なります。手数料が安い一方で、返金規定が厳しいケースや、求職者の属性によって手数料が異なる場合も少なくありません。
たとえば、新卒採用の場合、文系の学生よりも理系の方が手数料が高く設定されていることが多いです。他にも専門性の高い職種やハイクラスの採用などの手数料も高い傾向があります。
手数料や返金規定に関しては、契約前に細かく確認しましょう。
リクルーティングアドバイザーとの相性を確認する
リクルーティングアドバイザーとは、法人営業の担当者のことです。企業の採用要件を細かく把握し、求人票を作成するため、仕事内容や年収、福利厚生などの求人情報だけでなく、企業文化や求める人材の人柄、タイプなども把握していなければなりません。
企業にとってリクルーティングアドバイザーは、共に採用成功を目指すパートナーです。信頼関係が築けるリクルーティングアドバイザーを選びましょう。
では、「相性の良いアドバイザー」とは、具体的にどのような担当者でしょうか。それは、自社の採用基準を深く理解してくれる担当者に他なりません。
学情の調査によると、企業は20代のキャリア採用において、書類選考では「経験」を、面接では「人柄」を重視するという2段階の評価軸を持っていることが分かります。


この点を踏まえ、「当社は書類では〇〇という経験を必須としますが、面接では△△という価値観を重視しています」といった具体的な基準を正確に伝え、それを理解した上で候補者を探してくれるアドバイザーこそが、真に相性の良いパートナーと言えるのです。
※参考:株式会社学情「20代キャリア採用で評価するポイント」
20代を人材紹介で採用するなら「Re就活エージェント」がおすすめ!
人材紹介手数料の相場は、理論年収の30〜35%程度です。そのため、第二新卒や既卒を人材紹介で採用しようとすると、採用コストが高くなってしまう場合があります。
人材紹介を活用して、第二新卒や既卒を採用するには「Re就活エージェント」がおすすめです。
「Re就活エージェント」は、社会人経験が浅いものの、働く意欲の高い20代の求職者が多い求人サイトです。紹介手数料は社会人経験の有無や長さによって異なるため、ポテンシャルの高い若手層を低コストで採用できます。
ただし、高い手数料を払って採用した人材に早期離職されてしまっては元も子もありません。手数料を本当に価値ある投資にするためには、採用後の定着まで見据えることが重要です。
学情の調査によると、転職を希望する20代は「スキルを磨きたい」という強い成長意欲を持っており、9割以上が企業の「研修制度」を重視すると回答しています。


※参考:株式会社学情「20代後半~30代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(転職で実現したいこと)」


※参考:株式会社学情「20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(入社研修)」
人材紹介会社を選ぶ際は、単に候補者を紹介してもらうだけでなく、自社の研修制度や育成体制といった「成長環境」の魅力を候補者にしっかりと伝えてくれるエージェントを選ぶことが、採用成功と入社後の定着を両立させる秘訣です。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。