近年は学生が就職活動で利用する媒体やサービスが多様化しています。そのなかで、2000年代に登場し、全国各地に広がっている就活サービスが就活カフェです。就活カフェは、企業と学生をつなぐ場所として注目されています。
本記事では、就活カフェの概要や企業が利用するメリットを紹介します。実際に自社の採用活動に取り入れる予定がある企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
なお本記事では、自社で就活カフェを運営するのではなく、スポンサー企業として利用するケースを想定しています。
就活カフェとは
採用活動において学生と企業のマッチングを高めるため、新たなビジネスモデルとして就活カフェが登場しました。就活カフェでは就職活動に関する情報収集や相談などができるため、利便性が高く、多くの学生から人気を集めています。
就職活動の拠点として就活生が集まるカフェ
「就活カフェ」とは学生が就職活動をするために、さまざまなサービスを利用できるフリースペースのことです。就活カフェは民間企業が運営し、スポンサー企業の協賛金で運営費が賄われています。学生は、無料または安価で利用することが可能です。
就活カフェによって内容は異なりますが、学生に対して次のようなサービスが用意されているのが一般的です。
- 就職活動に関する資料提供
- 関連イベントの実施 など
スペース内では学生の就職活動をサポートするために、Wi-Fiや電源が無料で利用できるように整備されています。
ジョブカフェやハローワークとの違い
学生が就職活動で利用できるサービスには、就活カフェのほかに、「ジョブカフェ」や「ハローワーク」などもあります。就活カフェとジョブカフェ、ハローワークの大きな違いは、運営主体と利用対象者です。
就職活動関連サービス名 |
運営主体 |
おもな利用対象者 |
就活カフェ |
民間企業 |
学生 |
都道府県 |
若年層 |
|
厚生労働省 |
年齢制限なし |
ジョブカフェはおもに若年層をターゲットとした就職支援サービスで、各都道府県が運営しています。正式名称は「若年者のためのワンストップサービスセンター」と言い、仕事に関する情報提供や適職診断、キャリアカウンセリングなどのサービスを提供しています。
ハローワークは厚生労働省が主導する就職支援サービスで、ジョブカフェのように利用対象者の年齢に制限がありません。就職活動中の学生のほか、一般の求職者も利用できます。
企業が就活カフェを利用する3つのメリット
就活カフェは、企業と学生を結ぶ場所として注目を集めています。企業が注目する背景には、学生のニーズの把握や早期アプローチが可能といったメリットが関係しています。
学生の最新ニーズを把握できる
企業が就活カフェを利用するメリットの一つは、就職に関する学生のニーズをつかみやすくなる点です。企業が優秀な人材を獲得するためには、学生の就職そのものに対するニーズを把握しておくことが大切です。
就活カフェの利用者は就職活動中の学生に限られるため、スペース内で開催されるセミナーやイベントを通じて、効率的に「学生のリアルな声」を集めることができるでしょう。ミートアップを開催している就活カフェであれば、学生と密に交流することもできます。ミートアップは採用ミスマッチの低減や母集団形成につながるとして、近年注目を集めている採用手法です。
就活カフェでは、企業説明会よりカジュアルな雰囲気でイベントが行われているので、学生から本音を引き出しやすい傾向にあります。
学生への早期アプローチが可能
数ある企業のなかから就活生に就職先として選んでもらうためには、認知度の向上が必要不可欠です。この点、企業が就活カフェ内にサイネージ広告やパンフレットなどを設置することで、就職活動の早い段階で学生に自社を認知してもらい、就職先の候補として検討してもらえる可能性が高まります。
就活カフェは、大学1年生や2年生でも利用できるため、本格的に就職活動を始める前の学生とも接点を持つことが可能です。就活カフェで出会った学生にインターンシップやオープン・カンパニーへの参加を促せば、直接コミュニケーションを取る機会も増えるでしょう。
あさがくナビの「2025年卒学生の就職意識調査(合同企業セミナー)2023年7月版」では、インターンシップやオープン・カンパニーの応募前に人事担当者と「直接話したい」「どちらかと言えば直接話したい」と回答した学生が約7割いたことがわかっています。
インターンシップやオープン・カンパニーへの応募前に、 |
割合 |
直接話したい |
33.2% |
どちらかと言えば直接話したい |
35.6% |
どちらとも言えない |
23.9% |
どちらかと言えば直接話したくない |
4.4% |
直接話したくない |
2.9% |
※出典元:「2025年卒学生の就職意識調査(合同企業セミナー)2023年7月版」(あさがくナビ)(https://service.gakujo.ne.jp/wp-content/uploads/2023/10/230712-navienq.pdf)
学生側も人事担当者と直接話す機会を求めているため、そのニーズに対応する手段としても就活カフェが有効だと言えます。
ターゲット層と直接的な接点を持てる
就活カフェの利用者は、最寄りの大学に通う学生が多い傾向にあります。ターゲット層がいる大学周辺の就活カフェを利用することで、自社が望む条件に合った学生と出会う可能性が高まります。
たとえばIT人材を求めている場合は理系大学周辺を、学術部門の人材を求めている場合は専攻のある大学周辺の就活カフェを選ぶと効果的です。
また就活カフェは、学生が就職活動に関する不安や疑問を解消するカジュアル面談の場としても活用されています。カジュアル面談を行うことで、より企業と学生の相互理解を深められ、自社へ応募する意欲が高まる可能性を期待できるでしょう。
就活カフェの利用が向いている企業の特徴
就活カフェは、おもに次のような企業にとって有益と言えるでしょう。
学生の就職に対する最新のニーズを把握したい企業
:就活カフェでは、学生の直接的な意見を聞くことができるため、採用活動に効率的に役立てることができます。
自社の認知度を向上したい企業
:大学1年生や2年生も利用する就活カフェを通じて、学生と早期に接触し、特に中小企業が自社の知名度を上げるのに役立ちます。
効率的に人材を獲得したい企業
:特定の学部や学科に関連する学生がいる場合、その大学周辺の就活カフェの利用がおすすめです。これにより、企業の求める条件に合う人材に効率よくアプローチすることができます。
就活カフェは、これらの目的を持つ企業にとって、効果的な採用手段となり得ます。利用する前には、あらかじめ導入目的を明確にしておくようにしましょう。
どこを利用すべき?就活カフェを選ぶポイント
就活カフェのサービス内容や利用する学生の特徴は運営会社や設置されている場所によって異なります。ここからは就活カフェを選ぶポイントを解説します。
学生側に提供されているサービス内容
学生向けのサービス内容は、就活カフェごとに異なります。就活カフェのおもなサービス内容は、次のとおりです。
- スペースの利用料金が無料
- ドリンクが無料
- Wi-Fiや電源を使用できる
- 運営スタッフによる相談が受けられる など
サービス内容が手厚い就活カフェは人気が高いため、多くの利用者が見込めます。そのため、より多くの学生と接点を持ちたい場合は、サービス内容が充実したところを選びましょう。土日や祝日も営業していれば、授業やアルバイトで忙しい学生も利用しやすいため、より多くの学生に出会える可能性が高まります。
企業側が受けられるサービス
就活カフェでは学生だけでなく、スポンサー企業も次のようなサービスが受けられます。
- 機材貸し出し
- 無料ドリンクの提供
- 運営スタッフによるサポート など
機材の貸し出しや各種サポートが受けられると、セミナーやイベントを開催する際の負担を軽減できるでしょう。スペース内でサイネージ広告の配信やチラシの配布ができるようであれば、セミナーやイベントの情報をより広く周知できます。
また、応募につなげるためには学生との継続的な接触が必要になるため、セミナーやイベントの開催可能な頻度も確認しておきましょう。
利用している層の特徴
就活カフェを選ぶ際には、どこの大学の学生が利用しているか、利用者はどの業界に興味を持っているかの傾向を把握するようにしましょう。
大学の最寄りの就活カフェを利用する学生が多いため、就活カフェの利用者層は大学の立地からある程度判断できます。
紹介制や会員制の就活カフェなら、就職活動に対する意識がより高い学生が集まりやすくなるため、優秀な人材に出会える可能性が高いでしょう。
利用している学生からの評判・口コミ
近年は利用するサービスや商品、店舗などを選ぶ際に、SNSなどの口コミを参考にする人が増えています。評判が高い就活カフェには利用者が集まりやすいため、より多くの学生と出会える可能性があります。
就活カフェを選ぶ際には、学生の口コミもチェックするようにしましょう。
提携にかかる費用
スポンサー企業として就活カフェを利用する場合の契約形態は、1年単位の年間契約が一般的です。費用は就活カフェによって異なりますが、年間100万円程度が目安とされています。
就活カフェの利用にはコストがかかるため、予算や費用対効果を十分に検討する必要があります。また、就活カフェによる採用活動を運用する担当者のリソース確保も必要になるため、あらかじめ確認しておきましょう。
企業が就活カフェを利用する流れ・導入手順
ここからは企業が就活カフェを利用する基本的な導入手順を紹介します。
1.採用にかかる課題と就活カフェを導入する目的の明確化
まずは、就活カフェをどのような目的で利用するのかを明確にしましょう。その際、自社が抱える課題を明確にする必要があります。課題解決の手段として就活カフェが有効なのか、ほかに適切な方法があるのかを検討しましょう。
たとえば、学生に直接アプローチする採用手法は就活カフェ以外に、人材紹介やリファラル採用、ダイレクトリクルーティングなどもあります。就活カフェが採用課題にマッチしない場合は、別の方法を検討する必要があります。
コストや採用までのスピード、ミスマッチの少なさなどのさまざまな項目を比較し、自社にとって最適な採用手法を選ぶことが大切です。
2.運営会社へ問い合わせて比較検討する
就活カフェの導入を決定したあとは、運営会社に問い合わせましょう。問い合わせ方法は運営会社によって異なりますが、ホームページで受け付けているケースがほとんどです。
サービス内容や料金などは運営会社ごとに異なるため、契約先を選ぶ際は複数社を比較検討するようにしましょう。運営会社に問い合わせる際には、受けられるサービス内容やイベントを開催できる頻度、利用している学生層など、細かい懸念事項も確認しておくと安心です。
3.運営会社と契約し、イベントを開催する
利用する就活カフェの運営会社が決まったら、正式に契約します。より多くの学生との接点を増やすため、契約後は積極的にイベントを開催してみましょう。
イベントの内容は自社の導入目的に合わせて、形式や規模・頻度などを考慮しつつ開催していく必要があります。貸し切りでイベントを開催できる就活カフェもあるため、目的や予算などに応じて企画していきましょう。
就活カフェを利用して、自社の未来を支える人材を獲得しよう
就活カフェは就職を控えた学生と企業が直接的な接点を持てる方法の一つです。企業の担当者が学生とのコミュニケーションを深め、自社の魅力を伝えるための貴重な機会となり得ます。
就活カフェの利用により、学生とのコミュニケーションを継続的に取れれば、学生が就職活動を本格化する前に自社に興味を持ってもらうことができるでしょう。結果的に、自社の未来を支える優秀な若手人材の獲得につながるかもしれません。
学生と直接接点を持つ方法は、就活カフェだけではありません。株式会社学情では就職博や就活サポートmeetingなどにより、企業の採用活動をサポートしています。就職博は来場数No.1を誇る日本最大級の就職イベントであり、幅広い層の学生に出会うことができます。学生を対象としたダイレクトリクルーティング型イベントの就活サポートmeetingでは、参加者全員と直接コミュニケーションをとることが可能です。いずれも学生と企業の価値あるマッチングを実現いたします。
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