

新卒採用スケジュールは年ごとに変化しており、効率的に採用活動を進めるには、学生や他社の動向に合わせて最適なスケジュールを組むことが大切です。
本記事では、2027年卒業予定の学生を対象にした新卒採用のスケジュールや学生の動向について詳しく解説します。
これから新卒採用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
【2027年卒】全体の新卒採用スケジュール

2027年卒業予定の学生を対象とした新卒採用スケジュールは、ルール上は例年と変わりません。しかし、人材獲得競争の激化で企業が選考を早めていることから、学生の動きにも例年よりさらに早期化の傾向がみられます。
政府が要請している採用活動の日程ルールは次の通りです。
- 広報活動開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
- 採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
- 正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降
※参考:厚生労働省「大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期について」
ただし、実際のスピード感は以下のようになるでしょう。
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2027年卒も採用難と採用の早期化が続くと予想される
株式会社学情の調査によると、2026年卒採用について「難しくなる」と回答した企業が58.9%にのぼりました。「やや難しくなると思う」の26.5%を合わせると、8割以上の企業が「採用が難しくなる」と感じています。
また、早期化に関しては「早期化すると思う」と回答した企業が57.3%にのぼり、「どちらかと言えば早期化すると思う」30.2%を合わせると9割近くの企業が早期化すると回答しました。
これらのデータから、2027年卒採用でも採用難と採用の早期化が続くと考えられています。
※参考:株式会社学情「『2026年卒採用』に関する企業調査(2024年6月)」
新卒採用スケジュールの変遷

新卒採用のスケジュールは、時代とともに少しずつ変化してきました。その背景には、経済状況や社会のニーズ、政府の方針などの影響があります。
近年では、インターンシップの普及やオンライン選考の導入などにより、採用活動の多様化が進んでいます。これにより、学生はより多くの選択肢を持てるようになり、企業も多様な人材を採用する機会が増えています。
15年卒まで
15年卒までは、経団連の指針に基づき、3年生の12月頃に企業説明会が始まり、4年生の4月から選考がスタートするといったスケジュールが一般的でした。
学生は比較的早い段階から志望企業を絞り込み、インターンシップを活用する動きも限定的だったため、企業間の争奪戦は今ほど激しくなかったと言われています。
ただし、一部の企業では独自の日程で選考を進めるケースもあり、業界や企業によって差が生じていた点が特徴です。
16年卒
16年卒は、政府からの要請に基づき、企業説明会は3年生の3月から、選考は4年生の8月から開始と、スケジュールが大幅に後ろ倒しとなりました。
しかし、企業側が学生の内定辞退に対して、追加採用などの対応ができないケースが多く見られ、このスケジュールは一年で見直されます。
17年卒〜24年卒
17年卒から24年卒までは、3年生の3月に企業説明会が解禁、4年生の6月から本選考が始まるという流れが主流になりました。
これにより学生と企業の準備期間は延長された一方で、外資系やベンチャー企業などは独自のスケジュールを採用する動きが強まります。
また、インターンシップの拡大やオンライン選考の導入など、多様化が加速した時期とも言えるでしょう。
25年卒以降
25年卒以降は、経団連が就活ルールを撤廃した影響が本格化し、企業によって採用時期や形態が大きく異なる“通年採用”への移行が進んでいます。
AIを活用した採用管理システムやオンライン選考ツールの普及によって、選考プロセスの柔軟化が一段と進み、学生の就職活動スタイルもより多様化しています。
さらに、長期化・高度化されたインターンシップが増え、企業と学生の接点が早期化することで、従来の新卒一括採用の枠組みが大きく変化していくと言われています。
【企業タイプ別】代表的な新卒採用スケジュール

新卒採用のスケジュールは、企業の規模や業種によって異なります。
自社の大まかなスケジュールを確認しておくことで、効率的な採用活動を進めることができます。
以下に、代表的な企業タイプ別の新卒採用スケジュールを紹介します。
大手企業
大手企業の新卒採用スケジュールは、政府が定めたルールに従って進められます。
一般的には、インターンシップが3年生の6月から2月まで行われ、会社説明会や広報活動が3月から4年生の5月にかけて行われます。
選考活動は6月から9月にかけて行われ、内定通知は10月以降に出されます。
中小企業
中小企業の新卒採用スケジュールは、大手企業とは少し異なります。中小企業は、春採用と秋採用の2回の採用活動を行うことが多いです。
春採用では、会社説明会や広報活動が3年生の12月から2月にかけて行われ、選考活動は2月から4年生の4月にかけて行われます。内定通知は4月以降に出されます。
秋採用では、会社説明会や広報活動が4年生の6月から8月にかけて行われ、選考活動は8月から10月にかけて行われます。内定通知は10月以降に出されます。
外資系企業
外資系企業の新卒採用スケジュールは、スピード感が求められる特徴があります。
一般的には、インターンシップが3年生の6月から12月に実施され、選考は10月から翌年5月にかけて行われ、内定は2月~5月に通知されます。
外資系企業は早期に優秀な人材を確保するため、選考開始時期を早める傾向があります。また、外資系コンサルティング企業では、夏選考を実施し、3年生の秋頃には内定が出ることもあります。
【2027年卒】時期ごとの新卒採用スケジュール

近年の新卒採用スケジュールの傾向を踏まえ、2027年卒の新卒採用スケジュールを時期ごとに解説していきます。
3年生の4月~6月|情報収集が本格化
各企業のオープン・カンパニー&インターンシップの募集が開始され、学生の情報収集が本格化する時期です。企業は学生との接点を逃さないように手を打つ必要があります。
学生側
株式会社学情の調査によると、2025年卒では4割弱の学生が、3年生になる前から企業情報やオープン・カンパニー&インターンシップの情報を調べはじめていました。
一方で、就職活動を本格的に開始した時期に関するアンケートでは「(3年生の)6月」との回答が20.2%で最多でした。
各社のインターンシップサイトがオープンし、エントリーできるのは4月〜6月からなので「インターンシップなどの準備=就職活動スタート」と位置付けている学生が多いようです。
この頃からすでにOB・OG訪問をスタートする学生もいます。実際に働いている社員からリアルな話を聞くことで、業界研究や仕事研究に活かし、夏のインターンシップに参加する企業を絞り込みます。
※参考:株式会社学情「2025年卒学生の就職意識調査(インターンシップ)2024年1月版」
株式会社学情「2025年3月卒業予定者/就職戦線中間総括」
企業側
夏のインターンシップに参加する学生を獲得するには、この頃までにインターンシップの内容を精査し、情報をリリースしなければなりません。
2026年卒採用では、インターンシップ等の広報開始・開催時期を「前倒しする」と回答した企業が6割に迫り、インターンシップの時期も早期化しています。
学生はインターンシップに参加した企業の中から選考を受ける企業を選ぶ傾向がありますが、学業やアルバイトの両立などで忙しく、多くのインターンシップには参加できません。
株式会社学情の調査によると、2025年卒では半数以上の学生が、インターンシップ、オープン・カンパニーの参加社数は4社以下と回答しました。
学生との出会いを逃さないためには、魅力的なプログラムの提供が必要です。
※参考:株式会社学情「2026年卒採用・インターンシップ動向調査」
3年生の7月~9月|夏のインターンシップに参加
学生は夏季休暇に入り、長期のインターンシップをメインに参加します。採用活動を成功させるには、この時期から丁寧なフォローを行いましょう。
学生側
これまでの情報収集やイベントなどで興味をもった企業の中から、インターンシップに参加する企業を選びます。8月・9月の夏季休暇中には、就業体験が可能な長期のインターンシップを含めて複数参加する傾向にあります。
1990年代後半〜2012年に生まれ、子どもの頃からスマートフォンやSNSが身近な環境で育ってきたZ世代は、インターネット上で効率よく情報収集をすることが得意です。
一方で、実際に足を運ばないと分からない情報も重要であることを知っているため、会社の雰囲気やそこで働く社員にどんな人がいるのかなど、リアルな情報も重視しています。
実際に、2025年卒のオンライン形式のインターンシップ等の参加社数の平均は5.5社、対面形式は3.8社でした。学生は手軽なオンライン形式だけでなく、対面形式のインターンシップ等への参加にも積極的であることが分かります。
※参考:株式会社学情「2025年卒学生対象 就職活動意識調査レポート【2024年6月発表】」
企業側
2025年卒採用からインターンシップのルールが変更され、「インターンシップ」という名称を使用するためには、「5日間以上」など一定の条件を満たすことが求められるようになりました。
オープン・カンパニーは採用との連携ができませんが、インターンシップは採用との連携ができます。インターンシップを実施する際は、実施条件を確認しましょう。
株式会社学情の調査では、2026年卒のインターンシップやオープン・カンパニーの開催開始時期は「8月」が最多で、次に「6月」が多い結果でした。
実際に足を運んでもらう対面形式だと、まとまった時間がとれる夏季休暇中に実施したほうが、学生の参加率が高められると考えられます。
インターンシップ実施後は、参加してくれた学生とのつながりを失わないために、きめ細かなフォローを行いましょう。特に自社とカルチャーマッチしそうな学生とは、連絡の期間を空けないことが大切です。
※参考:株式会社学情「2026年卒採用・インターンシップ動向調査」
3年生の10月~1月|選考開始
早い企業では選考が開始されます。学生もこの時期に初めて選考に参加する割合が高いようです。
学生側
株式会社学情の調査によると、2025年卒学生は3年生の12月時点で65.4%の学生がインターンシップやオープン・カンパニーに参加した企業から案内されたセミナーや選考に参加していたことが分かりました。
2026年卒採用では、より多くの学生がすでにこのタイミングで選考に参加していると考えられます。この場合、大学3年生の9月頃から翌年2月頃にかけて選考に参加し、大学3年生の冬には内々定が出るスピード感です。
選考を受けながらもより自分とマッチする企業を求め、同時並行でオープン・カンパニーや説明会にも積極的に参加します。
※参考:株式会社学情「2025年卒学生の就職意識調査(インターンシップ参加企業への選考参加)2024年1月版」
企業側
新卒採用の通年化が進むにつれて、採用担当者の業務は年間を通して繁忙期といっても過言ではありませんが、この時期の前後がとくに採用活動に注力する時期です。
まだ接触できていない学生に向けて、冬のオープン・カンパニー&インターンシップを実施する企業が多くみられます。一方で、夏のインターンシップに参加した学生に、より企業理解を深めてもらうための説明会や座談会なども開催します。
一方で、動き出しが早い学生を対象に、選考がはじまるのもこの時期です。
株式会社学情の調査によると、2026年卒採用の選考開始時期は、「2025年1月・2月」が20.2%で最多でした。次いで「2024年11月・12月」が17.9%と続きます。この二つを含めて3年生のうちに選考を開始するとした企業が、8割以上にのぼる結果となりました。
※参考:株式会社学情「2026年卒採用・インターンシップ動向調査」
3年生の2月・3月|最終選考と内々定
この時期の内々定獲得率は毎年上がっており、2027年卒採用にも同様のことがいえるでしょう。
学生側
2025年卒の学生では、大学3年生の3月末時点で内々定を持っている学生の割合は、53.7%と半数以上にのぼりました。2027年卒採用では、内々定出しの時期がさらに早まる可能性もあると予想されます。
参考:株式会社学情「2025年卒 内々定率調査 2024年9月度」
企業側
株式会社学情の調査によると、2026年卒採用の内々定(最終選考合格)出しの開始時期は「2025年1月・2月」が20.6%で最多でした。次いで「2024年11月・12月」の16.9%が続きます。
「インターンシップ実施後、志望意欲が高いタイミングで内々定出しを行う」「2025年卒の時よりも早く進めたい」などの声も少なくありません。
内々定出しのピークは3月ですが、それよりも前から多くの企業が着々と内々定出しを始めているようです。
※参考:株式会社学情「『2026年卒採用』に関する企業調査(2024年6月)」
4年生になる直前の3月~|再始動かつフォロー期間
学生の活動が再び活発になると同時に、各社もあらためて今後の動きを検討する時期です。
学生側
政府主導のルールに従って、3月1日から採用広報活動が解禁されます。内々定をすでに受けている学生も、大手やそのグループ企業に志望度の高いところがあれば、選考を受けるために再び活動量が増えます。
一方で、株式会社学情の調査によると、2025年卒学生の22.6%が4月時点で「内々定を得た企業への入社を希望し就職活動を終えた」と回答しており、早期に就職活動を終える学生は少なくありません。
※参考:株式会社学情「2025年卒学生対象 就職活動意識調査レポート【2024年6月発表】」
企業側
すでに内々定を出した学生をフォローする期間です。
2025年卒学生の6月末時点の内々定率は約85%にのぼります。また、就職活動を終了した学生の割合は65%を超えており、夏以降に学生を採用するのが難しくなっていることを表します。
そのため、7〜8月頃は内々定者のフォローをしつつ、新卒採用の予定採用人数に達しない場合は第二新卒採用を検討し始める時期です。
参考:株式会社学情「2025年卒 内々定率調査 2024年7月度」
新卒採用スケジュール作成のポイント

新卒の採用スケジュールを考える際には、前年度の採用についての振り返りや、求める人物像の明確化などを意識する必要があります。これにより、効率的かつ効果的な採用活動を行うことができます。
以下に、具体的なポイントを挙げて説明します。
前回の採用を見直す
まず、前回の採用計画で何がうまくいったのか、何が改善できるのかを振り返ることが重要です。
例えば、応募者数や内定者数、選考のスピードなどを評価し、どの部分が効果的だったかを分析します。
また、採用手法の有効性を検証することも重要です。説明会、インターンシップ、選考プロセスなど、各採用手法の効果を評価し、どの手法が最も成果を上げたかを確認します。
これにより、採用活動の成功要因や改善点を明確にすることができます。
採用したい人物像について決める
次に、採用したい人物像を明確にすることが重要です。どのようなスキルや性格を持った人材が自社にとって最適なのかを考え、それを具体的に言語化します。
これにより、選考基準が明確になり、ミスマッチを防ぐことができます。
新卒採用市場について把握する
最新の有効求人倍率や、前年の内々定率などを確認することで、新卒採用市場を正確に把握し、自社の採用計画に反映させることが重要です。
また、自社の業界全体の選考の進捗も見ておくことで、採用活動が出遅れないように対策を立てやすくなります。
こうした情報は、業界レポートや厚生労働省のデータ、株式会社学情が実施した「2026年3月卒業予定者採用動向レポート」などから収集することが可能です。
採用動向レポートについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
採用したい学生の動きに合わせる
理系と文系の学生、地方大学と都心部の学生では、就活を始める時期や重視する情報が異なります。そのため、学業スケジュールや興味分野に配慮した選考開始時期を設定することが重要です。
さらに、インターンシップや説明会などの開催タイミングも、対象とする学生の活動状況を見極めながら計画しましょう。
なるべく早期に学生との接点を持つ
就活解禁時期が後ろ倒しになっても、優秀な学生は常に企業研究を進めています。そのため、インターンシップや早期説明会などを積極的に実施し、学生と早い段階で接点を持つことが重要です。
オンラインを活用したセミナーやSNSでの情報発信も、有効なアプローチとなります。オンラインで企業の魅力をしっかり伝えることで、他社との差別化を図り、学生の心を引きつけることができます。
これらを組み合わせることで、学生が企業を知るタイミングを早め、自社への志望度を高めやすくなります。
競合他社の動向をチェックする
最後に、競合他社の動向をチェックすることも忘れずに行いましょう。他社がどのような採用活動を行っているのかを把握することで、自社の採用戦略を見直す参考になります。
例えば、他社がどの時期にどのようなイベントを開催しているのか、どのような人材を求めているのかを調査し、自社の採用活動に反映させることができます。
余裕をもった採用計画と早期化に乗り遅れない動き出しが重要
この記事では新卒採用の動きの全体の傾向を紹介しましたが、実際のスケジュールはさまざまです。就職活動をはじめる時期は学生によるので、企業の採用ターゲットに合わせて変わります。
しかし、全体を見ると新卒採用のスタートが年々早まっているのは事実で、2027年卒採用も例外ではないでしょう。採用の難易度が高まる中、この記事で紹介したほかの企業の動きも参考に採用計画を立ててみてはいかがでしょうか。
2027年卒採用には「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」がおすすめです。「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」は通年型の採用サイトなので、早期に動く学生にもアプローチできます。
新卒採用にお困りの方は、株式会社学情へお問い合わせください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。