ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者に直接アプローチする採用手法です。企業と求職者のマッチング率を高めるため、新しい採用手法として注目が集まっています。
本記事では、ダイレクトリクルーティングの特徴や成功させるポイントについて解説します。導入を検討されている方は参考にしてください。
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者に直接アプローチする採用手法のことです。
従来の採用活動は、求人広告への掲載や人材紹介への依頼など「受け身」の手法がメインでした。受け身の採用手法は、求職者からの応募が来るまで待っているしかなく、企業に興味を持ってもらうきっかけを作りづらい問題があります。
一方、ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者にダイレクトメールを送ったり情報発信したりと能動的に働きかけるため、工夫次第で選考や採用につなげやすいのが強みです。
ダイレクトリクルーティングと従来の採用手法の違い
ダイレクトリクルーティングと従来の採用手法の違いは、次の通りです。
ダイレクト |
求人広告 |
人材紹介 |
|
特徴 |
企業が求める人材をリサーチして、ダイレクトメッセージなどを使い直接アプローチする。 |
求人媒体に掲載し、一度に多くの求職者にアプローチできる。 |
人材紹介会社に採用要件を伝え、要件に適した人材を紹介してもらう。 |
母集団形成 |
質の高い母集団形成が期待できる。 |
幅広い母集団形成が期待できる。 |
人材紹介だけで母集団形成をするのは難しい。 |
採用工数 |
多い |
やや多い |
少ない |
採用コスト |
成功報酬型や求人広告一体型などがある。 |
掲載順位や広告サイズによって変動。 |
相場年収の30〜35%。 |
ダイレクトリクルーティングは、企業が欲しい人材に直接アプローチするため、採用要件に適した人材と出会える可能性が高まります。一方で、従来の採用手法と比べて採用工数が増加しやすい傾向にあります。
ダイレクトリクルーティングとスカウトの違い
ダイレクトリクルーティングとスカウトの違いは、次の通りです。
- ダイレクトリクルーティング:採用要件に適した人材に直接アプローチする採用手法。
- スカウト:採用要件に適した人材に対してスカウトメールを送ること。ダイレクトリクルーティングのアプローチ手段のひとつ。
20代のための転職サイト「Re就活」では、アプローチ手段として、条件を絞り込んでターゲット全体に送る「スカウト機能」と個人に送る「ヘッドハンティング機能」の2種類を用意しています。
ダイレクトリクルーティングが注目されている理由
ダイレクトリクルーティングが注目されている理由には、次の3つが考えられます。
- 売り手市場による採用難
- ジョブ型雇用の拡大
- 情報収集スタイルの変化
それぞれ詳しく解説していきましょう。
ジョブ型雇用の拡大
ジョブ型雇用とは、業務に必要な能力を持った人材を採用する方法です。ジョブ型雇用では、採用要件が明確かつ限定的なため、ダイレクトリクルーティングと相性が良いと考えられています。
また、株式会社学情が実施したアンケートによると「ジョブ型」採用を実施している企業があれば「プレエントリーしたい」と回答した学生が7割を超える結果となり、求職者側も注目していることが分かります。
情報収集スタイルの変化
近年の情報過多社会において、情報収集のスタイルは変化しています。
従来は自ら検索をして情報を集めていましたが、最近ではSNSなどを通して自分の好みにカスタマイズされた情報の中から選択する傾向が強まっています。
実際に転職市場においても、多くの求職者は与えられた情報から自分に適したものを選択する方法に慣れています。
ダイレクトリクルーティングの費用
ダイレクトリクルーティングの費用は、次の通りです。
料金体系 |
費用相場 |
|
成功報酬型 |
報酬額 |
理論年収15〜35%程度 |
初期費用・データベース利用料 |
0〜70万円程度/年 |
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定額型 |
130万〜250万円/年 |
一般的な求人広告の掲載費に比べて、費用が高くなる傾向があります。
ダイレクトリクルーティングに向いている企業の特徴
ダイレクトリクルーティングには向いている企業とそうではない企業があります。ダイレクトリクルーティングに向いている企業の特徴をご紹介します。
採用ターゲットが明確に決まっている
ダイレクトリクルーティングは、企業が欲しい人材を探すところから始まります。ターゲット人材に興味をもってもらえるアプローチ方法が求められるため、まずは採用ターゲットを明確にしておく必要があります。
例)
- 社内でDX化を進めたいのでITに関する知識やスキルがある人材を採用したい
- 新しいプロジェクトを始めるのでチームリーダーの経験がある人材が欲しい
- 業界・職種は未経験でもよいのでポテンシャルの高い若手を採用したい
など
従来の採用手法で苦戦している
少子化による労働人口減少の影響で売り手市場が続いており、中小企業が求職者からの応募を十分に集めることは年々難しくなっています。一般的な求人広告では、知名度の高い他企業の求人情報に埋もれてしまうケースがよくあります。
ダイレクトリクルーティングでは、自社を知らない求職者にも企業側からアプローチできるので、自社の魅力を知ってもらいたい企業におすすめです。
採用活動に十分な工数をかけられる
ダイレクトリクルーティングでは、採用担当者が自社に合う人材を選び、一人ひとりにアプローチする工数が発生します。従来の採用手法より採用担当者の負担が増えるため、採用活動に十分な工数をかけられる環境が必要です。
あさがくナビの「AIスカウト」機能は、AIが自動でスカウトメール配信対象をレコメンドします。また、ChatGPTを活用した、スカウトメールの作成をアシストする機能も実装。求職者一人ひとりとコミュニケーションをとる時間が十分にとれない場合におすすめです。
ダイレクトリクルーティングの流れ
ダイレクトリクルーティングをこれから始めたいと思っている採用担当者に向けて、一連の流れをご説明します。
- 採用ターゲットを明確にする
- 求人サイトの登録者や自社のタレントプールなどから、求職者一人ひとりのプロフィールを閲覧し、採用要件に適した人材を探す
- 採用ターゲットに向けて定期的にスカウトメールや企業紹介を送り、自社の認知や志望度を高める
- 応募があった求職者に対して、面談や選考などの次のステップを案内する
- 応募率や選考通過率を検証し、施策の改善を行なう
このように、ダイレクトリクルーティングは長期的な取り組みとなるのが一般的です。
ダイレクトリクルーティングのメリット
次は、ダイレクトリクルーティングのメリットについて解説します。
求める人材に出会いやすくなる
ダイレクトリクルーティングは、採用要件に適した人材を企業側から探しに行くため、求める人材に出会いやすくなります。
従来の採用手法では、応募者の中から採用要件に適した人材を選んでいました。一方、ダイレクトリクルーティングは企業側からスカウトメールを送ることで、欲しい人材に直接、自社の魅力を伝えられます。
求職者側も企業を十分知ったうえで応募できるので、マッチングの確度が高い面接を実施できるでしょう。
潜在層にアプローチできる
ダイレクトリクルーティングは、スカウトメールを送ることで潜在層にもアプローチできます。
求人サイトには「良い求人があれば転職しよう」という転職意欲が低い潜在層が存在します。アプローチの幅を広げるには、転職意欲の高い顕在層だけでなく、潜在層へのアピールも重要です。
採用コストをおさえられる
ダイレクトリクルーティングを上手に活用することで、一人当たりの採用コストがおさえられます。
ダイレクトリクルーティングの成功報酬額は、人材紹介の成功報酬額より低く設定されているため、人材紹介ほどコストがかかりません。また、システム利用料やスカウトメールの費用も人材紹介と比べると、安価で利用できます。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
ダイレクトリクルーティングには、メリットがある一方でデメリットもあります。次は、ダイレクトリクルーティングのデメリットをご紹介します。
採用担当者の負担が増える
ダイレクトリクルーティングは、求人広告と比べて採用工数が多く、採用担当者の業務負担が増加します。
求人広告では、求職者からの応募があるまでは「待ち」の状態が続きます。一方、ダイレクトリクルーティングは人材の選定やスカウト業務を行わなければなりません。そのため、ダイレクトリクルーティングをうまく運用するには、適切な人員配置が重要です。
採用活動が長期化する可能性がある
求職者の転職意欲が低い場合、選考につなげるまで時間がかかってしまい、採用活動が長期化する可能性があります。求職者の転職意欲が低いときは、カジュアル面談を実施して相互理解を深めましょう。
カジュアル面談とは、選考前に企業と求職者がリラックスして対話する機会のことです。お互いの知りたい情報を交換することが目的なため、選考の合否は出しません。採用工数はかかりますが、志望意欲の醸成が期待できます。
ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント
ダイレクトリクルーティングは、ただスカウトメールを送れば良いわけではありません。そこで、ダイレクトリクルーティングを成功させるポイントについて解説していきます。
「あなたのどこに魅力を感じたか」を伝える
スカウトメールを送る際は、求職者のどこに魅力を感じたのか具体的に伝えましょう。
定型文では、せっかく欲しい人材を見つけてアプローチしても読み飛ばされてしまう可能性があります。登録者全員に送っているのではなく「あなただから声をかけた」という熱意が伝わるような工夫が必要です。
たとえば、求職者のプロフィールを見てもっとも興味を持った点をスカウトメールに盛り込むだけでも、企業側の本気度が伝わります。
条件を絞り込みすぎない
採用ターゲットを選定する際は、条件を絞り込みすぎないようにしましょう。
転職意欲の低い潜在層は、プロフィールを細かく設定していない場合が多く、最初の段階で条件を絞り込み過ぎると検索にヒットしにくくなります。「登録情報は採用要件に適さないけれど、会ってみたら魅力的な人材だった」というケースは珍しくありません。
母集団を減らさないという意味でも、絞り込み条件は細かくし過ぎないようにご注意ください。
採用ターゲットに見てもらいやすい時間帯に送る
スカウトメールを送る際は、求職者の特徴を踏まえて送信時間帯を工夫しましょう。
スカウトメールは求職者に見てもらえなければ意味がありません。求職者に見てもらえるようタイトルや文面を工夫することも大切ですが、開封率を上げるために時間帯を調整するのも効果的です。
次の表は、求人サイトを閲覧するタイミングに関するアンケート結果です。求職者が転職活動をしている時間帯にスカウトメールを送れば、開封してもらえる可能性が高まります。
ヤングキャリア |
月曜日〜金曜日19:00〜22:00, 22:00~ |
第二新卒 |
月曜日〜金曜日19:00〜22:00, 22:00〜 |
既卒 |
月曜日〜金曜日12:00〜17:00, 22:00〜 |
ただし遅い時間帯にスカウトメールを送ると、ブラック企業だと思われてしまう可能性があるので、なるべく業務時間内や遅すぎない範囲で送りましょう。
なお、「Re就活」で20代の転職希望者に、求人サイトを閲覧するタイミングについて尋ねたアンケート結果は次のとおりです。ぜひ参考にしてください。
ダイレクトリクルーティングでマッチング率の高い採用を実現しよう!
ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者に直接アプローチする採用手法です。求職者の経歴やスキルを確認したうえでスカウトするため、マッチング率の高い採用が期待できます。
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株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。