HR用語の基礎知識
文部科学省の「令和3年度大学等におけるインターンシップ実施状況について」によると、485校の大学、109校の大学院がインターンシップを実施していることが分かっています。
学校種別 | 実施状況(令和3年度) | 実施状況(令和元年度) |
大学 | 485校 | 547校 |
大学院 | 109校 | 171校 |
※出典:「令和3年度大学等におけるインターンシップ実施状況について」(文部科学省)
大学の485校は令和元年度よりも減少傾向にあるものの、全体の62.3%に該当します。参加学生数は、大学生が46,262人、大学院生が4,637人でした。
学校種別 | 参加学生数(令和3年度) | 実施状況(令和元年度) |
大学 | 46,262人 | 77,594人 |
大学院 | 4,637人 | 6,367人 |
※出典:「令和3年度大学等におけるインターンシップ実施状況について」(文部科学省)
調査年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けており、対面でのインターンシップを控え、オンラインに切り替えた企業も少なくありませんでした。
インターンシップへの参加を希望する学生も多い傾向にあります。あさがくナビの「2024年卒学生の就職意識調査(インターンシップ) 2022年6月版」では、97.4%の学生が夏のインターンシップへの参加を希望していることが分かっています。
新たなインターンシップは、学生のキャリア形成支援に係る取り組みが1〜4タイプに類型化されました。
ただし、タイプ1〜4はあくまでもキャリア形成支援の取組みであり、採用活動ではない点に注意が必要です。
タイプ | 名称 | 目的 |
タイプ1 | オープン・カンパニー | 就業体験を必須とせず「個社・業界の情報提供等」や「教育」が目的 |
タイプ2 | キャリア教育 | |
タイプ3 | 汎用的能力・専門活用型インターンシップ | 就業体験が必須で「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」が目的 |
タイプ4 | 高度専門型インターンシップ(試行) |
インターンシップと称せるのは、就業体験が必須のタイプ3とタイプ4に限られます。
「タイプ1」と「タイプ2」には就業体験を実施せず、企業・業界の情報提供や教育が目的なので、インターンシップとは称しません。
「タイプ3」と「タイプ4」は、自身の能力の見極めや評価材料の取得を目的とした就業体験が必須です。「タイプ3」または「タイプ4」に参加する学生数は、入社就職先でのインターンシップ参加経験がなくても、採用選考へのエントリーが可能です。名称 | オープン・カンパニー |
目的 | 就業体験を必須とせず「個社・業界の情報提供等」や「教育」が目的 |
対象 | すべての大学生・大学院生 |
実施期間 | 1日 |
実施時期 | 全期間 |
就業体験 | なし |
採用との連携 | できない |
「タイプ1」はオープンカンパニーと称されており、従来の会社説明会に該当します。オープンカンパニーには1日間で実施され、就業体験は含まれていません。
名称 | キャリア教育 |
目的 | 就業体験を必須とせず「個社・業界の情報提供等」や「教育」が目的 |
対象 | おもに定年時の学部生 |
実施期間 | プログラムによって異なる |
実施時期 | 全期間 |
就業体験 | 任意 |
採用との連携 | できない |
「タイプ2」はキャリア教育と称されており、企業がCSRとして実施するプログラムや大学による授業・産学協働プログラムが想定されています。就業体験は任意なので、プログラムに含めることも可能です。実施期間は、プログラムによって異なります。
名称 | 汎用的能力・専門活用型インターンシップ |
目的 | 就業体験が必須で「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」が目的 |
対象 | 学部3・4年次または修士1・2年次 |
実施期間 |
|
実施時期 | 長期休暇期間 |
就業体験 | 必須 |
採用との連携 | 採用活動開始以降ならOK |
「タイプ3」は汎用的能力インターンシップ、または専門活用型インターンシップと称されます。実施期間は汎用的能力型が5日以上、専門活用型が2週間以上です。「タイプ3」からは、就業体験が必須です。
名称 | 高度専門型インターンシップ(試行) |
目的 | 就業体験が必須で「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」が目的 |
対象 | 大学院生 |
実施期間 | 2カ月以上 |
実施時期 | 今後検討予定 |
就業体験 | 必須 |
採用との連携 | 採用活動開始以降ならOK |
「タイプ4」は、高度専門型インターンシップと称されます。現時点では、ジョブ型研究インターンシップのみが運用対象です。実施対象は大学院生で、2カ月以上の期間をかけて実施されます。
なお、改正後のインターンシップに関する詳細は、「インターンシップで取得した学生情報の活用要件を明確化」で紹介しているのでご確認ください。
あさがくナビの「2024年卒学生の就職意識調査(ミスマッチ))2023年3月版」では、76.6%の学生が就職においてミスマッチに「とても不安がある」「やや不安がある」と回答したことが分かっています。
インターンシップで多くの学生を集められれば、自社の認知度が高まるため、これまでは広報活動の一環として実施されてきました。インターンシップを未導入の企業が導入すると、自社の認知度を高められます。
あさがくナビの「2024年卒学生の就職意識調査(インターンシップの満足度)2022年9月版」では、インターンシップに参加した学生の78.1~91.8%が「満足」または「やや満足」と回答していることが分かっています。
インターンシップを実施する目的として、企業への関心を高めてもらう、志望先の候補にしてもらうことも含まれます。
あさがくナビの「2024年卒学生の就職意識調査(ミスマッチ)2023年3月版」では、ミスマッチを防ぐために仕事内容や会社の雰囲気を重視したい学生が多いことも分かっています。
自社のプログラムに興味を持ってもらい、満足度を高めるには、学生のニーズを反映した内容を取り入れることが大切です。プログラムを企画する際には企業側ではなく、学生側の視点で検討するようにしましょう。
あさがくナビの「2024年卒学生の就職意識調査(インターンシップの満足度)2022年9月版」では、社員またはその他社会人と交流が持てたことに満足だと回答した学生が24.4~37.6%だったことが分かっています。
学生の満足度を高めるためにも、インターンシップを通じて既存の従業員と交流できる機会を設けましょう。業務内容や会社の雰囲気などに対し、不安を抱きながら参加する学生も少なくありません。
学生に企業の労働環境を把握してもらうには、就業体験するだけでなく、実際に働く従業員の声を聞くことも大切です。従業員とコミュニケーションを取ることで、学生が抱いている不安や疑問の解消につながります。
インターンシップに参加しても、実際に応募するかは学生次第です。応募につなげるには、インターンシップを通じて高まった企業への関心度や志望度を維持する必要があります。
応募までに関心度や志望度を下げないために、インターンシップ後も定期的に参加者と接触する機会を設け、フォローアップするようにしましょう。フォローアップの具体的な施策は、次のとおりです。
学生が参加しやすいように従業員とのカジュアルな食事会を開催すると、業務内容や企業の雰囲気などへの理解をより深められるでしょう。