2026.10.14

自衛官の厳しさと意義を正面から伝える広報展開で、志願者増加

自衛官の厳しさと意義を正面から伝える広報展開で、志願者増加
防衛省陸上幕僚監部

防衛省陸上幕僚監部

  • 業  種

    官公庁・自治体・学校

  • 事業規模

    1001人~

心理的ハードルを下げる訴求から、自衛官の厳しさと働く意義を前面に出す方針に切り替え、約100名の入隊を実現した

  • 課題・ニーズ

    少子化や危険なイメージなどで就職先としての認知獲得に苦戦し、目標未達が続いていた。自衛隊の価値を正しく伝え、民間で就業経験のある若手人材を新たなターゲットとして開拓したい

  • 活用したサービス

    Re就活、JobTube、転職博

  • 効果

    民間で培った技術や資格を持つ若手からの応募を獲得
    自衛隊の意義を正しく伝えたことでマッチング精度が向上し、確実な入隊実績を創出

採用成果​

  • 応募436名
  • 入隊100名

当初抱えていた課題・ニーズについて

陸上幕僚監部の人事教育部募集援護課は、日本各地に展開する自衛隊地方協力本部への指導や統括を行う組織です。陸上・海上・航空自衛官の採用を統括しており、年間の目標設定から広報戦略の構築、運用の監督に至るまで、採用の全工程を一貫して担っています。

 

自衛官の募集で大きなハードルとなっていたのは、自衛隊の存在自体は広く知られているものの、自身の就職先としては選択肢に入りにくい状況でした。災害派遣などの報道を通じて活動そのものは認知されている一方で、「自分たちとは違う特別な人たちの世界」というイメージが先行してしまい、現実的な就職先として意識してもらうためのアプローチに頭を悩ませていました。

 

かつては計画通りに人員を確保できていた時期もありましたが、少子化の進行や社会情勢の変化に伴い、近年は採用目標に届かない年度が続いていました。採用市場の環境が大きく変化するなかで、将来を見据えた安定的な組織体制を維持するためにも、募集を抜本的に強化することが重要な課題となっていました。

 

こうした状況に対応するため、採用年齢の上限を引き上げて間口を広げつつ、広報戦略の転換を図ることにし、これまでの新卒主体の募集から、社会人経験を有する若手・第二新卒や、民間で培ったスキルや経験を持つ人材へのアプローチを拡大する方針としました。省全体で課題認識を共有しながら、ターゲット層へ戦略的な発信を行うため、民間の採用媒体で本格的な運用を開始しました。

 

キャリア(経験者)採用を加速させるために選定したのが、Re就活です。利用者の年齢層やキャリア観が、自衛隊の求める人材像と高い親和性を持っており、採用方針を具現化できるプラットフォームであると判断して重点活用を決めました。

課題の解決に向けた取り組み

①掲載職種の拡大により、民間で培った専門性を持つ人材を獲得

キャリア(経験者)採用の強化に向けて採用広報のチャネルを拡充し、Re就活への掲載職種を従来の2~3種目から7種目へと増やしました。特に注力したのは、社会人としての実務経験を有する層を対象とした「技術曹」や「キャリア採用幹部」の募集です。

 

自衛隊には、未経験者の育成に留まらず、民間の第一線で身につけた高度な技術や国家資格を持つ人材を、即戦力として評価・採用する制度があります。具体的には、情報通信や車両整備、医療・衛生といった分野で培ったスキルを、自衛隊の現場で発揮してもらう仕組みです。

 

当初はどの程度の反響が得られるか未知数でしたが、実際にRe就活を通じて発信を開始したところ、システム通信や機械工学、医療従事者といった専門スキルを持つ若手・第二新卒から、予想をはるかに上回る反響がありました。

 

面接を通じて志望動機を確認したところ、もともと自衛隊に関心を持ちつつも一度は民間に就職した方が多く、「培った専門スキルを生かして国や社会に貢献したい」という思いを抱いて志願してくれたことが分かりました。

 

また、国家公務員ならではの福利厚生や安定した就業環境に魅力を感じ、「同じスキルを活かすなら基盤の整った環境で長く働きたい」という理由から、自衛隊を志望する人材が集まっています。

 

全国の地方協力本部による従来の広報だけでは接点を持ちにくかった専門人材へ広くリーチできたことで、将来を見据えた体制強化に着実につながっていると実感しています。

②仕事の厳しさと意義を発信し、入隊意欲の高い人材からの応募を獲得

従来の募集活動では、志願者数の確保を重視するあまり、心理的な壁を取り払おうと仕事の負担の少なさを強調しすぎる傾向がありました。しかし、そうした手法では自衛官という職務の本質的な重責が正確に伝わらず、入隊後のミスマッチにもつながりかねないと考えました。

 

この課題を根本から解消するため、広報戦略の抜本的な刷新を決断しました。学情の営業担当とも議論を重ね、任務の厳しさを包み隠さず提示する方針へ舵を切りました。任務の厳しさはありのままに伝えたうえで、国防や災害派遣という重要な任務を担うからこそ、手厚い福利厚生や長く安心して勤務できる環境が整えられている背景を、正面から発信する原稿へと変更しています。

 

ビジュアル面も、親しみやすさを狙った私服姿の写真から、規律正しく職務に取り組む姿や、強固な結束力が伝わる現場写真へ切り替えました。そこへ自然な表情のカットを織り交ぜることで、組織の真摯な姿勢と等身大の空気が的確に伝わるよう配慮しています。

 

加えて、転職博といった対面イベントでも、媒体の掲載コンセプトを全国の地方協力本部へ周知し、統一感のある情報提供を徹底しました。組織全体で一貫した価値観を発信し続けた結果、自衛官として働く意義に共感した、入隊意欲の高い若手・第二新卒からの志願が増えています。

③第三者目線の動画を活用し、自衛隊のリアルな働き方を発信

採用広報の戦略を構築する過程で、組織内部からの発信のみでは、職業としての魅力を伝える際の説得力に限界があるのではないかと危惧していました。第三者の客観的な視点から自衛官の特長や意義を伝えたいと考えていた際、学情の営業担当より提案を受けたのが、YouTubeを活用した採用動画コンテンツである「JobTube企業研究編」でした。

 

出演者が率直な疑問を投げかけるという企画の構成が、当組織が理想とする情報発信のあり方と合致すると確信し、導入を決めました。制作にあたっては、出演者と綿密な打ち合わせを重ね、世間が抱く自衛隊への先入観や疑問を、忖度なくぶつけてほしいと依頼しました。

 

具体的には、規律の厳しさや任務の特殊性といった本質的な問いに対し、組織として真摯に回答する構成を採用しました。任務の意義とともに手厚い福利厚生の実態を解説することで、単なるメリットの強調に留まらない訴求を実現しました。

 

第三者の視点を取り入れることで、任務の厳しさと、それを支える福利厚生や勤務環境の関係を分かりやすく伝えることができ、志願を検討する若手層へ深くリーチできたと考えています。

学情の営業担当・サービスに対する評価について

①営業担当に対する評価

学情の営業担当は、当組織の採用活動を支える頼もしいパートナーであると高く評価しています。課題や要望を伝えた際、ただ同調するのではなく、「それよりもこちらの見せ方の方が効果的ではないでしょうか」と、常に客観的で建設的な提案をもらえる点に助けられています。

 

JobTubeを活用した動画企画の導入を決断したのも、そうした本質的な課題に寄り添う姿勢があったからこそです。将来を見据えた人材確保に向けた具体的な施策を提示してもらえるため、日常の細かな相談から戦略的な検討まで、円滑に話し合いを進められています。

②サービスに対する評価

自衛隊では処遇の改善、各種制度の改定が定期的に発生するため、その都度スピーディーに情報を更新していく必要があります。Re就活の運用は、原稿の修正依頼へ迅速に対応してもらえるだけでなく、細かな見せ方の変更にも的確な助言をもらえるため非常に助かっています。日常的な運用での困りごとも気軽に相談できる環境が整っている点も、安心して継続利用できている理由の一つです。

 

掲載種目の拡充や原稿・動画を通じた実態の発信、さらに対面イベントとの連携といった取り組みを重ねた結果、従来の広報活動では接点を持つことが難しかった専門人材や社会人経験者から数多くの志願・応募が寄せられ、着実な入隊実績へと結びついています。

今後の展望

将来を見据えた安定的な組織づくりのためには、必要な人員の確保はもちろんのこと、自衛官として長くやりがいを持って勤務し、自衛隊を選んでよかったと実感してもらえる採用を進めていくことが大切です。

 

少子化の加速もあり新卒採用の募集基盤が縮小する中で、今後の採用市場では社会人経験を持つ若手や第二新卒へのアプローチがより一層重要になります。ターゲット層へ的確に働きかけ、将来を見据えた人材確保を進めるうえでも、採用方針との親和性が高いRe就活や転職博のようなチャネルを有効に活用していきたいと考えています。防衛省全体でこうした方向性をしっかりと共有しながら、これからの時代に即した採用活動を一丸となって推進していきます。

※記事内容は取材当時のものです(2026年8月)

防衛省陸上幕僚監部
  • 会社名

    防衛省陸上幕僚監部

  • 事業内容

    国の防衛・災害派遣・国際平和協力

  • 所在地

    東京都新宿区市谷本村町5番1号

  • HP

    https://www.mod.go.jp/