ニューノーマルとは?企業がニューノーマル時代に適応するための取り組み方を解説
2023.11.21
近年、新型コロナウイルスの流行をはじめとしたさまざまな社会情勢の変化が生じています。企業としても、変化する時代に合わせた「ニューノーマル」に適応していくことが重要視されるようになってきました。
本記事では、ニューノーマルとは何か、ビジネスにおいてどのようにニューノーマルに適応していくことができるのかについて解説します。また、ニューノーマルに適した人材の育成方法についても紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
ニューノーマルとは?
ニューノーマルとは、「New(新しいこと)」と「Nomal(標準、正常、常態)」を組み合わせた言葉で「新しい常態や生活様式」を意味します。
社会情勢の変化やテクノロジーの発展、非常事態が起きたあとの変化に対応するなかで、新たに確立された社会・経済の慣習、価値観、ビジネスモデルなどの常態や生活様式を指します。
近年のニューノーマルのきっかけとなったおもな出来事は、次のとおりです。
- インターネットやスマートフォンの普及(2000年代初頭)
- リーマンショック(2008年)
- 東日本大震災(2011年)
- 新型コロナウイルス感染症の拡大(2020年)
インターネットの普及に伴い、ITを活用したビジネスモデルが急速に広がったり、リーマンショック後にはCSRやコンプライアンスなど企業責任が重視されるようになったりしています。また、東日本大震災がきっかけとなって、BCP対策の強化を図る企業も増えてきました。このようにして生まれた新たな常態が「ニューノーマル」として捉えられています。
新型コロナウイルスの流行以降、特にニューノーマルという言葉は広く知られるようになったと言えるでしょう。特に「今」のニューノーマルの話をする場合は「Withコロナ・Afterコロナの時代に求められる生活様式」を指すことが多いです。
コロナ禍がもたらしたニューノーマルについては、次の章で詳しく見ていきましょう。
コロナ禍がもたらしたニューノーマルの変化
新型コロナウイルスの流行によって、日常生活やビジネスでもニューノーマルへの適応が求められるようになってきました。
日常生活におけるニューノーマル
未知なる感染症に対応するために、日常生活はニューノーマルな生活様式へと大きく変化してきました。
たとえば、マスクの着用についても風邪が流行る時期や花粉症の季節だけに限らず、通年着用するものとなってきました。国が推奨している感染症対策も徐々に緩和しているものの、外出時や会話時にはマスクの着用が定着し始めています。人との接触に配慮するソーシャルディスタンスも、感染対策のために生まれたニューノーマルと言えるでしょう。
また、自宅での非対面でも可能な通話やビデオ電話などのコミュニケーションツールが急速に普及しました。不要不急の外出を避けるため、買い物はECサイトで行う人が増えたり、デリバリーサービスを利用する人が増えたりと、ニューノーマルな生活様式へと変化しました。
ビジネスにおけるニューノーマル
人々の生活様式を変容させた新型コロナウイルスは、ビジネスシーンにも影響を及ぼしました。
たとえば、多くの企業が「テレワークの普及」や「業務のオンライン化」といった働き方を取り入れ、ニューノーマルに適応してきました。オフィスに出社しなくても、オンライン会議システムやチャットツール、クラウドサービスなどを利用することでオフィスと同じような業務環境で働くことができます。ペーパーレス化や非対面での営業活動を推進する企業も増えてきました。
また、社会やビジネスの状況が急速に変わるなか、ニューノーマルにうまく対応するためには、社内のDX化が求められます。変化する社会環境と市場のニーズに応えて企業を成長させるためには、ITシステムの整備やWebアプリ、AIの利用が必要です。
さらに、ビジネスシーンでは健康経営やウェルビーイングに対する関心も高まっています。企業がビジネスにおいてニューノーマルに適用していくためには、時代に合わせた健康課題に取り組み、従業員の健康増進を促すことも大切です。
ニューノーマルに適応することの重要性
ニューノーマルな時代に合わせて、企業も日々変革していくことが求められています。近年のニューノーマルの変遷を見てもわかるとおり、時代の変化に対応していかなければ取り残され、企業の存続にも関わることになります。
変化前の日常には戻らないということを意識し、いかにニューノーマルに適応していくかが、企業として成長し続けるための大きなカギとなるでしょう。
そして、ニューノーマルな時代におけるビジネスの成功は、適応力、イノベーション、柔軟性、持続可能性への焦点を置いた戦略にかかっていると言えます。企業はニューノーマルな変化を今受け入れるとともに、新しいビジネス環境で競争力を強化させるために、将来を見据えたスキルと戦略を採用することが大切です。
企業がニューノーマルに適応するための取り組み
企業としてニューノーマルに適応していくためにはどうすればよいのでしょうか。いくつかの具体的な取り組みを紹介していきます。
多様な働き方の推進
新型コロナウイルスの流行により、出社を基本とした働き方から、在宅勤務によるテレワークに変容してきました。コロナ情勢が落ち着き、原則出社へ回帰する企業も出てきているものの、ハイブリットワークやABW(Activity Based Working)などの形でテレワークを継続する企業も多く見受けられます。
また、「働き方改革」の観点からテレワークを希望する従業員も多く、企業選びの基準としてもテレワークを実施しているかを重視する求職者が増えているようです。
2022年に2024年卒の学生を対象に実施されたあさがくナビのアンケートによると、就職活動において「出社かテレワークかの勤務スタイルを意識する」と答えた学生が6割を超えていました。「働き方の選択肢が多い企業は魅力を感じる」という意見もあり、求職者もニューノーマルな働き方を求める時代になっていることがわかります。
出典元:「2024年卒学生の就職意識調査(勤務スタイル(出社かテレワークか)2022年8月版」(あさがくナビ)
(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/220830)
企業にとってテレワークをはじめ、従業員のニーズにあった多様な働き方を提供することは、ニューノーマルに適応していくための重要なポイントと言えるでしょう。
つ人材を他社より早く採用できる確率が高まります。
DX化の推進
多くの企業からは新型コロナウイルスの流行がきっかけとなり、DXへの注目度も高まってきました。
ニューノーマルに適応した多様な働き方の導入を目指す企業にとって、ビジネス向けチャットツールの導入やWeb会議システム、またオンライン商談などへの対応は重要度が高いと言えます。ペーパーレス化やクラウドストレージの利用といった、身近なところからデジタル化を図る企業も増えてきました。さらにDX化を進めるためには、業務の効率化を実現するITシステムの構築、Webアプリケーション・AIの活用なども必要とされています。
社会やビジネス環境が激しく変化する時代のなかで、ニューノーマルに適応しつつ、企業としての競争力も高めていくために、DX化の推進は欠かせない要素と言えるでしょう。
BCPの策定
BCP(Business Continuity Plan)とは緊急事態に備えた事業継続計画のことです。新型コロナウイルスの流行に限らず、自然災害やテロ、システム障害などの緊急事態の発生後であっても、事業の継続や復旧を目指すことがBCPの役割とされています。
あらゆるリスクを想定し、緊急事態が起きても事業を継続するためのBCPを策定しておくことは、企業の存続のために欠かせません。日々変化する現状を正確に把握し、事業継続性の高い戦略に結び付けていくことは、企業がニューノーマルに適応していく際にも役立つでしょう。
さらに、行動指針のはっきりした具体的なBCPの策定が実現できれば、緊急時の迅速な対応が可能となり顧客の信頼を維持できます。結果的に企業価値の向上や、社会の信頼を得ることにもつながるでしょう。
健康経営の推進
ニューノーマルな時代においては、従業員の心と体の健康を守ることも、企業の経営を維持するために重要となります。
コロナ禍で普及したリモートワークにより、運動不足やメンタルの不調といった心身への影響も課題となっています。従業員が心身の健康を保ち、意欲をもって業務に取り組めるよう、健康課題に向き合うことは企業にとって重要な責務と言えるでしょう。
経済産業省が推進している「健康経営優良法人認定制度」は、健康経営の普及促進を目指した取り組みの一つです。健康経営に取り組む優良な企業が社会的に評価される環境を整えることを目標としています。企業にとって健康経営を促進することは、従業員と経営を守るだけでなく、社会的な信頼にもつながるもの、社内外に影響を与えるものであることがわかります。
出典元:健康経営優良法人認定制度(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html)
人事制度・評価システムの見直し
企業がニューノーマルな働き方を進めていくためには、人事制度や評価システムの見直しも必要となってきます。
テレワークという勤務スタイルは、オフィスワークに比べて勤務態度や業務のプロセスが見えにくいので、評価が難しいという側面があります。そのため、テレワークに適した新たな人事評価の制度を検討する必要もでてくるでしょう。
たとえば、業務の成果や上司の評価だけでなく、同僚や部下の意見も取り入れて多面的に評価する360度評価や、評価項目を明確に設定し個人やチームで目標管理をするMBO(Management by Objectives)などの導入を検討できます。
テレワークに最適な人事評価制度を構築し、従業員にもあらかじめ共有しておくことは、適正な評価が可能となるだけでなく、従業員のモチベーションの向上にもつながります。結果的に、従業員のニューノーマルな働き方を促進することになるでしょう。
ニューノーマル時代に適した人材の育成も重要
従業員に求められるスキルは、ニューノーマルな働き方や業務環境への変化に伴って変動します。企業においては、セルフマネジメントスキルやコミュニケーションスキル、ITスキルなどをもった、ニューノーマル時代に力を発揮できる人材の育成が重要な課題だと言えます。
ニューノーマル時代に求められるスキル
ニューノーマル時代に求められるスキルとして、次のようなものがあげられます。
- セルフマネジメントスキル:テレワーク環境でも集中力やモチベーションを高め業務にあたるなど自己管理スキル。
- コミュニケーションスキル:文章やオンライン通話などでも的確かつ円滑にコミュニケーションが取れるスキル。
- ITスキル:Webアプリケーションやオンラインツールなどを使いこなせるITリテラシー。
- セキュリティスキル:オンラインやテレワークのセキュリティリスクを理解し、正しく対応できるスキル。
上記のようなスキルをもった人材の育成が実現すれば、ニューノーマルな変化に伴う企業としてのさまざまな課題にも柔軟に対応していくことができるでしょう。
ニューノーマル時代に適した人材の育成方法
企業がニューノーマル時代に沿った人材を育成するためには、具体的な方法についての検討が必要です。おもな方法としては、従業員の育成と新たな人材採用の2つです。
自社で人材を育成する場合、研修のオンライン化や個人のキャリアデザインに合わせた多様な研修内容の実施を検討できます。また、「タテ社会」で育成するのではなく、組織内外問わず「ヨコの学び合い」を強化することによって、個々に刺激や気づきの多い環境を整えることもできるでしょう。
人材を新たに採用する場合は、ニューノーマルに適応できるポテンシャルを持っているかを採用基準の一つにすることも検討してみましょう。よりスムーズに育成することが可能です。
新たに人材を採用する際には、転職エージェントを活用するのも手段の一つです。求めるポテンシャルやスキルを持った人材を、より効率的に獲得できます。
20代専門転職エージェントであるRe就活エージェントは、幅広い人材の中から最適な採用ターゲットをご提案いたします。ニューノーマルに適応できる柔軟性をもった人材のご紹介だけでなく、効果的なアプローチもサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
ニューノーマルに適応して変化の時代を生き残ろう
ニューノーマルとは、社会情勢の変化や非常事態などの時代の変化に合わせて生まれる新しい常態や生活様式のことです。
新型コロナウイルスの流行により、ニューノーマルという言葉が広く浸透し、日常生活だけでなくビジネスにも大きな変化をもたらしました。時代の変化に取り残されることなく企業として成長し続けるためには、柔軟性をもってニューノーマルに適応していく必要があります。その適応力こそが、経営の維持・存続はもちろん、ビジネスの成功につながるカギとも言えるでしょう。
ニューノーマルに適応するためには、多様な働き方の採用やDX化、健康経営などの促進があります。またBCPの策定や人事制度・評価の見直し、ニューノーマルに適応できる人材の育成も重要です。
企業としてさまざまな新たな分野に取り組み、ニューノーマル時代を生き残るだけでなく、さらなる企業の躍進につなげていきましょう。
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