

「新卒採用の面接で、学生のポテンシャルをどう引き出せばいいのか」「ありきたりな質問ばかりで、候補者の本音が見えない」とお悩みの採用担当者様も多いのではないでしょうか。
新卒採用面接の成否は、質問の意図を深く理解し、体系的に面接を設計できるかにかかっています。
本記事では、面接で頻出する質問リストから、候補者の本質を見抜く進行マニュアル、業界・職種別の質問集、面接官が陥りがちな失敗と対策まで、網羅的に解説します。
この記事を最後までお読みいただくことで、自社のカルチャーにマッチし、将来的に活躍できる優秀な人材を見抜くための具体的なノウハウを習得できるでしょう。
さっそく明日からの面接の質を一段階引き上げるために、本記事をご活用ください。
新卒採用面接の質問例一覧とその意図
早速、新卒採用面接における具体的な質問例を、その質問が持つ「意図」とともに詳しく解説します。
候補者の回答から何を読み取り、どのように評価に繋げるべきかを理解することが、人材を見抜く上で重要です。アイスブレイクから逆質問まで、各フェーズで適切な問いかけができるよう、一つひとつの質問の背景にある目的を深く掘り下げていきましょう。
アイスブレイク・導入質問(7問)
アイスブレイクは、面接の導入段階において学生の緊張を和らげ、リラックスした状態で本来の姿を引き出すために重要な役割を果たします。
面接官から自己紹介を行うなど、話しやすい雰囲気を作ることで、その後の対話がスムーズになります。「本日はどうやってここまで来ましたか?」といった簡単な質問から始め、候補者の表情や反応を見ながら、徐々に本題へ移るための準備を整えましょう。
質問例
- 本日は、当社まで迷わずに来られましたか?
- 昨日はよく眠れましたか?
- 最近、何か気になっているニュースはありますか?
- 最近、ハマっていることはありますか?
- 週末はどのように過ごされましたか?
- 〇〇が趣味なんですか?(履歴書を基に)
- 大学ではどのようなことを学んでいますか?(専攻について簡単に)
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 候補者の緊張を緩和し、自然なコミュニケーションのきっかけを作る。
- 評価ポイント: 社会的な事象への関心度や、場の空気を読んで受け答えができるかといった基本的なコミュニケーション能力を確認します。
学生時代の経験・成果(8問)
学生時代の経験は、候補者の行動特性や思考のプロセス、潜在能力を知るための宝庫です。
学業やサークル、アルバイトなど、具体的なエピソードを深掘りすることで、その学生が持つ主体性や課題解決能力、成長意欲などを具体的に評価できます。成功体験だけでなく、困難をどう乗り越えたかという経験談は、特に注目すべきポイントです。
質問例
- 学生時代に最も力を入れて取り組んだことは何ですか?(いわゆる「ガクチカ」)
- なぜその活動に取り組もうと思ったのですか?
- その取り組みの中で、最も困難だったことは何ですか?また、それをどのように乗り越えましたか?
- その活動の目標はどのように設定しましたか?
- 目標を達成するために、ご自身で工夫した点があれば教えてください。
- その経験における、あなた自身の最大の成功体験は何でしたか?
- 逆に、最も大きな失敗や反省点は何ですか?
- その経験を通じて何を学び、どのような成長がありましたか?
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 過去の行動から、再現性のある能力(主体性、課題解決力、目標達成意欲など)を把握する。
- 評価ポイント: 取り組みの動機、課題に対する分析力、具体的な行動、そして経験から得た学びや再現性を論理的に説明できるかを評価します。
チーム活動・コミュニケーション(8問)
多くの仕事はチームで行われるため、組織内での協調性や対人関係能力は極めて重要な評価項目です。
チームの中でどのような役割を担い、どのように貢献してきたかを聞くことで、入社後の働き方をイメージできます。意見が対立した際の調整能力や、周囲を巻き込んで目標を達成した経験などを通して、候補者のコミュニケーションスタイルを見極めましょう。
質問例
- チームで何かに取り組んだ経験について教えてください。その中であなたはどのような役割を担いましたか?
- チームの目標達成のために、あなたが貢献したことは何ですか?
- チーム内で意見が対立した際、どのように対応しましたか?
- チームのモチベーションを高めるために工夫したことはありますか?
- あなたとは異なるタイプのメンバーと、どのように協力しましたか?
- リーダーとフォロワー、どちらの役割が得意ですか?その理由も教えてください。
- あなたの周りからは、どのような人だと言われることが多いですか?
- 年上(もしくは年下)のメンバーと協力して何かを成し遂げた経験はありますか?
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 協調性、リーダーシップ、フォロワーシップ、対人調整能力など、組織で働く上で不可欠なスキルを確認する。
- 評価ポイント: チーム内での自身の役割認識、目標達成への貢献意識、多様な意見を持つ他者との関わり方を評価します。
志望動機・企業選びのポイント(8問)
志望動機に関する質問は、候補者の入社意欲の高さや、企業文化への理解度を測る上で最も直接的な問いです。
「なぜ同業他社ではなく当社なのか」を明確に語れる候補者は、企業研究を深く行っている証拠です。候補者が企業選びで何を重視しているのかを理解することで、自社が提供できる価値との間にミスマッチがないかを確認できます。
質問例
- 当社のどのような点に興味を持ちましたか?
- なぜこの業界を志望しているのですか?
- 同業他社も多くある中で、なぜ当社を選んだのですか?
- 企業選びにおいて、最も重視しているポイントは何ですか?
- 当社の企業理念について、共感できる部分があれば教えてください。
- 当社の事業内容について、どのような印象をお持ちですか?
- 当社のサービスや商品について、改善できる点があれば教えてください。
- 入社したら、当社のどのような点に貢献できると思いますか?
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 入社意欲の高さ、企業理解度、自社とのマッチ度を測る。
- 評価ポイント: 企業理念や事業内容への深い理解に基づいているか、自身のキャリアプランと企業の方向性が一致しているか、熱意が感じられるかを評価します。
自己PR・強み・弱み(8問)
自己PRや長所・短所に関する質問は、候補者が自身を客観的にどう捉えているか、自己分析能力を評価する機会です。
強みが企業の求める人物像と合致しているかはもちろんのこと、弱みをどのように認識し、それを克服するためにどのような努力をしているかという点に、候補者の誠実さや成長意欲が現れます。
質問例
- あなたの強み(長所)を教えてください。
- これまでの経験で、あなたの強みが発揮されたエピソードを教えてください。
- その強みを当社でどのように活かせるとお考えですか?
- あなたの弱み(短所)は何ですか?
- その弱みを克服するために何か取り組んでいることはありますか?
- あなたの弱みは、チームで働く上でどのような影響があると思いますか?
- これまでの人生で、最も「自分らしい」と感じたエピソードを教えてください。
- 自分を〇〇に例えると何ですか?その理由も教えてください。
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 自己認識力、客観性、課題克服への姿勢、そして強みが自社で活かせるものかを確認する。
- 評価ポイント: 強みと弱みを具体的に言語化できているか、弱みに対して改善意欲があるか、企業の求めるスキルや人物像と合致しているかを評価します。
仕事観・価値観・将来像(8問)
候補者が仕事に対してどのような価値観を持ち、将来的にどうなりたいと考えているかを知ることは、長期的な活躍を期待する上で欠かせません。
入社後のキャリアプランや目標が明確であるほど、学習意欲や成長への期待が高まります。企業のビジョンと個人のキャリア観が一致しているかを見極めることで、入社後の定着率向上にも繋がります。
質問例
- あなたにとって「働く」とはどういうことですか?
- 仕事で成果を出すために、最も重要だと思うことは何ですか?
- どのような人と一緒に働きたいですか?
- どのような社会人になりたいですか?
- 入社後、どのような仕事に挑戦してみたいですか?
- 仕事を通じて成し遂げたいことは何ですか?
- 5年後、10年後、どのようなキャリアを歩んでいたいですか?
- 尊敬する人物はいますか?それはどのような点ですか?
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 仕事に対する価値観、キャリア志向、成長意欲、そして自社での長期的な活躍可能性を把握する。
- 評価ポイント: キャリアプランの具体性、企業の方向性との整合性、仕事への真摯な姿勢を評価します。
ストレス耐性(6問)
ストレス耐性に関する質問は、候補者がプレッシャーのかかる状況でどのように対処するかを知るために有効です。
ただし、この種の質問は「ストレスの多い会社だ」という印象を与えかねないため、聞き方には注意が必要です。ポジティブな文脈で、課題解決の一環としてストレスへの向き合い方を確認する姿勢が大切です。
質問例
- プレッシャーを感じる状況はどのような時ですか?また、それをどのように乗り越えますか?
- これまでで最もストレスを感じた経験と、その対処法を教えてください。
- 意見の合わない人と、どのように仕事を進めていきますか?
- 理不尽だと感じることに対して、どのように向き合いますか?
- 忙しい時期が続く時、どのように体調やモチベーションを管理しますか?
- 気分転換やリフレッシュのために、日頃から行っていることはありますか?
質問の意図・評価ポイント
- 意図: ストレス環境下での自己管理能力や、精神的な強さを確認する。
- 評価ポイント: 自身のストレス源を客観的に認識しているか、ストレスに対して建設的な対処法を持っているかを評価します。感情的にならず、冷静に状況を説明できるかもポイントです。
時事問題・一般常識(6問)
時事問題や一般常識に関する質問は、候補者が社会人として最低限の知識や情報感度を持っているかを確認するものです。
専門的な知識を問うのではなく、社会の動向にどれだけ関心を持ち、自分なりの考えを持っているかを見るのが目的です。自社の業界に関連するニュースについて意見を求めるのも良いでしょう。
質問例
- 最近、関心を持ったニュースは何ですか?それについてどう思いますか?
- (特定のニュースを挙げて)この問題が、私たちの生活にどのような影響を与えると思いますか?
- 当社の業界を取り巻く社会の変化について、どうお考えですか?
- あなたが注目しているテクノロジーやビジネスモデルはありますか?
- 新聞やニュースは、どのような媒体でチェックしていますか?
- (自社に関連する)〇〇という技術やトレンドについて、ご存知ですか?
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 社会への関心度、情報収集能力、物事を多角的に捉える視点を確認する。
- 評価ポイント: 事実を知っているだけでなく、それに対して自分なりの意見や考えを持っているかを評価します。論理的な思考力や視野の広さも判断材料になります。
逆質問
面接の最後に設けられる「何か質問はありますか?」という逆質問の時間は、候補者の志望度の高さや企業理解度を測る絶好の機会です。
企業研究をしっかり行っていれば、具体的で鋭い質問が出てくるはずです。質問の内容から、候補者が企業の何に興味を持ち、入社後の働き方をどれだけ真剣に考えているかを読み取ることができます。
声かけの例
- 以上で私からの質問は終わりです。何か聞いておきたいことはありますか?
- 最後に、当社のことで確認しておきたい点や、疑問に思っていることがあれば遠慮なく質問してください。
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 候補者の入社意欲、企業理解度、疑問を解消し入社後のミスマッチを防ぐ。
- 評価ポイント: 質問の具体性や視点の鋭さから、企業研究の深さや働くことへの真剣度を評価します。待遇面だけでなく、事業内容や組織文化、入社後の成長に関する質問は高評価に繋がります。「特にありません」という回答は、意欲が低いと判断される可能性があります。
業界別・職種別の適性を測る質問集
ここまでは、すべての業界・職種に共通する汎用的な質問を紹介しました。
しかし、より高い精度で自社にマッチする人材を見抜くためには、職種別の適性を測る質問が不可欠です。この章では、エンジニア、営業、クリエイティブ、そしてスタートアップという4つのカテゴリーに分け、それぞれの職務で求められる特有のスキルや思考力を見極めるための質問例を解説します。
エンジニア向け(7問)
エンジニア採用では、現時点での技術スキル以上に、論理的思考力や学習意欲、未知の課題に対する問題解決能力が重要視されます。
技術的な知識がまだ浅い新卒候補者に対しては、コーディングテストなどと並行し、思考のプロセスや自走力を確認する質問を通じて、将来のポテンシャルを評価することが求められます。
質問例
- 大学の授業や研究で、複雑な課題を解決した経験はありますか?どのような手順で解決に至りましたか?
- 新しいプログラミング言語や技術を学ぶ際、あなたはどのような方法で習得しますか?
- あなたがこれまで作成した制作物(ポートフォリオ)について、一番工夫した点や苦労した点を教えてください。
- もし、あなたが今使っている〇〇(アプリやサービス)を改善するとしたら、どこをどう変えますか?
- 技術的な壁にぶつかった時、どのように情報を収集し、解決を図りますか?
- あなたの好きな(またはよく使う)Webサービスやアプリはありますか?その技術的な魅力は何だと思いますか?
- チームでの開発経験があれば、その際の役割や貢献について教えてください。
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 論理的思考力、問題解決プロセス、学習意欲、自走力を確認する。
- 評価ポイント: 課題を構造的に分解し、順序立てて説明できるか。自ら学び、アウトプットする姿勢があるか。技術への好奇心や探求心の強さを評価します。
営業職向け(7問)
営業職の採用では、対人スキルが重要な評価軸となります。
単に話が上手いということではなく、相手のニーズを的確に引き出す「傾聴力」、自社の商品やサービスの価値を分かりやすく伝える「説得力」、そして信頼関係を築く「関係構築力」などを多角的に評価する必要があります。学生時代の経験の中から、これらの能力が発揮された場面を具体的に聞き出しましょう。
質問例
- サークルやアルバイトで、仲間の意見やお客様の要望を丁寧に聞き出し、解決に導いた経験はありますか?
- ゼミやグループワークで、意見の異なるメンバーを説得し、議論を前に進めた経験を教えてください。
- 初対面の人と信頼関係を築くために、あなたが心がけていることは何ですか?
- 目標達成が困難な状況に直面した際、どのように考えて行動しますか?
- お客様に断られた時、どのように気持ちを切り替えますか?
- あなたにとって「良い営業」とはどのようなものですか?
- あなたにとって、最も「売るのが難しい」と思うものは何ですか?また、それを売るならどうしますか?
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 傾聴力、説得力、交渉力、関係構築力、目標達成意欲といった営業適性を評価する。
- 評価ポイント: 相手の意図を汲み取る姿勢、論理的な説明能力、ストレスのかかる状況での粘り強さなどを、具体的なエピソードから判断します。
クリエイティブ職向け(7問)
デザイナーやプランナーなどのクリエイティブ職では、既成概念にとらわれない発想力や、独自の視点から物事を捉える力が求められます。
面接では、過去の制作物(ポートフォリオ)について議論するだけでなく、候補者の思考の柔軟性やアイデア創出のプロセスを探る質問が有効です。ゼロから1を生み出す力だけでなく、制約の中で最大限のパフォーマンスを発揮する実現力も評価の対象となります。
質問例
- 学園祭やサークルのイベントで、何か斬新な企画を提案し、実行した経験はありますか?
- あなたが「デザインが良い」と感じる製品やサービスは何ですか?その理由を教えてください。
- 限られた予算や時間の中で、イベントや制作物を成功させるために工夫した経験はありますか?
- インプットのために、日頃から意識していることはありますか?
- あなたのアイデアを他者に伝える際、どのような工夫をしますか?
- 最近、あなたの創造性を刺激された出来事やモノはありますか?
- これまでにない、全く新しい〇〇(商品やサービス)のアイデアを考えてみてください。
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 発想力、着眼点のユニークさ、観察力、制約条件下での実現力を評価する。
- 評価ポイント: 物事を多角的に捉える視点、アイデアの背景にある論理、そしてそれを形にするための実行力や粘り強さを評価します。ポートフォリオの質と合わせて判断します。
スタートアップ向け(8問)
変化が激しく、不確実性の高いスタートアップの環境では、指示待ちではなく自ら課題を見つけて行動できる自律性や、状況の変化に柔軟に対応できる能力が不可欠です。
決まった役割にとらわれず、幅広い業務に積極的に取り組む姿勢や、リソースが限られた中で成果を出すための創意工夫力を見極める質問が重要になります。
質問例
- これまでの活動で、予期せぬトラブルや急な計画変更に直面した際、どのように対応しましたか?
- まだ誰もやったことのない、新しい役割やタスクに挑戦した経験はありますか?
- 自ら仕事を見つけ、タスクを進めた経験はありますか?
- 少ない予算や限られた人数で、目標を達成するためにどのような工夫をしましたか?
- フィードバックを受けることについて、どのように考えていますか?
- あなたは、整ったマニュアルがある環境と、自分で考えてルールを作っていく環境、どちらが働きやすいですか?
- 成長のために、現在の自分のスキルセットにない分野を学ぶことに抵抗はありますか?
- 会社の成長と個人の成長、どちらを優先したいですか?その理由も教えてください。
質問の意図・評価ポイント
- 意図: 環境変化への柔軟性、自律性、当事者意識、学習意欲、ストレス耐性を見極める。
- 評価ポイント: 不確実な状況を楽しめるか、指示がなくても自ら考えて動けるか、失敗を恐れず挑戦できるマインドセットを持っているかを評価します。
新卒採用面接の進行フローと質問の順番
効果的な面接を行うためには、質問内容だけでなく、全体の進行フローと質問の順番を戦略的に設計することが重要です。
候補者の緊張を解きほぐす導入から、本質に迫るメインパート、そして双方の理解を深めるクロージングまで、一連の流れを意識することで、限られた時間の中で最大限の情報を引き出すことができます。ここでは、標準的な面接の進行フローと、効果的な質問の展開順について解説します。
面接前の準備・導入
面接は、候補者が部屋に入ってくる前から始まっています。
評価基準を明確にし、質問リストや時間配分を決めておくことが、公平で質の高い面接の第一歩です。面接開始後は、まずアイスブレイクで候補者の緊張を和らげ、話しやすい雰囲気を作りましょう。所要時間は面接全体で30分〜60分が一般的で、質問数は10〜15問程度を目安に構成します。
メインパートの質問展開
メインパートでは、候補者の能力や人柄を多角的に評価するため、テーマに沿って質問を展開していきます。
一般的には、「学生時代の経験」から始め、そこから見えてきた強みや価値観を「自己PR」や「仕事観」に繋げ、最後に「志望動機」で入社意欲を確認する流れが自然です。この流れにより、候補者の過去(経験)・現在(価値観)・未来(志望動機)を一貫して理解することができます。
クロージング・逆質問の活用
面接の最後には、事務連絡を伝えるとともに、必ず逆質問の時間を設けます。
逆質問は、候補者の志望度を測るだけでなく、自社への理解を深めてもらい、入社後のミスマッチを防ぐ重要な機会です。候補者からの質問に真摯に答えることで、企業の魅力付け(アトラクト)にも繋がります。最後に、選考結果の連絡時期などを明確に伝え、丁寧な挨拶で面接を締めくくりましょう。
新卒採用面接で人材を正しく見抜くためのポイント
候補者のポテンシャルを正しく見抜くためには、表面的な回答に惑わされず、その裏にある思考や価値観を深く理解する必要があります。
単に質問をして回答を得るだけでは、準備された模範解答に終始してしまう可能性があります。ここでは、候補者の本音や本質を引き出すための深掘り技術、新卒ならではのポテンシャルを見極める視点、そして注意すべきリスクサインについて解説します。
回答を深掘る
候補者の回答に対して「なぜ?」「具体的には?」「その結果どうなった?」といった質問を重ねることで、思考の深さや行動の再現性を確認できます。
例えば、「チームに貢献しました」という回答には、「具体的にどのような行動で貢献したのですか?」と問いかけることで、その場しのぎの回答か、実体験に基づいた話かを見極めることができます。この深掘りこそが、候補者の本質に迫るための最も有効なテクニックです。
ポテンシャル・成長意欲を見極める
新卒採用では、現時点でのスキルよりも将来の成長可能性、すなわちポテンシャルが重視されます。
ポテンシャルは、「素直さ」「学習意欲」「知的好奇心」「目標達成意欲」といった要素から判断できます。失敗経験から何を学んだか、知らないことに対してどのような態度を取るか、といった質問を通じて、困難な状況でも前向きに学び、成長できる人材かを見極めましょう。
注意すべきリスクサインを見抜く
面接での回答には、注意すべきリスクサインが隠れていることがあります。
例えば、他責思考が強い、成功体験が他者からの評価に依存している、質問の意図を理解せず一方的に話し続ける、回答に一貫性がない、といった兆候です。これらのサインが見られた場合は、さらに深掘りを行い、その背景にある思考の癖や価値観を慎重に確認する必要があります。
面接官・採用担当者が気をつけるべき注意点
面接官は、候補者を評価する立場であると同時に、会社の「顔」として候補者から評価される立場でもあります。
面接官の言動一つで、企業のイメージは大きく変わります。コンプライアンスを遵守した質問選びはもちろん、公平な評価姿勢や候補者への丁寧な対応が、採用成功と企業ブランディングの両面で極めて重要です。ここでは、面接官が心得るべき重要な注意点を解説します。
NG質問・コンプライアンス
採用面接では、応募者の適性や能力とは関係のない、差別やプライバシー侵害に繋がる質問は法律で禁止されています。
本籍地、出生地、家族構成や職業、思想・信条、宗教、支持政党などに関する質問は絶対にしてはいけません。これらのNG質問は、企業のコンプライアンス意識を疑われるだけでなく、法的な問題に発展するリスクもあるため、面接官全員が正しく理解しておく必要があります。
フェアな評価と多様な視点
面接官の主観や先入観による評価の偏りを防ぐため、あらかじめ評価項目と基準を定めた「評価シート」を用意し、構造化面接(あらかじめ決めた質問を全員に同じ順番で行う手法)を取り入れることが推奨されます。
また、面接官を複数名にしたり、異なる部署や立場の社員が面接に参加したりすることで、多様な視点から候補者を評価でき、評価の客観性と公平性を高めることができます。
候補者対応・フォローアップ
候補者は「お客様」でもあるという意識を持ち、丁寧なコミュニケーションを心がけることが重要です。
面接会場への案内、丁寧な言葉遣い、面接後の迅速な連絡など、一連の候補者体験の質を高めることが、企業の魅力付けに繋がります。たとえ不採用となった候補者でも、将来的に顧客や取引先になる可能性があることを忘れてはいけません。
オンライン面接時の準備・トラブル対応
オンライン面接では、対面とは異なる準備と注意が必要です。
事前に使用するツールや接続URLを共有し、候補者と面接官双方の通信環境を確認しておきましょう。音声が聞こえにくい、映像が途切れるといったトラブルはつきものです。トラブル発生時に慌てないよう、緊急連絡先を交換しておく、代替手段を用意しておくなどの対応マニュアルを事前に作成しておくと安心です。
面接官に必要なコミュニケーションスキル
候補者の本音やポテンシャルを引き出すためには、面接官自身のコミュニケーションスキルが不可欠です。
面接は「尋問」の場ではなく「対話」の場です。面接官が安心できる雰囲気を作り、候補者がリラックスして自分らしさを発揮できるよう、意識的にコミュニケーションを取る必要があります。ここでは、面接官に求められる傾聴の姿勢と、話しやすい雰囲気づくりの具体的な方法について解説します。
聞き手の基本姿勢
優れた面接官は、話すことよりも「聞く」ことに長けています。
相手の話に真摯に耳を傾け、適切なタイミングで相槌を打つ、アイコンタクトを取るといった基本的な傾聴姿勢が、候補者に安心感を与えます。また、候補者が考え込んでいる時に「沈黙」を恐れず待つことも重要です。焦って次の質問を投げかけるのではなく、相手の思考を尊重する姿勢が、深い対話を生み出します。
話しやすい雰囲気づくり
候補者がリラックスして話せるかどうかは、面接官の振る舞いにかかっています。
面接官自身が最初に簡単な自己開示をしたり、意識して笑顔で接したり、ゆっくりと落ち着いたトーンで話したりするだけで、場の空気は大きく和らぎます。高圧的な態度は候補者を萎縮させ、本来の力を発揮できなくさせてしまいます。常に対等な立場で対話するという意識を持ちましょう。
新卒面接でよくある失敗と対策
多くの企業が新卒採用面接で陥りがちな失敗パターンを知り、事前に対策を講じることは、採用活動の成功率を高める上で非常に重要です。
面接官のスキル不足や時間設定のミス、候補者を萎縮させてしまう態度など、少しの配慮で防げる問題は少なくありません。ここでは、代表的な失敗例とその具体的な対策について解説し、より質の高い面接を実現するためのヒントを提供します。
面接官のスキル不足
面接官の質問スキルや、自社が求める人材像への理解が不足していると、候補者の能力を正しく見抜けず、ミスマッチが生じる原因となります。
特に、現場社員が初めて面接官を担当する場合などに起こりがちです。対策として、面接官向けの研修を実施し、質問の意図や評価基準、コンプライアンスに関する知識を事前に共有することが不可欠です。
面接時間の設定ミス
面接時間が短すぎると、企業側からの一方的な質問に終始してしまい、候補者の話を深く聞く時間がなくなってしまいます。
これにより、候補者の本質を理解できないばかりか、「自分に興味がないのでは」と志望度を下げてしまうリスクもあります。候補者一人ひとりと真摯に向き合うためにも、面接時間は余裕を持って設定し、候補者が話す時間を十分に確保する意識が重要です。
学生が委縮する
面接官の無表情や反応の薄さ、腕組みなどの威圧的な態度は、学生を過度に緊張させ、本来のパフォーマンスを発揮できなくさせてしまいます。
候補者は会社の雰囲気を面接官の態度から判断します。リラックスした雰囲気を作るためのアイスブレイクや、相手の話に耳を傾ける傾聴スキル、ポジティブなフィードバックなどを学び、実践することが、学生の本音を引き出すための鍵となります。
面接の準備と姿勢こそが、新卒採用面接における成功の鍵
新卒採用面接における成功の鍵は、候補者の潜在能力と自社との適合性を正確に見抜くことにあります。
そのためには、場当たり的な質問ではなく、意図を持って設計された質問リストと、体系的な進行フローが不可欠です。本記事では、アイスブレイクから志望動機、価値観を探る質問、さらには業界・職種別の専門的な質問まで、88の具体的な質問例をその意図とともに解説しました。
また、回答を深掘りする技術や、公平な評価を行うための注意点、候補者の本音を引き出すコミュニケーションスキルも、面接の質を左右する重要な要素です。面接官は企業の顔であることを自覚し、コンプライアンスを遵守しながら、候補者一人ひとりと真摯に向き合う姿勢が求められます。本記事で紹介したノウハウを面接官研修や個人の準備に活用し、自社にとって最高の財産となる人材の採用に繋げてください。

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